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今はリーマンショックや世界恐慌のような民間金融システムの機能不全による恐慌ではない
格下げは、政治機能不全(政府部門の適正な意思決定能力、需要創造機能や徴税機能の喪失)を象徴しており、今後の世界全体の消費と投資の減少(景気後退、デフレ要因)として効いてくる
市場は、それを先取りして、資源国や経常収支赤字国の売り、株の売りとして反応している
また市場は先取りし過ぎることが多いので、短期間で深い底をつけ、そこから振動しながら平衡状態を探ることになるのだろう
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_287098/?nid=NLM20110810
米格下げ危機、リーマンショックとどう違う?
2011年 8月 9日 21:05 JST
2011年を「2008年 続編」と捉える向きがいる。5日のスタンダード&プアーズ(S&P)による米国債の格下げを、08年9月のリーマン・ブラザーズの経営破たんに置き換えれば、ある信じがたい出来事の発生で世界中の市場が震かんしたという点で、両者は一致する。
確かに、8日は世界各地で株価が大幅に下げた。ただ、市場の乱高下だけで、歴史の反復を証明するのは困難だ。
08年の金融危機と今日の危機には3つの根本的な相違がある。
まずは最も明白な相違だ。両者は発端がまったく異なる。
3年前の危機はボトムアップの形態をとった。過度に楽観的な住宅購入者の間に芽生えた危機は、ウォール街の証券化マシーン(それに、格付け会社の少なからぬ努力)によって増幅し、やがて世界経済に打撃を及ぼした。金融セクターの問題がもたらした危機だった。
これとは対照的に、現在の危機はトップダウンの形態を持つ。景気を刺激できず、財政均衡を保てなくなった世界各国の政府が、経済界の信頼を失ったのだ。
やがて、民間セクターの支出と投資が大きく減少し、高い失業率と低い成長率につながった。今回、市場や銀行は被害者であって、加害者ではない。
2つ目の相違は、おそらく最も重要なものだ。金融機関と家計は07-08年にかけて、安価なクレジットを大いに楽しんだ。
そしてバブルが崩壊した際、デレバレッジというクラッシュ・ダイエットが激しい景気後退ショックをもたらした。
今回の問題は正反対だ。景気低迷により、企業や家計は現金を貯め込み、借金を避けた。このため消費は落ち込み、投資は伸び悩んでいる。
3つ目の相違は、先に挙げた2つの相違の直接的な影響だ。発端を見てわかるように、08年の金融危機のソリューションは、痛みを伴ったが、簡素なものだった。低い金利や銀行の救済、金融システムへの資金の注入といった手段を通じ、各国政府はこぞって流動性を供給した。
ただ、負担は小さくなかった。各国政府は約1兆ドルもの資金をシステムに注入せざるを得なかった。また、納税者は不公平にも他人のツケを払うことになった。しかし、このソリューションにより世界的な恐慌は回避された。
今日の危機にこのようなソリューションは用意されていない。現在の問題は、流動性の欠如やレバレッジのかけ過ぎによってもたらされたのではない。企業と家計のバランスシートは、もはや債務で膨張していることはない。
本当の問題は、金融機関に相互信頼感が欠けていることと、政府に経済を成長軌道に導く能力が欠けていることだ。
レポ市場やインターバンク市場といった金融システムの目づまりをみれば、それは一目瞭然だ。S&P、もしくはイタリアやスペイン国債の買い手に尋ねてみればいい。政治家が問題を解決できると、どれだけ自信を持って言えるかと。
今回の危機はその性質から、前回の危機に用いられた兵器が役に立つことはない。
記者: Francesco Guerrera
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