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Financial Times
世界的な株安、弱気相場の到来か
2011.08.11(木) 8月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
G20、金融安定化に向け緊急声明 8日の市場は反応薄
ドイツやフランス、インド、中国の株価指数は高値からの下げ幅が20%に達し、定義上は弱気相場入りした(写真はドイツ・フランクフルトの証券取引所)〔AFPBB News〕
「Bear market(弱気相場)」――。投資家にとってはかなりの痛み、そして恐らく、世界の大部分にとっては景気後退を意味する言葉だ。
ここ数日間の投げ売りによってドイツやフランス、さらにはインドや中国でも株価は20%を超える下落となり、数字の上では弱気相場入りの定義を満たした。英国のFTSE100種株価指数も、9日には弱気相場の領域に足を踏み込む場面があった。
しかし米国株が9日の寄り付きから上昇して弱気相場入りを回避していることを受けて、一部の投資家からは、20%超の下落だけでは弱気相場に入ったと断定できないとの指摘が出ている。
では、今は降伏して株式投資から手を引くべき時なのか、それとも買い注文を入れる絶好機なのだろうか?
過去の弱気相場が示唆する暗い見通し
もし世界の株価指数が本当の意味での弱気相場に入れば、過去の歴史を見る限り、株価の下落は長期に及ぶ恐れがある。米国のS&P500株価指数は1956年以降に8度の弱気相場を経験しており、それぞれの高値から大底をつけるまでに平均で約15カ月間を要している。
今回は大半の株式市場が今年4月に高値をつけたばかりであるため、このデータは、株価がまだしばらく下がることを示唆していることになる。
しかし、すべての弱気相場が似たような展開になるとは限らない。例えば1987年には、S&P500指数が高値から大底に至るまで3カ月しかかからなかったが、それでも下落率は34%に達した。
「私は、1987年の下落を弱気相場とは見なさない。まばたきをしたら見逃してしまうようなものだったからだ」。英国の資産運用会社ヘルメス・ソースキャップのCEO(最高経営責任者)、アンドリュー・ペリー氏はこう語る。
ペリー氏によれば、弱気相場とは「価値が長期にわたって失われていくこと」であり、最近では2000〜02年の相場がこれに当たるという。この時は、株価が2年半で半分になった。1973〜74年の弱気相場でも、20カ月間で同様な下落が見られた。
今年の株価下落は、その大半がここ10日間で生じているものなため、ペリー氏は今年の下落に「弱気相場」のレッテルが張られることに納得していない。ただ同氏は、2007年に始まった弱気相場がいまだに続いている可能性もあると話している。
実は今も弱気相場が続いている?
S&P500指数、FTSE100指数、そしてドイツのDAX30種株価指数はまだ、危機前の2007年の高値よりも約30%安い水準にとどまっている。
「今回の株価下落は、2007〜09年の弱気相場の終わりだと考えることもできるかもしれない。従って、2009年の安値に戻ることはないかもしれないが、度胸を再度試される展開になっている」とペリー氏は言う。
NYダウ急落、前日比512ドル安
8日月曜日まで大幅安が続いたニューヨーク株式市場では、割安感も出始めている〔AFPBB News〕
S&P500指数は9日には1140ポイント前後の水準にあり、2009年3月につけた安値666ポイントをはるかに上回っている。それでも、一部のバリュエーション(株価評価)モデルでは株価に再び割安感が出始めている。
ドイツ最大の資産運用会社DWSで欧州株式担当責任者を務めるヘニング・ゲプハルト氏は、予想利益や株価純資産倍率(PBR)、配当利回りなどのモデルを見る限り、株式はお買い得に見えると述べている。
同氏によれば、ドイツ株のPBR(株価をその企業の1株当たり純資産で除して算出する)は、DAX指数で見れば現在1.1倍で、リーマン・ショック後の安値は0.9倍だった。また現在の配当利回りは5.5%で、ドイツ国債の利回りの2倍以上になっている。
深刻な景気後退を予想する市場
こうした現在のバリュエーションは、市場が深刻な景気後退を予想していることを示唆しており、ゲプハルト氏はこれを「過剰反応」ととらえている。
とはいえ、今このタイミングで株式を買うことにはためらいを覚えるという。「このような相場では、落ちてくるナイフをつかんでしまうことがよくある。買いを入れるなら、相当大胆にならないといけない。ただ、(深刻な景気後退になるという)市場の想定が誤っているのであれば、今の相場は好機になり得る」
ゲプハルト氏はまた、過去の弱気相場との比較はほとんど役に立たないと考えている。多くの投資家は昔のように同じ銘柄を3〜5年も保有したりせず、20日前後で手放してしまうというのだ。「時間の進み方がどんどん速くなっている。ニュースもずいぶん速く流されるようになっている。相場の調整や底入れも以前より短期間で行われることだろう」
バリュエーションは魅力的だが・・・
資産運用会社バンガードで欧州部門最高投資責任者を務めるジェフリー・モリター氏も、バリュエーションを見る限り今は株式買いの好機かもしれないと考えている。DAX指数が高値から30%下げていることについても、「『これはひどい』というよりも、魅力的じゃないかという印象の方が強い」と語っている。
ただモリター氏に言わせれば、今回の下落と以前の弱気相場が最も異なっているのは、今回のバリュエーションの方が割安だということだ。
「以前の下落局面では、すべての条件が完璧であることを前提に株価が形成されていたが、今回はそうではない。だからといって、これ以上下がらないというわけではないが、長期投資家にとっては、今の相場は少しずつ買い向かうチャンスだろう」
投資家心理も問題になる可能性がある。投資家の多くは、ストラテジストのエドワード・ヤルデニ氏が言う「フルインベストメント状態の弱気筋」である。彼らは長期的には弱気だが、当面は株式が(特に債券に比べて)割安だと今の今まで思っていた。彼らがこの見方に見切りをつける兆候が出てくれば、市場にとって悪い材料になるだろう。
また、すべてのバリュエーション指標が株式の「買い」を促しているわけではない。過去10年間の1株利益(インフレ調整後)の平均値とS&P500指数を比較したロバート・シラー教授の10年PER(株価収益率)はまだ、株価が割高であることを示している。
底打ちはまだ先か?
現在の10年PERは約19.7倍で、1871年以降の平均値16.4倍を上回っている。少なめに表示された利益が使われているとしてこのデータの正確さに疑問を呈する向きもあるが、それ以外の人々にとっては、このPERは株式にまだ下落余地が残っていることを示すものとなっている。
さらに、もし株式市場が弱気相場に入りつつあるなら10年PERは7〜8倍になるのが通例で、これを現在のS&P500指数に当てはめると、その値は700ポイントに近い数字となる。株価の底打ちは、しばらく先のことになるのかもしれない。
By Richard Milne
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