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「ストックを取り崩す立場になれば発言力は弱まります」というのは間違いだろうが
下の世代が、もっと政治力を発揮して、「新しい公共」にお金を回すシステムを作った方が良いのは間違いない
ただし簡単にいかないのも間違いない
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/19908?page=5
日本は2013年のデフォルト危機を乗り切れるか アメリカ型資本主義の終焉を救うのは「陰陽」だ
2011.08.31(水)
行き詰まったアメリカ型の資本主義の後に世界が求めるのは、東アジアの「陰陽」の思想だと、独立系シンクタンク 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所代表の原田武夫氏は、著書『脱アメリカ時代のプリンシプル』の中で大胆な仮説を展開する。
日本経済は、少子高齢化による社会保障コストの増大、円高による産業の弱体化、膨大な国債発行残高など、多くの難題を抱えている。
原田氏によれば、そもそもこれらの問題は明治維新以降、欧米型金融資本主義が急激に流入したことで日本がいびつな発展を強いられた結果であり、韓国や中国など東アジア諸国が共有する課題でもあるという。こうした問題意識から『脱アメリカ時代のプリンシプル』は日本、韓国、台湾で発売されており、近く中国(広東語)でも発売予定だ。
果たして、日本はアメリカ型資本主義を脱し、東アジア文化圏が重視してきた「均衡」、「足るを知る」経済に立ち戻ることができるのか、原田氏に聞いた。
行き過ぎた資本主義からバランストエコノミーへ
―― 著書の中で、資本主義のあり方をめぐる欧米諸国の意識の変化を指摘されていますね。
原田 武夫(はらだ・たけお)氏
1971年香川県生まれ。1993年東大法学部在学中に外交官試験に合格し、外務省入省。在ドイツ日本大使館勤務、アジア大洋州局東アジア課課長補佐などへて2005年退職。現在、株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表
(撮影:前田せいめい、以下同)
原田氏 象徴的なのは、2010年あたりから「エクセッシブキャピタリズム(行き過ぎた資本主義)」に対して「バランストエコノミー(均衡ある経済)」という言い方がされてきていることです。
欧米諸国は短期的な資本移動が世界全体にひずみを引き起こすことに気づき始めている。バランスの取れた経済に切り替えようという意識が見て取れます。
アメリカでは1970年代くらいからイノベーションをやめてしまい、そのため経済の自然成長は止まっています。その後はマネタリズムで、つまり貨幣の供給量を増やして名目GDPを上げるという、かりそめの経済成長を続けている。
そんな中、世界の資金循環で増えたお金を溜め込んでいる東アジアに対して、欧米諸国は断続的にその富を放出するように促してきました。日本との関係でいえば、円高もそういうことです。だいたい10年に1回ぐらい、これを繰り返してきた。
―― 原田さんはそのバランスを「陰」と「陽」という言葉で表現していますね。
原田氏 「陰と陽」といっても、いわゆる風水占いの話ではありません。「出」があれば「入」があり、物事には収支があるということなのです。
マネタリズム的な発想でお金を回すと、資金循環を早めて効率を上げようとしますから、例えばボツワナのような廃墟だった国にお金を入れて一気にバブルにしてしまう。それを吐き出させることでパーッと儲けるわけです。振幅が大きくなる。
―― 経済成長を無理強いされた国はどうなってしまうのでしょう。
『脱アメリカ時代のプリンシプル』(原田武夫著、ユナイテッドブックス、1600円、税別)
原田氏 資本とノウハウがドカッと入ってくるせいで、その発展はどうしてもいびつになります。日本なんてその典型です。
例えば、急に労働力が足りなくなるので女性を駆り出すことになる。これは女性の社会進出につながるという点ではプラスの要素もありますが、一方で社会保障制度、特に少子化対策などが追いつかず、少子高齢化が進んで富が高齢層ばかりに集中する逆三角形の社会になります。これが今、日本だけでなく東アジアで進んでいる現象です。
今までの資本主義には、こんな風に大きなひずみがある。同じことを続けていてはもう回らないのではないか、という疑念が欧米諸国に兆しているんだと思います。
―― ではどうするかという知恵が、東アジアに求められている・・・?
