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減速感が漂う世界経済、新政権は日本経済の課題に早急な対応を
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/116.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 01 日 12:05:33: 6WQSToHgoAVCQ
 

(回答先: 野田新政権、市場からは第3次補正など経済政策・介入望む声 投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 01 日 04:12:48)

中長期的な円安インフレリスクには財政再建が必要だが、目先の世界景気後退懸念と円高による空洞化加速(高い若年失業率と賃金下落)対策や、高齢者・女性労働力の活用は絶対に重要。
両方の課題に対して、納得のできる政策パケージを提出できる政治家やエコノミストがほとんどいないのは困ったことだ。
個人レベルでは、自分を磨いて、成長性が高いグローバル企業や内需企業に入る、海外に出る、起業するなどだが、表向きは嫌っている公務員になるという選択が日本では好まれているようだ。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110825/281812/?mle
 小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」

減速感が漂う世界経済、新政権は日本経済の課題に早急な対応を
 2011年8月26日
  前回に引き続き、夏休みの特別編として、2011年を年初から振り返ってみます。8月中旬に欧州と日本で4-6月のGDP速報値が発表されました。欧州は下表のとおりですが、日本は実質で年率マイナス1.3%、名目はマイナス5.7%という状況です。ムーディーズが日本国債を最上位から4段階目まで引き下げたのはご存じの通りです。(S&P、フィッチはもともとその格付け。)
 あらためて世界経済の先行き不透明さが裏付けられた結果、株式市場などに大きな影響を与えました。まず、欧州の現状を簡単に分析し、その上で日本経済の今年前半の流れを追い、今後の課題を指摘していきます。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110825/281812/110826_komiya01.jpg

 欧州の成長率を見ると、ユーロ圏全体での成長率は実質年率プラス0.7%で前四半期のプラス3.4%から大幅に減速しました。これには経済規模の大きなドイツが前期のプラス5.5%からプラス0.5%に、フランスが3.6%から0.0%へとそれぞれ成長率を低下させてことが影響しています。
 ドイツは前期に比べて建設需要が低下したこと、フランスは自動車買い替え支援制度が終了したことが、それぞれ成長率低下に影響したとされています。ユーロ安を背景に増えると見込まれていた外需の伸びが大きくなかったことから、より世界経済全体の減速が心配され、市場の気分を悲観的にしました。
 先週は米国債の格下げの話をしましたが、先ほども述べたように日本でも格下げがあり、欧州でもフランス国債について格下げの観測がされました。ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領がパリで緊急対談し、ユーロ圏経済政府の創設などで協力していくことやユーロの安定に取り組むことを共同で表明しましたが、実質的な解決策はなく、市場の動揺は収まってはいません。イタリアやスペインなども不安定な状態が続いています。以前もお話ししましたように、抜本的な解決策を見いだすのは難しいでしょう。
生産が戻っても、順調に景気が回復するとは考えにくい
 続いて、15日に発表された日本のGDP速報値を見てみましょう。冒頭で説明したように、2011年4-6のGDP(速報値)は、実質年率でマイナス1.3%、名目でマイナス5.7%という共に3四半期連続でマイナスの数字になりました。
 私は以前、2011年4-6月のGDPは若干プラスになるのではないかと予想していました。日本のGDPの計算の仕方は前四半期比年率換算ですから、それほどの伸びは期待できないとしても、少しプラスになるのではないかと考えていたのです。
 日本経済の現状を端的に表していると私が思うのが、「鉱工業指数生産指数」です。

 2010年10月に92.4まで落ち込んでいたのが、米国経済の景気が順調に戻してきていたこともあり、2011年2月には97.9まで回復しました。それが、3.11の大震災によって、2011年3月は82.7まで減少。それから徐々に盛り返していき、2011年6月は92.6まで戻した、というのが現在の水準です。生産はある程度まで持ち直しています。


 GDPがマイナスとなった原因を三つの要素から見てみます。まず一つ目の要素である「個人支出2人以上世帯」を見ますと、2011年4-6月の間は大きく落ち込んでいることが分かります。二つ目の要素である「貿易・通関」を見ますと、2011年4月と5月の貿易収支は赤字になっています。また、三つ目の要素である政府支出の一部を成す「公共工事請負金額」を見ても、やはり2011年4-6月の間はマイナスを維持している状態です。
 民間企業の設備投資を大まかに表す「機械受注」だけが好調でした。表を見ていただきたいのですが、2011年4月は前年比で若干マイナスとなりましたが、5月はプラス10.5、6月はプラス17.9%と大きく伸びたのです。
 こうしたプラスを織り込んでも、結果的には各要素のマイナス幅が思った以上に大きく、4-6月期のGDPはマイナス成長となりました。
 7-9月期はどうでしょうか。4-6月期に比べると、日本経済は回復すると考えられますが、欧米経済のこともあり、力強さは感じられないかもしれません。
 日本経済にはもともと約20兆円とも言われる需給ギャップがあります。そういう点からは、7月から8月にかけて生産が正常ペースにまで完全に復旧したとしても、その後も景気が順調に回復するかというと、かなり難しいのではないかと思うのです。
 もちろん、復興に際して、建設土木は少し伸びると思います。しかし、それ以外のところで製造業などが設備投資をぐんぐん増やしていくのか? というと、それはかなり難しいのではないでしょうか。

現金給与総額が伸びなければ、消費支出も伸びにくい
 もう一つ、懸念材料が出てきました。「現金給与総額」を見てください。

 これを見ますと、賞与が出た2011年6月の速報値が前年比マイナス0.7となっています。
 賞与については前期の業績を反映する会社が多いので、私は6月の賞与については昨年より上がると思っていましたから、この数字は意外に小さいと感じました。日経新聞の調査でも、賞与は上がるとの予測がありましたから、6月の「現金給与総額」はプラスになるのではないかと考えていたのです。この状況が続けば、先程も触れた「消費支出 2人以上世帯」も増えるということは考えにくくなります。
 ただ、このような中でも「百貨店売上高」は少し伸びています。2011年6月は前年比プラス0.3%、7月は若干落ち込んで前年比マイナス0.1%となりましたが、クールビズなどを中心に需要が伸びているようです。「現金給与総額」が下がっても、一部の商品は売れているのです。
 また、自動車も期待できる要素の一つです。「新車販売台数」を見てください。月の数字を見ると、2011年4月に18.6万台と大きく落ち込みましたが、それ以降順調に回復してきていることが分かります。

