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株式日記と経済展望
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日銀が、大震災後の年率15、16%以上のベースマネー増量を打ち出せば、
外国為替市場の円高期待感は薄れ、逆に円安へと流れが変わるだろう。
2011年7月30日 土曜日
中央銀行による国際的なお札の増刷競争であり、日本は刷り負けている。
◆おカネを刷る世界と刷らない日本 7月28日 田村秀男/SANKEI EXPRESS
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中央銀行はおカネを大量に刷ってはいけない、悪性インフレが起こり、国民は大変な苦難に見舞われる、というのが経済学上の定説だが、今やお蔵入りだ。21世紀の今日では刷った国が勝ち、刷らないと負ける。主要国のなかで唯一おカネを刷らない日本では、円高が進み、日本企業は台頭著しい中国、韓国などの企業と競争で苦戦している。それでも、上海やソウルに行けばショッピング、観光と楽しめるではないかと思う方々もいるだろうが、そんな気になれるのはほんの一部だけだ。国民の多くは円高デフレのために可処分所得が下がり続け、貧しくなるばかりなのだ。
■進む円高、国際競争も劣勢
この6月時点では2007年6月に比べ、円はドルに対して34%、対ユーロ30%、対中国人民元23%、さらに対韓国ウォン44%と高くなった。道理で、韓国や中国の家電メーカーが日本との競争で優位にたつはずである。欧州でもドイツの輸出産業が活気づいている背景にはユーロ安がある。いったい、どうして円だけが高くなるのだろうか。円高要因はさまざまだが、最も強い因果関係があるのはどうやら、お札の増し刷り競争のようだ。
グラフをみてほしい。中央銀行別の資金供給(金融用語では「ベースマネー」=おカネの基=と呼ばれる)残高を通貨別に追っている。まず、鮮明にわかるのは、日銀は2007年はじめからベースマネーを増やそうとせず、他の主要中央銀行は増やしてきた。特に米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のベースマネーの膨張に連動して円高・ドル安に加速がかかっている。
FRBは08年9月の「リーマン・ショック」後、ドル資金を大増刷し、この6月までに実に3倍以上も増やした。ベースマネーは現金発行残高と金融機関がFRBを構成する連邦準備銀行での準備預金の合計をさす。米国が参戦した第二次大戦期(1941〜45年)の4年間にFRBは現金を約3倍発行した。当時のベースマネー公式統計データがみつからないので、正確にはわからないが、現在は戦時体制をさらに上回る速度でおカネを創出したとも考えられる。こうしたマネーの洪水とドル安にもかかわらず、消費者物価は6月で前年比3.6%上昇にとどまっている。
ドル安と言うが、円に対してそうでも、ユーロに対しては7%安、人民元に対しては15%安、ウォンに対しては逆に16%も強くなっている。対ドル・レートからみた国際競争力では韓国がもっともうまく優位に立ったことになり、日本は最もハンディを負った。韓国はベースマネーを着実なペースで増やし続けると同時に、外国為替市場での介入により、円はもとより人民元に対してもウォン高にならないようなオペレーションを展開しているようだ。
対照的なのが日本である。日銀はリーマン・ショックが起きてもFRBに同調せず資金供給量を増やさなかった。ことし3月11日の東日本大震災が起きた後は、さすがに1年前に比べて16%、資金発行量を増やしているが、リーマン前以来の趨勢(すうせい)でみれば、日銀の慎重姿勢は際立っている。それでももし、大震災後にベースマネーを増やさなかったら、円相場は1ドル78円台どころか、70円くらいまで上昇していたかもしれない。
■「量的緩和政策」への転換を
以上、みてきたように、経済学教科書なんかにこだわらず、お札の洪水を引き起こしてきたのが米国で、日本を除く他の主要中央銀行が追随してきたわけだが、日本はこの教訓をうまくいかせば、周回遅れながら、円高を止め、円安にうまく誘導し、米国、欧州、韓国、中国などの企業を国際競争で逆転できるようにできるだろう。
というのは、他の国は悪性インフレにこそなってはいないが、インフレ懸念が忍び寄っており、欧州は金融引き締めに踏み切り、ユーロ安に歯止めをかけざるをえない。中国は人民元の大量発行のために不動産バブルの膨張が止まらず、消費者物価指数も6%台まで上昇している。人民元の一層の切り上げと利上げでモノと資産のインフレの進行を止めるしかない状況だ。米国も失業率改善など実体経済の回復が確かになれば、これ以上のドル増刷は控えるようになるだろう。韓国を除けば、金融面から自国通貨安促進策をとりにくい状況だ。
そこで、日銀がはっきりと「量的緩和政策」への転換を決め、大震災後の年率15、16%以上のベースマネー増量を打ち出せば、外国為替市場の円高期待感は薄れ、逆に円安へと流れが変わるだろう。もとより、日銀を突き動かすためには、ポスト菅直人首相に指導力ある人物が就かなければならないが。
(私のコメント)