原田氏 欧米諸国は、過度の資本集積を短期的に求めてはいけない、バランスを取らなきゃいけないと分かっていながら、しかし「バランスとは何か」というところで苦しんでいます。この本の趣旨は、それに対する答えを東アジアの文化に見出せるのではないか、ということなんです。
われわれの文化の根っこにあるのは、まさにバランスを取るという発想です。それは人間の身体や精神、あるいは社会、経済にも通底しています。そうした背景を持つ日本が欧米諸国の問題意識に答えを出せるかどうかが、今、問われていると思います。
2013年問題が日本国債デフォルトの引き金に
―― しかし、日本の現状はひどくバランスを欠いています。
原田氏 そう。特に問題なのは、後発資本主義国の特徴ともいえる世代間の富の偏在です。お金だけではなく、人脈やノウハウ、あるいは知恵といったものも世代を超えて承継されていない。資本が過度に集積した時代を生きた人たち、つまり団塊の世代を中心とした層が、お金も人脈も知恵もガッチリと守っている状態です。
ただ、2013年を境にこの状況は変わっていきます。今はパワフルな団塊の世代も、うかうかしてはいられなくなる。どうしてかというと、2013年から年金を受け取り始めますからね。ストックを取り崩す立場になれば発言力は弱まります。
逆に力をつけてくる下の世代からの突き上げも始まるでしょう。麻生太郎元首相や小沢一郎元民主党代表とかがニコニコ動画に出たりしたのも、こうした層の票を意識してのことだと思います。
何より重大なのは、日本国債がデフォルトの危機に直面しかねないことです。私が聞いているところでは、日本の財政赤字は2013年の段階でGDP比270%まで膨らみ、もはや自力ではファイナンスできないだろうと。とすれば、今のギリシャのような立場に追い込まれる可能性があるわけです。
国債の外国人保有比率は8%くらいですが、それでも空売りが膨らんだら痛い。銀行は大量の国債を持っていますから大きなダメージを受けるでしょう。そして団塊の世代の資産がどこにあるかといえば、もっぱら銀行なんです。
―― そういうことに対し、政治家や官僚はどう対処しようとしているのですか。
原田氏 国際社会では常識ですが、日本の国会議員やたいていの官僚もこの問題については知らないし、関心もない。だから何も変わりません。知っているのは財務省だけでしょう。財務省の幹部は「こうなることは分かっていたけれど、しょうがない」と諦めています。
財務省は、細川政権のときの売上税構想をぶち上げて思い切りバッシングされた記憶があるから、積極的には動く気はない。つまり、民主主義のシステムでやっている以上、しょうがない、と。
そうはいっても手をこまねいてはいられませんから、私なりの提案を書いたのが、この本です。こういう現状にある日本だからこそ、事態を打開できればバランストエコノミーのモデルを世界に示せるのではないかと思っています。
「新しい公共」にお金を回すシステム作りを
―― どうすれば日本のデフォルト危機を回避することができますか。
原田氏 デフォルト宣言はいきなりできるものではなく、その前に財政調整、債務交換などの手続きを踏まなければなりません。財政調整とは、要するに無駄を省くことで、具体的な手法としては「仕分け」や、政府保有株の放出も含めて国有資産の売却があります。
震災の復興財源として、まさに政府保有株の売却の話が出ていますが、そうなれば公的なファンドなどを全部動員してでも政府は株高を演出するでしょう。でないと野党から追及されますからね。
金融バブルまでいくかは分かりませんが、2010年の12月から続いている包括的金融緩和のお金が市中に流れてくるし、世界中の投資マネーも日本に流れ込んでくる。今、東証の売買動向を見ると7割が外国人投資家ですが、彼らはそういうシナリオを見越しているのです。
―― 問題はそこで稼いだお金をどう使うかですね。それが、日本経済の立て直しのカギになるのですね?
