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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu245.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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関東軍は朝鮮銀行に通貨を発行させて軍資金を賄っていた。
アメリカも日本や中国にドルを買わせて戦費を賄っている。
2011年8月15日 月曜日
日露戦争後、日本の東アジア進出の積極化で円通貨圏は拡大、
アメリカの"ドルを弾丸に代える"政策と真向から対抗することに
なった日本は…。帝国日本の創成と、「動乱の昭和」の幕明けを活写する。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492060960/ref=as_li_qf_sp_asin_til?tag=rekishinoreci-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4492060960&adid=1E1XTRTPJQTXWNNDTHXD&
◆NHKスペシャル 圓の戦争 8月15日 こんなことしてません?
http://takehana.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-d287.html
これは面白かった。経済的に小さな国が大国中国と戦う巨額の戦費を賄うために編み出したのが預け合い制度。しかしこれは単に戦費の借金を先送りするだけのもの。
日中戦争勃発から終戦までの8年間に日本軍が使った戦費はわかっているだけでも7559億円。戦艦大和の建造費が1億4000万円ですから、大和が5400隻建造できる計算になります。ちなみに三八銃は77円で、大学卒の初任給が60円前後。(日本の兵器のお値段より)
こりゃアメリカが予言したように破滅します。
今も戦時の臨時軍事費借入金として414億円、当時の国家予算を上回る額が記載されている。財務省のホームページにありました。http://www.bb.mof.go.jp/server/2005/pdf/200577001000607.pdf
関東軍は政府の方針を無視して満州事変を起こし、満州国を建国しますが、それを画策したのが板垣征四郎と石原莞爾。しかし、戦費の支出は政府が決めるので勝手に軍事行動を起こせない(起こしようがない)。しかしそれを何とかしてしまう石原莞爾。彼にはひとつの思想があった。
戦争をもって戦争を賄う
である。戦争を行って征服し、戦争に必要な物資や資金を獲得していく。
レバレッジをかけ過ぎて破綻して世界経済をどん底に突き落としたリーマンブラザースと同じ。
石原莞爾の現地での資金調達の発想は凄く良いと思うんですが、何かが足りない。戦争で征服しても略奪でもしないかぎり短期的には儲からないという事実。しかも略奪すると長期戦継続に必要な資金や物資は得られなくなるという現実。
熱河作戦から朝鮮銀行が朝鮮銀行券の「円」を発行して関東軍の軍資金に回していた。それは朝鮮銀行の総裁である勝田主計(主計って財政家って名前です)が中国大陸に円による一大経済圏を構築するという思惑があった。
(後出しじゃんけんで言えば、アメリカはドルを基軸通貨(国際取引の決済通貨)として複数の貨幣が併存する自由世界の経済を牛耳っているわけで、円の信用を維持する方が経済支配という意味では重要だったと思います)
関東軍の板垣征四郎も中国を金融的に支配して国民党政府を倒すことを考えていた。だが華北地域には欧米が経済利権を持っていた。しかし関東軍は国民党政権に反発する華北の地元勢力を利用して傀儡政権(冀東防共自治政府)を樹立し、国際緊張を高める。
高橋是清は関東軍の暴走と軍事費負担の急激な増大を抑止するために、朝鮮銀行の銀行券発行を剥奪しようとするが、二二六事件で暗殺されてしまう。ここで日本の興廃は決したといっても過言ではない。
日中事変の戦線拡大とともに朝鮮銀行の発行する円札を流通させようとするが浸透せず、関東軍は中華民国臨時政府を樹立して、中国連合準備銀行券を発行させる(単位は円)。連銀券(アメリカのドル札も訳せば連銀券)を使わないと最高で無期懲役、小麦、石油、阿片を連銀券でしか買えないようにした。
(アメリカのFRBも連邦準備銀行。準備は創設準備とかではなく準備預金のこと)
事変は一向に収束せず長期化し、戦費が急激に増大、調達がままならなくなってきた。そこで編み出したのが預け合い制度。それまでは朝鮮銀行が戦費の円札を刷って関東軍に渡していたが、その戦費は日本政府の臨時特別軍事会計から賄われていた。
預け合い制度は、中国連合準備銀行が朝鮮銀行と預け合い契約を結ぶ。日本から朝鮮銀行に送金された円を裏打ち(担保)として中国連合準備銀行が通貨を発行して現地の日本軍に資金として渡すという仕組み。日本の軍事費に借金として計上される。しかし日本政府から朝鮮銀行に渡された円を中国連合準備銀行は引き出すことはできない。そのため日本政府から戦費として出された円は、日本の国庫に戻される。これで日本政府は借金せずに無尽蔵に円を刷って戦費を調達できる。
