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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/19078
■つかの間の恍惚感
投資家は、純粋なヘロインの代わりに、あと2年間は現在の低金利を維持するというFRBの誓約の形でメタドンを手に入れた。
FRBの注射は一時的な恍惚感しか与えてくれなかった。8月10日には株価が再び下げ始めた。いかに一時的だとしても、少なくとも中央銀行はプラスの効果を与えている。一方、政治家は危機に対処する彼らの能力について、重大な疑問を投資家に抱かせた。
欧州の指導者たちは当初、地域の債務問題の深刻さを否定する立場を取っていたが、危機が広がるにつれ、絆創膏をはるような一時しのぎの解決策を講じるようになった。
米国の指導者たちに関しては、短期的に経済を助けることもなく、長期的に政府の財政を改善させるにも力不足な合意に至るまで、デフォルト(債務不履行)の可能性と戯れた。
■政治家の能力に大きな疑問
なお悪いことに、彼らのアプローチは混乱しているように見えた。投資家は結局、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づいて判断するのではなく、政治的な結末に賭ける結果になった。
こうした状況は必然的に景況感に影響を及ぼした。企業経営者にとって、政治リスクが(景気に次ぐ)2番目に大きな懸念要因になっている
さらに、低金利を維持するというFRBの公約は、経済の健全性に対するFRBの懸念を示す兆候であり、株式市場にとっては、とても強気のシグナルとは言えない。
■悪い前兆
リスク回避は、繰り返し最高値を更新する金の価格や、自国通貨の相場を下げようとするスイス国立銀行(SNB)の取り組みにもかかわらず、8月9日に対ドルで過去最高値を付けたスイスフランの強さにも表れている。
一方、米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)は、欧州の銀行の債券を購入することにかつてないほど消極的になっている。
不安を示すさらなる兆候として、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルの株価は8月10日に15%下落した。イタリアの銀行インテーザ・サンパオロの株価は14%下落した。そして、欧州の銀行のデフォルトに対して保険をかけるコストは急上昇した。
銀行が市場からほぼ締め出された2008年当時ほどではないが、欧州の銀行の借り入れコストと各国政府の借り入れコストとの開きもわずかに拡大している。
社債市場では、投資適格級と投機的等級の借り手が支払う金利のスプレッド(国債利回りに対する上乗せ幅)が年初来の最高水準に達している。社債の利回り上昇よりも、むしろ国債利回りの低下が原因だ。
実際、FRBが金利をゼロ近くに抑えることを約束しているため、米国債の利回りは、歴史的な基準で見ても驚くほど低くなっている。米国政府は、資金を5年間借りるのにわずか0.9%の金利しか支払っていないのだ。
こうした低利回りは不気味なほど日本を彷彿させる。日本では過去10年間、鈍い経済成長に直面して、債券利回りがどん底の水準にはりついている。
■先進諸国を日本型の危機が襲う?
このような利率は、かねて先進諸国が日本型の危機に見舞われると予想してきたソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏の「氷河期」理論と一致する。
「持続不能な民間部門の債務の山は、2008年に公的部門に移された。民間の負債が圧縮されていれば間違いなくもたらされていただろう大恐慌時代の現実への適応を防ぐことが狙いだった」。エドワーズ氏は「ただこれらの債務は公的部門の手に渡っても、民間部門の手にあった時と同じくらい持続不能だ」
エドワーズ氏は、「氷河期」が終わる前に、10年物米国債の利回りが1.5%まで低下すると見ている(現在は2.1%)。
景気減速が続けば、FRBは、年内にさらなるQEという形で、強い薬を施さなくてはならないかもしれない。だが、多くの観測筋は、前回と同様、それは一時的な影響しか及ぼさないと考えている。
「QEは株価を押し上げる助けにはなったが、こうした株価上昇は、実現しなかった力強い景気回復への期待に基づくものだった」と、HSBCのチーフエコノミスト、スティーブン・キング氏は言う。市場はいずれ、麻薬をやめなければならない。
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★米国債の格下げは真の危機にあらず(リーマン金融危機のつけを誰が払うか・・が)http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aRDl5FSX3q1Y
米国が陥っている財政危機は、一般に言われる危機とは異なる。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国が依然として世界の基軸通貨国であることを疑いの余地なく証明した。ショックに襲われ、次の格下げの対象が何になるのか分からない時、投資家が買うのは米国債だ。
格下げがあった場合、通常こうした反応は見られない。例えば、S&Pなど格付け会社がフランスの格付けを引き下げたとしよう。ユーロ圏で危機が起こり、フランスの国債利回りが押し上げられただけでなく、ユーロ圏内の銀行に損害を与え、欧州連合(EU)の骨組み自体に圧力がかかっていたはずだ。
米国の財政問題は、市場が同国の債務返済能力を問題にしているのではないということだ。借金を返済する意志があるということは、債務上限引き上げをめぐる交渉の決着によって証明された。下院では、草の根保守派運動「ティーパーティー(茶会党)」の支持者でさえ、その過半数が債務上限の引き上げに賛成に回った。一部の新興国で起きた危機や、現在、西欧の一角で初めて発生している危機とは全く性格が異なっている。
・2つの特異性
その代わり、米国の危機は2つの特異性を有している。第一は成長の危機だ。
成長を回復させることは容易ではない
米国の危機における二つ目の特異性、所得の分配をめぐる争いのためだ。
力のある勢力が台頭しており、いくら政府が理にかなったことをしようとしても、自分たちの狭い利益に反すれば、それを妨げることができるのだ。
このことは2008年の金融危機のつけを誰が払うかという議論にも表れている。危機後の深刻なリセッション(景気後退)を受け、連邦政府の債務は、2018年までに国内総生産(GDP)比で約50%増加すると予想されている。
・誰かがつけを払う
将来の債務を抑制するためには、誰かが失敗のつけを払う必要がある。だが、高所得者層はさまざまな仲間と結託し、茶会党という形で増税に抵抗してきた。米国民の3割を占める支持者を獲得し、その結果、ブッシュ元大統領の富裕層に対する減税は終了せずに、高所得者層以外に多大な影響が及ぶ大型歳出削減へと向かいつつある。
さらに、影響力のあるロビー団体は政治的な特権を得てきており、容易にその地位から動かすことはできなくなっている。例えば、ブッシュ氏とウォーシュ氏は「銀行が『大き過ぎてつぶせない』なら、大き過ぎるというだけのことだ。政府の支援を与えずに、成功するか失敗するかはその銀行の実力で決まるべきだ」という、しごくまっとうな意見を述べている。しかし、議会、連邦準備制度理事会(FRB)や政府が、大手銀行への補助金を打ち切る可能性は全くない。今後数週間バンク・オブ・アメリカ(BOA)を見ていけば、大き過ぎてつぶせないということがどういうことか、あらためて分かるはずだ。
今や米国は、教育や科学研究などといった公共の利益のための投資を犠牲にしてまでも、自分たちの地位を守ろうとする少数支配層に牛耳られているようだ。力を持った利益団体が変革を阻止する時、国家は失敗する・・。(抜粋)
〆)再発した「リーマンがん患者」が市場を徘徊しておる。各病院長(中央銀行)に一般病棟の患者(国民福祉)を差し置いて、延命の新薬認可をねだておる図のようだ。(勘)
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