 2011年7月は前年比マイナス23.3%となっており、これは大きな落ち込んだ数字のように見えるのですが、昨年の7月、8月というのは、エコカー補助金切れの駆け込み需要があったために、昨年の販売台数がかさ上げされているので前年比のマイナス幅が大きくなっているのです。

 そういった点では、自動車は今年上期にさばけなかった分で今後は販売台数をそこそこ増やすことが予想されます。しかし、給与の伸びは消費の動向に直結しますから、消費支出全体の伸びはこのままではそれほど期待できず、現金給与総額と消費支出の数字を注目する必要があります。
 給与だけでなく、雇用についても総じて芳しくない状況は続いています。「有効求人倍率」についてはわずかながら改善の兆しが見えますが、それほど顕著ではありませんから、景気の足を引っ張っている原因の一つになっていると言えます。
 このように、復興が進み生産がある程度順調に回復してきている一方で、雇用や給与などがまだまだ弱く、それに伴って消費支出もなかなか回復しないというのが現状です。

減少する経常収支黒字額と、増加する所得収支黒字額
 私がいま注目している数字があります。それは、「国際収支」です。

 震災以降、やはり「経常収支」が小さくなっているのです。経常収支は、主に貿易・サービス収支と所得収支で構成されるのですが、特に「貿易収支」が悪化しているという点が大きいのでしょう。輸出の減少と資源高による輸入の増加によるものです。4月、5月は貿易赤字です。
 一方、経常収支の柱である「所得収支」は6月で6069億円の黒字になっています。「所得収支」というのは、海外からの配当金や金利なのですが、これが増える傾向が将来的にも続いていくのはないかと思います。どういうことかと言いますと、企業などが日本から海外へ進出し、そこから配当金をもらうというような構図に徐々に変わりつつあるからです。
 つまり、企業が海外に進出することにより、貿易収支の黒字幅は輸出の減少により縮小しながら、海外からの配当金等の増加で所得収支の黒字幅が増えていくということです。当然のことながら、国内から海外、そして海外から国内への企業の海外進出の投資額の差額を表す「直接投資」のマイナス幅は大きくなっていくということが続いていくと考えられます。

大震災を境に、大きくトレンドが変わった日本経済
 今年前半は大震災の影響によって大きくトレンドが変わってしまったということが言えます。中長期的には、以前もお話ししたように、あまり望ましくない未来が早くやってきてしまうということです。空洞化が進み、財政赤字の増え方が加速していきます。エネルギー政策も転換期を迎えています。
 日本企業の決算を見ていると、さほど悪くない数字が出ていますが、それは海外で稼いでいるからです。海外で稼いだものはGDPに反映されませんから、GDPと比較すると少し違和感を覚える人がいらっしゃるかもしれません。そういう意味では、GDP自体が国力を十分に表さなくなってきている可能性があります。
 私自身、名目GDPが給与の源泉だという説明をしていますが、実際は国内での給与の源泉と言う意味でしかありませんし、海外で稼ぐ企業に関しては、それが当てはまりません。海外で稼いだ分を分配してもいいわけですが、あくまでもGDPは国内で作り出した付加価値の総額ですから、それが含まれないのです。
 ですから、経常収支が減少しても黒字幅が増加している所得収支はGDPに直接は影響しません。GDPだけでは把握できない経済になりつつあるのかもしれません。(GDPに所得収支などを加味したGNI(国民総所得)という概念があります。)

ただ、一つ確実に言えることは、日本の財政は脆弱だということです。そして短期的にも長期的にも危機的状況である中、菅政権はほとんど役に立っていません。もうすぐ新しい首相が選ばれて新政権が発足しますが、財政赤字の増加基調はこのままでは続かざるを得ず、民主党の政治にはそう期待できそうもありません。すべてそのツケは最後に国民に回ってくるのです。
 短期的には円が買われていますが、中長期的に考えると、円が買われ続けるということはないと私は考えています。以前もお話ししましたが、日本という母屋が崩れかけたら、一気に円が売られます。ただ、短期的に見ると、欧米よりは状況がましだろうということで円が買われているだけなのです。もし、日本の財政がいよいよ危なくなってきた時、一斉に円が売られるようになるでしょう。
 私は、今回の震災で、その時が早まったのではないかと思っています。
 もし、多くの人が日本国債は危ないと考えるようになると、日本国債を多く所持しているのは銀行ですから、銀行も同時に危なくなります。そうすると預金者は預金を引き出し始めます。その過程で超円安と銀行の金融破綻が同時にやって来るということです。
 もちろん、その時が来るかどうかは分かりません。理論的にはあり得るということです。

金融は、信用が失われると一瞬で崩壊する世界
 金融は、信用で成り立っている世界です。日本の金融だけではなく、どの国の金融も同じことが言えます。金融の世界というのは、誰かのお金を借りてきて、他の誰かに貸す世界ですから、その信用が失われる時、一瞬で崩れるのです。
 つまり、金融とはもともとバブルな世界なのです。信用を作り出しているのですから、それが逆回転し始めたら、一瞬で消えてしまいます。
 そして、金融が崩れると、国がおかしくなります。しかし、これらはもともと、金融が内包しているリスクなのです。通貨も同じです。そもそも、通貨とは何なのか。通貨はただの紙のように見えるかもしれませんが、それを支えるものを持っているのかどうかが価値を決めるのです。
 例えば、米国では1971年にスミソニアン体制を放棄するまで、米ドルは1ドルと1ドル相当の金と交換される金本位制をとっていました。ですから、当時は米国政府がニューヨーク連邦準備銀行にある金庫の中に保有する金が、米国の通貨を支えていたと言えます。
 しかしその後、ベトナム戦争の戦費を賄えなくなり、金本位制をやめることになりました。日本も円を自由化することとなり、相対的にドルの価値が下がっていったのです。そういうことをしながら、米国はドルをたくさん刷っていきました。私が師と仰ぐ、曹洞宗の藤本幸邦老師は、「ドルは軍票」とおっしゃりましたが、ドルが軍票化していきました。つまり、米国の強大な軍事力を背景に、基軸通貨としてのドルを世界中に大量供給する状況となったのです。

