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Paul Craig Roberts
2011年8月9日
金曜、8月5日、格付け機関、スタンダード・アンド・プアーズは、米国債の格付けを、AAAからAA+に格下げした。
S&Pによる米国債の格付け引き下げは、政治制度に対する信頼が失われたことを反映しているというジェラルド・セレンテの見方は、格付け機関自身によって確認された。S&Pは、格付け引き下げは、経済危機ではなく、増大した政治危機の結果だと説明した。債務限度を巡る度胸試しの深刻化と、共和党の増税阻止能力は、“アメリカの統治・政策決定は、安定さが減少し、有効性が減少し、予測可能性も減少した”ことを明らかにした。
米国債の格付けを、AAAから、AA+に下げたのは、見せかけだけの変化に過ぎない。国債は極めて高い投資レベル格付けを維持しており、金利には何ら影響を与えそうにない。It is revealing格下げにもかかわらず、米国債の価格は上がった。下落したのは株だ。経済誌は、国債格付け低下で、株式市場が下落したのを責めている。しかし、経済が下落しているから、株が下落しているのだ。余りに多くの仕事が、海外に移されてしまった。
債務不履行の懸念ゆえに、投資家がユーロから国債に逃避し、株が下落し続ける株式市場から逃避し、大手銀行が現金を預かることに対し、預金者に手数料を請求するため、金利は今後さらに低下しかねない。実際、銀行の政策は、現金保有高が多い人々を、現金から国債へと追いやるための取り組みとみなすことができる。日本の格付けは、アメリカよりも下で、金利もより低い。
更なる苦境がやって来ようとしている。経済が弱体化し、経済見通しが暗くなり、新たな赤字予測は、債権問題を押し上げるだろう。
S&P評価格下げは、心理的な影響の方が、経済的効果より大きい可能性が高い。多くの人々は、評価格下げを、アメリカが下降を開始し、アメリカが終末期に入った可能性もある兆候と見るだろう。
アメリカが国債不履行になる危険は存在しない。国債は米ドル建てであり、ドルは無限に作り出すことができる。しかも負債の問題は、膨大な年間財政赤字より、第二次世界大戦中よりもGDPの比率がずっと小さいままの国家債務の方が問題は小さいのだ。もしも株が下がり続ければ、もしもユーロ売りが続けば、もしも銀行手数料のために、人々が、現金から乗り換えれば、国債への現金の流入で、大規模な年間赤字に、当面の間、資金を供給することが可能であり、連邦準備金制度理事会が、量的緩和によって、赤字に流動性供給する必要性はなくなっている。
一方で、弱体化する経済から、伝統的な政策観から見ると、経済を刺激する取り組みとして、国債買い入れによる流動性供給の継続、あるいは量的緩和に至る可能性が高い。
国債買い入れによる流動性供給の継続が、ドルを脅かしている。債務不履行を恐れているためでなく、ドル交換価値の低下を、したがって、ドル建て資産価値の下落を恐れているため、投資家は、国債や、あらゆるドル建て資産から逃げている。
国債買い入れによる流動性供給は、新たな国際通貨が登場するにあたって、国内インフレ(そして、通貨をドルに固定している国々の輸入インフレ)をひき起こす。銀行は貸し出しをしておらず、消費者は、借金だらけで、これ以上借りられないために、今のところ、アメリカでは、そうなってはいない。だが、ドルの交換価値の下落は、多くの輸入品の価格上昇を招く。これまでのところ、アメリカが味わっているインフレは、ドルの交換価値が下落したことで生じている。しかしながら、連邦準備銀行の国債買い入れによる流動性供給により、国債や株等の資産価格が、かさあげされていることに疑問の余地はほとんどない。
ドル売りするには、どこか他に逃避先がなければならない。ドルを吸収するに足るほど膨大な代替通貨は存在せず、また中国元はドルに固定されており、ユーロはギリシャ、スペイン、アイルランド、ポルトガルと、イタリアの国家債務危機によって、それ自身問題を抱えている。ドルからの逃避によって、金塊とスイス・フラン価格が上昇した。スイス政府はドル流入を吸収するためフランを印刷しているが、フラン価値は上昇し続けている。この記事を書いている時点では、一米ドルは、わずか約76スイス・サンチームの価値しかない。1966年には、4.2スイス・フランが、一ドル、言い換えれば、420サンチームが、一ドルだった。
