http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/634.html
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量的緩和も巨額財政支出も効かず、オバマは求心力を失いつつある
日本の橋本消費税ショックの頃の状況に近い
かっての日本は、途中で欧米バブル景気による為替安と輸出ドライブで雇用増に使えたが
それもできない米国は、さらに悲惨な状況になりそうだ
メインシナリオは、不況とインフレを繰り返しつつ、中流層のさらなる貧困化か
こういう時は、大体、右派が台頭するものだが、茶会党も今一つ分裂気味で元気がない
中国などを仮想敵として、国民の不満を逸らすことも難しそうだな
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_284723
切望される米国成長の青写真
Capital―経済コラム
2011年 8月 4日 17:44 JST
米国のビジネスモデルが破綻した。
巨大で多様な、マーケット主導型の米国経済について、「ビジネスモデル」が語られることはめったにない。しかし、政府の政策や投資家の投資行動、企業や消費者の態度の根底には、時に直接的に、時に間接的に、経済成長戦略というものが存在する。
米国の戦略は機能していない。経済が縮小から拡大に転じて2年がたつが、生産高は依然として景気後退前の水準に戻っていない。完全雇用を達成するには雇用が1000万件不足しており、成人の就労率は58.2%と、28年ぶりの低水準にある。最新のさえない経済指標は、現在の景気回復が典型的なものでないことを浮き彫りにしている。二番底懸念が高まるとともに、旧来のけん引役が将来の成長を担えないことも確実になった。
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ニューヨーク大学のエコノミストで、経済成長を研究しているポール・ローマー氏は、現在の状況を「大困窮(Great Distress)」と呼び、苦しい時期が今後5年ないしは10年続くと予想する。
近く退任する大統領経済諮問委員会(CEA)のグールズビー委員長が論じるように、米国は借金頼みの消費者支出と住宅バブルが経済をけん引した過去10年間の国家ビジネスモデルへの回帰を目指すべきではない。同委員長は「2000年代のやり方に戻るわけにはいかない」と述べ、「事業投資、輸出増、イノベーションを原動力とする」回復が必要だと主張した。素晴らしい。だが、どうすれば実現できるだろうか。
今週議会で行われた討議の裏には、二つの考え方があった。ごく簡単に言えば、次の二つだ。
一つは、政府が手を引けば民間部門が力を発揮する、という考え方だ。
「われわれは雇用を創出したい。そのための最善の方法は、民間部門からお金を取るのをやめ、国民に重税を課すのをやめ、そうしたお金を民間部門に託し、雇用創出のために使ってもらうことだ」と、ヴァージニア・フォックス下院議員(共和党、ノースカロライナ州選出)は語っている。スローガンは「増税反対」だ。
もう一つの考え方は、民間部門は一握りの勝ち組層のためにしか働いていないのだから政府がロビン・フッドになるべきだ、というものである。
バーバラ・リー下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)は、「減税では雇用は創出されない。米国経済から数百億ドルの利益を得ている超富裕層や企業に増税を求めなければ、高齢者や子ども、貧困層に対する国家の責任を果たしていくために必要な資金は得られない」と主張する。スローガンは「メディケア(高齢者向け医療保険制度)、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)、社会保障給付金の削減反対」だ。
普通のコラムニストならこの段階で、両者の考え方を批判してから賢明な選択肢を一つ導き出すという作戦を立てるが、私はそうしない。事実に基づいて言えば、大きな政府は”現時点では”民間部門を阻害していない。少なくとも大企業にとっては、活用されていない生産能力や遊んでいる人材が大量に存在し、利用可能な低金利資金が豊富にある(新興企業の資金不足は心配の種だが)。同時に、ここ数十年で、勝ち組と負け組の経済的格差が拡大しているという実態もある。
しかし、議会討議ではあることが忘れられていた。金融とヘルスケアという、米国経済の二大セクターがステロイド漬けになっていることだ。生産性の高い活動を阻害している要因があるとすれば、それはこの二大セクターである。ローマー氏も最近、全米科学アカデミーで行った講義でそう主張していた。
金融セクターは、本来なら科学やソフトウェア、エンジニアリングといった他の分野に就職していたであろう有能な人材を、多額の報酬で大量に引きつけてきた。そうして肥大した金融セクターは、第二次世界大戦後に敵視されたいかなる共産主義者よりも、米国経済を大きく傷つけた。
一方、米国のヘルスケア・システムは、他のどの国よりも一人当たりのコストが高いが、米国民の健康状態は世界一とは言えない。米国は、どちらのセクターからもコストに見合った価値を得ていないのだ。
両セクターは、なぜこれほどまでに巨大化してしまったのだろう。ローマー氏の論理はこうだ。金融とヘルスケアの利益追求型プレイヤーたちが私欲を求め、議会を乗っ取り、行き過ぎ行為を取り締まるための規制に反対し、時代遅れのルールを悪用したためだ。
「立法プロセスは、莫大な富と収益の懸かっている資金力豊かな企業の巧妙な手口に極めて弱いと言えよう。議会は、特売価格で売られているようなものだ」と、ローマー氏は述べた。
そのための解決策を同氏は次のように論じる。議会はより多くの場面で協力し合い、法案を吟味した上で可決、または否決する力を持つべきだが、お金の流れに影響を与える法的規制を詳細に練ることは避けるべきだ。
すなわち同氏は、軍基地閉鎖・再編委員会(閉鎖すべき軍基地を決定する)や、独立支払諮問機関(メディケア支出の節減方法を検討する)や、債務削減のために新たに設けられる超党派特別委員会(1兆5000億ドルの債務削減方法を検討する)のような組織を増やすことが望ましいと考えているのだ。
おそらくそれが正解だろう。ただし、将来の繁栄が米国全体――政府、企業、国民、大学――に懸かっていることは明白だ。米国全体が一丸となって成長戦略を支えるとともに、競争が激化するグローバル経済のなかで米国がまだ強みを持つ有望セクターに人材や資本が流れるよう、インセンティブを設けることが必要である。
記者: David Wessel
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