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日本は小金持ちが多く、あまりESGへの意識は高くないが
欧米では、結構、意識が高いようだ
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20110706/106802/?P=
持続可能性への関心高める世界の富裕層
日本国内では、社会的責任投資やESG(環境、社会、カバナンス配慮)投資の残高が一向に大きくならないが、海の向こうでは資産家たちが、自らの資産運用にあたって投資先企業が持続可能な地球のあり方と整合的なのかどうか、関心を強めている。
伸びる欧州のESG投資
スイスのバーゼルに本拠を構えるサラシン銀行。現在はオランダに本社を置くRabobank Groupが持ち株会社になっているが、伝統的に世界の富裕層を相手にしてきた代表的なスイスの「プライベート・バンク」のひとつだ。
この銀行が、2009年6月に世界を驚かせる方針を宣言した。スイスにおいて資産家たちから一任されている株式、債券の資産運用のすべてを、ESG投資で行うことにするというものだった。通貨取引や商品取引に関するものは除外されるものの、とりわけ注目されたのは、「もしESG投資に対して明確に疑問を有するなら申し出てほしい」と、顧客に対して呼びかけたことであった。
顧客を失うことになるかもしれない新方針に対して、「ESG投資は嫌だ」と応答した投資家は全体の5%以下だったとサラシン銀行は後に発表している。この新方針の結果、同行のスイスにおける2009年の一任型資産運用委託の口座数は64%増加し、運用資産総額は117%も伸びた。
昨年の統計数字を見ても、欧州では個人投資家向けの投資信託のなかで、ESG投資を標榜するものが伸長している。2009年6月から2010年6月までの1年間で、資産残高は41%の伸びとなった(Vigeo調べ)。これは市場全体の時価総額の増加を大きく上回るものである。
とりわけESG投資を標榜する投資信託の資産残高が大きいのは、フランス、イギリス、スイス、ベルギーで、このうちスイスは2009年6月から2010年6月までの1年間で59%伸びたと報告されている。
別の調査では2009年12月から2010年12月のあいだに、スイスのESG投資は投資信託、一任型資産運用委託などの合計で23.2%の伸び、総額は約420億スイスフラン(4.2兆円)だと報告されている(Sustainable investment Forum Switzerland調べ)。この規模は、日本のざっと10倍に当たる規模である。
50年先を考えればESG投資は当たり前
6月16日、サラシン銀行はファイナンシャル・タイムスと国際金融公社による「2011年持続可能性に最も貢献した金融機関」表彰において「持続可能性に優れて貢献した銀行」6行(大賞を含む)のうちの1行に選ばれた。今年の表彰候補には、61カ国、161の金融機関から、187の部門にエントリーがあった。そのなかの受賞であった。ちなみに、「持続可能性に優れて貢献した銀行」のほかにも4つある全部門を通じて、日本の金融機関はひとつも入賞を果たしていない。
サラシン銀行のCEOは受賞に際して、「持続可能性」というキーワードを自らの企業理念の中心におき、ESG投資に20年間、経験を積み重ねてきたことが報われた」とコメントしている。事実、同行は、スイスにおけるESG投資のマーケットのうち、27%のトップシェアを占める存在である。持続可能性が、自行の差別化の切り札となっているといえるだろう。
筆者が社会的責任投資のための企業調査の仕事を始めたころ、当時、ビジネスパートナーになっていたスイスの金融機関に「なぜ、こうした金融商品を開発することになったのか? きっかけは何だったのか?」を尋ねたことがある。回答は明快で、「顧客のニーズだ。我々が顧客としている世界の富裕層は、50年、100年のオーダーで自分たちの資産を守っていくには何が必要なのかを知っている」という答えに舌を巻いた。
投資家あるいは資産家の懐の深さの違いと言ってしまえばそれまでで、日本で社会的責任投資やESG投資が広がらないのも、むべかるかなと感じ入ってしまうが、自らの資産の保全ということに最も敏感な、世界の富裕層が持続可能性に関心を強めているという事実は、時代の状況を端的に表しているように思えて、実に興味深い。
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