http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/325.html
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政府は、まだ日本の失業なんて欧米に比べたら大したことない
(もっと空洞化を進めた方が円安になっていい)なんて
他人ごとのように思っている可能性は、いくらなんでもないか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110919/284520/
のんきな政府と国民を後目に海外へ脱出する日本の製造業
2011年09月20日
自動車、エレクトロニクスなど日本経済の屋台骨を支えてきた分野で大企業の経営スタンスが激変してきた。2011年9月16日付の朝日新聞朝刊によれば、スズキが超円高を逆手にとって小型の「逆輸入」検討し始めたという。
スズキ車逆輸入検討
スズキは、アジアで生産した小型車を日本に「逆輸入」して売ることを検討する。円高や生産コストの低さを生かして安価に輸入し、競争が激しい小型車市場でシェア拡大を目指す。(中略)インドネシアで生産する小型ミニバンの次期モデルや、小型車「スイフト」クラスの廉価版などが候補に挙がっている。
(2011年9月16日付 朝日新聞朝刊より引用)
スズキといえば今やインドで大成功をおさめて企業として有名だが、日本国内でも軽自動車では圧倒的な強みを発揮している。ただ、登録車の小型車の領域となると、大手自動車メーカーとの厳しい競争にさらされる。この超円高環境でスイフトなど、小型車の「逆輸入」を実現すれば、スズキは圧倒的な価格競争力を手にいれることができるだろう。
日本国内ですでにブランドを確立したメーカーの製品であれば、それがどこの工場で生産されたかなど、消費者にとってさしたる問題ではない。「逆輸入車」の品質が国産車にくらべて決定的に見劣りするということでもない限り、クルマの生産地など問題にならない。それどころか「逆輸入」でさらなる低価格が実現できたのであれば結構なことだと、積極的な評価を得るかもしれない。
考えてみれば、こうした小型車の「逆輸入」は日産自動車がもう現実のものにしている。日産は主力車種のマーチの生産をタイ工場にすべて移してしまった。2010年7月から日本で今売られているマーチの現行モデルはすべてタイからの逆輸入品だ。
もっといえばパナソニックのエアコンはその大半がマレーシアの拠点で開発、生産され、日本に輸入されている。パナソニックは円高で苦しんでいるが、エアコンだけを切り出してみれば、円高で大きな為替益がでていることになるだろう。
また同社は9月14日、生産に必要な材料や部品などの調達・物流部門の機能を、本社の本部から切り出して、シンガポールに移転すると記者発表した。部品等々を直接購入しているのは、商品別のビジネスユニットであり、本社の調達部門はその取りまとめ役にすぎないが、将来的には各ビジネスユニットの調達部門がシンガポールに移転することもあり得ると考えた方が自然だろう。
メーカーのこうした逆輸入の動きは日本のお家芸ともいうべき工作機械業界にも及んでいる。大手工作機械メーカーのヤマザキマザックは米国ケンタッキー工場で生産している28機種のなかの4機種を、10月から日本に「逆輸入」する。中小企業向けの中小型機だ。世界各地に生産拠点をもつ同社にとって、米国からの「逆輸入」は「生産最適化」の一例にすぎない。
日本では超円高に電力供給不足、高い法人税、まったくスピード感のない貿易自由化など、輸出産業には致命的な悪条件が複合的にからみあっている。ところが、政治も社会も、そこにさしたる問題意識を持てぬ状況のもと、日本メーカーが逆輸入に取り組むのは当然のことだ。いまさら小手先の政策などいくらやっても、産業の空洞化の流れはもはや止めようがない。
もはや円高による採算悪化というネガティブな要因だけが海外移転の動機ではないからだ。先進国から新興国へと世界経済のエンジンが劇的な転換を遂げ、アジアはいまや世界の優良企業が熱い視線を送り続ける成長市場だ。
市場の近くで生産をする――それが製造業の基本原則だ。たとえば中国ではいま工作機械市場が大きく変貌している。この数年、中国は人件費高騰で生産拠点としての魅力を色あせてきた。省人化は中国国内生産でももう必然。まさに日本の高性能工作機械メーカーにとってチャンス到来だ。
だが超円高日本からの輸出では、欧米のライバルメーカーにまったく太刀打ちできない。そこで日本の高性能工作機械メーカーは続々と中国での現地生産に転じ始めた。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/management.aspx?g=DGXNMSDY2000AN20092011000000