円が76円台まで急騰していますが、8月2日のアメリカのデフォルトが迫って来ています。アメリカ政府の債務残高が増えるのは、金融危機を克服するには国債の大量発行で金融機関を救済しなければならかったわけですが、それが法定上限に達してしまったからだ。アメリカは基軸通貨国だからいくらでもドルは発行できる。しかし買ってくれる国があればの話だ。
冒頭のグラフでも分かるように、アメリカがジャンジャンドル札を印刷してばら撒けばドル安になりますが、中国はドルだけ安くなることは困るから、人民元も安くする為に印刷機をフル回転して人民元札を印刷してばら撒いています。このようなアメリカと中国の札刷り合戦で、世界の投資家たちは円を買って自己防衛している。
中国はインフレが激しくなって、賃金の上昇も激しくなっていますが、これでは人民元を安くしていてもコスト高になってしまう。金利を上げたり準備率を引き上げて引き締めていますが効果は無いだろう。インフレを抑えるには人民元を引き上げればいいのですが、輸出競争力がないからそれも出来ない。
アメリカと中国の通貨ばら撒き合戦で周りの国が迷惑していますが、韓国のようにある程度のオペレーションを行なってウォン安にコントロールしていますが、日本も為替が急騰しない程度の金融緩和で調整すべきだろう。しかし銀行が持っている国債を買いオペしても銀行は貸し出しを増やさない。だから銀行の預貸率は下がる一方で銀高収益は下がる一方だ。
日本の銀行は資金運用能力がなく、土地などの担保がないと金は貸してくれない。こうして預金を集めても運用能力がないから国債ばかり買っている。昔は機関投資家として株などを買って運用していましたがバブル崩壊でこれも大きく損失を出して手を出さなくなってしまった。預金は年々増え続けているのに貸し出しも増やさずに国債しか買わないから国債の金利は超低金利のままだ。
金利の高い外債などで運用すればと思うのですが、これも資金運用能力がないから限度があるのだろう。こうなれば日銀がリスクを背負って投資すべきなのでしょうが、これは政府の財政の役割だ。しかし政府も財政再建を優先して公共投資を減らし続けている。確かに橋や道路や箱物を作っても景気波及効果が無くなって来ている。
「株式日記」では科学技術開発に公共投資を向けるべきだと書いてきましたが、新エネルギー開発などはほとんど行なわれてこなかった。原子力開発には毎年4300億円も使われていましたが、地方では風力発電機もほとんど見かけず太陽光発電プラントなども見かけなかった。政府は原子力発電一辺倒になりさらに14基の原発を増設しようとしていた。
このように国家戦略がはっきりせず、方向が見出せないのが日本の停滞の原因なのでしょうが、国内でマネーが回らないのも銀行の機能不全と政府の迷走が原因なのだ。円高で困った困ったとばかり言っていないで、円高を生かす政策をはっきりと打ち出すべきなのですが、国内投資に新しい分野を見つける事が出来なかった。
「株式日記」では新エネルギー開発や農業の大型化や米を輸出商品にするなどの政策提言をしてきましたが、どうしても既得権益の壁に突き当たってしまう。しかし福島原発の事故は新エネルギー開発の一つのきっかけになるだろう。農業の近代化も農地の自由化を行なって新規参入を促せば地方の活性化に繋がる。
日本では金があっても使い道がないから経済が停滞しているのであり、規制緩和と自由参入を促す政策に切り替えるべきだ。電力一つとっても東京電力の地域独占は既得権化していますが、自由化して競争を促せば新規参入が相次いで日本各地に様々な発電所が出来るだろう。農業にしても自由化して高齢化した農家の離農を促して集約化を進めて農業の企業化を進めるべきだ。
銀行なども資金運用能力のない銀行は潰していって、新規参入を促して自由競争をさせるべきですが、日本政府はどうしても既得権を保護して収益の低い産業ばかりになってしまう。以前なら自由化すると外資に乗っ取られる危険性がありましたが、リーマンショックでハゲタカはいなくなった。以前のハゲタカはアメリカ国営ファンドであり日本の銀行や道路公団や電力会社まで買い占めてしまうほどの勢いがありましたが、リーマンショックで枠がはめられた。
日本は円高なのだから、アメリカのハゲタカを買収して国際化すればいいと思うのですが、一時はゴールドマンサックスやモルガンスタンレーを救済したりするほどだった。野村もリーマンを買収して国際化しましたが、円高を生かせば世界中の有力企業を買収して、彼らを働かしてその上前をはねればいい。バブルの頃もアメリカの不動産や映画会社を買収して全部失敗しましたが、円高というのは買収してくださいと言っているようなものだ。
日本の銀行には借り手のない預金がうずたかく積まれているのだから、アメリカの農地を買収したり、レアメタル鉱山を買収したり、石油会社も買収したらどうだろうか? アメリカは8月2日に倒産するのだからあらゆるものが大安売りに出されるだろう。それらを買ってくださいとばかりに円が高くなっているのだから買うべきだ。買ったら直ぐに円安にして売却すれば円安差益が稼げる。通貨は高くすることは大変だが安くするには円を大量発行すれば直ぐに安くなる。
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