 しかし、今回の米国債の格下げによって、基軸通貨としての地位が揺らぎ始めているのです。もし基軸通貨としての信任がドルになくなってしまったら、どうなってしまうのか、それは誰にも分かりません。
 一つ言えることは、ドルの信用で成り立っている経済が終わってしまうということです。 みんな、ドルを持っていれば安全だということはなくなってしまうわけですから、他のものを持とうか、ということになります。今、金が買われているのはそのためです。
 さらに、何か裏付けのある通貨が買われることになるでしょう。資源国通貨です。資源そのものが通貨を裏支えするということです。
 通貨は決済の手段としても使われます。輸入したものを、例えばブラジルから輸入したものをブラジルレアルで支払う場合に、その通貨が紙くずであれば、だれも欲しくはありません。しかし、いざとなればブラジルの鉄鉱石を代価としてもらえばいいという話になると、裏支えする鉄鉱石があるレアルを買っても大丈夫だろうと市場は考えるようになります。
 このように、通貨の価値は、その裏付けがあるかどうかなのです。その裏支えするものは、経済力でも技術力でも構いません。日本で色々なものを作り出して外貨を稼げるなら、技術力を裏支えに日本円が強くなるわけです。つまり、外貨を稼ぐ手段を持っているかどうか、ということにも言い換えられます。
 ただ、日本は基本的に原材料だとか天然資源、農産物などを輸入しないとやっていけない国ですから、そういう点では、それ以外で稼げる手段がないと、円の信任がなくなってしまうのです。

