http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/305.html
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu248.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
積極財政論者の怪しげな議論の論理的誤りを見抜けるよう、国債の
負担を巡る議論を正しく理解することが求められている。國枝繁樹
2011年9月20日 火曜日
◆「内国債は将来世代の負担ではないから積極財政を実施すべし」のウソ 9月20日 國枝繁樹
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20110914/222645/?P=1
このように、現在の「国債の負担」を巡る議論は、ラーナーらの議論ではなく、中立命題に関するものであり、その成否についてはまだ研究が進められている状況にある。しかし、「中立命題に基づけば赤字国債は将来世代の負担ではない。従って、将来世代の負担にこだわらず、赤字国債を増発して内需拡大を図るべき」とする議論については、現在でも全く誤りだと断言できる。
中立命題においては、減税や現金給付の増加により可処分所得が一時的に増加しても、合理的な家計は将来の増税に備えて、全額、貯蓄に回してしまう。逆に言えば、減税や現金給付の増加があっても、全く消費は増加せず、内需は一切増加しない。従って、中立命題に基づき赤字国債は将来世代の負担にならないと主張するのであれば、積極財政については効果がないと認めるべきなのである。
それでは、中立命題が成立する場合には、財政政策はどのような指針に基づき運営していけばよいだろう。バロー教授は、その場合、課税が経済にもたらす歪みを最小化することを目標とすべきと主張した。そのためには、税率が時間を通じて一定であることが望ましい。これが、以前の記事でも紹介した「課税平準化の理論」である。
この理論に従えば、少子高齢化のさらなる進展で構造的財政赤字が拡大し、将来の大幅な増税が不可避な我が国においては、段階的に増税を行うのではなく、今すぐ増税を行い、財政赤字を減少させ、将来必要となる増税幅を圧縮させることが望ましいことになる。従って、中立命題の主唱者のバロー教授に従えば、我が国の場合、中立命題に基づき赤字国債は将来世代の負担ではないと主張するのであれば、早急な増税を主張すべきということになる。
逆に言えば、中立命題を否定し、赤字国債発行による積極財政の内需拡大への有効性を主張するのであれば、赤字国債が将来世代の負担であることを認めなければならない(ケインジアン財政政策を支持するため、赤字国債は国民の負担ではないと主張したラーナーの議論とは方向性が全く逆であることに気をつけられたい)。
その場合、積極財政の可否は、景気への影響のみならず、世代間の公平などの観点も踏まえ、将来世代の負担増とのトレードオフで判断される必要がある。しかし、現在の我が国の債務残高は世界的に見ても異常な高さであり、将来世代の負担は、「財政的な児童虐待」(コトリコフ・ボストン大学教授)とも呼ばれる過酷な状況にある。従って、我が国には、これ以上、将来世代に負担を負わせる余地はほとんどなく、積極財政が望ましい政策とは考えられない。
結局のところ、中立命題の成否についていずれの説をとるにせよ、「赤字国債は将来世代の負担ではないから、赤字国債による積極財政を実施すべし」との主張は論理的に破綻していることになる。実は、中立命題に基づき赤字国債が負担ではないと唱えながら、積極財政を説く主張(もしくはその逆の主張)の論理的矛盾は、サマーズ・ハーバード大学教授が、ハーバード大学長時代に、学部生に対して行った特別講義のトピックの一つであった(余談だが、学長時代のサマーズ教授は、最近の映画「ソーシャル・ネットワーク」にも登場する。むろん、俳優による演技だが、本人や学長室の雰囲気がよく出ていた)。ちょうどボストンに滞在していた筆者も聴講したが、さすがによく勉強しているハーバード大学の学生達は、そうした主張が論理的に破綻していることをすぐに理解して、サマーズ学長の指摘にしきりにうなずいていた。
大量の国債を抱えた日本に暮らす我々にも、積極財政論者の怪しげな議論の論理的誤りを見抜けるよう、「国債の負担」を巡る議論を正しく理解することが求められている。
◆リカードの中立命題
http://note.masm.jp/%A5%EA%A5%AB%A1%BC%A5%C9%A4%CE%C3%E6%CE%A9%CC%BF%C2%EA/
公債の発行は増税の代替策にすぎないので、政府支出を公債でまかなっても租税でまかなっても、経済的効果は等しいというリカードの説。
政府が財政政策を行うための財源を公債発行に求める場合、その利子支払いや償還は結局は将来の租税収入によるのであるから、財源を最初から租税に求める場合と経済的効果は等しいとする考え。
財政政策を行っても国民は将来の増税に備えて消費を減らして、乗数効果が低下してしまうこと。
過剰な累積債務と現実の成長率、期待成長率ともに低下している現状から考えてこの効果は相当程度発生していると考えられる。
(私のコメント)
