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欧米諸国が示す「日本化」の兆候 投資家が恐れ始めたシナリオとは・・・
2011.08.22(月)
Financial Times
日本国債の格付け見通し引き下げ、ムーディーズ
「日本化」が不安な言葉となっている〔AFPBB News〕
このところ、多くの投資家にとって大きな問題は、数年前ならとても考えられなかったものだ。つまり、欧米諸国は日本になりつつあるのか、という疑問である。
この疑問に対する答えは、欧米諸国の経済の将来ばかりでなく、株価と債券の将来の方向性を左右することになる。
現時点での暫定的な答えは、先進諸国は日本の方向に向かっているというものだ。国債のパフォーマンスが株式を大きく上回っているからだ。
「今の状況は日本流のシナリオのように見える。この問題について、私はかつてないほど心配している」。イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)の元委員で、自身の名前を冠したヘッジファンドを創業したスシル・ワドワニ氏はこう話す。
国債利回りの動きを15年ずらすと、まるで日本?
米国や英国、ドイツといった国の「日本化」を示す最も顕著な例が、各国の借り入れコスト(国債利回り)だ。10年物の米国債、英国債、ドイツ国債を過去に15年さかのぼらせる形で、2003〜11年の欧米の利回りの動きを1988〜96年の日本国債の利回りの推移と重ねてみると、驚くほどよく似ているのだ。
次に何が起きるかが極めて重要だ。日本国債の利回りは、1996年に2%の大台を割り込んで以来、持続的に2%台を上回ったことが1度もないからだ。
市場にとってまた荒々しい1週間となった8月第3週で最も特筆すべき動きは、米国債の利回りが18日に1950年以降初めて2%台を割り込んだことだった。
だが、利回りはその後やや上昇し、19日午後には2.08%となっていた。だが、多くの投資家は米国債の利回りが一段と低下することを予想しており、中には1.75%まで低下すると見る向きもある。
欧米が日本化しているという議論を信じる人々は、いくつかの類似点を指摘する。どちらのケースでも、大きな債務負担は、株式市場暴落後の鈍い経済成長を意味している。一方、こうした問題に対する政治の対応は混乱しており、痛みを和らげる効果がほとんどない。
米資産運用会社ダブルラインのCEO(最高経営責任者)、ジェフリー・ガンドラック氏は「そうした比較の根拠が確かなのは、どう見ても明らかだ」と言い切る。
「我々は過剰債務を抱えており、損失処理すれば支払い不能状態に陥るため不良債権を抱え続けている銀行が存在している。すぐに処理せず、長い年月をかけて徐々に片付けていこうとしているわけだ」
日本の衰退に貢献した8つの特徴
エディンバラのスタンダード・ライフ・インベストメンツで世界戦略担当を務めるアンドリュー・ミリガン氏は、止められない日本の衰退に貢献したと思われる8つの特徴を挙げる。
株式市場および不動産市場の崩壊、ゾンビ銀行、デフレ、ゼロ金利、政治の停滞、芳しくない人口動態、そして高い対国内総生産(GDP)債務比率だ。
10月に人口3億人突破、不法移民問題などで祝賀ムード控えめ - 米国
米国はまだ人口が増えているという強みがある〔AFPBB News〕
「非常にぶしつけな言い方をすれば、欧米諸国はこうした要素をすべて持っていると言える」とミリガン氏。
だが、個々の国を細かく検証すると、類似点はそれほど明白ではなくなる。例えば米国。米国は双子の市場暴落と政治の停滞、ゼロ金利については当てはまるかもしれないが、デフレには陥っていないし、人口は減少していない。
一方で、より根本的な違いを指摘する向きもある。
ドイツ銀行のストラテジスト、ジム・リード氏は、日本が困難に陥った時は、1990年代後半の急成長する世界における孤立した例だったと指摘する。それが今では、大半の西側諸国が同じ船に乗っている。
類似点より相違点の方が怖い?
このことは、悪い知らせと読むこともできる。世界経済の成長の障害が大きいことを意味するからだ。「これは問題だ。日本には力強い世界経済という背景があった」と、英国の資産運用会社シュローダーズのチーフエコノミスト、ケネス・ウェイド氏は言う。
だが、これは、物議を醸すかもしれないが、あり得る解決策を与えてくれる可能性もある。先進国は単に、一斉に紙幣を増刷することもできるのだ。量的緩和などの措置については有効性に大きな懸念が残るものの、多くの投資家は、欧米の当局は日本の当局と比べると、政策面で先手を打つと考えている。
ワドワニ氏は、米連邦準備理事会(FRB)が今後打ち出す刺激策に対する株式市場の反応が極めて重要だと見ている。「反騰がどれくらい続くかは、経済統計が上向くかどうかにかかっている。もし上向かなければ、それは日本のような状況であり、非常に弱気なシグナルとなる」と言う。
既に、投資家は今年に入って、国債が株式をアウトパフォームするという、過去20年間日本が経験してきたあべこべの世界がどんなものか味わってきた。
国債が株式をアウトパフォームする世界
20年間に及ぶ日本の低成長とデフレ、超低金利は、投資家の資産配分に際立った変化をもたらし、日本国債の格付けがトリプルAから格下げされても、国債が好まれる状況を生んだ。
長期投資を手がける多くの投資家は株式に見切りをつけて国債を買った結果、国債の国内保有量が欧米よりはるかに高い状況につながった。日経平均株価はいまだに1989年の最高値を75%も下回っている一方、日本の10年債の利回りは現在、0.99%だ。
みずほ総合研究所のチーフエコノミスト、高田創氏は、欧州と米国の銀行と保険会社に対する新たな自己資本規制が日本と同じような資産配分の変化をもたらすと指摘。「こうした新たな規制は日本化を増幅させるだろう」と話している。
By Richard Milne
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