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フクシマは「未来都市」に生まれ変わる 「世界最先端」の集結地へ  被災地に蓄電池産業の萌芽
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/228.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 12 日 00:53:40: 6WQSToHgoAVCQ
 

こちらも、ちょっと楽観的すぎるきらいはあるが
悲観的過ぎるよりはマシか

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110909/222534/?ST=print
フクシマは「未来都市」に生まれ変わる 「世界最先端」の集結地へ

2011年9月12日 月曜日

 東日本大震災で営業停止に追い込まれたスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)。同施設を運営する常磐興産の斉藤一彦社長は今の状況を45年前に重ねています。

 石炭から石油へのエネルギー転換が進んだ高度経済成長期、国内の石炭産業は坂道を転がり落ちるように衰退しました。それは、常磐興産の前身である常磐炭坑も同じこと。家族を含めて8万人という巨大なコミュニティをどう守るか――。当時の経営者は厳しい局面に立たされていました。
炭坑の邪魔者が地域を救った

 その時、ひらめいたのが鉱山から湧き出る温水の活用でした。常磐炭鉱の労働者は、しばしば湧き出す温水に悩まされていました。57〜58度の温水が出ると炭鉱内はたちまち劣悪な環境になります。それを防ぐために、温水を汲み上げて、川に流していました。この負の遺産に目をつけたわけです。

 追い込まれて始めたリゾート運営でしたが、「常磐ハワイアンセンター」は順調なスタートを切りました。

 1966年の開業時、80万人の想定に対して125万人が押し寄せました。1970年には155万人が訪れた。その後、鉱山は閉山となりますが、子会社の常磐興産が閉山処理を引き受けます。それも、常磐ハワイアンセンターの成功があったため。炭坑の邪魔者が炭坑を救ったのでした。

 実は、斉藤社長は常磐ハワイアンセンターができた時に入社した新入社員1期生。負の遺産を観光資源に変えた過程をつぶさにみてきました。「炭坑の閉山よりも今回の放射能汚染の方が厳しい」と斉藤社長は吐露しますが、それでもマイナスをプラスに変えるべく動き始めています。

 10月1日には施設を部分開業すると決めました。今回の震災で湧き出した別の温泉を使った新たな展開も考えています。かつての経営者がしたように、あらゆる手を考えて雇用を守っていく覚悟。「日帰り客150万人、宿泊客45万人を目標に、頑張りますよ」。

 未曾有の大惨事から半年が経過しました。原発の冷温停止は道半ば、被災者の帰宅もままなりません。風評被害も深刻で、子供のいる家庭を中心にフクシマから脱出しようと考える住民は後を絶ちません。フクシマでは、いまだに深刻な状況が続いています。

 そんな絶望感に覆われたフクシマにも未来につながる変革の芽が出始めています。
フクシマに生まれた小さな芽を潰すな

 地域のエネルギーを自分たちで作ろうと考える人々は増えつつあります。医療や介護の拠点を作り、アジアの留学生を呼び込もうと動く村も出始めました。放射線医療や放射線関連産業など、原発事故を奇貨にした産業政策を模索するところもあります。

 どれも、原発事故という負の遺産を糧に新しい社会システムを築こうという取り組みです。こういった未来都市の萌芽は日本だけでなく、世界のスタンダードになりうるもの。「この国の転換点は3・11だった」。そう後世の人々が振り返るような社会を築くこと、それが私たちに課せられた使命でしょう。

 この小さな萌芽を育てるために、あらゆることをしなければなりません。復興特区という小さな話ではなく、フクシマを「1国2制度」にするくらいの覚悟で臨む必要があるかもしれません。

 今回の特集、「未来都市フクシマ」はこういった思いを込めて作りました。まずはご覧下さい――。(特集取材班)

「未来都市フクシマ」――被災地は世界を変えるか

舞い降りる救世主
絶望の相双地域に戻った“殿様”
地球の壮大な実験場
新エネルギーが導く「地域復興」
廃墟に芽吹く「新産業」
福島発「新しい日本人」
「放射能リスク」の計り方
「1国2制度」で臨め
フクシマの未来を潰すな
歴史の中の3・11
世界を動かす中心へ


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110908/222530/?ST=print
被災地に蓄電池産業の萌芽

2011年9月12日 月曜日
篠原 匡


東日本大震災から半年、被災地の復興は遅々として進まない。動きの遅い国を尻目に、被災地は独自の復興構想を描く。大震災で疲弊した日本経済を救うのは、地域が描く新たな産業政策だ。

 復興を巡る国の動きは「蝸牛の歩み」。この半年を振り返り、そう感じる人は多いのではないだろうか。

 瓦礫の撤去は遅々として進まず、「遅くともお盆まで」と菅直人・前首相が明言した仮設住宅の整備は現在も終わっていない。本格的な復興財源になるはずの今年度の第3次補正予算案も法案提出は10月半ば以降の見通し。年内の予算執行は絶望的だ。「復興特区」の裏づけとなる関連法案も成立が遅れている。