フラン価値の上昇は、スイスの輸出能力を損ねている。ドル創出による、ドル交換価値の低下のおかげで、日本やスイス等の他の国々は、通貨価値の上昇を抑制するため、自国通貨を膨張させている。連邦準備銀行によるドル政策の結果、ロシアのプーチン首相は、アメリカは世界の寄生虫だと呼び、中国はどれだけドルを印刷するかを管理しようと、他の国々に呼びかけている。
言い換えれば、アメリカの政策は、アメリカに何の恩恵を与えず、他の国々に悪影響を与えているとみなされている。
私が説明した事柄は、既存の考え方の枠組み内で理解可能だ。この考え方の枠組みの中で、債務限度にまつわる紛糾で明らかになったように、政策の選択肢は、ドルの交換価値を脅かし、国家債務を増大させている年間財政赤字を無くすためには、社会保障とメディケアを辞めるか、戦争と、超大金持ちの低課税率を辞めるかのいずれかだ。
しかしながら、伝統的な考え方で理解したり、説明したりできる以上に多くのことが起きている場合がずっと多い。人々のものの考え方を、新たなパラダイムに慣れるようにさせるのは、いつでも難しい課題だ。やはり、努力がなされない限り、決して人々は、舞台裏の権力闘争を理解できるようにはなるまい。
半世紀昔、アイゼンハワー大統領は、退任演説で、アメリカ人に、民主主義と、国民によるアメリカ政府支配に対し、軍/安全保障複合体によってつきつけられている危険を警告した。どなたでも、彼の厳しい警告を、グーグルで探して、お読みいただける。
不幸なことに、ソ連との冷戦に熱中し、アメリカの勃興する経済力に自信を得るあまり、国民も、政治家も、陸軍元帥・大統領の警告には注意を払わなかった。
それに続く半世紀の間に、軍/安全保障複合体は一層強力になった。主なライバル権力は、ウオール街であり、彼らは金融と通貨を支配し、経済政策論議を通して、自分たちの権益を推進することにたけている。クリントン大統領時代に始まった金融規制緩和で、ウオール街は、万能となった。ウオール街は、財務省と連邦準備金制度理事会を支配しており、武器という「てこ」より、金という「てこ」の方が強力なのだ。しかも、ウオール街は、CIAよりも、陰謀が巧みだ。
舞台裏での覇権を求める戦いは、この二つの強力な利益集団の間で行われている。世界に対するアメリカの覇権は、軍事的なものではなく、財政的なものだ。軍/安全保障複合体による、互角になろうとする取り組みは、ドルとアメリカの金融覇権を危険にさらすことだ。
アメリカは、十年間、戦争を続けており、軍/安全保障複合体を富ませる、莫大な請求書を増やし続けてきた。ウオール街の利益は益々増大した。ところが、経済学者のマイケル・ハドソンが“経済の金融化”と呼ぶものを実現させることで、金融部門は、勢力を拡げすぎた。金融商品が表している莫大な金額は、それがよってたつ実体経済より何倍も大きい。金融債権が、よってたつ実体経済の規模を卑小に見せる状況には、甚だしい不安定が存在しているのだ。
自らの窮状を自覚している、ウオール街は、米国債格付けをS&Pが格下げすることで、船首前方への威嚇射撃をしたのだ。支出は抑制せねばならず、何百万人ものアメリカ人を街路に放り出すことなしに、明らかに大幅に支出削減できるものは、唯一、戦争だ。
格付け機関は、ウオール街の産物だ。ウオール街の命令で、デリバティブ・ジャンクに、高い投資レベルの格付けをしたと全く同様、連中は、ウオール街の命令で、米国債格付けの引き下げをする。ウオール街は、格下げに文句をいうかも知れないが、それはウオール街が采配を振るっていることの隠蔽に過ぎない。
軍/安全保障複合体と金融業界間の戦いは、利益供与を巡る戦いに帰着する。軍/安全保障複合体の利益供与ネットワークは、兵器製造工場労働者、軍基地、軍人の家族、軍事契約企業、民間警備会社、諜報機関、国土安全保障省、連邦管理下におかれた州と地方の警察、そして防衛分野担当するジャーナリストで成り立っている。
ウオール街のネットワークには、投資家、相場師、自動車や、学生や、事業資金融資ローンがある人々、クレジット・カード、不動産、保険会社、年金基金、資産運用会社とその顧客、そして金融ジャーナリストたちが含まれる。
金融セクターは、拡大しすぎているので、縮小するしかなく、ウオール街は、過程を支配するため、是が非でも国債を自由にできるようにしておくつもりであり、競争相手のネットワークを無理やり縮小させることで、相対的な権力を断固として維持するつもりだ。これはつまり、民営化用の資金と、ドルの準備通貨としての役割を維持するために、資金を解放するべく、金がかかる戦争の終了だ。ウオール街は、もしもドルが駄目になれば、自分たちの権力もだめになることを自覚しているのだ。
この分析から、我々はどのような洞察が得られるだろう?
