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転職したくでもできず、訴訟もできず、どこも下っ端は辛いね
http://president.jp.reuters.com/article/2011/09/02/D044943C-CD3D-11E0-95B0-A5B13E99CD51.php
「1日平均10時間以上残業でも残業代ゼロ」の理由
労働基準法
プレジデント 2011年8.15号
3月11日以来、東北各県の自治体職員は非常時の名の下、不眠不休の活動が求められてきた。
ジャーナリスト 西内義雄=文 PANA=写真
キーワード: 人事・人材・雇用 東日本大震災 収入・給料 世のなか法律塾
3月11日以来、東北各県の自治体職員は非常時の名の下、不眠不休の活動が求められてきた。サラリーマン的な目で見れば、つい「日頃守られているのだから、こんなときこそ働くのは当然」との声もあるだろうが、なかには恐ろしいまでのサービス残業を強制されてきた職員もいる。
例えば某町のある職員は上からの命令で身を粉にして働いた結果、1ヵ月の時間外労働が300時間を超え、震災から4ヵ月が経った段階で合計1000時間を超えていた。1日平均10時間以上、寝ている時間以外は働き続けている状態だ。これが常軌を逸した労働時間なのは言うまでもないが、さらに驚くのは、すべてサービス残業として処理されていたことだ。
とかく厳しい目が向けられる公務員とはいえ、一切の手当を出さないのはあまりにもヒドイ話である。当然、この職員は上司にその不満を訴えているのだが、緊急時だから、みんなそうだから仕方ないと無視されている始末。果たしてこれで許されるのだろうか?
「いいわけありません。完全なる労働基準法違反ですよ。そもそも、地方公務員といえども労働基準法の適用があるわけですし、働いた分の対価を支払ってもらうのは当然の権利です」
と解説するのは東京東部法律事務所の後藤寛氏だ。
後藤弁護士によると一般職の国家公務員なら労働基準法の適用から外れるが、地方公務員は民間企業並みに労働基準法が適用されるのが原則。なので、災害等により臨時に必要がある場合といえども、その対価を支払うことも当然のこと。
したがって、この職員は1000時間にもおよぶ時間外労働の対価を勤務先の自治体に請求するのは当然の権利であり、その額を単純計算すると時給1500円としても150万円に相当する。非常時を理由にしてもあまりに度を越しているうえ、人権問題も絡むので訴訟を起こせば勝つことはほぼ間違いないと思われる。
ところが、実際はなかなか訴訟に踏み切れない事情がある。なぜかというと、公務員の給料問題では、訴える相手が自治体になってしまう。そこが問題なのだ。
震災被災者を支援する活動が続く一方、一部にはしわ寄せも(写真は本文とは関係ありません)。(PANA=写真)
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震災被災者を支援する活動が続く一方、一部にはしわ寄せも(写真は本文とは関係ありません)。(PANA=写真)
「相手が民間企業であれば、組合や労働基準監督署に訴えることで話は比較的早く進みます。訴えられた企業側もイメージの悪化や世の中への影響を恐れて和解に進むことが多いのです。訴えてきた相手が少ない人数なら『この和解の内容は口外しないこと』との一文を入れ、少ない額で早く沈静化させてしまおうとすることがよくあります。しかし自治体はそう簡単に非を認めません。自治体の予算の都合もあり和解など難しく、たとえ少額訴訟であっても断固拒否して通常の訴訟に発展してしまうのです」
つまり、税金をいくら使ってでも非を認めず闘いは長引く。長引けば弁護士費用がかさむ。さらに話題性が高いため、訴訟を起こした職員のプライバシーは露呈し、訴えた側が辛い思いをすることが多い。裁判所も行政訴訟になるので慎重になり審議が長引く。たとえ勝訴しても疲労感しか残らないことが多いのだ。
このケースのように自治体そのものが違法な命令を出している場合、想定外のことなので誰がそれを取り締まるか、是正勧告を出すかも議論が分かれ、なかなか前に進めない事情もある。そもそも、通常は自治体の長に訴えを持っていくべきなのにその長が違法行為をしているわけだから訴えようがない。ならば所轄(都道府県)の労働基準局や人事委員会にとなるが、試しにこの自治体を管轄する県に問い合わせてみると前例がないから……と当惑していたことも付け加えておこう。
公務員の悲哀を垣間見た思いである。
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