日本は財政の健全化を早急に進めるべき
 私が非常に懸念しているのは、日本国債の金利が上がってしまうのではないかということです。もちろん、今は上がっているわけではありません。
 ただ、例えばスペインやイタリアが通常(ドイツ国債など)のユーロ金利プラス3%を上乗せしないと国債を買ってもらえないという状況になっています。同様に、日本の財政赤字がクローズアップされるようになると、日本国債のさらなる格下げもあり得るのではないかと思うのです。
 米国の財政赤字は、GDP比で約100%を少し超える程度です。そして、日本の財政赤字はGDP比200%に迫ろうとしています。対GDP比で、日本ほど財政赤字が悪い国はありません。ですから、それに対して日本政府は抜本的な対策をとるべきだと思うのです。
 今、復興財源を確保するために消費税を上げようという議論がされていますが、それに対して非常に反対意見が多いのが現状です。しかし、私は復興財源の確保だけではなくて、ある程度恒久的に消費税を上げたままにしておいて、そのかわりに財政赤字の削減に充てることをやるべきだと思っています。
 当然のことながら、政府の支出の大幅な見直しをした上で、というのが前提です。それから消費税を上げて、財政の健全化を図るべきだというのが私の意見です。
 財政赤字を削減する対策を一刻も早く行わないと、ただでさえ今後、高齢化や空洞化などによって財政赤字が膨らんでいくわけですから、日本は確実に財政破綻へ近づいていきます。
 誰が首相に選ばれるのか、いまはまだ分かりませんが、新政権では財政赤字の削減やエネルギー政策、社会福祉、さらには脆弱となっている外交問題などの喫緊の課題に対して、迅速な議論と決断を行ってほしいと思います。
(つづく)
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『日本経済が手にとるようにわかる本』(日経BP社)――絶賛発売中!
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皆さまからお寄せいただいたコメント(18件)
1. 日本は田中角栄以来、着実に赤字国債を積み上げてきた。Cの到来で、雲散霧消するであろう。未来は残されていない。
//(2011年08月26日・ルート134)
2. 決断するのは首相ではないと思います。私たちひとりひとり、1票の選挙権を持つ市民が決断しなければ、政治も省庁も動きません。科学的裏づけのないまま原発支持をしてきたのは私たち。電気の周波数を東西違うままほったらかしにしておいて、電力危機を招いたのも私たち。借金をしてまで社会保障を求めるのも私たち。若い人のやる気を奪っているのも私たちです。積もり積もった問題を誰かのせいにして、誰かが勝手に片付けてくれることを望んで、その望みがかなわなければ総理大臣すら辞めさせる。日本人はまるで、夏休みの宿題を最終日になるまでやらない子供のようですね。宿題ができなくても、9月1日は来ます。「未来はない」で片付けられればいいんですが、たとえ大地震が起こっっても「明日の日常」はきてしまいます。…逆にピンチになったほうが日本人の動きは早くなるかも知れません…(2011年08月26日・蒼)
3. 9ページ以降の金融・ドル・円の危うさの説明は素人の私にも分かりやすかった。
造船業で日本駐在米国人監督と永年付き合い、その人達の日本生活で米国経済力の低落を実感した。1ドル360円時代は豪邸でメイドを使う豪奢な生活、1ドル120円時代は日本人並みの生活。
21世紀は、人口増加と中印等の生活レベル向上で、総ての資源が不足し、地球有限を実感する時代。購買力平価で為替変動を除いたGDPを調べたら、オーストラリアはリーマンショックの影響もなくて成長を続けている。今後資源大国が強くなることは間違いないだろう。
米国のドル札増発による贅沢はそろそろ終わりが近づいた。任期4年の大統領は再選のためにドル札増発(金融緩和)を続けるだろうが、ドル価値の長期低落を加速させるだけだ。それは南欧諸国国債の金利上昇にも繋がる。
日本の技術力は強くて外貨を稼げるが、国内向け産業の低生産性が足かせだ。2011/5の購買力平価は消費者物価132.50、輸出物価64.45。消費物価が高くて賃金が下げられず、仕事の海外移転が続く。規制を撤廃して国内向け産業を競争的環境に置き、生産性を上げて物価を下げることが日本再生の道だ。(2011年08月27日・規制撤廃を主張する富士 望)
4. 先日、某大手銀行の相談窓口で、日本国債は日本国民が買っているから大丈夫という担当者の話を聞きながら、こちら(一般国民、つまり、預金者)が頼みもしないのに銀行が日本国債を買っているだけの話で、銀行だって自分たちの存立が優先するから、国債を買い続けたいとは思わないのではないか、現に、先年国債の金利が若干上昇したのは、銀行が自分たちのポジション改善のために売却を迫られたからと聞いているので、銀行は国債の処分を考えこそすれ、購入は増やしたくはないというのが本音ではないか、と尋ねたのですが・・・。正直のところ、国債の消化可能性も限界に来ているのではないでしょうか。だから、日銀買い受けだとか郵政再国有化だとかいう話になるのかも知れませんが、本質的な解決ではない上に、近い将来に退場する高齢の政治家たち主導の無責任な意見と言うべきではないでしょうか。種々考え合わせると、小宮氏のご主張の通り、消費税の大幅増しか残された方策はないように思われます。(2011年08月27日・ないっふ)
5. 日本の悲劇は何をしたくとも、政府に金が無く何も実現できないことだろう。貧すれば鈍すである。自民公明民主党政権による、20数年に渡るばら撒き政治の成れの果てだ。国に金が無ければ企業や国民から、又は海外から手に入れる以外に方法は無い。日本は海外から巻き上げる政治力、軍事力はないので、この方法は取れない。残された方法は自国民から巻き上げる以外に有り得ない。これが唯一日本に残された道だ。赤字国債発行による裏口か、増税による直接国民の目に見える表からの巻き上げだ。日本は高齢化、人口減少期を向かえて経済成長による税収アップや収益増加は殆ど見込み薄だ。今の実力では現状維持が精いっぱいだろう。この現実を、政治家も我々国民も冷静に受け止めて、将来を見据える事が何よりも重要だと思う。赤字国債発行による国家財政の辻褄合わせはもう真っ平だ。その結果は毎年10兆円以上の余分な金利支払いが増え、その分、増税だ。目に見えない増税だ。日本再生には快刀乱麻の経済政策等、有り得ない。再生の道は国家財政を黒字化するまで、長期に渡り国民が政府を確り監視し、無駄使いを止めさせ、税金を確り払い、地道に努力することだと思う。(2011年08月27日・クスリ)
