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引きこもりの親世代が年金生活に移行し、世帯所得が低下していけば
彼らの多くが生活保護の受給者に転落していき、一部が日本で右傾化して暴動、犯罪増加を引き起こすことになる可能性はある。
一番の政策は、金のばらまき・減税ではなく、人的公共投資を増やし、彼らの労働力(時間)を
介護や子育て、環境インフラ整備など、多くの必要な公共サービスに導入し
彼ら自身のスキルや社会との絆を高めていくことだが
新古典派などを奉じる既得権層が反対する限りは、簡単ではないだろう
http://diamond.jp/articles/-/13605
第77回】 2011年8月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
池上正樹 [ジャーナリスト]
いまや就職氷河期世代が引きこもりの中核に!存在を顕在化させた“バブル崩壊の罪”
バブル崩壊、リーマンショックが生み出した
多くの「引きこもる大人」たち
ここ最近、社会に適応できない「新たな引きこもり層」が大量に生まれている。
新たな引きこもり層とは、従来の「不登校の延長」的なイメージで語られてきた引きこもりの人たちとは別に、一旦、就職した会社を休職し、そのまま離脱したり、就職活動で上手くいかなかったりしたことをきっかけに、社会とのつながりを持てなくなってしまった人たちのことだ。
ここ1〜2年の様々な官民の調査をみても、引きこもり全体に占める社会人経験者は、半数を超えた。
筆者がインタビューしていても、引きこもるようになったきっかけを聞いていると、ある特徴的な傾向が浮かんでくる。
例えば、彼らが社会を離脱していった時期で多いのは、山一證券や北海道拓殖銀行などが破たんした97年以降の金融不況の頃だ。
そして、次に波が来るのは、2008年のリーマンショック以降のこと。リストラなどに遭って、働きたくても雇用の場がなくなり、引きこもっていく中高年者たちがどっと増えたような印象がある。
一方、1971年生まれ以降のいわゆる“就職氷河期”世代が、バブルの崩壊のあおりで、大学卒業後の就職活動が思うように行かず、仕事を転々としたあげく、いまは引きこもり状態になっているというケースもよく聞く。
とくに、30歳代前半から40歳代前半にかけての世代は、元々こうした心性を持っている人が目につく。彼らは、いまや日本の引きこもりの中核を成す層でもある。
こうした引きこもりの人たちは、最近増えたのかというと、そうは思わない。元々、引きこもりの心性を持つ人たちは、昔からいた。
ところが、皆で理想を夢見ていられた高度経済成長期を経て、バブル崩壊以降の日本の構造の変化を機に、社会が彼らのような存在を支えきれなくなっているのではないか。つまり、社会に潜在化していた人たちの存在を顕在化させる日本の構造の変化が、引きこもり者を大量に生み出す背景にあると思えるのである。
一体なぜ、引きこもりの心性を持った人たちの存在が浮き彫りにされるようになったのか。この間、日本が歩んできた社会の変化を振り返ってみた。
次のページ>> 「支店の統廃合」と「モバイル化」が休職者を増加させた理由
「支店の統廃合」と「モバイル化」が
休職者を増加させた理由
日本の構造が変わる象徴的な出来事として、筆者が取材の中で印象に残っているのは、1993年、パイオニアが中間管理職30人余りを指名解雇した、いわゆる“パイオニアショック”だ。
これは当時、長年続いてきた終身雇用・年功序列制度の幻想を覆す出来事として、日本のサラリーマンに大きな衝撃を与えた。以降、大手メーカーを中心に、次々にリストラや合理化計画の発表が相次いだ。
一方、この年、カメラメーカーで大学新卒者の「内定取り消し」が行われ、話題になった。いま思えば、こうして襲ってきた平成大不況の嵐の中で、就職氷河期世代の“失われた10年”は始まるのである。
ある大手小売企業では、支店の統廃合が行われたとたん、休職者がどっと増えた。
ただ、会社としても、経営的に支店を残すことができない。社会の急激な流れの中で、扱っている商品もめまぐるしく変わるようになり、商品をオフィスに置いておくコストを考えなければいけない時代になったからだ。
この会社で休職者が増えたのは、支店が統廃合された1年後のこと。その理由について、産業カウンセラーは、「支店が廃止されたことだけではなく、営業ノルマを厳しくしたことも、休職者を生む要因になっている」と指摘している。
支店の廃止に伴って、働き方も変わった。この会社では、一気にモバイル化が進み、社員に携帯電話やノートパソコンを持たせたという。
ノートパソコンを持ち歩けば、自宅でも空いた時間に見ることができて、24時間稼働できる体制に変わる。営業は、携帯とパソコンがあれば、直行と直帰ができるようになった。