日産ゴーン社長「円相場、明らかに異常」
日産自動車九州を視察するゴーン社長(20日、福岡県苅田町)
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は20日、8月に分社した日産自動車九州(旧日産自九州工場、福岡県苅田町、児玉幸信社長)を訪れ、同社の事業開始記念式典に臨んだ。最近の円高は「明らかに異常事態」として、国内生産の維持のためには為替相場の是正が不可欠との見解を示した。新会社では地元九州と韓国、中国などアジアから調達する部品の比率を現在の計7割から最大9割に引き上げ、国内生産100万台の維持につなげる。報道陣との主なやりとりは次の通り。
――新会社の重要性は。
「九州では2012年3月期に50万台以上を生産し、8割を輸出する計画だ。韓国や中国の部品メーカーの力も生かし、40万台以上を輸出する。(為替の円高など)多くの逆風に見舞われているが、従業員は勇気を持って生産性の向上やコスト削減に果敢に取り組んでくれている。かねて国内生産100万台を維持すると申し上げているが、その大きな部分を九州が担っている」
「国内工場はますますマザー工場としての機能を強めている。生産プロセスの開発などで知識を積み上げている。ただそれだけでは不十分で、同時に国内工場自身が競争力のある商品を供給していかなくてはならない」
――中国や韓国の部品メーカーの優位性は。
「中国からの部品調達といっても、現地に拠点を置く日系部品メーカーということもある。必ずしも中国地場資本のメーカーであるとは限らない。日本の部品メーカーでありながら低コスト国の利点や競争力のある為替レートを生かしている。こうした取引先を活用していきたい」
――ほかの国内工場の分社も検討しているのか。
「現時点ではない。ただ逆風が強いことは認識しておく必要がある。その代表が非現実的かつ我々の競争力をなくしてしまうほどの為替レートだ。数カ月前を振り返ると、我々は1ドル=90円の為替レートの下で闘っており、為替水準の是正を求めていた。それが、いまや77円だ。円・ドルレートの歴史的な平均は112円だ。いまの水準は異常事態だ。これが続くと多くの計画を見直さないといけなくなる」
日産のゴーン社長は「問題は為替レートだけだ」と力説した(20日)=テレビ東京
――国内生産100万台を維持する“公約”も見直しの対象となりうるか。
「過去20年ほどを振り返ってみると、いまの為替レートは明らかに異常事態だ。もしいまの為替レートが続くと想定すると、社内で多くの決断を下さなくてはならなくなる。日本で生産を維持するのは難しいというものになるだろう。ただ我々はいまの為替レートが持続可能とは思っていない。いずれ是正すると思っていて、つまり常識が働くであろうと信じていて、投資を判断している。いまの水準が長く続くとの前提に立つなら経営判断は違ってくるだろう」
――韓国や中国の部品を活用するなら、その分だけ国内産業は空洞化するのでは。
「本来はすべて国内調達でやったほうが楽に決まっている。だが、我々はいま、一部の部品を海外から調達するか、あるいは日本では何もつくれなくなるか、という選択を迫られている。なぜなら海外の競合メーカーははるかに有利な為替レートの恩恵を受けているからだ。例えば中東では日系メーカーがシェアを急速に失っている。技術力の問題か、そうではない。デザインか、これも違う。品質か、そうではない。問題は為替レートだけだ」
「6カ月後もいまの状況が続いているなら大規模な生産戦略の見直しを迫られるかもしれないが、個人的にはそうはならないと信じている。自動車産業のコンセンサスとしては1ドル=100円が通常の水準だとの見解が出ている」
――野田佳彦首相率いる新政権にどのような円高対策を求めるか。
「新政権は発足したばかりで、時期尚早だろう。野田首相が19日に当社の横浜工場を視察された際、円高についての我々の話に真摯に耳を傾けてくれた。最終的に我々が新政権に期待するのは『結果を出す』ということ。逆風はどんどん厳しくなっている」
――スズキが独フォルクスワーゲン(VW)に資本業務提携の解消を申し入れた。日産自とスズキの関係には影響するか。
「スズキとは引き続きOEM(相手先ブランドによる生産)調達で協業していく。ただし、三菱自動車との戦略的な関係(軽自動車の共同開発や相互OEMなど)を難しくしない限りにおいてだ。というのは三菱自との関係は戦略的なものであり、長期的な協力関係を視野に入れたものだからだ。一方、スズキとの関係は商業的なものだ。両社ともに部品、モジュール、車を共有化する余地があるならやるというものだ」
(小谷洋司)
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