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具体策を打ち出せなかったG7に対する週明けの金融市場の反応は、「世界同時株安」「ユーロ安」「円高」というものであった。
ユーロ急落は、「ユーロ崩壊」の足音が聞こえ始めたなかで、欧州各国もECBもG7も、それを阻止すべく有効な協調を打ち出せなかったことに対する市場の失望であり、金融市場が「ユーロ崩壊」を催促し始めたとも言える動き。
また円高は、政治面では「素人財務相」が各国から「理解を得られた」との認識を表明した「円高懸念」が、G7各国及び金融市場に全く理解されなかったことの証左。
今回の「世界同時株安」「ユーロ安」「円高」という動きのなかで特徴的なことは、「ドル高」「金下落」が見られること。主要6通貨に対するICEドル指数は今年の3月以来6ヶ月ぶりに77台を回復(ドル高)した。これに対して、この半年間、ドル及びユーロに対する不信感の裏返しで上昇して来た金は、金融市場が「ユーロ崩壊」を催促し始めたにもかかわらず頭打ち傾向を見せ始めている。
「主要通貨下落+金価格上昇」という組合せに崩れる気配が見られ始めたということは、金融市場に変化が起きているということ。
その変化は「キャリートレードの巻戻し」である。QE2で6,000億ドルもの資金がばら撒かれ、超低金利政策を続けて来たことでこの1年間ドルは「キャリートレードにおける調達通貨の主役」として君臨して来た。ここに来ての「世界同時株安+ドル高」という金融市場の反応は、こうしたキャリートレードの終焉を感じさせるものである。
キャリートレードが成立する条件は、「魅力的な投資先の存在」と「調達コストが上昇しない通貨の存在」である。しかし、ここに来てこうした条件が壊れ始めて来ている。
新興国における利上げ懸念と高金利による景気失速懸念に加え、先進国で「ユーロ崩壊懸念」の顕在化によって、足下の金融市場には「魅力的な投資先」が乏しくなって来ている。こうしたことを反映し、Bloombergでは「米ドルと円で借り入れた資金をオーストラリアとブラジルの資産購入に充てるキャリートレードのリターンが世界的な景気減速に伴い1年余りで最悪となっている」ことが報じられている。
「魅力的な投資先」が無くなって来ていたことに加え、先週1週間でFRB、ECB、G7全てが効果的かつ具体的な政策を持ち合わせていない現実が明らかになったことで、「キャリートレードの解消」に拍車がかかり始めている。リーマンショックの際に、「キャリートレードにおける調達通貨の主役」であった円が、世界同時株安と同時に買い戻され円高に見舞われたのと同様に、今回は「キャリートレードにおける調達通貨の主役」であったドルが買い戻されている構図。
「キャリートレードの解消」は、有力な「調達通貨」であった円にも上昇圧力を及ぼすものである。G7声明で「中央銀行は必要な場合に銀行システムに流動性を供給する準備がある」ことが確認され、実際にECBやスイス国立銀行が「無制限の資金供給」を続けている中では、日本も「相対的に大規模な資金供給」を実施しない限り、「キャリートレードの解消」に伴う円高圧力に太刀打ちすることは出来ない。
「直ちに」築くことが出来ない「年代が近い」ガイトナー米財務長官との信頼関係に期待した「介入」に頼るのではなく、日本の判断で「直ちに」実施することが出来る「相対的に大規模な資金供給」に踏み切らない限り、日本はリーマンショック時と同様に「キャリートレード解消」に伴う円高に襲われることを覚悟しなくてはならない。「素人財務相」と「詭弁を使う日銀総裁」は、リーマンショック時の経験を活かし、一刻も早く「相対的に大規模な資金供給」という「断固たる措置」に踏切るべきである。(近藤俊介)
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