★阿修羅♪ > 経世済民73 > 204.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
震災半年:見えぬ成長戦略、問われる実行スピード
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/204.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 10 日 01:43:45: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-23117120110909?sp=true
震災半年:見えぬ成長戦略、問われる実行スピード
2011年 09月 9日 19:20 JST
 

 9月9日、世界的な景気減速と円高ショックが広がる中、日本は景気、財政、金融の各面で難局打開の抜本策を迫られている。写真は、東日本大震災で被災した福島県を視察する野田首相(左から2番目)ら。8日撮影(2011年 ロイター/Toru Hanai)

東日本大震災
電力使用制限令を解除
3次補正、原発賠償枠5兆円に
焦点:野田首相は官僚の「操り人形」か「人形遣い」か
コラム:震災半年、「需要蒸発」懸念で外需主導の回復に黄信号

 [東京 9日 ロイター] 世界的な景気減速と円高ショックが広がる中、日本は景気、財政、金融の各面で難局打開の抜本策を迫られている。3月11日の東日本大震災から間もなく6カ月。政局の迷走と政策の遅延だけが残った半年間の停滞をどのように埋め合わせ、復旧・復興を成長力へと結びつけるか。日本が直面するリスクと政策課題を検証した。

 「復興需要をデフレ脱却のチャンスととらえていく」─。今月1日、新首相に就任した野田佳彦氏は、海江田万里氏との決選投票までもつれこんだ民主党代表選でこう強調した。未曽有の大震災からの復興という政権の至上命題。しかし、「それを阻む最大のリスクは政治の機能不全」という声は政府内からも公然と聞こえてくる。高い支持率とともに船出した野田政権の航路には、順風より逆風と暗礁が待ち受ける。

<野田政権の政策運営、自主裁量は狭まる>  

 「民主党政権にとって最後の賭け」(民主党幹部)として登板した野田首相。小沢一郎元民主党代表を遠ざけて党運営に失敗した菅前首相を反面教師に、党幹部人事で小沢氏に近い輿石東氏を幹事長に起用するなど、党内対立を抑え込むバランス人事には意外な手堅さをみせた。 

 衆参で与野党勢力が逆転している「ねじれ国会」をにらみ、閣僚人事でも国対経験者を多く登用。「党内融和」と「野党との合意形成」を狙った布陣は菅政権と対照的だ。財務相時代から「事務方の説明を終始、黙って聞き、最後に判断を下すタイプ」(財務省幹部)という霞が関寄りの姿勢も前任者と大きく異なる。そして、国民に対しては、自らを「ドジョウ」に例えて泥臭い政治をアピールする逆張りのイメージ戦略をとり、就任後の世論調査で60%前後という高支持率を獲得した。

 しかし、復旧・復興をめざす野田首相にとって、政策展開の自主裁量は震災発生時よりもむしろ狭くなりつつある。世界的な景気減速という国外要因が深刻化しているためだ。ギリシャの財政危機に端を発した欧州の混乱は、域内の金融システムの動揺を招く一方、ドイツを中心にユーロ圏全体の景気の足を引っ張っている。もともとぜい弱だった米国経済も減速傾向が強まっている。欧米だけでなく、ブラジルなど新興国景気も陰りがでており、震災発生後、外需拡大で進んできた企業収益の回復に腰折れの不安が漂い始めた。

 直近の経済指標を見ても、その不安の現実味は高まっている。9月の生産予測指数がマイナスに転じたほか、設備投資の先行指標である7月機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比8.2%減少した。8月の景気ウオッチャー調査でも景気の現状判断DIが47.3と、5カ月ぶりに悪化。歴史的な水準にある円高や海外経済の先行き不透明感がマインドに影響を及ぼし、企業活動がさらに慎重になる可能性がある。日銀の白川方明総裁は8日の会見で、欧州の金融システムが不安定化した場合、「世界経済全体に大きな影響を与え、日本経済、日本の金融機関にも影響する」と強い警戒感を表明した。 

 政府の震災対応は、すでに大きく立ち遅れている。復興対策が中心となる2011年度第3次補正予算案の提出時期は10月中旬以降になる見通しで、具体的な復興事業の開始は来年にずれ込みそうだ。政策研究大学院大学の大田弘子教授は、政府の震災対応について「極めて遅い。時間を失した」と憤る。政府は復旧・復興に係わる事業規模について5年間で19兆円程度、10年間で23兆円程度を見込んでいるが、「何をするか自体がクリアではない。まず3次補正に向けて具体的なプランをつくり、19兆円の内訳をはっきりするべきだ」と強調する。  

