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英エコノミストの中国覇権論とFTの中国批判
いずれにせよ、あまり中国を心配する必要はないという楽観論か
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22328
経済覇権の行方:2030年の中国経済
2011.09.14(水)
中国経済は2030年までに、1870年代の英国、あるいは1970年代の米国と同じくらい大きな存在感を持っている可能性がある。
米中関係の転換点になるか、胡主席が訪米
歴史は今、中国経済に味方しているように見える〔AFPBB News〕
その終焉がしばしば予言されるのは、恐らく経済大国としての米国の底力を示す尺度なのだろう。
1956年にはロシア人が欧米人に向かって、「歴史は我々に味方している。我々は君たちを葬り去る」と丁重に通告した。1980年代には、歴史は日本に味方しているように見えた。今は中国に味方しているように見える。
バラク・オバマ大統領の経済顧問を務めたローレンス・サマーズ氏によると、こうした予言は「自己否定的」だという。米国はそうした予言を認め、それを覆すべく奮起することもあって、予言が実現することはないというわけだ。
「我々が未来のことを心配する限り、未来は良くなる」と、サマーズ氏はホワイトハウスを去る直前に述べた。サマーズ氏のスピーチは、ピーターソン国際経済研究所のアーヴィンド・スブラマニアン氏の新著『Eclipse(失墜)』に引用されている。
中国の台頭を決定づける3つの力
スブラマニアン氏は、中国の経済力は人々が思っているより早く米国の経済力に影を投げかけると主張し、自分の予言が自己否定的であることを否定する。仮に米国が忠告に耳を傾けたとしても、打てる手がほとんどないというのだ。
3つの力が中国の台頭を決定づける、とスブラマニアン氏は言う。人口動態、収斂、そして「重力」である。
中国の人口は米国の4倍を超えるため、中国は米国の1人当たり生産高の4分の1を生み出すだけで米国の総生産を上回ることができる。実際、スブラマニアン氏は、都市部を除いた中国国内の商品とサービスの低価格を適切に考慮した場合、中国は既に世界最大の経済になっていると考えている。
中国経済は確かに大きいが、いくぶん「遅れている」ところもある。その事実が、技術的な最先端に達した時にまだ米国経済よりはるかに小さかった日本経済と違い、中国に遅れを取り戻す成長を遂げる大きな余地を与えているという。
これら2つの力に支えられ、中国は購買力平価(PPP)ベースで2030年までに世界の国内総生産(GDP)の23%以上を占める、とスブラマニアン氏は試算している。米国が占める割合は12%以下だ。中国は貿易でも同様に優勢になり、輸出入に占めるシェアは米国の2倍に上るという。
この見通しは、貿易の「重力」モデルに基づいている。このモデルは、国家間の交易は、それらの国々の経済規模と貿易相手国との距離に依存すると想定している。中国の貿易が米国を上回るのは、中国自身の経済が米国より早いペースで拡大するためでもあり、また、中国の近隣諸国の経済成長が米国の裏庭にある国々より早いためでもある。
スブラマニアン氏は、世界のGDP、貿易、外国投資に占める各国のシェアを組み合わせて、経済的な「支配力」を示す指数を作成している。2030年までに、世界の経済力に占める中国の割合は、1970年代の米国と、1世紀前の英国に匹敵する。
「G1」という一極体制
自国民に「多極的」な世界に向けて備えさせている用心深い米国のストラテジストたちは間違っている。世界経済は「G1」によって支配される一極体制のままだ、とスブラマニアン氏は主張する。ただ、その一極が米国ではなく中国になるということだ。
スブラマニアン氏の結論は議論を呼ぶものだが、その前提は保守的だ。同氏は「重大な金融危機」が起きる可能性を排除していない。また、中国の1人当たり所得が今後20年間で年5.5%増加すると予想している。これは、過去20年ほどの増加率より3.3ポイント低い数字だ。スブラマニアン氏はほとんど「中国に対して弱気」だと言えるかもしれない。
同氏は、中国と同程度の発展段階(米国の生活水準の25%に相当するレベル)に達し、その後20年間で1人当たり所得が5.5%を超える伸びを見せた国をリストアップしている(日本、香港、ドイツ、スペイン、台湾、ギリシャ、韓国)。