6. 小宮さんは、企業や人の海外移転でGDPだけでは経済が把握できず、所得収支などを加味したGNI(国民総所得)での分析が必要といわれる。
しかし、海外に関わる製造業や流通業などに勤める人は全体の2割以下に減り、円高で仕事が海外に移って国内の所得が減っている事実を実感できない人が多い。
また、うどん、納豆、豆腐、味噌、和牛、黒豚、卵など、毎日の食品の原材料や家畜の餌は、小麦、大豆、とうもろこし等、大半輸入頼りだ。電気ガスのエネルギー源も輸入だ。もし輸入が途絶えたら、半年経たずに電気ガスが止まり食糧も乏しくなって敗戦直後と同様、日本人は飢え死だが、その危機を感じる人は殆どいない。
殆どの日本人は、仕事で外国との関わりが少なく、また毎日の生活の輸入頼りも認識していない。そこで、円高で仕事や外貨が減り、自分達の収入や食べ物が減って生活が困難になるとは考え及ばず、為替取引をしてないから無関係と思う人が多い。
政府も評論家もマスコミも、経済の現状把握を所得収支などを加えた国民総所得に切り替え、国内所得減少と海外所得増加の現状傾向を訴え、国民全体が所得の海外移転や円高に関心を深めるように仕向けるべきだ。(2011年08月27日・円高と海外移転に危機を感じる富士 望)
7. 小宮さんは最後のページで政府支出の大幅見直し後に恒久的に消費税を上げて財政赤字の削減に充てよと主張されている。全く同感だ。
政府官僚は、殆どが義務的支出でムダはなく、歳出削減はできないと抵抗し、民主党は財源を見つけられずにマニフェストを守れなかった。
地方や業界に対する補助や規制を含む歳出義務はたくさんの法律で中身を決めるが、更に事業を行う外郭団体を新設する場合が多い。外郭団体はお役人様の天下り先になり、事務費にはその方々の老後のリッチな生活を支える金額が上積みされる。補助金と団体は長く存続され、廃止の例は少ないから、法律で規定された義務的支出は積み増され、財政硬直化は進む一方だ。
民主党が以前特別会計を含む予算総額の2割を削減すればマニフェストは実行できると言ったのは正しかったと思うが、実現には補助金等を決めているたくさんの法律と関連する外郭団体の廃止が必要だった。
しかしお坊ちゃま総理も市民派総理もお役人様の陰陽取り混ぜた巧妙な反対を論駁できなかった。マスコミも篭絡されたかあまり取り上げない。小宮さんの意見は正論だが、豪腕が資格停止の今、お役人様を打ち負かす名案がない。(2011年08月27日・お役人様は手ごわいと思う富士 望)
8. 日本の景気浮揚のキーは、若者に職を提供することである。超円高では工業製品ではなく、安心安全の食の生産・農業に期待したい。スマートフォンを使い、消費者と会話できる状態で、1本100円のねぎを100本出荷したら、農業は十分にやっていける。ITを利用し、輸送と保管と包装と管理にコストを要しない消費者を選別して生産すれば、個人稼業でも可能ではないだろうか?JAはスマートフォンを利用した小売りに乗り出し若者の雇用を積極的に作るべきと思う。(2011年08月28日・匿名)
9. (1)所得収支が増えて行くということは、海外から円で国内に戻すので、円高要因だと思われますが、これに対して円を別枠で日銀が供給して、円高を抑えることはできないのでしょうか。
(2)国内から金が海外に輸出され続けていると新聞などにでていますが、これも日銀が購入して、円を供給すれば、海外から金を購入するために円高になる要因を減らすことができるのではないでしょうか。
(3)いずれにせよ、企業/個人がため込んでいるお金を投資に回す気にさせる政策を抜本的に行わなければ、デフレ傾向は無くならないし、失業も減らないので、消費も増えず、暗い世の中が続くことになります。せめて、海外から見れば圧倒的に遅れている電線類の地中線化で、景観の大幅改善/保守費用の効率化/地震時の被害の減少を図るとともに、今後の支出をデフレ対策に回すことが望まれます。(2011年08月29日・si)
10. 本質的には経済をまわさないところに金が流れ込んでしまっている現在の再配分制度が未熟。給与所得者は過去10年以上にわたって毎年数万円ずつ公的負担が増大し可処分所得が減ってしまったことがデフレの元凶。年金等で配分されずに毎年闇に消えていく金が1兆円以上増え続けている以上、GDPが伸びなくなるのも当然。野田候補の増税路線は当然過ぎるとしても、前原候補も増税一時棚上げに一定の理解は示しつつ当然大幅支出削減による債務削減に踏み切る確率は高い。これらの候補が代表に選ばれなかったときこそ、この国が滅びる狼煙になるであろう。(2011年08月29日・Jerry GW)
11. 基軸通貨のドルの信任が無くなってしまったら、何か裏付けのある通貨に信任が移行するという指摘は新しい今回の視点である。そこで資源国通貨としてブラジルのレアルを例に出しているが資源となるとオーストラリア、インドネシア、カナダ、ロシア、アフリカ、中国等の国土が広く資源の埋蔵量にポテンシャリティがある国が注目されると言うことになる。これらの通貨は相対的に強くなると言うことが出来る。但し物々交換は制度上不可能であって何かの基軸通貨を介在させるなり統一通貨を持つ必要がある。しかしそこまでいくには相当時間がかかる。いまは世界の秩序が維持されることが先決であってそのためにはUSドルに頑張ってもらうしか世界秩序は維持できない。
かかる状況の中で資源の無い日本が日本円の価値を維持するためにいかにあるべきか。それには技術立国日本で行くしかない。農業も大事だが日本の技術を伸ばせる環境を最優先すべきだ。TPP、円高対策、法人税の見直し等を進めるべきでどれだけの政治家が日本の将来を大局的に見通せるのか。(2011年08月29日・TN)
12. 建設業の大型合併と同じように経費を減らし、赤字を無くしているのと同様に、主要都市に人口をまとめ、産業別に集約して、経費を減らすモデルを今回の東日本被災地に実現することが必要で、これを世界に認めてもらえば、国債は易くならないと思う。(2011年08月29日・高額医療齢療養者)