 就任したばかりの野田佳彦首相は、「被災地の復旧復興を進めることが最大の使命」と語るが、野田政権下で復興が進むのか、懐疑的なまなざしを向けている国民は少なくないだろう。

 もっとも、足取りの遅い国政とは対照的に、被災地では復興に向けた動きが着々と始動しつつある。岩手県陸前高田市や同大船渡市が進めている「環境未来都市構想」がそうだ。
岩手県で動き出す大構想
岩手県陸前高田市では、太陽光発電と蓄電池による復興構想が浮上した(写真:野口 勝宏)

 この構想の特徴は、陸前高田市、大船渡市、住田町という近隣3市町が連携して新しい街作りを目指しているところ。具体的には、陸前高田市に太陽光発電システムと大規模な定置型蓄電池を設置し、電力を大船渡市や住田町に供給していくという構想だ。

 津波の被害を受けた陸前高田の市街地は地盤沈下に見舞われており、居住エリアに戻すことは容易ではない。一方の大船渡市は水産工場やセメント工場などが集積しており、電力需要は十分に見込める。農業や林業が盛んな住田町では電力消費だけでなく、農林業の新しいモデルを模索していく。

 陸前高田市は電力基地、大船渡市や住田町は電力消費と雇用創出。市町村の枠組みを超えて役割分担を図るところが新しい。今後煮詰めるべき点も少なくないが、9月5日に平野達夫・復興対策担当相に構想が書かれた提案書を渡した。今後は国が進める環境未来都市構想や復興特区の申請を目指す。

 現状の計画では、陸前高田の平野部に210メガワット(メガは100万)の発電能力を持つ太陽光発電所と630メガワット時の蓄電池を設置し、3市町の電力需要の60%を自給する。残りの40%はこれまで通り東北電力の供給を受け、60%を超える余剰電力が発生した場合は東北電力に販売していく。

 その理由を、3市町の構想を支援している東日本環境防災未来都市研究会の宮田秀明幹事長(東京大学大学院工学研究科システム創成学専攻)はこう語る。「完全な自給自足を目指すより、電力会社からの供給を混ぜる方が安定供給やコストの面で効率的だ」。

 さらに、構想では大船渡市か陸前高田市に定置型蓄電池の量産工場を建設する見通し。合計で年間1ギガワット時(ギガは10億)に相当する蓄電池の製造工場で、2000人の雇用を見込む。

 太陽光発電システムや蓄電池の整備にかかる投資コストは約1350億円とかなりの規模だが、投資資金を呼び込むことで調達は可能と見る。発送電や電力マネジメントの協力を仰ぐため、東北電力にも参加を打診している。
復興と国際競争力の二兎を追う

 動き始めた環境未来都市――。実は、この構想はエネルギーの地産地消だけではない別の狙いが隠されている。量産工場の建設でも分かるように、1つは、蓄電池産業の創出だ。

 再生可能エネルギーの不安定さを補う蓄電池は世界的な市場拡大が期待されている。日経BPクリーンテック研究所によれば、蓄電池産業の市場規模は2030年に1500兆円まで拡大するという。いずれにしても、数百兆円レベルの産業に育つと見て間違いない。

 今回の環境未来都市構想で想定している蓄電池はリチウムイオン電池。韓国などの追い上げが厳しいが、日本が技術的な優位性を持っており、大量生産によるコスト削減効果が見込める。

 液晶や半導体は投資競争に負けて韓国や台湾の後塵を拝したが、環境未来都市をテコに定置型の蓄電池市場を立ち上げれば、産業競争力の向上だけでなく、地域の発展にもつながる。

 もう1つは電力を軸にした地域再興の役割モデルを作ることだ。

 「地域の産業を考えた時、最も有望なのは電力事業」。東日本環境防災未来都市研究会の植村公一・事務局長(インデックスコンサルティング社長)が語るように、目ぼしい産業がない地方にとって、売電は有望な収入源になり得る。発電所の運営など日々の業務を通して、自治体職員といった地域人材の育成を進めることもできる。

 復興計画は宮城県や福島県などの被災地でも具体化しつつある。その中には、国の産業政策に直結するような構想も少なくない。本来は国が考えておかしくないことを、被災した自治体が考えているわけだ。

 被災地の復興はもとより、産業競争力の強化やエネルギー自給率の向上、地球環境問題への対応など日本は数多くの課題を抱えている。それを同時に解決するようなアイデアが求められているのに、永田町や霞が関は政争や省益確保に走り回るだけに見える。国の将来設計を描く動きも、どこか緩慢だ。

 新興国市場が好調を維持しているとはいえ、米国経済の失速や欧州の変調など世界経済の先行きには暗雲が漂う。今回の災害をテコに、国際競争力に直結する産業を興さなければ、世界的な競争から日本は脱落しかねない。悠長に構えている時間はない。
このコラムについて
時事深層

日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。

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著者プロフィール

篠原 匡(しのはら・ただし)

昭和50年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、日経BP社に入社。以後、主に「日経ビジネス」の記者として活動している。趣味は競艇と出張、庭いじり。著書に『腹八分の資本主義』(新潮社)、『おまんのモノサシ持ちや』(日本経済新聞出版社)がある。  

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