この基準を達成し、その後、スブラマニアン氏が中国について予想している減速より激しい落ち込みに見舞われた国は、唯一、ニコラエ・チャウシェスクのルーマニアだけだ。
スブラマニアン氏は、中国の高齢化がもたらす問題についてだけは過度に楽観的だ。中国の従属人口に対する労働者の割合は数年後に上昇が止まり、減少に転じる。スブラマニアン氏は、2030年以降まではこの人口動態上の転換が中国の成長に重荷になることはないと主張し、高齢化問題を脚注で片付けている。
もちろん、中国、米国ともに人々を驚かす可能性はある。中国の政治体制が崩壊すれば、「すべてが白紙に戻る」とスブラマニアン氏も認めている。
比較のために言えば、インドネシアの経済は、スハルト大統領の32年間の支配に終止符を打った金融危機から平常の姿に戻るまで4年かかった。だが、そのような混乱でさえ、インドネシアの前進を止めることはなく、一時的に中断しただけだった。
米国も1990年代の好況期の活力を再発見し、1人当たり生産高がスブラマニアン氏が想定する1.7%ではなく、2.7%の伸びを見せるかもしれない。だが、たとえそのような輝かしい復活を果たしたとしても、米国がその2倍のペースで成長する中国経済の後塵を拝するのを食い止めることはできない。
そのため、米国人が「よほどの失敗を犯さない限り、米国が卓越性を維持する」と考えるのは誤りだ。
行儀の悪い国か温和な国か
中国が米国の座を奪うとすれば、中国はどのような覇権国になるのだろうか?
中国は「未熟な」超大国になると主張する人もいる。中国は裕福になる前に大きくなるため、国際社会での義務を無視して、国内のニーズに重点を置き続けるからだ。そうなれば世界は、英国が指導できず、米国が指導するのを嫌がった大戦間のリーダー不在の世界経済とよく似た状態になるかもしれない。
だが、スブラマニアン氏は、中国を早熟な超大国として描くのを好む。中国は、最も豊かな経済国の仲間入りはしないが、かといって貧しいわけでもない。2030年の中国の生活水準は米国の半分程度になり、今の欧州連合(EU)より多少高くなっている。
運がよければ、中国は経済発展における早熟さを、経済外交における緩慢な保守主義と組み合わせるだろう。開かれた世界経済を維持することには引き続き尽力するはずだ。実際、中国のGDPに対する貿易の比率は米国よりはるかに高いため、中国のコミットメントは米国より強いかもしれない。
スブラマニアン氏が指摘する通り、中国の支配には限界もある。
1940年代の米国と違い、中国は、戦争によって生じた制度的な白紙状態を受け継ぐことはない。経済秩序は新しい大胆な設計図には簡単には従わないだろうし、中国がそうしたものを提示する可能性も低い。自国の支配的な立場を利用して、そもそもその立場を確立する助けとなった制度そのものを弱体化するわけがないからだ。
中国国務院は先日公表した白書の中で、「中国は地域覇権や勢力圏を手に入れようとしているのではない」と断言した。早熟であれ未熟であれ、中国はまだ暫定的な超大国だ。中国が将来について心配し続ける限り、ライバル諸国は心配し過ぎる必要はないだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22344
中国の戸籍制度改革は「金持ち優遇」
お金も学歴もない出稼ぎ労働者の間で募る不満
2011.09.14(水)(2011年9月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
深圳のエレクトロニクス製品工場で働くトン・チャンボ氏は、4歳になる息子を地元の公立校に通わせるのに必要な書類を、800キロも離れた故郷の湖南省まではるばる取りに行かねばならない。
31歳のチャンボ氏は好況に沸くこの街に住んでほぼ10年になるが、同市の「都市戸籍(居住権)」を持たないため、彼の子供は自動的には公立校に入学できないのだ。
中国南端の広東省には3700万人もの人々が他の地域から移り住んでおり、その多くは、複雑な申請制度にのっとって居住権を得るのに必要な「ポイント」を稼ぐためならどんな苦労もいとわない。中には、宝くじのような都市戸籍を得る可能性を高めるために献血までする人もいる。
