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アジアの内需は世界経済を救えない  アジアでは所得が増加しているが不十分
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/805.html
投稿者 sci 日時 2011 年 8 月 22 日 07:23:57: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/19605

(2011年8月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
46階建てなのに「88」階や「68」階?業者の販売戦略に批判 香港

香港政府の土地競売の結果を受け、香港全土に戦慄が走った〔AFPBB News〕

欧米の株式市場が急落した翌日の8月9日朝、香港政府は土地の払い下げで、わざわざ入札に出向いてきた唯一の業者に最低価格で売却することに合意した。

 香港の不動産市場は過去30カ月間で価格が80%も高騰してきただけに、この結果は全土に戦慄を走らせた。同じ日、香港のハンセン指数は5.7%下落した。

 数日後、大和証券キャピタル・ マーケッツの香港在勤エコノミスト、ケビン・ライ氏は、香港――アジア地域で一番の輸出主導型経済――は第2四半期の域内総生産(GDP)が季節調整済みで0.5%縮小しており、「景気後退に入る途中にある」と述べた。

 言うまでもなく、香港市場は常にほかの市場より大きく下げる。市場の流動性が高く、アジアの外国人投資家は売りたいものだけでなく、売れるものなら何でも売るからだ。だが一方では、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)も急変している。
欧米諸国からデカップルしていたはずが・・・

 韓国市場の落ち込みはもっと劇的で、全面安の展開となった。香港と同じようなファンダメンタルズと技術的な理由が重なり、韓国の(一般的にパッとしない)銀行から強大なハイテク企業に至るまで、あらゆる銘柄が売られた。株価急落は、韓国が世界的な貿易の伸びを示す代理指標だという事実を反映していた。

 こんなはずではなかった。というのも、アジアは自分たちが世界の他地域とは違うと思い始めていた。アジアは欧米の先進国市場や日本(いずれにせよ日本はアジアの一部と見なされたことはない)を脅かしている低成長とデフレという病に免疫がある、と考えていたのだ。

 病の感染にまつわる最も意外な事実は、それがアジアの不意を突き、他地域からデカップルした度合いについてアジアが抱いていた慢心に終わりを告げたことだ。

グローバル化はアジア諸国の利益にしかならない?
「欧韓FTA交渉、5月から開始が可能」と盧大統領 - 韓国

グローバル化によって、アジア諸国には注文や資本が流れ込んでくる一方だと思われていた(写真は韓国の貨物専用港、釜山新港)〔AFPBB News〕

 8月9日以前には、大半のアジア諸国は、グローバル化は一方向、すなわち自分たちの利益になる方向にしか作用しないと考えているようだった。

 注文はアジアに流れ込むしかなく、ひたすら増えていく。世界的な資本移動はアジアに引き寄せられ、決して反対方向には流れないと思われていた。

 確かに、2011年のアジアは1997〜98年のアジアとはかなり異なる。政府の財政ははるかに健全で(それゆえアジアは他地域を見る際に自己満足を感じていた)、インドネシアを筆頭に多くの国が国債の格上げを見込んでいる。

 銀行の預貸率(預金残高に対する貸出残高の割合)は上昇したかもしれないが、欧米諸国の銀行と比べると、ずっと健全だ。

 企業のバランスシートはアジア危機当時より大幅に改善している。例えば、多額の外貨建て借り入れに対して自国通貨建ての収入が非常に少ないという、アジア金融危機の特徴だった大きなミスマッチもない。

 そして何より重要なのは、この数年間、賃金と所得が横ばいか減少傾向にある他地域とは対照的に、アジアでは所得が増加しているということだ。
見当違いな楽観論

 だが、それは、アジアの内需が欧米の成長不足とグローバルな投資家のリスク志向の減退を埋め合わせられる状態にあることを意味するわけではない。こと中国に関しては、少なくとも今のところ、そうした楽観論は見当違いだ。

 中国は輸出ではなく内需に基づく成長モデルを発展させようとしている。成長の起爆剤として輸出だけに依存する危険性については、隣国の日本が厳しい訓話を与えてくれている。

 従来よりも多少早いペースでの通貨上昇を容認する中国政府の姿勢は、この目標に対する強い意志の表れだ。所得と賃金はともに急ピッチで上昇しており、小売売上高は2ケタ後半の伸びを続けている。だが、それも規模がまだ米国の半分以下にとどまる中国経済にとっては、十分ではない。

 一方、融資の伸びは抑制され、融資残高の増加率は今、15%程度になっている。UBSのデータによると、不動産および建設部門は昨年暮れにピークアウトし、今年第1四半期には減少に転じたという。このことは、内需が今後、弱まる可能性があることを示唆している。
インフレ懸念より大きくなった成長懸念

 中国は2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻以前から、積極的な財政刺激策を採用していた。

 今でも刺激策を講じる余裕はある。政府の歳入は最近かなり堅調で、今年上半期には30%を超す伸びを示した。GDPに対する政府債務の比率は低い(もっとも、大手銀行が抱える問題債権も計算に含めるべきだが)。しかし、中国は固定資産投資への依存を絶つ必要がある。

 このため、8月9日から10日経つと、香港ではインフレ懸念ではなく、経済成長に対する不安が話題の中心となっていた。

 今後数カ月にわたり、当局は恐らくもう一段の通貨上昇を容認し、政策は引き続き、内需を育成するために賃金上昇やその他の措置を促すことになるだろう。もしかしたら、次に欧米経済が失速した時はアジアの内需が不足分を補うのかもしれない。だが、今はまだ補えない。
By Henny Sender  

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