13. ドルの信認下落は当然の成り行きにもかかわらず、世界の政治や経済は変わることなく、あるいは変わらないことを期待してそのまま進んできたが、とうとう変化した。これからも下落変化し続けるに違いない。米国や日本の財政赤字はそんな簡単に減らせる物ではない。米国は世界一の軍事大国、経済大国の道を外れようとはする筈が無い。米国の貿易赤字はますます進む。したたかな中国経済が米国をおびやかす。日本は世界的な技術立国にもかかわらず、そのセールスを知らない。政治家や経済家は技術を簡単に売り渡して、弱くなった経済力にもかかわらず、お人好しの外交にあけくれ、自身の未来の食糧危機を省みない他国依存政策だけを進めてしまう。官僚は大手を奮って、自己保身の道を確保し、税金の無駄使いを辞めようとしない。頼みの政治家も行政改革も人気取りの一過性一時期ものにしかならず、足の引っ張り合いに明け暮れるあきれるばかりの政治状況にしか見えない。このような国の今の形を変えることを行って、初めて財政赤字問題、外交問題、食糧問題など対策が意味を持つと考えてしまう。(2011年08月29日・国道1号)
14. まず、日本が財政危機にあると言った発言は、村山内閣の大蔵大臣であった武村正義氏でありました。当時の公的債務残高対GDP比率は92.4%(出典:IMF)、以来16年経過し、2010年度末は220.3%まで膨らみました。格付け会社は2002年日本国債をアフリカの小国ボツワナ並みに引き下げましたが、国債が札割れしたことがあったでしょうか。長期金利もG7諸国の中でダントツに低く、デフォルトの恐れが最も少ないと言うことが立証されています。金融機関には借りてほしくても借りて貰えない過剰貯蓄が160兆円以上あり、デフレの最中ペイオフの恐れのない国債で運用することが理に適っています。巷間家計の資産1450兆円が国債発行の上限と言うヒョウロンカがいますが、お金が仮に家計の預金から支出されたらそのお金は企業に移転することでこれはデフレから脱却できた状態で税収が増え、それこそ財政が健全化されます。公的債務残高対GDP比率は俄然圧縮されます。そうなれば緊縮財政や増税すら肯定できます。(2011年08月29日・世話焼き爺)
15. 21世紀は中、印、露、ブラジル、アフリカ諸国の経済、軍事的な台頭の時代。その根本的な要因は通信、情報革命と窮屈な国境を乗り越えていくお金と資本の大津波だ。お金と利益追求に代表される人間の欲望は、簡単に国境を乗り越え自国内に留まらない時代に変わった。長期に渡って日米欧が相対的に没落していくのは不可避だ。台頭する諸国のエネルギーを取りこみ、自国の没落を回避出来れば幸だが、それには新興台頭諸国へ揉み手ですり寄れる覚悟と商人的なセンスが必要だ。今の日本にはそれが求められている。未だに、米国に追従することに汲々としている日本の現状では経済的な再生は米国次第、ドル次第で長期に渡る没落は免れない。他国は日本の利用価値が低下すれば利用出来る部分だけ残し、その他は捨て置くのが当然だ。今の円高状況も同じ理屈だ。21世紀の経済、政治的な中心軸は中国からアフリカ諸国にかけての広範囲な地域となった。この地域に強力な経済的な足場を固めていくことが、日本復活の切り札だ。その為に物、人、お金(外貨)等の資源を戦略的に投入すべき時だろう。日本再生のスタートラインは他力本願から自力更生への精神の切り替えからだと思う。(2011年08月29日・クスリ)
16. ’財政支出を削減した上で増税し、財政赤字の削減を図る。’正論である。
しかし、今の日本でそれは不可能に近いことは約2年間に亘る民主党政権ではっきりした。仕分け会議で削減できたのは雀の涙。公務員の給与も労組の圧力により削減できない。中国や南北朝鮮のことを考えれば国防費の削減も論外。増税を唱えたところで消費税の10%や15%では医療費、年金、が賄えるかどうかくらい。既得権益にしばられたしがらみがある限り、日本人の力では自力でこの状況を脱出できそうもないですね。デフォルトやハイパーインフレによるハードランディングか、カルロスゴーンさんのように大鉈を振れる外国人に政治を委ねるか、、くらいしか解決方法はないように思います。野田佳彦さんが総理大臣になりますが、以前彼は財務大臣としてTV出演し、子供の質問に答えるという番組に出てました。或る子供が国債を発行してその償却はどうするのか質問したところ、野田氏曰く、’貴方達が大人になったら負担するのです。’と。日本の政治家なんてこんなもんです。(2011年08月29日・野次馬)
17. 日本政府は毎年20兆円以上借金を増やしている。世話焼きのお爺様は、日本国債に札割れはなく、長期金利もダントツに低く、金融機関には過剰貯蓄が160兆円以上あり、国債運用が理に適い、家計預金からお金は企業に移転し、デフレ脱却で税収が増えて財政が健全化と言われるが、それは今までのこと。国民からの借金が毎年GDPの5%ずつ増えたら、GDPは横ばいだし、やがて国民の買い増す金が尽きる。また政府支出が増えた分、預金が減るので支出を節約するのが実態に近い。
国債増発で政府に入った金は殆ど国内で使われるが、政府支出増加分だけ民間支出が減る現状だからGDPは横ばいだ。民間支出に頼る小売業や飲食業が売上減で苦しむはずだし、当然デフレは止まらない。
民間はトヨタ流の在庫を置かない効率的経営が主流である。物も資金も効率的に早く動かす。しかしお役所の公共工事は工期が長くて金も物も長く寝ている。
金を早く回す民間の取り分を増やし、動きが遅い政府支出を減らせば、平均した金の回転が速くなる。民間に任せて生まれる大きな効果だ。同じ資金量でも回転が速ければ仕事量は増えて景気は良くなる。税収が増えて財政は健全化する。(2011年08月30日・金は早く回したい富士 望)
18. 日本の経常収支は、GDPの3%程度黒字だ。工業製品輸出で稼いだドルで外国から輸入した食料エネルギー代を払ってもドルが残る。ドルは国内では使えぬから、黒字分約15兆円のドル売り円買いの実需がある。10兆円程度為替介入しても効果は少ない。政府のやるべき円高対策は、経常収支黒字を減らすため、リスク軽減等の政策で民間に海外資源買収などの直接投資を増加させることだ。
為替は投機資金の移動で短期的に大きく動く。しかし、国の経常収支の黒字か赤字が長期に連続するなら、実需による為替取引が常に一方向に偏って行われるから、為替レートに当然一定のトレンドが生まれる。ドル安と円高の長期トレンドは、米国の経常収支連続赤字、日本の連続黒字が作り出している。経済評論家は短期の変動に関心が深いのか、長期トレンドに殆ど言及されないのは残念だ。
政府はまた、省別の縦割り組織だから、経常収支は主に経済産業省、為替は財務省の担当で、両者の関連に注意が行き届かないのだろうか。為替安定と安全保障のために経常収支黒字のドルを海外資源へ投資することは国家戦略として当然考えるべきだが、縦割りで省益優先のお役人は何処の誰もやらない?(2011年08月30日・ドルを海外資源に投資したい富士 望)

