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311の原発震災が起こったのに、なぜ、オペレーショナルリスクの顕在化を理由とした日本国債、金融機関などの格下げがされないのか BIS規制については苦い思い出を持っている政治家や金融関係者が多いはずだ。1985年に決まったプラザ合意。それによって内需主導の経済運営を迫られ、土地と株へ集中的に融資が回った。しかし、銀行貸し出しの総量規制によって一気にバブルがはじけ、不動産や株の値下がりが始まる。1988年に決まったBIS規制の自己資本8%ルールがあるため都銀は貸しはがしに走り、多くの中小企業が倒産した。山一や長銀などの大手金融機関が倒産し、倒産後も不良債権額が2倍3倍と増え続けた。背景にあるのは、バブルとその破裂を利用した大規模な投機であった。少なく見積もっても1985年以降2000年までに10兆円以上の資金が日本から吸い取られているだろうし、日本国内でいわゆるパペットとして動くアメリカ軍産複合体の手先の方たちへ渡った不当な利益はそれと同等かそれ以上になるのだろう。1988年のBIS規制はまさしく日本のバブル経済を狙い撃ちしたものだったのだ。 現在のBIS規制は第2代目に入っていて、オペレーショナルリスクの評価と自己資本比率への算入が決められている。オペレーショナルリスクとは業務遂行上のリスクのことで、従業員が犯罪を起こして多額の損害を被ったり、又は地震などの自然災害によって巨額な損害を被る可能性を評価し、それを自己資本の評価に使うと言うことだ。オペレーショナルリスクは2004年に公表され日本でも2007年の決算から各企業の対応が始まっている。 疑問なのは、311の大震災が起こり、福島第一原発の事故も未だ収束しないにもかかわらず、オペレーショナルリスクを理由とした日本国債の格下げが行われていないことだ。 8月24日にムーデーズが日本国債を格下げしたが、その理由として挙げられたのは「多額の財政赤字、政府債務の増加、弱い経済成長見通しの3要素」(*1)だった。大地震と原発震災については無視されている。しかし、今後近い将来、日本のどこかで大地震と原発震災がまた起こる可能性はかなり高い。 今、日本の短期国債がかなり外資によって買われている。(*2)現物も買われているし、先物も買われている様子だ。円高傾向は続いているし、米国債の格下げがされたことも影響していると言われる。 しかし、その陰で日本株、それも国際的に優良だと評価されてきた株の売りが海外株主によってされているようだ。多少値が下がっていても円高の今のうちに売ってしまえと言うことだろう。(*3) 今後何かのきっかけで日本国債の格付けが下がったらどうなるのか。いわゆるジャパンプレミアムの発生とか、その結果、海外での資金調達が困難になり、日本が持っている海外資産を投げ売りする結果になるだろう。(*4)そして、急激に円安に振れ、輸入食料や石油、LNG、石炭などの価格が上昇する。いっぺんにインフレになって行くはずだ。その過程で、金融機関の取り付け騒ぎや倒産も起こり得る可能性がある。日本国内資金は海外投資をするには円安傾向があるためにやりにくい。その結果、株へ向かうはずだ。そして、その陰で、また、外資による株の売り抜けがされるのだろう。 しかし、何と言っても大きいのは日本国債を使った投機のはずだ。今回の民主党代表選に伴う何らかの変化を口実に日本国債や日本の金融機関の社債格付けを下げることになれば、今後起こるだろう大地震や原発震災の連想が働き、一気に日本売りが生じる。今進行しつつある民主党代表選挙で、こういった問題は全く話題にならなかったが、財務省はこういったことについてよく分かっているはずだ。大地震や原発震災の可能性とそれが与えるオペレーショナルリスクの上昇、そして、日本売りの影響について、財務省はその見通しを公表すべきではないだろうか。そして、やがて作られるだろう新しい内閣についても、そういったことについての情報公開をする方の大臣就任が望ましい。かと言って現在の大臣がそういった情報公開をしていないと言うわけではない。 海江田さんや与謝野さん、そして野田さんの関係があり、現在の民主党代表選挙は格下げに何らかの影響を与える可能性がないわけではない。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<661>>
*1 http://mainichi.jp/select/biz/news/20110825ddm008020141000c.html を参照のこと。
*2 http://www.j-cast.com/2011/08/24105249.html?p=all を参照のこと。
*3 http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK048892720110818 などを参照のこと。
*4 http://moneyzine.jp/article/detail/194150 を参照のこと。
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