國枝氏の記事は、経歴からして財務省の見解でもあると思われますが、安住財務大臣はこの記事を読んで理解できるのだろうか? 國枝氏は東大経済学部を卒業して大蔵省に入り、ハーバードで博士号をとり、大蔵省の税務署長を歴任して、一橋大学の準教授をしている人です。公共政策が専門ですから財政の専門家でもある。
國枝氏の日経新聞の記事は欧米の学者の名前の羅列と、専門用語の多用で非常に難解だ。経済学部の学生向けに書いたものなら分かりますが、一般人向けに書いたものとしては専門用語の羅列や欧米の経済学者の名前を並べられても、分からないのだから不親切だろう。「ボーエンらの定義」「モジニアーニの定義」「ポンジー財政政策」「中立命題」「プライマリー黒字の現在価値」などの意味がわからなければ文章が理解できない。
国会内でも、林芳正議員が菅財務大臣に「消費性向と乗数効果の違い」の意味を問いましたが、これらは財務官僚の嫌がらせであり、官僚たちは専門用語を並べ立てて一般人を煙に巻くことが好きだ。「乗数」と言う数学用語を使うから意味がわかりませんが、要するに「景気波及効果」のほうが分かりやすい。菅財務大臣は経済学者ではないのだから専門用語を知らなくとも当然なのですが、官僚たちは専門用後を並べて煙に巻く。
官僚たちが本当に頭のいい人たちなら、大臣や一般の人たちにも分かりやすい説明が出来るのですが、専門用語や○○の定理とか言い始めたら一般人を煙に巻こうとしてるととるべきだろう。國枝氏の使っている「中立命題」の意味も分からなければ記事全体の意味がまるでわからないのですが、公債の発行と租税とは経済効果が同じかと言うことだ。
しかしこれは議論の始め方が不適切であり、経済状況などを前提条件にしなければ議論しても意味が無い。財政が所得税などで賄えれば問題はありませんが、景気が落ち込んで税収が落ち込んだ時には、増税すべきか国債で賄うべきかと言うと置き換えたほうが分かりやすい。つまり國枝氏の議論の進め方は前提条件を欠いており、増税しても税収が増えなければ、論理的には正しくても現実的には間違った答えになる。
つまり國枝氏の記事の書き方は、結論先にあり気で増税することが望ましいと言う結論を導き出すための記事であり、だから専門用語や学者の名前を並べ立てて、極めて分かりにくい文章で説明することでもっともらしい結論を導こうとするものだ。易しく分かりやすく書くと内容の不適正が指摘されることがあるから難しく書くことで煙に巻こうとする。
難しく難解な文章を書く人は、おそらく書く人自身が分かっていないから、文章を難解にすることで誤魔化そうとしているのだろう。「利他的遺産動機」と言う用語も難解ですが、「遺産動機の仮説」も「チャールズ・ホリオカ大阪大学教授らの実証研究」も何のことだろうか? これらの研究論文は一般の人は読んでいないだろうし、これらの意味不明なことを並べ立てれば意味がつかめない。
要するに、国債で財政を賄うより増税で財政を賄ったほうがいいという論理を証明するためのものなのでしょうが、景気が低迷してデフレ状態で増税すべきかと言う論点が欠けている。民間に担税能力があれば増税して税収を増やせば問題は解決しますがそれが出来ないから問題なのだ。ならば銀行でだぶついている預金を政府が借りて財政を賄ってきましたが、預金がだぶつくほど景気は低迷している。
だから現状では、国債を発行して国が借金してマネーを回さなければ経済が収縮してしまう。国債で財政を賄えば利払いや償還の問題があるから、1000兆円の国債をどのように償還するか問題が残る。この場合1000兆円の政府紙幣を発行して買い取れば問題は一気に解決する。95%が国内証券だから所有している国内の銀行や機関投資家から買い取ればいい。
国債から政府紙幣に変わるわけですが、それらはいずれ日銀持ち込まれて日銀券に交換されるだろう。最終的には1000兆円の国債を日銀が買い取る形になり、買いオペと同じだ。FRBやECBが行なっている金融緩和は国債の買取であり、それだけ市中にマネーが溢れる形になる。だからドルが安くなり円が高くなる。しかも日本もアメリカもゼロ金利状態であり、マネーがだぶついている。
オバマ大統領は、昨日のニュースでは富裕層への増税と大幅な軍縮で財政を立て直そうとしていますが、日本も富裕層への増税と高額な報酬を貰っている公務員の給与カットで財政を立て直すべきなのだ。財務省が消費税増税に拘っているのは自分たちの給与を消費税で賄うためであり、國枝氏が例に上げている銀行強盗にあたる。公務員は毎年40兆円もの人件費を使っていますが、国と地方を合わせた税収の実に50%に達する。これに切り込まなければ財政再建問題は解決しない。
「株式日記」ではこのことを何度も書いていますが、財務省からの返答は無しのつぶてだ。自分たちの給与をカットすることは問題外であり、消費税増税しか頭にない。つまり公務員は強盗であり、國枝氏は次のように書いている。「窓口で数十万円の預金をおろして銀行から出ようとすると、そこに運悪く拳銃を持った銀行強盗が現れる。強盗は、銀行にいた客からも金を奪っており、あなたがおろしたばかりの数十万円もそのまま、強盗に取り上げられてしまう。」
しかし。「お前が銀行に入ってきた時はこの数十万円は持っていなかった。今、お前はやはりこの金を持たずに銀行を出ていく。銀行に来る前と出た後で何も状況は変わらず、何も損していないのだから怒る必要はないだろう」。ということですが、税金と言う形で強盗すれば罪悪感はないのだろう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。