広東省の2大都市である深圳と広州で都市戸籍取得の門戸を広げるために導入された規制がこのところ、正反対の結果を生んでいるとして批判を浴びている。学位や資産のある人々を優遇しているというのがその理由だ。
金持ちに有利なポイント制、持たざる者は献血で稼ぐ
例えば広州市では、地元の企業に500万元(78万4000ドル)もの大金を投資した人には20ポイントを、市内に不動産を持つ人には20ポイントをそれぞれ付与している。また今年7月以降に深圳市で戸籍の取得申請を行った人は、何かを発明して特許を取っていればボーナスポイントを受け取ることができる。
年齢が18〜35歳の申請者にもポイントが加算される。この年代の工場労働者には有利な仕組みだ。同様に、大学で学位を取るための勉強をしている人や、広東省の農村部に住んでいる人もポイント加算を受けられるという。
お金も高い学歴もない多くの工場労働者たちは、都市戸籍取得の可能性を高めるために、献血をしたりボランティア活動に時間を割いたりする。地元メディアの報道によれば、広州市に住むある父親は、都市戸籍のために今夏だけで3度献血したという。
この父親は、必要な書類を手に入れるために故郷の四川省まで出向かねばならず、仕事を辞めた。息子が地元の大学に入学願書を出せるようにしたいと願ってのことだったが、それでも戸籍の取得を申請することすらできなかった。彼は98ポイントしか貯められず、取得申請に最低限必要な130ポイントに届かなかったのである。
戸籍のない土地で暮らす2億人超の人々を二級市民にしてしまうこの戸籍制度ほど、改革の必要性が中国全土で叫ばれている問題はほとんどない。
階級制度に対する怒りの声
この2層の階級制度に対する怒りの声は、以前よりも自己主張の強い世代の労働者が都市部に多数流入するにつれて盛り上がってきた。また、都市部が労働力不足に直面している時だけに、この基準設定は同制度に対する幻滅感をさらに強める結果になっている。
深圳大学で法律を教えているチャイ・ユーチアン教授は、このポイント制度を「非人道的だ」と批判する。財産になるものが最も少ない人々に最も大きな見返りを求める仕組みだからだ。
「もちろん、この政策はないよりましだ。しかし、エリートに居住権を与えることを目指したものになっている」とチャイ教授は指摘している。
広東省が講じた施策の中には、移住者たちを不愉快な気分にさせているものもある。
例えば、移住者や出稼ぎ労働者の博物館を建設するという計画は物笑いの種になっている。「何の仕事もしてない公務員のための博物館でも作ったらどうだ」。中国のとあるミニブログにはこんなコメントが書かれていた。「博物館や美術館なんてものは、死にかけてる芸術作品しか展示しないんだから」
深圳市当局によれば、これまでに2万人の移住者たちが、新制度での自分のポイントをオンラインで計算している。都市戸籍取得申請者の数も7月1日以降でほぼ1万人に達しているという。
昨年には4600人の申請者が居住権を手にした。今年はその数が2倍になると見られている。しかし、これは同市への移住者のごく一部でしかない。何しろ深圳では、人口1400万人のうち1200万人が移住者なのだ。
中国の戸籍制度改革の状況は、地方によってまちまちである。重慶市当局の話によれば、新しい戸籍政策が1年前に導入されてから重慶の居住権を手にした人の数は約220万人に上るという。ただ、重慶市は面積が非常に広い。農村部にもかなりの数の市民が住んでおり、人口は3000万人を超えている。
居住権を得た人々の多くは本当の意味での移住者ではなく、近隣の自治体の出身者ではないかと疑う向きもある。
広州と深圳の改革は、移住者への都市戸籍付与をさらに認める意図が政府にあるかどうかを知るための最も重要な指標になっていると言われている。
労働力は必要だが人間はいらない?
深圳当代社会観察研究所の所長を務める労働活動家のリウ・カイミン(劉開明)氏は、北京の中央政府は戸籍制度を全廃し、すべての住民を平等に扱うべきだと主張している。そうしなければ、移住者たちに手当や助成金を出したがらない市当局は制度の抜け道を探す、というわけだ。
「市当局は、『労働力は必要だが、人間はいらない』と言っているようなものだ」とリウ氏は話している。
By Rahul Jacob
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