 

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コメント
 
01. 2011年9月01日 20:00:39: Pj82T22SRI
稽えることは皆同じだな


野田新内閣に望むこと
株式会社 日本総合研究所 理事長 高橋 進

失われた20 年といわれる長期低迷下で、大震災に見舞われた日本経済は、さらなる成長力の
低下、財政状況の悪化に加え、中期的な電力不足という難題を抱え込むことになった。こうした状
況下で、政治がこれまでのように問題先送りの姿勢を続ければ、日本は失われた20 年どころか、
衰退の道に入り込んでしまう恐れがある。
大震災によって日本経済に残された時間がますます少なくなる中、震災復興をきっかけに、日
本再生に向けた一歩を踏み出せるのか、あるいはこのまま衰退の道にはまり込んでしまうのか。
日本は、今まさに大きな岐路に立たされている。
野田新内閣には、そうした認識に立って、日本再生に向けて必要な改革を先送りせず、実行に
移していくことが求められる。民主党も与党として新内閣を支えるべく、主要施策について一刻も
早くコンセンサスを作り、挙党態勢を構築していく必要がある。野田内閣が民主党にとって最
後のチャンスとの覚悟が求められる。
日本再生に向けて、野田新内閣に具体的に以下の点を要望したい。
第1 は、被災地の復興を日本全体の成長につなげる成長戦略を実行することである。
日本再生のためには、歳出・行政改革、成長戦略、増税の3 つの問題にバランス良く取り組ん
でいく必要がある。民主党新代表選出の過程で、野田候補は、歳出・行政改革への取り組みと同
時に、歳入改革(すなわち増税)の必要性についても訴えた。他の候補が増税に対してのスタンス
をはっきりさせなかったことに比べると、国民に痛みを求める改革であっても必要ならこれを先送
りせずに実行していくという野田候補の姿勢は、信頼を置けるものであった。
ただし、野田候補が語らなかったのが成長戦略である。野田候補は円高に対して介入してでも
これを止めるということを強調したが、介入政策は、対症療法であって戦略ではない。行革なき増
税路線は、歳出の歯止めなき拡大を招く恐れがあるが、成長なき増税路線は、経済を疲弊させ、
結局は財政健全化を成し遂げることはできない。成長によってできるだけ自然増収を稼ぎ、それ
でも足りない部分は増税で賄うという考え方に基本を置くべきである。
そこで、野田新内閣に求めたいのは、失われた20 年から脱却するための成長戦略を改めて
実行することである。ただし、従来型の財政出動や金融緩和では、デフレの罠を打ち破れな
かったことに鑑み、どうすれば民間企業や個人の投資や消費意欲を引き出していくことがで
きるかを考える必要がある。言い換えれば、いま求められているのは、民間の成長期待を高
める政策である。
具体的には、次のような政策の実行を求めたい。
@ 現役世代の消費を抑制する要因となっている社会保障制度の持続性を高めるための
改革に取り組むこと。
A 規制緩和などを通じて成長分野を生み出すこと。
B 震災からの復興プランを成長戦略の一環と位置づけ、被災地で農林水産業を活性化
させ、また再生可能エネルギーなど新産業を育てることで、これを全国の地域活性化
のモデル・ケースとすべき。

C また。電力危機をチャンスととらえ、省電力型の産業育成、省エネ社会の構築を進めて
いくことも経済活性化の突破口になる。
第2 は、円高を念頭に置いた、産業活性化策の実行である。
急激な円高を避けるべきことは言うまでもないが、円高の背景にドル安があることに鑑み
れば、本格的な円安水準への転換は期待しがたい。また、円高で企業の海外移転が加速し、
空洞化が進むといわれるが、日本企業の海外展開はグローバル化の一環としてある程度不
可避な面もある。
そこで、まず、企業の過度な海外流出を阻止するためには、高い法人税、自由貿易協定締
結の遅れ、電力供給不安の払拭といった日本企業の国際競争力を阻害している要因を取り
除くことが政府の役割である。
しかし、現下の世界経済は、米国の日本化、欧州の政府債務問題の拡大、中国のバブル
崩壊懸念など、不透明さが増しており、底割れリスクも浮上している。根強い円高(ドル安)の
もと、従来型の輸出産業だけに頼った成長には限界がある。
したがって、空洞化を阻止するというだけでなく、非製造業を中心に空洞化を埋め、雇用を
吸収できる内需の新分野、新産業を育てるという発想に立って、成長戦略の作り直しと具体
化を進めるべきである。
第3 は、財政健全化に向けた道筋をつけることである。
欧州のソブリン危機は、先進国で最悪の日本の国家債務を改善させる必要性を改めて認
識させるものであるが、同時に緊縮一辺倒の財政再建策の限界も露呈させた。
日本は経常黒字国であり、なお財政赤字を国内貯蓄で賄うことができ、金利も低位で安定
している。その意味では、南欧諸国に比べ日本には時間的余裕があるということもできる。し
かし、政府は国民の貯蓄を日に日に食いつぶしており、財政健全化への取り組みが遅れれ
ば遅れるほど、ある時点で突然金利が上昇し始め、債務の増加に歯止めがかからなくなって
財政破綻に至る、いわゆるハードランディングのシナリオが避けられなくなる。
したがって、一刻も早く、財政健全化への道筋をつけることが不可欠である。具体的には、
既存歳出の一律削減によって財源を捻出し、成長戦略実施のために振り向ける。そのうえで、
消費税率の引き上げを行い、2020 年度までにプライマリーバランスの均衡を達成することで
ある。
また、復興事業に必要な財源は、取りあえずは歳出の見直しと復興国債で捻出し、その償
還については、被災地復興に向けた国民の連帯をバックとする所得税や法人税を組み合わ
せることで調達することで、財政規律遵守のメッセージを発していくべきである。
(2011.8.31)


