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FTの米国楽観論
FRBの緩和に過剰期待しているように見えるが、共和党系のタカ派がいないわけではない
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22172
米国経済は本当に「日本化」するのか?
2011.09.13(火) (2011年9月10/11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
1980年に「Turning Japanese(日本人になる)」というヒット曲があった。歌っていたザ・ベイパーズというバンドはこの曲だけで消えてしまったが、何とかして景気を回復させようと躍起になっている今の米国で、30年前のこの歌が政策当局者や多額の債務を抱えた人々の耳に心地よく響くことはあるまい。
日本では1990年代前半に債務バブルが崩壊し、度重なる財政出動と金融緩和にもかかわらず、デフレと低成長が続く時代の幕が上がった。
2%を割り込んだ米国債利回りが示唆するもの
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日本はバブル崩壊後、「失われた20年」を経験し、まだ浮揚できずいいる〔AFPBB News〕
株価は下落し、現在の日経平均株価は史上最高値よりも約80%低い水準に落ち込んでいる。10年物国債の利回りは、1999年前半からずっと2%を下回っている。
片や米国では信用バブルと住宅ローンのバブルが破裂してから3年余りが経ち、指標となる10年物米国債の利回りが現在2%を下回っている。
つまり、日本の「失われた20年」が米国で再現される恐れがあることを示唆する水準に下がっているのだ。
特に強く懸念されているのは、今の米国が1990年代の日本とは異なり、世界の大半の国々で経済成長の減速が予想されている時期に苦境に陥っていることだ。
中国は引き締め政策を取っている。また、ユーロ圏の債務危機は他国に伝染するのか、するとしたらそれはどの程度のものになるのかといったことは誰にも分からないが、市場では資金の安全な避難先として米国債が買われて利回りが低下している。
日米間に重大な違い
日本と米国の間には似ている点がいくつかあるものの、重大な違いもあり、10年物米国債利回りの2%割れという現象は文脈に即して解釈すべきだろう。
まず、この重要な岐路にあって米国はデフレには直面しておらず、中央銀行も、物価の安定と最大限の雇用確保という二重の使命を負っていることから、非常に積極的な対応を行っている。
2008年以降の米国の政策対応は、1990年代の日本のそれよりもはるかに速い。そのため投資家の間には、金融機関と家計のバランスシート修復は2010年代末よりも早い時期に完了するとの期待感がある。
もう1つ、日米両国の重要な違いは、金融機関を除けば多くの米国企業のバランスシートは健全だという点だ。日本の株式市場を襲ったような大幅下落を(金融株を除いて)ウォール街が免れているのはこのためでもある。
しかし、日本企業のバランスシートを米国の家計のバランスシートと置き換え、銀行が家計に貸し込んでいる状況を重ね合わせると、日米両国の類似は厄介だ。
米国の労働力は柔軟性が高いという評価を受けてきたが、今では住宅市場の下落などのためにその強みを発揮できずにいる。労働者の資産の中心を占める住宅の価値が住宅ローンの未払い残高を下回っている状況では、そう簡単には引っ越せないのだ。
また、多くの米国企業のバランスシートが健全なのは、従業員(特に55歳以上の従業員)を雇うことに消極的なためでもある。
懸念されるのは米国政治の「日本化」
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日本化が危ぶまれるのは経済よりも政治(写真は米ワシントンの連邦議会議事堂内に立つ、ジョージ・ワシントン初代米国大統領の像)〔AFPBB News〕
さらに、これよりもはるかに心配になるのは、連邦債務上限の引き上げと財政支出を伴う景気刺激策とを巡る先日のワシントンでのゴタゴタが、バブル崩壊後の諸問題に対応する日本のアプローチの特徴となった政治家たちの非妥協的な姿勢に非常に似ていることである。
短期的には積極的な景気刺激策を取り、並行して正真正銘の長期的な予算改革に取り組むというのが良策だろう。家計が抱える過剰債務の減額を加速させるという計画も、同様に良策だろう。
ただ、そうした施策が講じられるか否かは、妙に熱を帯びた政治情勢に左右されるように思われる。バラク・オバマ大統領が先日発表した新しい景気刺激策も、連邦議会で厳しい攻撃にさらされるだろう。
そのため、景気を浮揚させるという任務は連邦準備理事会(FRB)が背負うことになる。財政による景気刺激策の前には、ワシントンの財政タカ派の面々が立ちはだかっているからだ。
例によって、債券相場に火をつけ、その利回りをここ1カ月間で急低下させたのは債券トレーダーたちだった。彼らは、FRBは追加的な金融緩和に踏み切るだろうし、その際には残存期間の長い債券が購入される公算が大きいと読んでいるのだ。
日本型のデフレスパイラルはない
予測は困難、米国債格下げの影響
デフレ突入を阻止するFRBの決意は固い〔AFPBB News〕
10年物米国債利回りの2%割れは、ユーロ圏に対する不安感と、いずれFRBに債券を売り戻したいと考えている投資家たちの行動を反映したものであり、米国が日本型のデフレスパイラルに向かいつつあるというシグナルではない。
FRBが米国のデフレ突入を阻止すると決意していることから、家計が貯蓄を回復させたり、住宅価格が安定したりするにつれて、最終的には米国の景気も緩やかに回復することになるだろう。
そして、あの「Turning Japanese」も、単なる1980年代のポップミュージックの遺物であり続けることになる。
By Michael Mackenzie
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