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2011年07月23日
◆ 先端技術の国外流出
IT技術、太陽電池、リチウム電池などの先端技術では、韓国や中国に技術流出が続いている。この問題を解決するには?
──
IT技術、太陽電池、リチウム電池などの先端技術では、韓国や中国の企業が非常に頑張っている。日本とともに、世界1,2,3位の位置を占めていると言ってもいいだろう。
これは驚くべきことだ。米国や欧州にもできないことを、韓国や中国がやっている。(できている。)
では、それはなぜか?
韓国や中国は、技術水準が非常に発達したからか?
違う。日本からの技術流出が続いているからだ。
では、なぜ、日本からの技術流出が続いているのか?
違法に技術を盗んだからか?
違う。合法的に技術を盗み取ったからだ。
では、「合法的に盗む」という(一見矛盾した)ことは、どうやって可能になったか?
それは、「退職した技術者を高給で雇う」ということによってだ。
──
核心は、こうだ。
「日本の高齢の技術者(特に定年で退職した技術者)を、韓国や中国の企業が、高給で迎え入れる。そして、技術を吸い尽くしたところで、2〜3年で捨てる」
ま、うまい方法である。年収 2000万円ぐらい( or もっと)の高給で、2〜3年ほど雇い、数十億円の価値のある技術を、ちゃっかりいただく。肝心の最先端の企業秘密をいただくことは無理だとしても、2〜3年前の技術ならばいただける。こうして急速に技術水準を高めていく。そのあとは、日本の技術者の指導と、現地の若手技術者の努力により、日本に近いレベルにまで近づける。
技術開発というものは、その時点で開発しているものよりも、過去の蓄積基盤がものを言う。そして、それがない欧米諸国は、日本に太刀打ちできない。しかるに、それを合法的に盗んだ中国と韓国は、日本に太刀打ちできるし、部分的には日本と並ぶこともできる。
──
これはどういうことか? 簡単に言えば、こうだ。
日本では、若いことが偉いと思われ、中高年への敬意はなくなっている。「年寄りは邪魔だからさっさと引退しろ」というふうに思われている。高齢者は肩たたきをされたり、退職勧奨をされたりする。「おまえたち年寄りは、若手の努力で得た利益を、食いつぶしているだけだ。とにかく、働きに見合った給与以上を得ている。だからさっさと出ていけ」
中国や韓国では、先輩や高齢者への敬意が残っている。「現在の水準を構築したのは、先輩の力です。先輩に学びたいと思います」と感じて、高齢者から知恵を得ようとする。そして、そのために、対価を払う。
本当を言えば、高齢者には、非常に優秀な人がかなり多い。若手の 20代などは、逆立ちしても勝てないほどの実力を持った人が多い。大学の研究者だって、大学院生では、60歳ぐらいの教授にとても対抗できないはずだ。企業だって、同様である。
なのに、その優秀な技術者を、日本企業は尊重しない。60歳と言えば、まだまだ頭はすごく切れる人が多いのに、退職させてしまう企業が多い。技術者が30代で脂がのりきったころには、安月給でこき使ったくせに、60歳になると、ポイ捨てしてしまうわけだ。
ほとんど「裏切り」と言ってもいいくらいだ。夫に長年尽くしてきた妻が裏切られたと思うような感じを受けるだろう。こうなったら、かわいさ余って憎さ百倍、という気になっても当然だ。当然、中国や韓国の企業に尽くすとしても、倫理的な後ろめたさなどは、ちっともないはずだ。何しろ、裏切ったのは、自分ではなく、自分の勤めてきた企業だからだ。「おいしいところを吸い尽くして、そのあとでは十分有益なのにポイ捨て」なんて、ひどすぎる。
で、ポイ捨てされた価値あるものを、中国や韓国の企業がまんまといただくわけだ。(トンビが油揚げをさらうようなものだ。油揚げを勝手に捨てる方が悪い。)
──
ここまで見れば、解決策はわかる。