02. 2011年9月07日 00:39:01: Pj82T22SRI
http://diamond.jp/articles/-/13904/votes

>>02 “20年周期の大地殻変動”を乗り越えられるか超円高、電力不足の日本に残された「空洞化」回避の道――東京理科大学 伊丹敬之教授に聞く

1ドル76円前後という歴史的な円高、東日本大震災の発生と原発事故に伴う電力不足 が、かつてないほどに国内産業空洞化への懸念を高めている。現在、工場等の海外移転を加速させる企業が少なくないのが現状だが、日本の産業空洞化が問題視 されたのはこれがはじめてではない。実は、1985年のプラザ合意、1990年代半ばに円高傾向が強まった際にも大々的に議論されていた。しかし、東京理 科大学の伊丹敬之教授は、「(当時は)空洞化はまだ起きていなかった」と語り、実際に今も多くの国内製造拠点が残っている。なぜ日本は円高圧力に屈せず、 これまで空洞化を回避できたのか。そして、かつてないほど海外移転への圧力が高まっている今回も、空洞化は回避することができるのか。(聞き手/ダイヤモ ンド・オンライン 林恭子)
80〜90年代に空洞化はまだ起きていなかった!「ドーナツ化」ではなく「ピザ化」した日本
――1985年のプラザ合意後など、今回の歴史的な円高や電力不足が発生する以前から、日本は「産業の空洞化問題」にさらされてきた。
東京理科大学総合科学技術経営研究科教授、一橋大学名誉教授。1945年愛知県生まれ。67年一橋大学商学部卒業。72年、カーネギー・メロン大学経営大学院博士課程修了。一橋大学大学院商学研究科教授を経て現職。<主な著書>『経営戦略の論理』『マネジメント・コントロールの理論』『人本主義企業』『日本型コーポレートガバナンス』『よき経営者の姿』『イノベーションを興す』などがある。
 そもそも「空洞化」とは、1970年代にアメリカ製造業の海外生産移転に伴う国内への影響を指して使われ始めた言葉である。当時、アメリカでは海 外生産が急ピッチで進んでおり、例えば、テレビ生産を一括してアジアに移転させ、国内工場は閉鎖、従業員の解雇が起きた。そうした国内生産基盤が空っぽに なる状態を「ドーナツ型空洞化」として問題視されていた。
 空洞化は、二段階で起きる。まず、第一段階として国内から海外への「生産代替」。そして、第二段階は、生産代替によって起きる国内生産の縮小を生 産の縮小へとつなげてしまう「生産転換しない」ことである。アメリカではそれがほぼ連動して起きる傾向が強く、そのために海外生産の拡大が直ちに国内の空 洞化へつながってしまった。
 それに対して、1985年のプラザ合意後や1990年代半ばなどに円高が起きた日本では、どうだったか。空洞化をめぐる議論が活発的になされたものの、実はアメリカのようなドーナツ型空洞化は起きていない。
次のページ>>20年周期で日本を襲う“大地殻変動”の正体
 日本の製造業全体の雇用を調べると、確かに1900年代から減り始め、70年代〜80年代を通じて1100万人から1200万人で推移していた雇 用が、2000年には1000万人を割っている。つまり、この期間で200万を超す雇用が失われており、1990年代に海外生産が急速に拡大したことと照 らし合わせて「海外雇用に国内雇用を奪われた」と言いたくなるのは事実だろう。
 しかし、単純に2つの現象を結びつけることはできない。なぜなら、国内景気の長期低迷による内需低迷が国内生産を減少させ、さらに機械化や自動化 で労働生産性が向上したという2つの事実が、雇用の減少を招いた大きな要因であるからだ。したがって、これらによって空洞化と類似の現象が起きただけなの である。
 先ほど述べたように、実際、日本でも空洞化の第一段階である生産代替は起きた。ところが、海外生産の拡大とともに、国内にはプラスのインパクトも もたらされている。1つは、海外生産に必要な工場設備や機械などの資本財が日本から輸出されたこと、そして2つ目は部品など中間財の輸出が海外生産拡大と ともに増えたことである。これらにより、海外工場と国内工場との生産分業がなされ、中間財を日本から供給する必要性の高い国際的な分業体制が拡大した。
 つまり、日本ではアメリカのようなドーナツ型空洞化ではなく、分業のネットワークをつくることで、日本企業の経済的拡大圏が世界的に拡大する、真 ん中を維持したまま周辺へ拡大していく「ピザ型分業の拡大」現象が起きたのだ。したがって、当時、日本全体としては、繊維を除いて、空洞化はまだ起きてい ない。これは、なんとか日本列島に雇用を残そうとしてきた日本企業経営者の努力の賜物ではないだろうか。
20年周期で日本を襲う“大地殻変動”なぜ今まで危機を乗り越えられたか
――しかし、今回は円高のみならず、震災に伴う電力不足などの問題も発生しており、空洞化はもはや避けられないという見方もある。
 現在、東日本大震災とアメリカ国債格下げ(それに伴う歴史的円高)という大事件に見舞われているが、実は日本は20年程度を周期に、今回のような世界と、特に日本が影響を受ける2つの“大地殻変動”に見舞われている。
次のページ>>ニクソンショック&オイルショック、共産主義崩壊&バブル崩壊の共通点
 過去の“大地殻変動”とは、まず40年前の1971年に起きたニクソン・ショック(ブレトンウッズ体制と固定相場制の崩壊)と73年のオイル ショック(エネルギー危機)で、次がその20年後の91年に起きた共産主義崩壊(世界政治経済構造の変動)と日本のバブル崩壊である。これらは、今振り 返っても長期的なインパクトを与える凄まじい事件といえる。
 しかし、日本は、これらの危機に遭遇する度に高付加価値の代替生産品を見つけ、乗り越えてきた。考えてもみてほしい。1971年のニクソン・ ショックまで360円だったドルも今や76円前後。それにもかかわらず、未だ国内生産を続けている日本は海外から見れば稀有な国に違いない。
 もちろん今回の2つの事件も長期的なインパクトを与える出来事であり、過度な楽観視はすべきではない。8月5日の米国債格付けの変更は、アメリカ ドルの崩壊にも繋がっており、円高が長期的なインパクトをもたらすことは避けられない。1ドル60円台はおろか、50円台も起こりうる可能性がある。そう いう点で、確かに厳しい状況にさらされているのは事実だ。
 ただ、円高にはマイナス面だけではなく、プラス面も存在している。海外投資が安価で行え、外国で生産基地がつくりやすくなったために、分業のネットワークをさらに拡大する余地もある。したがって、企業の工夫次第で乗り切ることも十分に可能ではないか。
――過去の大地殻変動を乗り越えられたのは、高度経済成長期にあったからではないか。
 そうとは言い切れない。高度経済成長期がすでに終わっていた85年のプラザ合意後、1ドルは240円から120円へ推移するという凄まじい円高に 襲われたが、結果として日本にバブル経済をもたらした。このときのように日本が高い技術力を持ち、生産基盤を移したくないという気概を持ち、生産基盤を壊 さない限り、工夫によって空洞化を回避する余地は生まれてくるのではないか。
高付加価値&電力生産性の高い産業構造へ!これから魅力的な産業はどこか
――空洞化回避のため、これから政府や産業界にはどのような対策が求められるか。
次のページ>>求められる「電力生産性」の高い産業へのシフト
 政府には、やはり法人税率の引き下げ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の実行が求められる。実行しなければ、日本産業を支える基礎までもが機能しなくなる恐れもあるといえるだろう。
 また、空洞化を回避するためには、産業構造自体の変革も必要である。
 東日本大震災による最大のインパクトは、なんといっても電力不足だ。すでに今年は、オイルショック以来の電力制限令も発動されているが、電力不足 は今年だけの一過性の問題ではない。電力制約問題を抱える今後は、電力生産性(ある電力量あたり何円の付加価値が生み出せるか)という言葉がカギになる。 すなわち、電力生産性の低い産業は日本に存在しにくくなり、電力生産性の高い産業へとシフトせざるを得ないのだ。
 これは、1973年のオイルショック後に石油使用効率の高い産業へと日本の産業構造が大変動したことと似ている。またオイルショック後、日本は石油使用量を減らしつつ経済成長を続けたように、今回も同様の現象が起きる可能性は十分にあると考えている。
 実は、今回の東日本大震災が起きずとも、少子高齢化で東アジア諸国に追い上げられ、さらに地球温暖化対策が必要だった日本にとって、先に挙げた産 業の高付加価値化と電力生産性の高い産業構造へのシフトは必然の道だった。したがって、今回の2つの地殻変動は、これらの変革をプッシュしているといえ る。
 まず、グローバルな立地展開に迷っていた企業の「迷う背中」を押すというプッシュだ。震災で崩壊したサプライチェーンの再構築のプロセスにおい て、企業は電力不足やリスク分散を考慮して海外立地を選ぶという選択肢に迫られた。今回の超円高は、海外投資をますます安くしており、海外立地の後押しと なっている。
 そして、先ほど述べたように電力生産性が日本に残れる産業を決めるため、「電力多消費型産業からの脱却」という圧力も強まっている。では、この圧 力下でも生き残れる産業とは具体的にどのようなものか。もし、資本装備率(労働者1人当たりの資本装備量)が高ければ大型装置産業であるため、電力不足を 招く。一方で、資本装備率が低ければ労働集約的になり日本の高賃金が制約となってしまう。そこで、これから生き残りやすい産業は、資本装備率が中程度であ り、多少労働集約的な産業である。すなわち、今後は例えば中間品のなかでも、機械系や電子系の産業が日本にとって魅力的な産業となるだろう。
次のページ>>。ヨ苦し紛れの知恵」を強いられた日本人
「苦し紛れの知恵」を強いられた日本人イノベーションのタネになる可能性も
――超円高と電力不足という状況下にある日本。今後について、どのような見方をすればよいか。
 今後1年間の現象としては、数多くの企業が海外へ出て行き、人員整理をやらざるを得ないだろう。しかし、利益率は低くとも何か国内で創業しようと するはずだ。その努力によって、国と日本企業によるグローバルなネットワークが、これを機会にさらに拡大することになると考えられる。また、国際分業の ネットワークが拡大すれば、ソフトを担う部分も大きくなり、その分だけ日本国内の産業構造は、サービス寄りにシフトする可能性もある。いずれにせよ、賃金 が下がることはある程度やむを得ない部分もあるが、企業が厳しい状況を乗り切れば、国内の雇用は維持されるだろう。
 現在、被災からの復興、超円高に苦しむ企業の現場では、さまざまな創意工夫がなされている。その創意工夫の多くは、その昔、本田宗一郎氏が言った ように、「苦し紛れの知恵」というべきもので、それだけ日本全体が「苦し紛れ」を強いられている。大震災と超円高は圧力装置であり、イノベーションのタネ ともいえる。それを前向きに捉えたい。
 また、オイルショック当時には、2011年7月に亡くなられた小松左京氏の「日本沈没」という小説がベストセラーになった。日本海溝へ滑り込むよ うに日本列島全体が海に沈むというSF小説だ。オイルショックはその経済版というイメージだった。しかし、数年後には日本産業はそのショックから立ち直 り、石油消費を減少させながらも経済成長を成し遂げた。
 もちろん今回の超円高と電力不足に対して楽観視はできず、企業には非常に厳しい対応を迫られることとなるだろう。ただし、今回も25%の電力削減でも何も混乱を起こさなかった日本にとって、オイルショック後の離れ業をもう一度期待できない理由はない。


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