原田氏 そうです。そこでさっきの「バランスを取る」ということが肝になってくる。どういうことかというと、生産性が非常に低くて採算は取れないけれど、みんなにとって重要な部門、例えば介護のような「新しい公共」と呼ばれるところにもっとお金が入るシステムにしないといけません。
今はNPOが「新しい公共」の受け皿になっていますが、優遇税制をはじめとして仕組みが中途半端です。そもそも「新しい公共」がなければ社会も企業活動ももたないという認識が徹底していない。そこをこの2年間で転換できるかどうかに、世界は注目していると思います。
2012年には、国際通貨基金と世界銀行が東京で総会をやるんですが、これなんか露骨だと思いますよ。日本が何をやっているのか、どう変わろうとしているのかを注視しているのです。
―― 今の政治状況を見ていると、いったい何ができるのかと思ってしまいます。
原田氏 私は政治が変えるのは無理だと思います。政治、あるいは官が力を発揮すべきは生存権の保障ぐらいのことで、あとの部分は民の力で回していかないとダメです。
具体的には、資産を貯め込んでいる人が進んで「新しい公共」に投資するような流れを作る。そのために政治がやるべきことは、NPOなり公益法人なりへの優遇税制や、公益のための仕組みをもっとはっきり打ち出すことです。
もうひとつは、消費を促す極端な政策です。英国のように相続税をゼロにして、その代わり日本国内で消費しなければいけないということにしたら、みんな積極的にお金を使います。あるいは不動産と紐付けしてもいい。不動産マーケットが動けば、同時にいろいろなものが動きますから。
そういうことを時限を切って、その間にお金を使うように仕向けるんです。こんなふうにお金の流れを作るのは、政治の仕事だと思います。
金融メルトダウンを経て、なお貨幣経済にこだわるか?
―― 先進国が「資本主義が行き過ぎているから“分かち合いの時代”にシフトしよう」と言ったところで、後発の国は納得するでしょうか。先に発展した国だけがいい思いをして、これから発展しようという国にそれを禁じるのは身勝手に映るかもしれません。
原田氏 アメリカ型の金融市場中心主義が正しい、物質的に豊かな生活こそが楽しい、ということが唯一の価値観なのでしょうか。
世界には、教育のような公的な支払いをするとき以外は貨幣を必要としないようなコミュニティーがたくさん存在します。「貨幣経済化とは正しいことなのか」というテーマが、大きな問題として浮上すると思うんですよ。
例えばバングラデシュの貧困層に融資しているグラミン銀行などのマイクロファイナンス機関が、メセナであるとかCSRであるとか言われることに、私は違和感を覚えます。本来なら貨幣経済とは無縁だった人たちを巻き込んで、かえって苦しませているという一面があるからです。
金融メルトダウンを経てなお、もう一回同じことを拡大型でやるという考え方もありますが、もう一方に、肌感覚で分かる共同体に回帰するという方向性もあると思うんです。
ミクロネシアのヤップ島は巨大な石の通貨が有名です。それはずっと外に置いてあって、何かを買った対価として誰かに渡すのではなく、信頼・信用を裏打ちするものなんです。
日本でも地域通貨の試みがありますが、それは「肌感覚で分かる共同体」への回帰の方向性であり、「みんな食っていけるような社会にしよう」というバランストエコノミーに通じるものがある。よくよく考えてみると、1960年代ぐらいまでの日本もそうだったんですよね。
―― 郷愁はありますが、そこに戻るのは難しいことです。
原田氏 もちろん歴史を逆戻りするわけにはいきませんが、今のいいところを損なわずに、あの時代の根幹を成していた「相互信頼」を取り戻すことは不可能ではないでしょう。
もっとも、そうなるには日本はまだ豊かすぎるのかもしれません。当面の問題は2013年を無事乗り切れるかどうかで、仮に乗り切れなかったその先に出てくる話かもしれませんね。
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