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911欧州危機、大震災が象徴する世界の構造変化 ユーロ本当の致命的欠陥 ユーロ危機正しい診断 英国の財政原理主義者と対峙
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/312.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 21 日 02:08:17: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/14091/votes
田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

9.11、欧州危機、大震災が象徴する世界の構造変化

西側先進国と新興国の間に見え始めた「新たな秩序」 


9.11、欧州危機、そして大震災
西側先進国が衰退を続けた10年

 単一通貨ユーロの創設を定め、欧州連合を発足させたマーストリヒト条約から20年。成功したかに見えた通貨統合は、ギリシャを始めとする財政危機により大きく揺らいでいる。

 米国同時多発テロから10年。ニューヨークの世界貿易センタービルにテロリストのハイジャックしたボーイング機が突っ込んだ様は、いまだ戦慄とともに瞼に浮かぶ。

 一方で、その10年は中国がWTOに加盟して以降、飛躍的に成長を続けた10年でもある。そして、日本での東日本大震災から6ヵ月。一見無関係に見えるこれらの出来事は、実は世界の構造変化の象徴である。

 米、欧、日という西側先進民主主義国の国力の衰えと、中国を始めとする新興国の国力増大、その結果として「多極化」と言われる世界の出現。これは何を意味するのだろう。これから世界はどうなっていくのだろうか?

 多極的な世界は求心力を欠く世界である。求心力を欠く世界は、物事が決まらず不安定な世界となるかもしれない。思えば「東西冷戦」は、ソ連の脅威に対し結束した西側の勝利で終わり、その後の米国の一極体制と言われた時代も圧倒的な軍事力の下で米国の求心力は強かった。

 しかし9.11は世界を変えた。9.11から始まる米国の戦争は、アフガニスタンでは「テロとの戦い」という正当性があったが、イラクでは「大量破壊兵器の拡散防止」の大義はなく、西側の分裂だけでなく米国の道義力に著しい傷を与えた。

 そして何よりも、この10年の米国の戦費は膨大な財政赤字をもたらし、今日の経済停滞の原因となった。

 従来は「聖域」と見なされてきた国防予算も、もはや削減を免れることはできない。そして、オバマ政権のリビア内戦への対応に明確に示されたとおり、米国が直接的な軍事行動をとるのは、極めて限られた場合となっていくのだろう。

米国のみでなく、欧州や日本においても国力の相対的な低下が顕著である。欧州統合が加速したとき、多くの人が懸念を表明した2つの問題が、今や欧州統合の将来に疑問符をつけている。

 1つは、金融統合はあっても財政政策の統合がない欧州で、単一通貨は維持できるのか、という本質的な疑問である。そしてもう1つは、欧州の中で労働者の移動が自由になるにつれ、人種・宗教間の軋轢が強まるのではないか、と言う点であった。

 ギリシャなどの財政破綻を、短期的にはドイツなどの強い国々が救済するのであろうが、各国の財政規律を強くしていくことは国内の窮乏化に繋がっていくだろうし、簡単なことではない。

 ノルウェーで77名の人命が失われたテロや最近のロンドンでの暴動が、宗教的・人種的偏見に基づくと結論付けるわけではないが、いずれの国でも移民が拡大した(ノルウェー人口の12%、英国居住者の8.5%は外国生まれ)結果、失業の拡大を生み、社会の不満が大きくなっていることは確かなのであろう。

 日本においても、大震災からの復興は緊急の課題であるが、中長期の課題は極端な財政悪化の状況下、社会保障を維持していく上で政府に十分な資金がない、という問題である。
GDPの乖離は大きく縮まっていく
先進国の苦難と裏腹に台頭する中国

 日本や米国、欧州の国力の低下は、新興国との対比で成長速度が異なり、GDPの差が大きく縮まっていくことに加え、先進諸国は財政悪化の下で政府がコントロールできる資金が少なくなり、対外的な活動が減り、世界の中での影響力が減っていくと言うことである。

 このような西側先進国の衰退と対照的に台頭を続けるのは、中国である。「国家資本主義」と形容される中国の場合、政府は国営企業などを通じて市場に介入する手立てを多く持つ。

