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中国の矛盾する要求
2011/08/19 (金) 15:01
米国のバイデン副大統領が訪日するとか。
「訪日? 何の用?」
まあ、そう思う人が多いかもしれません。でも、日本に来るのは、あくまでもついでに来ると考えると大変に分かり易い。 メインは訪中。
そうなのです。今、米中のナンバー2同士が、率直な意見交換をしているところなのです。しかも、相手はナンバー2とはいっても、ナンバー1になるのが確実な人なのです。
米国と中国で話し合うことと言えば、何についてなのでしょう?
新聞には「国債格下げが影」(日経)なんて書いてあるのですが‥そうなのです、結局、両者の最大の関心事と言えば、お金にまつわることなのです。
皆さんご承知のとおり、米国の国債は先日、トリプルAから格下げされたばかりです。そして、中国は米国にとっての最大の債権者。つまり、米国は中国からお金を借りることによって国家の運営ができている訳なのです。
それにしても、米国債が格下げされるなんて。2年ほど前にガイトナー財務長官が北京大学で学生相手に講演を行ったことが思い出されるのです。あの時、ガイトナー財務長官は学生相手に言ったのでした。貴方がたの国が保有している米国債の価値が落ちることはない、と。安心してくれ、と。そして、学生たちの失笑を買ったのでした。
あれからまだ2年ちょっとしか経っていないというのに、米国債は格下げされてしまったのです。当時、中国内では既に、米国債をこれ以上保有するのは如何なものか、という意見があったのですが、こんな事態になると、さらに意見は過激になるのです。
でも、そういう意見が強まっても、中国が米国債の購入を止めることはないでしょう。何故ならば、中国は人民元をドルに対してゆっくりしたペースで切り上げる姿勢を崩していないからなのです。つまり、今後も中国は為替介入を行い、そうして得たドルで米国債などを購入する筈であるからです。
ただ、国民の不満に対しても応える必要があるわけで‥そのためには、米国が米国債の価値を維持するように強く求めざるを得ないのです。
で、中国の新華社も、次のようなことを言っているのです。
「最大の債権者として、中国はドル資産の安全を保障するよう米国に要求するあらゆる権利を持つ」
まあ、当然と言えば当然! 債権者として中国がアメリカに対してドルの価値、或いは米国債の価値の維持を要求するのは当然でしょう。
では、どうやれば米国債の価値を維持することができるのでしょう?
最近面白い現象が起きています。
米国債の格付けが引き下げられ‥しかし、長期金利は低下する。景気の見通しが悪化し、そし
て株価は暴落し、長期金利は低下する、と。米国の10年物国債の利回りはついに一時的にではありますが1%台に突入したのだとか。
米国債の格付けが引き下げられたのにも拘わらず、米国債の利回りは下がる。つまり、米国債の人気は上がる。
何か変ですね。では、何故米国債の利回りが下がるのかと言えば、景気の先行きに対する見方が悲観的になったり、投資家のリスク回避の姿勢が強くなっているからだというのです。
つまり、現状では、まだまだ米国債に対する信認は厚く、つまり米国債の代わりを務める安全資
産が他にないことを意味しているのです。
しかし、それにも拘わらず中国は心配をするのです。何故かと言えば、米国債の保有量が一番多いのが中国であるからです。今は、米国債の人気があるとは言っても、この先も人気を保ち続けることができるのか、と。米国債に対する信認が落ちてしまってから慌てても遅いので、そうならないように中国はアメリカに警告を発しているということなのでしょうか。
では、ながーい目でみて、どうすることが米国債の価値の維持に役立つのでしょうか?
それは簡単! これから先、国債の発行を増やさないことが第一。つまり、財政の健全化に取り組むことによって、米国債の価値を維持することができるのです。
しかし、そうであれば、何も中国が心配する必要はないのかもしれません。何故ならば、米国の政治家たちは、国の借金を減らすために、つい先日まで、連邦政府の債務限度の引き上げを巡ってすったもんだしていたからなのです。つまり、米国は、借金を減らすために歳出削減に取り組むことに合意しているのです。
ここで、何か大切なことにお気づきになったのではありませんか?
中国がアメリカに対し、米国債の価値を維持しろと要求したいのはそのとおりでしょうが、しかし、アメリカがそのために財政再建に一生懸命になればなるほど、財政赤字と経常赤字の削減に懸命になる訳ですから、それはとりもなおさず、海外からの輸入も減るということにつながるのですが、中国は、そのことに気が付いているのでしょうか?
多分、気が付いていない政治家やマスコミが多いということなのでしょう。
米国が、米国債の価値の維持に神経質になり、米国債を発行しなくなるということは、その分、米国の需要を抑えることにつながる訳ですから、当然のことながら、中国からの輸入も少なくなるでしょう。
そんなこと、中国は望むのでしょうか? そうではない筈です。つまり、今暫くは、米国債の価値のことなど気にしないで、中国から今までどおりどんどん輸入してくれというのが中国の本音である筈です。そして、米国債の価値については、これからも、中国が米国債を買い続けるから心配は要らないよ、と。
米国債の人気が上がるのも下がるのも中国次第。中国が買い続ければ、米国債の人気は維持でき、そして、中国が買うのを止めれば、人気は落ちる、と。だから、別に米国にお願いすることもない訳です。
つまり、米国の運命は中国に握られている、と。だから、米国は中国を大切にせざるを得ないのです。
小笠原誠治
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