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◇国・地方、期限付き検討
生活保護の受給者が増え続けている。今年6月、全国で戦後直後以来の200万人を突破。県内でも00年度平均6882世帯から、10年度には同1万3019世帯と倍近くまで増加している。「最後のセーフティーネット」と言われる生活保護制度。雇用環境の悪化や不景気などで、頼らなければ生きていけない人が増えている背景に、「働きたいのに働けない」現状がある。【小林多美子】
下越地方に暮らす20代後半の男性は、これまでの日々を「死んでも仕方のないような人生」と振り返る。人間関係がうまく築けず、仕事も長続きしない。自殺を図ったこともある。
幼いころから落ち着きがなく、学校でも浮いていた。人の話し声が気になり、自分の悪口を言われているような気がした。両親はそんな息子に「とにかく普通にしてくれ」と言うだけだった。
高校卒業後に就職したが長くは続かなかった。首都圏に出て日雇い派遣で食いつなぎ、20歳になったころ中越地方にある実家に戻った。だが両親とうまくいかず、家を出て派遣や居酒屋のアルバイトなど職を転々とした。
08年のリーマンショック後の景気悪化で、派遣の仕事すら見つからなくなった。所持金が底をつき、実家がある市で生活保護を申請しようとした。だが、福祉事務所の窓口で「若い人が受けるものじゃないですから」と門前払いされた。
アパートを引き払い、車上生活となった。あてもなく東北や関西地方にも行った。食品工場に就職することもあったが、周囲となじめず「辞めます」とだけ告げて、再び車を走らせた。
県内の山中をさまよい、約2週間、何も食べずにいると猛烈な頭痛に襲われた。こらえきれず119番通報した。病院に搬送され、そこで自分がずっと抱えてきた生きづらさの原因を知った。「統合失調症」。病気だったのだ。昨夏のことだ。
男性は今、生活保護を受けながら通院生活を送っている。月約9万円の保護費は、まさに「命綱」だ。
男性にとって生活保護とは、と問うと、「国に『生きなさい』って言われている気がする」と言った。日本に生活保護制度があるから生きていられる。受給が決まり、まだ死んではいけないのかな、と思えた。今は、自分から「生きていこう」と思えるようになりたい、と願う。
◇
生活保護制度を巡る状況は現在、転換点を迎えている。昨年10月、大阪市などの主導で政令市の市長でつくる指定都市市長会が受給者の増加による財政圧迫などを理由に、改革案を発表した。その一つが、働ける受給者に「集中的かつ強力な就労支援」を実施し、3年あるいは5年で保護費支給の打ち切りを検討するという内容だ。
これを受け今年5月末、大阪市の平松邦夫市長ら地方自治体の代表と厚生労働省政務三役による国と地方の協議会が設置された。今月中にも具体案をまとめる見通しだが、協議の内容だけでなく、日程も非公開で行われている。その手法に日本弁護士連合会が強い懸念を表明する会長声明を発表するなど、問題視する声は強い。
◇
男性は今、再び働くために、NPOによる作業訓練に通っている。病気とは一生の付き合いになると思うが、音楽好きを生かして、いつかバーを開くのが夢だ。そのためにも早く働きたいという思いは強いが、「これまで焦ると失敗してきたので、地道に頑張りたい」と話した。
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20110810ddlk15040061000c.html
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