一見、合理的ではある。しかし、
「部長が課長に午後8時、メールで指示を出したとします。午後9時にメールを見た課長は、“今日のうちにやっておかなければ…”と思って、部下に指示を出せば、部下が見るのは深夜。明日のことが書かれていれば、てんやわんや。休む時間がない状況になるのです」(前出カウンセラー)
次のページ>> 合理化や技術の変化についていけず、淘汰・埋もれてしまう人も
実際には、メールの送り方さえ知らない人も少なくない。古いやり方でやって来た人は、ついて行けなくなる。
「自分が積み上げてきたものが“ダメです”といわれれば、ショックを受けます。新しことを受け入れるのにも時間がかかる。自分は、違うやり方でやっていけるのか。不安があるときに、人は動けなくなるのです」(前出カウンセラー)
行動するよりも考えることのほうに時間をかけるようになると、活動力が下がる。波に乗ってくるまでには、相当のコミュニケーションを取っていかなければいけない。
合理化や技術の変化に伴って、捨てていかなければいけないものもある。その変化自体は、必然的なものだ。
ところが、そこに関わってくる人たちがどう変わっていけるかというと、一気に変われるわけではない。
「その変化について行けない人たち、乗り遅れた人たちは、自然に淘汰され、埋もれて行くしかない」
と、前出の産業カウンセラーは説明する。
新しいことに対して、なぜ自分が変わらなければいけないのか。変化そのものを理解していないケースが多い。
会社や社会が変わっていく現実を受け入れられない人は、自分が変わるイメージを想像できずに、かなり上のステップを感じてしまうのだろう。
次のステップに踏み出す勇気の持てない人は、どんどん置き去りにされてゆく。やがて、気づいたときには、何年もの月日が流れていて、いまさらどうしようもなくなってしまうというのだ。
「支店がなくなると、支店廃止にまつわる細かい変化が必ず起きていて、それがダイレクトに降りかかってくる。食物連鎖みたいなものなんです」(前出カウンセラー)
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合理的だが、つながりは薄い
大人を追いつめる職場での“置き去り感”
昔の商店主は、個人的に関係を築き上げ、顔がつながっている相手に、人付き合いの中で商品を買ってもらっていた。
「この営業担当者は、いい人だから、商品を買ってあげよう」
それが、いい悪いは別にして、古き良き時代の小売現場のスタイルだった。
しかし、コンビニに変わったとたん、人のつながりは、あまり関係なくなった。
そもそも、コンビニの仕組みは、フランチャイズ化されている。この商品を置くと、どのくらいの数が売れているというデータ的な裏付け根拠に基づいていて、どの位置を取るかですべてが決まってくる。
結果しかない仕組みは、合理的ではあるが、そこに情緒的なつながりは薄い。機械的で事務的な関係は、孤立を生みやすい職場であるともいえる。
ある企業では、すべてフリーアドレスに変えた。つまり、オフィスには管理部門の席は残るものの、多くの人に自分の席はない。
皆、空いている席に自由に座る。図書室のように。固定電話もなく、すべて携帯で対応する。
小さいロッカーだけは与えられる。だから、各自、自分の荷物はロッカーにすべてしまって帰宅する。
また、会社で新しい事業が始まっても、社内のスタッフには知らされない。そうした会社の情報は、自社のHPを見て、知ったりする。直接、居場所がないことを実感する瞬間だ。
会社の中で起きている変化が伝わって来ない。中には、新しい職員が入ったり、同僚が辞めたりしても、知らされない会社もある。
自分と会社をつなぐものは、1枚の名刺だけ。職場に居場所はないと感じる人たちの、そんな置き去り感も、新たな引きこもりを生む遠因につながっているのかもしれない。
8月28日(日)開催
3.11震災チャリティイベント
ネコ女優micひとり舞台「カントリーロード、 石巻・牡鹿半島」×『ふたたび、ここから 東日本大震災・石巻の人たちの50日間』トークショーに出演いたします。
詳細はこちら→http://www.kazumic.com/schedule/index.html
拙書『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)が発売中。石巻市街から牡鹿半島の漁村まで。変わり果てた被災地を巡り、人々から託された「命の言葉」をつづるノンフィクションです。ぜひご一読ください。
質問1 バブル崩壊前と崩壊後、どちらの方が働きやすかった?
描画中...
56.1%
バブル崩壊前は働いていなかったのでわからない
31.1%
バブル崩壊前
8.4%
変わらない
4.5%
バブル崩壊後
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