 共産党独裁の下で財政資金の配分も、民主主義国に比べ戦略的に配分することができる。軍事予算も従来以上のスピードで拡大していくのだろう。

 対外投資も、政府の実質的なコントロールの下で戦略的に行なわれる。米国や日本、財政危機に陥っている欧州の国債を買っているし、資源を求めて世界各地で集中的な投資をしているし、アフリカへの資本の投下ももはや西側先進国を凌駕する。

 政府が十分な資金をコントロールできる中国の影響力は飛躍的に拡大し、西側先進諸国との間でも数多くの梃子を持つようになっている。
多極化する世界に突き付けられた課題
先進国主導の「共通価値」は崩れつつある

 これは何を意味するのだろう。第二次世界大戦後の世界の統治体制は、民主主義と自由市場主義を共通の価値とし、圧倒的大国である米国の安全保障の傘の下で、政治・安全保障面での協調が図られると同時に、ブレトン・ウッズ体制の下で貿易・投資の自由化が推進され、援助やその他資金の流れに一定の規律がかけられてきた。

 基本的には、西側民主主義国の間で規律をかけ合うということであり、比較的容易であった。現在の多極化が意味することは、価値観も異なり、規律の大きな部分において枠外の中国を始めとする新興国が、軍事力や資金規模を拡大し、世界における影響力を飛躍的に拡大しているということなのである。

 すなわち、これまで世界をリードしてきたのは自由民主主義という西側的価値であったが、もはやこのような共通価値で世界の統治を仕切っていくのは困難になっているということである。

 ただ、中国も現在、大きな過渡期にあることを忘れてはならない。急速に経済成長を達成し、オリンピックや万博などを成功させて自信をつけた中国は、同時に不透明な未来に漂いだしている。

多元的社会化で統制を欠く中国
保守派とリベラル派の対立も

 中国の今日は、一方においては多様な利益が錯綜する「多元的社会」となり、共産党の統治が日々難しくなっている。高速鉄道事故は世論の存在を感じさせたし、南シナ海での中国の行動は軍や政府、党中央の足並みの乱れを露呈している。

 このような状況において、中国の基本的な統治論理を巡っても、左右の対立が厳しくなる気配がある。国内の公務員の汚職や腐敗を前に、共産党の統制を強めねばならないとする共産主義保守派と、究極的には民主化も視野に入れ、徐々に自由を拡大し、国際的にも協調主義を採ろうとするリベラル派のアプローチは違う。

 明年の指導者交代で表舞台に出てくる指導者たちは、「革命第五世代」である。戦争を経験せず、ケ小平の改革開放路線のもとで豊かになっていく中国に生きてきた人たちであり、富裕な家庭の出身者も多い。本質的には、彼らはよりリベラルな要素が強いと思われる。

 問題は、中国の経済が失速していく場合である。豊かになる展望を持った国民は、共産党統治に反旗を翻すことはないだろうが、その展望が翳っていったときには不満が反政府運動になって噴出する余地は多い。チュニジアに端を発した中東の民主化革命が、中国でも起こりうるということである。

 国内統治が困難になれば、求心力を回復するためにナショナリズムを煽り、外に対して強硬な路線をとることも考えられないではなく、将来への不透明さが残る。

 中国が「空母を保有するに至った」という発表を行なって、少なくとも報道から高速鉄道事故への厳しい政府批判を消し去ったことを見ても、国威を発揚し対外的威信を鼓舞することが、国内統治の困難を回避する手立てと考えていることは容易に想像できる。

 いずれにせよ、今後中国は保守的路線とリベラル路線のせめぎあいを経験し、共産党体制が政治経済両面で統制を強めたり、逆に自由が拡大したりという紆余曲折を経ていくのだろう。

 アジア開発銀行の発表によれば、2011年のアジア太平洋45ヵ国(日本などの先進国は除く)の実質経済成長は7.5%と見通されている。中国は、2025年にはGDPで米国を追い抜くとも言われている。

 産業革命以前においては、中国を中心とするアジアは世界のGDPの5割を占めていたわけだから、アジアが復権していくということかもしれず、アジアに位置する日本にとっても決して不都合なことではない。
民主主義国と国家資本主義体制の対立を避けよ
強いアジアの中で日本の立ち位置は?

