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米債務問題はデフォルト回避にむけ、とりあえずオバマ大統領と共和党の暫定合意が成立したが、今後も対立と危機的状況が続く。
しかし、日本は
財政問題はあるが、危機ではない
なのに政府みずから危機を演出し、危機を呼び込む
東日本大震災や福島第1原子力発電所事故に伴う電力供給不安のなかで、円高が進むのはなぜか。
理由は簡単、日本国債で代表される円に問題はあるが危機ではないからだ。これに対して、米国債のデフォルト(債務不履行)もささやかれるドル、ギリシャなど財政破綻国を抱えるユーロはまさしく「危機」にあると、市場が判断している。
なのに、菅直人首相、与謝野馨経済財政担当相と財務官僚たちは、いまだに日本はギリシャの二の舞いになると叫び続け、財政問題を危機レベルに引き上げてきた。まじめで勤勉な国民をショック症候群に陥らせ、社会保障も、震災復興も、B型肝炎訴訟和解金支払いの財源もすべて増税、と信じ込ませる。
世界の投資家は「日本にはまだまだ増税のゆとりがある」とみなしている。国内貯蓄は国債の95%を賄ううえに、世界最大の債権国として米国などの債務を引き受けている。これほど安全な資産が他にあろうか。
しかも増税は消費を細らせデフレを促進する。デフレは通貨価値を高めるのだから、投資家は円が上がり続けると予想する。
日銀も円高を放置してきた。中央銀行はおカネを大量に刷ってはいけない、政府の財政をファイナンスしてはいけない、悪性インフレが起こり、国民は大変な苦難に見舞われる、と言い続けてきた。
これも、「問題」を「危機」にすり替える効果をもたらす。実際にはどうか。米連邦準備制度理事会(FRB)は08年9月の「リーマン・ショック」後、ドル資金を大増刷し、この6月までに実に3倍以上も増やした。米国の第二次大戦参戦期間(1941〜45年)をさらに上回る速度でおカネを創出した。マネーの洪水と全般的なドル安にもかかわらず、米消費者物価は6月で前年比3.6%上昇にとどまっている。
円高のよい面もあるだろう、と肯定する向きも多い。目端のきく日本電産の永守重信社長のように円高をテコにしたM&A戦略で業績を拡大する名物経営者もいる。
しかし、マクロでみると、風景は一変する。企業の国内向け設備投資は円高に連動して縮小してきた。
大震災後、企業の投資関係ニュースの大半は海外での増産や新規プロジェクトだ。大震災による被害は世界的規模でサプライチェーンに混乱を引き起こした。大、中小を問わず、日本企業はコア技術を東北の地に温存、門外不出にしていた。
今や、その秘蔵技術ごと、中国などに持っていく動きも相次いでいる。円高デフレで需要不足、電力不足、さらに増税とくるのだから、企業は日本にいられなくなっている。
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★ヒジョウシキノ政策が円高、デフレ、財政悪化を呼ぶ
非常識の政策が円高を呼ぶ
「米欧は正真正銘の財政危機なのだが、日本政府の債務は問題であっても、危機ではない。だから円や日本国債をみんな買うのだ」と、英ロンドンの国際金融アナリスト、A・シムキン氏は筆者にずばり語った。
社会保障支出も東日本大震災の復興も、B型肝炎訴訟和解金支払いも、これ以上政府債務を増やすとギリシャ並みの危機になるから、増税で財源を確保しなければならないというのが、菅直人政権の「何でも増税」路線なのだが、国際金融社会では異様に映る。外から見れば危機レベルではないのに、政府は家計や企業の所得を奪ってまで国債の償還を保証するのだから、米欧や中国など世界の投資ファンドは安心・安全の日本国債を買い、円相場を吊り上げては荒稼ぎできる。
◆認識の甘さが間違い
世界の経済学者の間では、「日本はなぜ世界の非常識となる経済政策をとるのか」という疑問が広がっている。米エール大学で教鞭(きょうべん)をとっている浜田宏一教授はそこで、米国人の同僚教授とともにこの夏休み期間、来日して精力的に政治家、官僚、大学教授、ジャーナリストなどにインタビューし、原因分析に取り組んでいる。筆者も浜田教授に見解を聞かれた。「日本の政官学、メディアにはデフレに関する認識が甘いことが、安易な増税など政策の間違いを生んでいるのです」と答えた。
消費税増税に踏み切った1997年度には少し改善したが、98年度にはデフレが本格的に始まり、消費税、所得税、法人税を合わせた基幹税収が急激に落ち込んでいく。小泉純一郎政権の最後の年の2006年度、基礎的収支はめざましい改善を遂げた。円安誘導政策により輸出主導型の成長軌道に乗り、税収が大幅に回復したからだ。しかし、07年度からは円高に反転し、08年9月にはリーマン・ショックに見舞われた。円高は東日本大震災でさらに加速し、現在に至る。
円高はデフレを呼ぶ。デフレはおカネの価値がモノやサービスに対して高まる。物価が上がる米国などの通貨に対してデフレ国の通貨、円相場が上昇するのはまさしく市場原理であり、デフレの帰結だ。
こうみると、「国庫はデフレの最大の被害者」(宍戸駿太郎筑波大学名誉教授)なのだが、歴代の政権、財務官僚にその意識は乏しいままだ。逆に、政府要人は「デフレよりも日本国債への市場信認のほうが重要だ」(与謝野馨経済財政担当相)と信じてやまず、日本=ギリシャという悪夢をメディアの論調に刷り込んでいる。
デフレを退治するためには、思い切った財政出動と金融緩和が欠かせない、というのが経済学上の国際常識のはずなのだが、デフレを重大視しないと逆に増税を通じて財政均衡を図る財務官僚の思考が支配的になる。財務省に近い経済学者たちは、例えば増税による税収増加分20兆円を財政支出すれば、20兆円だけGDPが増えると論じている。増税すればデフレになり、税収が減った97年の失敗を無視している。
◆小学生にもわかる嘘
いくら増税しても財政出動すれば景気回復できるというのであれば、およそこの世に財政問題など存在しないはずである。増税さえすれば不況も財政もすべて解決されると聞けば、小学生だってそれは嘘だとわかるだろう。軽薄な菅直人政権だけは本当だと思い「何でも増税」にのめりこむ。
財務官僚は一方では、日本がデフレから脱し、インフレ率が上がれば、国債利回り(国債の市場金利)が上昇し、国債を大量保有する金融機関は1%の利回り上昇で2・5兆円の評価損が生まれ、信用不安が起きると警告する。日銀もインフレ発生を理由にお札を刷らず、円高を放置し、デフレを事実上容認する。
だが、国債を支える日本の家計の金融資産は1500兆円に上り、そのうち現預金は820兆円に上る。1%の金利上昇で8兆2千億円家計の金融収入が増え、消費を刺激し、カネが回り出す効果を無視している。政府が外国からの借金に頼る米国やギリシャとはわけが違う。
政策の最優先目標を脱デフレに転換するだけで、日本は活路を切り開けるのだ。そのためには、菅直人首相の即時退陣と後任のデフレ認識が必要だ。(田村秀男)
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