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オバマ米大統領は31日夜の緊急記者会見で、米債務上限を引き上げるとともに、今後10年間で2兆5000億ドル(約195兆円)の財政赤字を削減することで与野党指導者が合意に達したと発表した。米債務問題は最終決着に向けて大きく前進したが、野党共和党が多数派を占める米下院での採決など流動的要素もあり、なお慎重に手続きを進めるとみられる。東京外国為替市場ではドルが買い戻され、円相場は下落。東京株式市場では日経平均株価が大幅に反発した。
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【ワシントン=矢沢俊樹】オバマ大統領は31日夜、ホワイトハウスで緊急記者会見を開き、米債務上限の引き上げ問題について「米議会指導者は上限引き上げで合意に達した」と述べた。債務上限を少なくとも2兆1000億ドル引き上げる権限を大統領に与えるとともに、その前提として、当初1兆ドル、その後1兆5000億ドルの計2兆5000億ドル規模の財政赤字を今後10年間に削減するよう義務付ける。
大統領は「米議会において非常に重要な投票を残している」と強調。1日にも上下両院で超党派妥協案の可決に持ち込みたい考えだ。また、共和党のベイナー下院議長も31日夜「大統領と大枠合意に達した」と明言した。
大統領は会見で「デフォルト(債務不履行)は回避する」と強調。第1段階として、債務上限引き上げと併せ、当初1兆ドルの財政赤字削減方針を先行して決定すると述べた。ホワイトハウスの発表によると、さらに第2段階では超党派の「特別委員会」を設置し、今年11月までに1兆5000億ドル規模の追加財政赤字削減計画に関する報告を求める。
当初の1兆ドル削減には、オバマ氏が強く求めていた富裕層向けなどの増税措置は盛り込まず、基本的に歳出削減で対応する。増税を認めない共和党に譲歩した格好だ。
2012会計年度の予算教書ベースでは米財政赤字は向こう10年で累計7兆ドル超に上る見込み。仮に2兆5000億ドル規模の赤字削減が実現しても、巨額の財政赤字が残る計算で、米財政の持続性に対する不安はくすぶりそうだ。
超党派合意を巡っては31日午後も、大統領と米上院超党派グループ、ベイナー下院議長らが断続的に協議。同日夜になって上院のリード院内総務を軸にまとめた財政赤字削減案での合意に向けた動きが加速した。
米債務上限の引き上げ期限は2日。米財務省は同日を過ぎると「米政府の債務履行を保証できなくなる」と早期合意を促していた。31日夜からは東京市場をはじめ週明けの国際金融市場が開くことから、ホワイトハウスは同日中の「合意表明」を強く意識したとみられる。
議会の手続きは8月1日に最大の正念場を迎える。下院多数派を野党共和党が占めており、大統領らの超党派合意案にどこまで賛同が得られるかはなお不透明。
大統領らとの協議に全面関与しているベイナー議長は同党議員に妥協案への理解を求めており、可決するとの見方も強まっている。上下両院での可決後、大統領が同法に署名し、直ちに債務上限引き上げに踏み切る見通しだ。
債務上限問題は来年11月の大統領選をにらみ、財政健全化の強力な推進を唱える共和党が「債務上限と財政赤字削減をセットで決めるべきだ」と主張し、迷走を続けてきた。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE2E3E2E3E48DE2E3E2EAE0E2E3E39F9FE2E2E2E2
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