 ただ問題は、中国を中心とするアジアが強い経済力を持つに至ったとき、アジアはどういう秩序の下にあるのか、ということである。

 前述したとおり、世界を統治していく論理として自由民主主義は勢いを失っている。西側先進国の多くは財政赤字を抱え、政府歳出の大幅な切り込みを余儀なくされており、失業率が高い水準にある。長期的な経済停滞も危惧されている。

 政治を見ても、日本のように毎年首相が交代し、どんどんポピュリズムの気配を強めている。西側自由民主主義体制の比較優位は、徐々に失われていると見るべきであろう。

 他方、相対的な国力が低下し、新興国との力のバランスが変わりつつあるとはいえ、民主主義先進国はいまだ軍事・経済・技術など多方面で絶対的な国力の差を維持している。中国を始めとする新興国は、いまだ発展途上国に止まり、社会を構築していく上で過渡期にある。

 将来、この地域で「民主主義国対国家資本主義体制」といったシステムの対立を生むことなく、緻密な戦略に基づいてウィン・ウィンの体制を構築していくことこそが、この地域に課せられた最大の課題である。

 次回以降のコラムで、論を進めていくこととしたい。

質問1 アジアにおける日本の「立ち位置」は、今後どうなる? 
33.3%
何とも言えない
33.3%
弱くなる
33.3%
変わらない
強くなる


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23081
Financial Times
単一通貨ユーロが抱える本当の「致命的欠陥」

2011.09.21(水)
 ユーロ圏共通債によるものであれ、課税・歳出の一本化によるものであれ、欧州統合をさらに深化させるという構想が検討対象から外されるのであれば、残る選択肢は2つとなる。

 1つは、緊急融資も組み合わせた現在の財政緊縮プログラムがいずれ「うまくいく」という道。もう1つは、一部の国がデフォルト(債務不履行)を宣言し、恐らくユーロから離脱するだろうという道である。
ギリシャのユーロ離脱のダメージは破壊的

 ヌリエル・ルービニ氏が本紙(フィナンシャル・タイムズ)への寄稿で論じているように、ギリシャのユーロ離脱は、最終的には同国の長期的な利益になるかもしれない。だが、それによる経済的・政治的なダメージは非常に厳しいものになり得るだろう。そして、その影響はギリシャにとどまらないかもしれない。

 欧州のあちこちで銀行が破綻したり、さらに厳しい緊縮財政政策が実施されたり、失業がさらに増えたり社会不安が生じたり、極右・極左政党が躍進したり、国家間の緊張が高まったり、EU自体に対する脅威が増したりする恐れがあるのだ。

 そのような状況下では、たとえ「自分の言った通り」になっても、ほとんど慰めにならない。ユーロ懐疑論者たちにとってもそうだ。

By Gideon Rachman


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23049
The Economist
ユーロ危機の正しい診断
政府の浪費は問題の本質ではない

2011.09.21(水)
 ドイツや欧州中央銀行(ECB)をはじめとする多くの関係者が下した診断は、現在の混乱のそもそもの根幹が周縁国の浪費にあるというものだ。ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相は、先頃フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、「過剰な国家歳出が持続不可能な水準の債務と赤字を招き、それがまさに今、我々の経済の健全性を脅かしていることは議論の余地のない事実だ」と述べている。
問題が浪費なら解決策は緊縮財政だが・・・

 問題が浪費にあるのなら、その解決策は緊縮財政だという理屈になる。であれば、公的部門の引き締めにより、投資家の信頼は回復するだろう。

 ユーロ圏の中核国の指導者たちはこれまで、苦境に陥った国々への救済資金融資の代償として、極めて厳しい予算削減を求めてきた。イタリアやスペインの政府に対しては、より大規模で迅速な引き締めを求めて圧力をかけている。さらに自国においても、赤字削減を計画している。

 ECBもそうした対応を奨励し、推し進めてきた。ECBは、8月にイタリア国債の購入に踏み切る前に、同国に対し緊縮予算のさらなる強化を求めた。

 この薬の効き目は激しい。ギリシャやポルトガルなどの「救済対象」国では、国内総生産(GDP)が予想以上に落ち込み、成長見通しが悪化し、それが債務のコストをさらに高めている。しかも、緊縮財政は問題を解決していない。イタリアおよびスペイン経済への信頼は、政府が財政引き締めを加速しているにもかかわらず、消散しかかっている。