しかしそれはあくまで名目上。完全にマネー経済。
この状況は、円天が近い。
現金で円天のポイントを購入して、それで物を買う。しかし円には換金できない。
(末路はどうなるか、こちらに書かれています)
http://d.hatena.ne.jp/Paul3/20070525/p1
当然、現地銀行の発行する円札の価値は暴落(ドルと同じ)、現地経済はハイパーインフレーションになって、戦争で戦争を賄える状況ではなくなる。
対する中華民国の蒋介石総統は法幣とも呼ばれる(元=ユアンと発音し、円と同じ)を導入して、各地割拠する軍閥が出していた1000種類もの通貨を統一しようとしていた。日本の侵略に対抗すべく英米がドルやポンドを国民党政府に提供し、元の通貨としての信用を支えた。もし日本勢よりも先に元を導入していなければ、長期戦に勝てなかったかもしれないと蒋介石は言っている。
戦争拡大で軍事費が国家予算の7割に達し、国際金融界において日本債は暴落。戦争に必要な資源を海外に依存しているため、金塊で調達するようになる。アメリカは日本の金塊が底をつき、戦争継続は難しいとみていた。しかし純金の相場価格は変動するので売ったときの差額の利益をプールしておく隠し口座を横浜正金銀行をニューヨークに持っていた。それは日本が3年戦えるだけの石油を賄うのに十分な金額であった。アメリカは真珠湾だけでなく金融でもだまし討ちにあっていた。日本が日独伊三国同盟を結んだこともあり、アメリカ政府は日本の資産凍結を検討する。日本が南部仏印進駐するに至り、アメリカは日本資産凍結を決定する。
そして日米開戦。
昭和18年にはアジア大陸戦線のすべての戦費は預け合いで賄う決定が下される。首相は東条英機。
当時、中国戦線に展開した第13軍経理部長、原田佐次郎の手記より、
百万人の将兵の物資から、内地に送る兵器製造ための原料資材や穀物の調達まですべて合わせると、終戦の年には現地の金で平均一千億、年一兆円にもなった。
正金銀行が預け合いで調達した金額が終戦までに2800億円以上、日中戦争が始まったときの国家予算の60倍。
(このレバレッジの掛け方はリーマンブラザーズの比ではない)
そして中国で3万倍というハイパーインフレーションを引き起こした。
日中戦争勃発から終戦までの8年間に日本軍が使った戦費はわかっているだけでも7559億円。現在の価値で300兆円を超える。少なくともその4割が預け合いで賄われていた。それでも軍部は本土決戦を叫び続けた。
現在の財政状況は戦争もしていないのに酷い。
子供手当にどれだけ費やしたのか。
節電も預け合い制度も短期ならば勝算はあるものの、長期では敗北しかない。
経済を考えない節電と自然エネルギー偏重に勝算はあるのか。
(私のコメント)
きのうのNHKスペシャルで「円の戦争」をやっていましたが、高橋是清がなぜ二二六事件で殺された原因がよく分かります。軍部の暴走を止めるには資金を止めればできますが、関東軍の暴走を止められなかったのは、関東軍が朝鮮銀行を支配して朝鮮銀行に通貨を発行させて戦費を賄ってしまったからだ。関東軍の力が強力なら「円」は通用したのでしょうが、裏づけの無い紙幣だから負ければ紙切れになる。
しかし日本本土も鉄や石油などアメリカから輸入していたのだから、ドルなどの外貨が尽きれば金で決済しなければならなくなっていた。関東軍がいくら朝鮮銀行に紙幣を発行させても、通用するのは占領地区だけで、それで石油や鉄は買えないから、最終的には日本国が負担する。もし満州が経済発展して外貨を稼げるようになれば別ですが、当時の満州はただの原野だった。
戦後になって満州から大慶油田が発見されましたが、北樺太などからも石油が出てきる。石油がないから戦争したのでしょうが、当時の日本が真剣に石油を探せば石油はあったのです。しかし探査技術も採掘技術も生成技術も当時の日本には無かった。戦争に金をつぎ込むより資源探査に力を入れていれば石油も鉄も石炭も有った。
にも拘らず軍は石油が無ければ戦争は出来ないと駄々をこねて開戦に踏み切りましたが、足元に石油も鉄も有ったのだからばかげている。当時の日本には2000m程度しか掘削技術が無く6000mの大慶油田の発見は無理だった。現代でも石油探査技術はお粗末であり、国内資源はないという発想しかないようだ。しかし海底にはレアメタルや海底油田や天然ガスなど有り余るほどの資源がある。
軍人特有の発想の乏しさから、植民地拡大のほうに突っ走ってしまった。原子爆弾の開発も当時の軍部は力を入れていたとは思えない。最終的には原子爆弾の開発は不可能と言う結論を出していましたが、広島長崎に原子爆弾を落とされて、軍部の原爆開発がいかにお粗末であったかがわかります。大東亜戦争はアメリカの物量に負けたのではなくて、技術力で負けたのだ。
石原莞爾は満州事変の首謀者ですが、広大な満州が有れば地下資源はもとより広大な農地開発で食料も自給できると見ていたのだろう。しかし彼に続く青年将校たちは戦争拡大の方向に暴走してしまった。朝鮮銀行の通貨発行を、戦費とするより満州開発に向けていれば結果は違っていたはずだ。北朝鮮には豊富なウラン鉱山があり、原子爆弾や原子力発電などの発想は無かったのだろうか?
