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http://zai.diamond.jp/articles/-/116754?page=2
(中略)
・・要するに、度重なる量的緩和で米ドルの信用は著しく傷つけられている。これからさらに3回目の量的緩和があれば、米国は自ら基軸通貨の地位を放棄していると多くの市場関係の目に映ることだろう。
基軸通貨でなくなるのなら、いくら金融危機でも米ドルが買われなくなる可能性がある。
なにしろ、 信用力をなくした通貨は決済手段として選択されなくなるから、流動性の低下によってその通貨に対するニーズが高まるようなことも起こらない。従って、当面、米ドルのアキレス腱はQE3の有無にあると言って過言ではなかろう。
■QE3は実施されるか? されないか?
筆者としては、仮に FRB(米連邦準備制度理事会)がQE3を実施しても、必ずしも米ドルの基軸通貨の消滅につながるとは思えないのだが、ここで、まずはQE3の有無について考えておきたい。
今日、米国が日本の二の舞となりつつあり、 「失われる10年」を迎えようとしているから、FRBはそれを阻止するため、何でもやるといった記事が多くのマスコミの紙面を賑わせているが、FRBがQE3を実施するハードルが高まっていることも見逃せない。
その根拠として、まず 第1にFRB内部の反対だ。
8月9日(火)の FOMC(連邦公開市場委員会)では、2013年まで実質ゼロ金利に据え置くといった合意が得られたものの、計3名の理事が反対票を投じている。これは1992年以来のFOMCでもっとも反対票の多い議決となった。
どうやら、バーナンキFRB議長もオバマ大統領と同様、そのリーダーシップに陰りが見えるようだ。
第2にインフレである。米7月PPI(生産者物価指数)のコア指数は7ヵ月ぶりの高水準を示した。インフレ傾向が鮮明になってくれば、量的緩和をさらに実施できないことは明らかだ。
第3に政治家からの圧力だ。FRBは独立した機関であるものの、最近ではかつてないほど政治家から圧力を受けている。
たとえば、大統領選の次期後補である共和党のベリー・テキサス州知事はバーナンキ氏を名指しして、QE3があれば米国への「背信行為」と激しく非難している。これはまさに象徴的な出来事だ。多くの政治家がFRB“暴走”の可能性を警戒している。
■さすがのバーナンキでも、もうお金はばらまけない!
そして 第4に、もっとも主要な問題として、量的緩和策自体に効果がなかったことを挙げておこう。
本来、量的緩和策の目的は、米国の資産高の波及効果によって、雇用と景気回復を図るものだが、2回の緩和策実施にもかかわらず、結局効果を上げていないことは明白である。
特に2回目の量的緩和は、株高をもたらしただけで、米国の景気浮揚にまったく貢献できていない「失敗」だと思われる。このような事情から、“ヘリコプター・ベン”ことバーナンキ氏といえども、安易にお金をばらまけない公算が高いのではないかとみる。(抜粋)
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