 病気は広がり、ベルギー、さらにはフランスに対してまで懸念が高まっている。危機は改善するどころか、明らかに悪化している。


力学は、新興国における多くの金融危機の裏にある、外国資本流入の「急停止」に似ている。新興経済国が外貨建ての国債を発行している場合、外国資本の流入が途切れると、支払い能力があるかに見えた国がデフォルトに陥ることがある。

 このリスクを緩和するため、そうした国々は、短期の借り入れを控え、債務比率を低く保つよう努める。中には、外貨で多額の準備金を蓄える国もある。国際通貨基金(IMF)は近年、危機に陥った国が利用できる「予防的」与信枠を設定している。

 ユーロ圏の弱小国のソブリン債には、今のところ、こうした防御策が一切備わっていない。欧州金融安定機関(EFSF)を強化し、IMF形式の予防的与信枠を提供できるようにすれば、効果が期待できる。だがEFSFには、イタリアを支えられるほどの資金力はない。

 可能性の1つは、EFSFがECBから資金を借り入れられるようにすることだ。より即効的かつ強力な選択肢としては、ECBが無条件かつ無制限の流動性供給により、支払い能力のある国のソブリン債を支えることだろう。この対策が信用され、パニックが和らげば、ECBはそれほど多くの国債を購入しなくても済み、購入した国債から利益を得ることもできるかもしれない。

 問題は、ECBとドイツが、どこよりもそうしたシナリオを恐れているということだ。ECBによる国債の買い入れは、政府債務をマネタイズ(貨幣化)するに等しいと、両者は主張する。浪費を食い止めるのには何の役にも立たず、それどころか浪費を促し、極度のインフレを引き起こすか、そうでなければ、放漫な政府が最終的にデフォルトに陥った際にはECBに多額の損失をもたらす。
ぶつかり合う2つの診断

 いずれかのユーロ加盟国の政府が支援を必要とするのである限り、それは財務相が財政的見地から決めるべきものであり、適切な条件の下で実施されなければならないと、強硬派は主張する。

 ここが2つの診断がぶつかり合うところだ。一方は、条件をつけることこそが信頼を得る唯一の道だと強調する。他方は、無条件の支援によってのみ信頼回復が達成できると主張する。後者の診断は、前者による治療がうまくいかなかった理由を説明しているという点で優れている。欠点は、治療の失敗が医者のせいになることだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23062
Financial Times
英国の財政原理主義者と対峙せよ
狂いが生じ始めた緊縮財政の目論見

ニック・クレッグ氏が率いる自由民主党(自民党)は英国の連立政権内における新たな任務を模索している。同氏はデビッド・キャメロン氏の保守党と一定の距離を保ちたいと考えている。また、自民党には、保守党の隠された本能にブレーキをかけるだけではなく、それ以上の存在になってほしいとも思っている。
英副法相が停職処分、議員経費スキャンダル

厳しい緊縮財政で成長が止まった英国経済〔AFPBB News〕

 筆者には、ささやかな提案がある。自民党は気後れすることなく、成長戦略の擁護者の役割を演じるべきだ。

 連立政権樹立の基盤となった政治的な計算は打ち砕かれた。最近まで、英国経済は一時的に減速しているだけだというふりをすることができた。

 それが今では長引く景気停滞が見込まれ、停滞以上にひどい事態に陥る可能性もある。政権内部の誰かが財務省の財政原理主義者と戦わなければならない。
1〜2年痛みに耐えれば景気が回復するはずが・・・

 連立政権の発足当初は、すべてが魅力的に見えた。政府の規模を縮小し、財政赤字を削減する激しいショックにより、1年か2年、政治的に厳しい時期が訪れる。

 連立政権を担うキャメロン氏の保守党は、自分たちは労働党政権が残した問題の後始末という歴史的な課題に取り組んでいると主張する。一方、自民党は自分たちが成長し、80年ほど経って、反対するばかりの党が再び政府の責任を負っていることを世間に知らしめる。

 閣僚たちは、本当に厳しい年は2011年だと思っていた。その後は痛みに取って代わって、景気回復が勢いを増し始める。2015年の選挙に向け、完璧なタイミングとなる――。