この分析が与えてくれる洞察は、雇用、インフレ、赤字や、国債についての経済政策は論議され続けるだろうが、実施される政策は、競合する、この二大権力の権益を反映するということだ。覇権を目指す両者の闘争は、私たちを破滅させかねない。
ウオール街が、国債格付け引き下げというゲームを開始したということは、対処しないかぎり、更に色々おきるだろうということになる。新任の国防長官は、軍事予算を少しでも削減すれば“世界を終わらせる仕組み”となり“アメリカの安全保障、アメリカの兵士やその家族や、軍隊の、国家を守る能力を、損なう”と答えた。
アメリカ人は、テロを恐れるあまり、自分たちの権利を手放してしまうのだろうか? この恐怖を高めるために、偽装テロ事件が実行されるのだろうか? ウオール街は、より大きな脅威として感じられるような危機をひき起こすだろうか?
ウオール街や、軍/安全保障複合体や、その両方の手先であるアメリカ政府による以上の大きな保護を、我々は一体誰から得ようとしているのだろうか?
ロバーツ博士は、レーガン政権の財務次官補、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者で、コラムニスト。
記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article28800.htm
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原発、軍/安全保障複合体と金融業界、両方の大切な利益供与、権力の根源だろう。
原発を推進する海江田経産大臣は、経産省のパペットであり、増税を推進する野田財務大臣は、財務省のパペット。原発の惨事以来、もっぱら、経産省の悪質さに目が向けられる中、財務省批判は、ほとんど目にしない。不思議なことだ。
財務省と言えば、紺屋典子著『平成経済20年史』を読みながら、激怒の余り、何度も中断したのを思い出す。もちろん著者が悪いのではなく、著者がありありと描き出す財務省の悪行の数々にあきれたためだ。宗主国官庁の日本支所。経産省も小物にみえるくらい悪辣。紺屋典子氏、以来、全くテレビには登用されない。森田実氏や植草一秀氏と同じ理由だろうか。原発問題では、広瀬隆氏や小出裕章氏ら。
権力広報装置テレビは、権力の問題点の本質を指摘する人は、決して登場させない。どのような本かは、下記書評をどうぞ。お二人とも絶賛。隠れたベストセラーかも。
『平成経済20年史』(紺谷典子著)書評!!ブログ『神州の泉』
『紺谷典子著「平成経済20年史」について』長尚氏web マスコミの共謀も指摘しておられる。
野田財務相、首相になったら、自民・公明との大連立政権を目指すという。やはり、でてきた奥の手。救国内閣という名前の最悪ファシズム大連立政権。野田首相であれ、前野首相であれ、「脱原発」意識が民・自・公三大属国政党批判に向かうのはしっかり阻止され、逆に、増税、増放射能、属国化推進が円滑に進む。恐るべき焼け太り。アリスの不思議な国以上に不思議。
手品や科学の実験ではあるまいに「悪い政党と、別の悪い政党が合体すると、よい政治が推進できる」理由がわからない。「悪い政党と、別の悪い政党が合体すると、更に悪い政治が推進できる」、と考えるのが論理的な推論だろう。世の中、奇跡はおこらないものだ。
おにうちぎ様から頂いたコメント中に、名著『ショック・ドクトリン』刊行の話題があったので、補足しておこう。2007年刊行。311以後の日本に、残念ながら、一層あてはまる、惨事便乗型資本主義の正体が描かれている。
ショック・ドクトリン――惨事便乗型資本主義の正体を暴く――ナオミ・クライン著 幾島幸子,村上由見子訳全2巻 各巻定価 2,625円。発売予定日:2011/09/09
デモクラシー・ナウ!に、本人が語る日本語字幕ビデオがある。「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 ナオミ・クライン新著を語る
NHKの日曜朝の政府広報番組、野田財務相を首相にするプロパガンダ。小泉・竹中と一緒に日本破壊を推進した太田弘子教授との漫才対話。見ていられないので、すぐに消したが、野田財務相「ショック・ドクトリン―惨事便乗型資本主義」精神の持ち主であることがわかる発言をしていたことが、新聞記事で読める。
野田佳彦財務相は14日午前のNHKの討論番組で、デフレ脱却について「(東日本)大震災という状況の中で復興需要をどうやって満たしていくかという観点からすると、まさに千載一遇のチャンスだ」と述べた。
泊原発再稼働をトメズ、容認に前向きな高橋はるみ北海道知事、元通商産業省高級官僚。止めるはずがない。
歯切れの悪い宣言をした広島松井市長、元厚生労働官僚。上関原発の中国電力、本社、広島にある。日本全国、為政者は原子力マフィアの一員のようだ。
金融資本や、軍/安全保障複合体や、その両方の手先である日本政府による以上の大きな搾取を、我々は、未来永劫され続ける。宗主国とその傀儡機構によって。
敗戦時、アメリカが重要な官庁・重要戦犯らを温存した理由、今になると良くわかる。おかげで、満州国を作った国、自ら進んで、アメリカの大切な永久満州国と化した。
「ジャーナリスト同盟」通信
本澤二郎の「日本の風景」(849)2011年08月14日<誰も書けない松下政経塾>
本澤二郎の「日本の風景」(842)2011年08月07日<66年前の大いなる過ち>
に、またもや納得。
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