 こうした対応の遅さに加え、復興を日本経済の成長戦略に結びつける発想が明確でないとの指摘もある。復興基本計画を議論した政府の復興構想会議では、「復興=成長戦略という図式をもっと強く打ち出すべきではないか」との意見が出された。「復興特区」の導入などを含め、被災地から将来の日本を支える成長産業やそれを支援する制度が生まれてくるという視点に大きな異論はない。しかし、その具体策と実行計画は未だに明確な像を結んでいない。 

<民間が先行、IT活用など新産業創設の動き> 

 動きの鈍い政府の施策に業を煮やすように、民間企業や経済団体からは、先んじて成長戦略として新産業の創設にかかわる動きが出始めている。日本経団連は、大震災直後からの被災地支援の取り組みの経験をもとに、7月に情報通信技術(ICT)を今後の復興や日本全体の成長につなげていくことを提案。防災や電子行政推進のための基盤整備、医療・介護の電子化、ICT人材の育成まで多岐にわたる重点分野を決め、政府が実行すべき具合的な課題を提示した。 

 個別企業にも動きがある。IT戦略などテクノロジーやコンサルティングを手がけるアクセンチュアでは、8月に福島・会津若松市にイノベーションセンターを設立。地元の自治体や企業大学と連携し、IT、自然エネルギー、医療、観光の分野で、国内外から優れた「技術」「人材」「資金」を誘致し、自社の事業にも結び付けていく考えだ。「最低でも10年単位の事業となることを視野に、会社としても事業の継続ができる仕組みを作っていく」(程近智社長)という。 

 加えて復興や成長戦略に欠かせないのは、原発事故を受けて懸念される電力不足への対応と、エネルギー政策転換を新たな産業創設につなげる視点だ。野田政権は新たな原発はつくらず、耐用年数を経過したものは廃炉とする方針を掲げている。原発に代わり、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの普及をめぐる議論が目立つが、温暖化ガスの削減と開発にかかる時間・コストを踏まえると、本命は天然ガスへの依存度を高めることだと言われている。次世代のエネルギーとしていかに安価に効率よく天然ガスを手にいれるかが、日本の成長戦略にとっても重要な課題となる。

<財政再建、景気不透明で先送り懸念も> 

 経済成長とともに重要な課題である財政再建。欧州をみても明らかなように、政府の財政再建への意志が後退したと市場にみなされれば、リスクプレミアムが拡大して金利が上昇、これまで積み上げてきた政策の効果が一瞬にして雲散霧消しかねない。

 野田政権の取り組みをどう評価するか。政府は、震災復興にあたり、つなぎ的に発行する「復興債」の償還財源として、歳出削減や政府保有株の売却などで足りない部分を所得税や法人税など基幹税で確保する方向で準備を進めている。これに対して民主党内では、景気に悪影響を与えるとして異論が多い。

 市場では早くも野田政権に対して「財政再建など大胆な政策は期待できない」(クレイディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏)との声が出始めた。政府内からも「野田首相は財政再建の重要性を繰り返し主張しているが、財務相時代も具体的に実行したわけではない。民主党の体質が変わらない限り、難しいだろう」と冷めた見方もある。 

 景気に配慮し、増税の開始時期や償還期間は柔軟に対応することが求められるが、財源の裏付けが乏しい歳出拡大となれば、財政規律に疑問が生じかねない。福田慎一・東大大学院教授は「大震災がなくても財政状況はかなり危機的な状況に近づいてきている」とし、「10兆円から20兆円の財源をどうするかという議論だけをする意味がそれほどあるとは思えない」と財政全体を捉えた大局的な議論が必要と指摘する。 

 "The sooner the better"──。8日に財務省で開かれた財政制度等審議会に招かれた国際通貨基金(IMF)の財政担当者は、「日本の再成長に向けた見通しと戦略」と題した講演で強調した。日本の成長には財政再建が不可欠であり、そのためには消費税率引き上げを可能な限り早く実施すべきとの主張だ。消費税は、所得税や法人税に比べて経済に与える影響が相対的に小さいとの試算も示し、2012年にも段階的な消費税引き上げを開始して税率を15%(現行5%)にもっていく必要性を指摘した。 

 政府・与党は「社会保障と税の一体改革」成案で、消費税について「2010年代半ばまでに、段階的に10%まで引き上げる」ことで合意している。野田首相は一体改革の実現に向けた法案を年度内に国会に提出する方針を示しているが、調整は難航も予想される。

 野田首相が強調する「経済成長と財政再建の両立」の実現に向け、震災復興と円高対策を盛り込む3次補正予算が試金石。リーダーシップが試される局面が近づいている。

(ロイターニュース 伊藤純夫、竹本能文、中川泉)  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民73掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民73掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