 それが計画だった。きっと誰もが夢を抱いているのだろう。ユーロ圏の危機で世界経済の見通しが暗くなる前でさえ、こうした計画には大きな希望的観測が込められていた。


公正を期すために言うなら、政治家は助言者にけしかけられていた。財務省のトップとイングランド銀行総裁は誰よりも熱心に、ジョージ・オズボーン氏は苦行どころではない徹底した緊縮を行うべきだと訴えていた。

 心配しなくてもいい、と彼らはオズボーン財務相にささやきかけた。ケインズはとうの昔に死んでいる。公共支出を削減して増税し、あとはのんびり構えて輸出と設備投資が急増するのを待てばいい。緊縮財政は経済を「リバランス」してくれる。政府はすぐに政治的な報いを得られるだろう、と。

 政権内部にも、ガス・オドネル内閣官房長官ら、ケインズの言葉には今も価値があるかもしれないと考えた人が1人か2人いた。

 オドネル官房長官は、閣僚は景気後退に逆戻りした場合に備えた緊急対応策を立てておくことが賢明だと提案した。この提案は財務省のゴミ箱に捨てられてしまった。
日本のような「失われた10年」も

 聞くところによると、オドネル官房長官のメモのコピーが今、政府内で再び出回っている。噂では、クレッグ氏が興味を示したという。先日は別の主要閣僚が、英国は日本のような「失われた10年」に直面しかねないと述べた。この閣僚は、楽観的な評価でさえ、英国が繁栄を取り戻すまで5〜6年の歳月がかかることを示していると心配していた。

 変化を最初に認めたのは、自民党出身の閣僚だった。ビンス・ケーブル企業相はもともと財務官僚に感心しておらず、最近、タブーを破った。企業相は信念に忠実に、英国が抱えている問題は、長期的には有益な対策であっても、サプライサイドの調整で正せるような問題ではないことを認めたのだ。

 経済の成長が止まった理由は、需要が十分にないからだ。家計の所得は減少しており、政府は支出を削減している。輸出はギャップを埋めていない。世界的な環境を考えると、それも意外ではない。予想通り、企業は生産能力の拡大に投資するのではなく、現金をため込んでいる。

 これに対する財務省の反応は「ほかに選択肢はない」というものだ。


 連立政権が世界経済の見通しの悪化を考慮して財政計画を立て直すことを期待するのは、恐らく無理なのだろう。事実は変わったが、閣僚たちは考えを変える気はない。オズボーン財務相は賢明な政治家で、政治の表看板であるキャメロン氏を支える戦略家だ。

 しかし、オズボーン財務相は赤字削減のスケジュールに政権の信頼をつぎ込みすぎたため、今さら修正するのは不可能だ。また、自民党出身のダニー・アレクサンダー予算担当相が財務省の財政原理主義者と同じ言葉を話すようになった様子にも目を見張るものがある。

 首相官邸で練られているサプライサイドの調整(合理的なものもあれば、愚かなものもある)が短期的な成長見通しにごくわずかな影響しか及ぼさないことも同じくらい明白だ。産休制度を廃止し、健康安全規則を一時停止しても、経済に弾みをつけることはない。
自民党が成長戦略を提唱するチャンス
「副首相は友人でなく信頼できる相手」、英首相

副首相としてデビッド・キャメロン首相を支えるニック・クレッグ氏(左)〔AFPBB News〕

 こうして今、クレッグ氏とケーブル氏は、イングランド銀行に経済に資金をつぎ込み続けることを求める一方、政府に財政構造の柔軟性を最大限に活用して成長への回帰を後押しすることを求めるチャンスを手にしている。

 そうした戦略が自民党や英国経済を救うとは思えない。

 クレッグ氏は連立政権の苦境のせいで自党が失った支持者を取り戻すという大変な難題を抱えているし、一握りの新規インフラ建設計画だけでは経済は動き始めない。とはいえ、何もしないよりはいいはずだ。
By Philip Stephens  

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コメント
 
01. 2011年9月21日 03:31:35: y2UYF1WZ2I
田中均の分析の何と皮相的なことよ。立場上ホンネを言えない部分もあるのだとは思うが。そうでなれければただのパープリンだ。

「アフガニスタンでは「テロとの戦い」という正当性があったが、イラクでは「大量破壊兵器の拡散防止」の大義はなく、」

オバマの受け売りするんじゃねえよ。


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