当時の日本にはとても戦争が出来るほどの国力は無く、中国に戦争を拡大したのは戦略的な間違いだ。むしろ二二六事件を奇禍として大軍縮して、その費用を満州開発に振り向けるべきだったのだろう。戦艦大和や武蔵を作るよりも原子爆弾やミサイルを開発するといった発想は、当時のエリート軍人に無かったのだろうか?
戦艦大和や武蔵を作れば海軍軍人には一つの職場であり、今で言えば特殊法人のようなものだ。軍事官僚は職場を作ることは熱心でも日本の国益全体を考えることは出来ないようだ。ロケット博士で知られる糸川博士はジェットエンジンを開発していましたが、失敗続きで中止させられてしまった。原爆開発もウラン鉱石が無いという事で中止になりましたが、北朝鮮のウラン鉱石は世界有数なものだ。
戦争は金ばかりかかり長期化すれば出費ばかりが進みますが、通貨まで現地調達で戦費を賄った。しかしこれは借り入れに過ぎず預け合いといった方法が用いられた。最終的に日本は負けてこれらの「円」は紙切れになってしまった。しかし満州開発や北樺太油田などの開発に資金をつぎ込んでいれば石油や食料の自給も可能だったはずだ。そうなれば紙切れもリアルマネーになったはずだ。
現代でも科学技術開発は歳出削減の対象になりやすく、民主党の蓮方議員はスーパーコンピューターの開発を止めさせようとした。昔も同じであり原子爆弾開発よりも戦艦大和に金は使われて死に金になってしまった。通貨の価値は生産力や技術力などの価値であり、紙の通貨がリアルマネーになるか紙切れに戻るかは使い方次第だ。
アメリカのドルが使われ続けているのも、戦前の日本のように日本や中国の生産力を利用して紙切れをリアルマネーに変えている。日銀と朝鮮銀行や中国連合準備銀行のように利用して預け合いでドルを発行してイラク戦争やアフガン戦争で使っている。しかし預け合いは借金だからいつかは清算しなければならない。アメリカ経済が持ち直せばそれは可能でしょうが、ドルや米国債を国力以上に発行し過ぎればデフォルトの危険性が出てくる。
関東軍も結局は紙幣を乱発してハイパーインフレになって「円」は紙切れになった。紙幣を生産的でない戦争に使えば紙切れになるのは当然だ。現代の日本がデフレになっているのは、生産力に比べて紙幣の発行が少なすぎるからであり、戦前と逆の事を行なっている。確かに国債の発行は1000兆円近くになって不安が高まっている。
これが生産的なことに使われていれば1000兆円の国債はリアルマネーになるだろう。しかし公務員の給料や特殊法人に使われて死に金化している。公務員は真面目な人が多いから給与が貯蓄に回って使われないからだ。公務員の人件費を削って科学技術開発などの生産的な事に使われれば1000兆円の国債など一気に償還できるほどの利益が出るだろう。
石油は地下を採掘しなければ出ないというのは間違いであり、藻から生産できるのであり、水素も水を電気分解すれば燃料として無尽蔵に生産が出来る。科学技術の開発で今までの常識が覆させるのであり、これが現代の錬金術だ。大東亜戦争は裏から見れば「円」と「元」と「ドル」との戦いだった。しかし戦争の勝敗を決めたのはアメリカの原子爆弾だった。日本は原子爆弾の開発に失敗して負ける事が確定した。
関東軍のエリート将校は戦争のことしか知らず、石原莞爾中将のような満州を理想国家とするプランが理解できなかった。当時の金で7559億円もの金が使われましたが、現在の価値で言えば300兆円になります。それだけのカネで満州開発や原子爆弾開発に使っていれば結果は違っていただろう。だから軍人に政治を任せれば戦争に使ってしまう。官僚に任せれば自分たちの懐にしまってしまう。
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