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民主党代表選で増税路線の野田佳彦財務相が選ばれた。見事なまでの財務官僚の勝利である。前任の菅直人氏の場合も財務相時代に「洗脳された」(海江田万里氏)し、首相になってからは何でも増税路線で突っ走った。「政治主導」を掲げて登場した民主党政権がいとも簡単に、また、自民党政権時代以上に、財務官僚主導になってしまった。問いたいのはここまで政治を動かす財務官僚の「思想」、言い換えると天下国家をどうしようと考えているのか、という点である。
財務官僚はまず答えるだろう。増税しなければ財政再建できない。日本はギリシャみたいになる。公的総債務が国内総生産(GDP)の2倍に達するのに、消費税を5年ごとに増税しないと社会保障財源は確保できない。東日本大震災からの復興財源も所得税、法人税などの増税により現役世代が負担するしかない、と。
この財政足し算引き算の発想は、国家公務員上級試験の定番の設問になっている「財政均衡乗数の定理」と呼ばれる理論の裏付けがある。この定理は、たとえば「20兆円増税して20兆円使ってしまえば、景気は20兆円分刺激される」(伊藤元重東大教授)というのだが、いくら増税してもその分支出に回せば景気がよくなるというなら、そもそも財政問題など生じえない。この浮世離れした論理をうのみにしたのが、菅、そして野田の両氏であり、何でも増税容認路線を突っ走る。
増税は家計や企業から所得を奪い、需要を縮小させる。1997年度の橋本龍太郎政権による消費税増税を中心とする緊縮財政は阪神淡路大震災後の復興基調をブロックしたばかりか、日本経済を慢性デフレに追い込んでしまい、現在に至る。デフレ下で一般会計税収全体は縮小の一途をたどり、財政の基礎的収支(プライマリーバランス)悪化を引き起こしている。なのに、過去の教訓を省みることなく、財務官僚は財政再建=増税の一点張りである。与謝野馨経済財政担当相のように、脱デフレよりも財政再建、つまり増税を優先するという発想である。
そんな論理で政権を引っ張るなら、消費税、所得税、法人税の税率を引き上げるとその計算通り税収は増えるのか、デフレは解消し景気は回復するかという根本的な設問に、財務官僚はきちんと答える義務があるはずだが、答えは「内閣府が経済計算している」。
実態は「内閣府の経済見通しは財務官僚の指示通りになっている」(内閣府エコノミストOB)ようだが、小ざかしい官僚に実務的な問いを重ねてもむなしい。むしろ、財務官僚には国家パワーエリートとして、堂々と日本国をどうするのか、語ってほしい。デフレでも増税しても円高でも、日本という国はよくなる、というなら、聞いてみる価値は、官僚追随の野田氏よりもあるかもしれないのだ。(産経新聞編集委員・田村秀男)
追記)
小論の意図は、「政治主導」と銘打った民主党政権の無能、自壊の裏で進む、得体の知れない官僚なる集団と組織による国家支配の危険性に警鐘を鳴らすことにあります。
ポストもくるくる変わり、誰が責任をとるのかも曖昧模糊とした官僚は、それをよいことに無謬(誤りを犯さない)の神話を演出しているのです。
そんな集団が日本国を支配していることに変わりないのですから、ならば、天下国家を論じてみよ、と問いかけたのです。もちろん、彼らは無反応、そんな挑発に乗るはずはありません。もとより、天下国家を論じ、論戦を戦わせるのは基本的に政治家の役割であり、この肝心の政治の機能が無能力と使命感や責任感の欠如のために失われていることこそが民主党政権の恐るべき現実です。であればこそ、財務官僚が国家政策を主導するという化け物のような政官体制になっているわけです。
今の日本には国家の進路やビジョンを持つ責任ある政府は不在、リーダーも不在、顔の見えない官僚集団が財務官僚を頂点に自己の権益拡張に奔走しているだけです。(中略)
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