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http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_292956
米債券バブルへの答えは株式にあり
ジェレミー・シーゲル、ジェレミー・シュワルツ
2011年 8月 22日 17:40 JST
記事
我々は1年前、このようなコラムに『The Great American Bond Bubble』という論文を寄稿し、米長期国債の利回りは維持不可能であり、債券ファンドに殺到する向きは、金利が上昇した時に後悔するだろう、と書いた。確かに昨年秋に長期金利は急上昇した。しかし最近になって、景気減速と、2年間低金利を維持するという米連邦準備理事会(FRB)の「公約」を受けて、米国債の金利は昨年夏よりもさらに低い水準へと低下、債券バブルは破裂に向かって膨らんでいる。
イメージ David Gothard
我々にまったく納得がいかない市場のひとつが、米財務省物価連動国債(TIPS)である。最近の利回りは、リプリーの『Believe It or Not!(信じられないような実話を集めた番組)』に取り上げられんばかりだ。指標となる10年物TIPSの利回りは史上初のマイナスとなった。投資家は、今より低い価値に相当する資金を10年後に受け取るために政府に金を貸していることになる。
この驚愕すべき事態は、米経済についての桁外れに悲観的な見通しでしか説明できない。経済理論に基づくと、長期TIPSの実質利回りは、経済の実質成長率に近づく。1997年に初めてTIPSが発行された時、投資家は3.4%の利回りを受け取ったが、それは、過去50年間の国内総生産(GDP)伸び率を平均した3.6%に極めて近かった。10年物TIPSの過去の平均利回りは2.5%となっている。
確かに2000年以降の実質成長率は1.3%とかなり低いが、ここ10年でリセッション(景気後退)は2回あり、そのうち直近のものは世界大恐慌以来最悪の景気後退だった。債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(ピムコ)の米経済に対する悲観的な見方「ニューノーマル」を信じる市場関係者でさえ、2%の実質成長率を見込んでいる。
米人口増加を年間約1%と仮定すると、10年物TIPSの価格に現在反映されているGDPのゼロ成長見通しを正当化するには、生産性の伸び率がゼロに低下することと、今後10年の労働参加率が過去10年の倍のペースで低下することが必要になる。生産性の伸び率ゼロは、長期トレンドを2%以上下回るものであり、労働参加率のこのような低下は過去にはなかったものである。我々の考えとしては、世界経済の結びつきがより密接となり、企業の効率的な資源利用が進むことから、生産性の伸びは今後、減速でなく加速する可能性が高い。
勿論、投資家は、米国債市場の暗い見通しとわずかなリターンに甘んじる必要はない。過去10年の低成長にもかかわらず、S&P500種指数採用銘柄に代表される米企業は、生産性の上昇と売り上げの半分近くを海外の成長市場から稼ぐことで、記録的な利益をあげてきた。
S&P500種の配当利回りは2%を超え、これは企業が稼ぐ利益の30%弱に相当する。もし、米景気が二番底に陥るような場合、こうした配当は、企業が自社の配当を維持するうえで大きなクッションとなる。
投資家は、抑制のきかない政府債務と赤字に対する懸念から、TIPSや金といったインフレヘッジに殺到した。S&Pによる米信用格付け引き下げは、FRBが紙幣増刷に走ることへの不安を高めた。しかし、株式も、貴金属にように、インフレヘッジとなる実物資産である。S&P500種採用企業の1株配当は過去50年間、年5%増えており、同期間のインフレ率の平均4%を軽く上回る。実際、1960年代、90年代、2000年代の低インフレ期と、70年代、80年代初めの高インフレ期の双方において、配当の伸びはインフレ率を上回っている。
有配株を避ける一部の投資家は、07‐09年に高配当の金融株が総崩れとなった事実を指摘する。しかし、統計を詳しく見れば、それは、繰り返される可能性が極めて低いと思われる稀な出来事だったということがわかる。
直近の景気後退以前、S&P500種の配当が低下した歴史は5年間だけであり、年間の低下率は最も大きくてわずか3.3%だった。2000年代、金融会社は維持不可能な利益から増配を行い、S&P500種の配当の伸びは加速した。住宅バブルの崩壊に伴い、そのような金融会社は利益も配当も出せなくなった。しかし、この景気後退の間、米株式配当の全般的な低下は金融セクターによるものだったという事実はあまり知られていない。過去75年で最悪の景気後退と弱気相場のどん底にあったにもかかわらず、09年に米株式市場の他の9業種の企業が支払った配当の合計は、株価・景気がピークを付けていた07年よりも多かったのだ。
現在、非金融セクターの支払い配当額の合計は、07年のピークを約20%上回っている。加えて、現在、配当全体に占める金融会社の割合は16%にすぎず、当時の半分を下回っている。つまり、また金融危機に見舞われたとしても、米株式市場の利益や配当に同じ影響をもたらすことはない。さらに言うならば、過去2年間の配当の伸びは平均すると年10%を超え、長期的な配当の伸び率の2倍以上となっている。企業は、記録的なキャッシュバランスを株主に還元し始めたのである。
我々が1年前に推奨した有配株ポートフォリオのリターンは、最近の債券価格の急上昇と株式相場の下落にもかかわらず、通常の10年債および10年物インフレ連動国債に匹敵するものとなった。投資家が憂鬱な状態から抜け出せば、米政府に10年もマイナス実質利回りでカネを貸すことはない、と気づくだろうと我々は信じている。
景気低迷のなかでも、企業部門は記録的な利益を生み出し、配当を増やしている。我々は、かつてないほど危険に思える債券市場に対する答えは、有配株であると信じている。
(シーゲル氏は、ペンシルベニア大ウォートンスクールのファイナンスの教授で、投資会社ウィズダムツリーのシニアアドバイザー。ジェレミー・シュワルツ氏は、ウィズダムツリーの調査責任者)
記者: JEREMY J. SIEGEL AND JEREMY SCHWARTZ
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