企業が自社の技術を流出させたくなければ、それに見合うように、技術者を優遇すればいい。給与体系によって、理系ばかりを優遇できないというのであれば、理系技術者を、65歳ぐらいまで、高給で雇い続ければいい。そうすれば、人件費はかかるが、その人の持つ莫大な技術情報を流出させずに済む。
しかし現実は、そうではない。その人にかかる人件費を惜しんで、退職させる。と同時に、その人の持つ莫大な技術情報を流出させる。企業は社員の忠誠心に訴えて、「流出させないでくれ」と頼む。だが、そう頼む企業自身が、技術者をさんざん安月給でこき使っていたのだから、そんなことを頼む資格はないと自分でもわかっているはずだ。
日本では、理系技術者の給料が、文系よりも低い。頭がいい専門職よりも、頭のいい専門職を管理する文系の事務屋の方が、給料がいいのだ。太陽電池やリチウム電池を、自らの頭を使って開発する人々よりも、その原料コストなどをエクセルで数字ごっこしている人々の方が、給料がいいのだ。
こういう馬鹿げた国から、技術者が流出するのは、当然のことだ。韓国や中国に行けば、技術者はとても優遇される。たとえそれが、2〜3年のことにすぎないとしても、退職後の晩年を過ごすには、十分だ。……しかも、金よりも何よりも、「敬意」をもらえる。多くの若い現地技術者が「先生お願いします」と頭を下げて教えを請うてくれる。
そういう敬意は、日本にはない。「年寄りは無能だ、さっさと出ていけ」というような態度ばかりがある。(典型は池田信夫だろう。「年寄りはごくつぶしだ」という主張をしている。自分自身が年寄りなのに。 (^^); )
簡単に言えば、日本企業は、自分で自分の首を絞めている。なのに、それに気がつかない。「技術情報が中国・韓国に漏れていて困ったなあ」と思うぐらいだ。いや、そう思うことすらなく、「自分たちは頑張らなくっちゃ」と思うだけの企業が大半だ。いくら頑張っても、そこに穴があいているのだから、どんどん溜め込んでも、どんどん漏れるばかりなのだが。底の抜けたバケツの発想だ。
要するに、日本企業は、抜けているのである。その愚かさに気づかない限り、無駄な投資をするばかりなのだろう。
( ※ 「円高や電力不足や法人税が大変だから、政府は解決してくれ」なんて述べている企業が多い。また、それに賛同している経済学者も多い。池田信夫みたいに。……しかし、そんなふうに「政府は助けてくれ」と泣き言をいうよりは、自分の態度を改める方がいいだろう。)
( ※ たとえば、 韓国の現代自動車は、2006年に三菱からエンジン技術を導入した。それくらい技術水準は低かった。なのに 2011年の今では、韓国車の「ソナタ」は、日本の各社をしのぐ水準に達している。これほどにも急速に技術水準が向上した。その理由を、よく考えてみるがいい。韓国人が欧州人をしのぐほど優秀な民族であったはずがない。韓国が世界レベルに達する産業は、どれもが、日本が世界レベルに達している産業だけだ。そこには「コバンザメ商法」みたいな原理がある。それに気づかないと、いつまでたっても、食い物にされるだけだ。)
( ※ ついでに言っておくが、これは、韓国や中国が悪いわけではない。韓国や中国は、日本が捨てた宝を、拾っているだけだ。宝を拾った人が悪いのではない。宝を捨てた人が悪い。「年寄りなんてゴミだ」と思って捨てている日本は、その報いを受けているだけだ。)
[ 付記1 ]
若い世代から高齢者への世代へ、富の流出が起こっている……という説がある。これを大騒ぎしている人もいる。(たとえば池田信夫)
彼らはどうも「年金」という制度を、根本的に理解していないようだ。
若い世代から高齢者への世代へ、富の流出が起こっている……というのは、問題でも何でもない。当り前のことだ。人は、子供・大人・老人という三つの期間に分かれる。そして、子供・老人という時期には富を与えられ、大人という時期には富を与える。弱いときには与えられ、強いときには与える。そうでなくては、その人々は生きながらえない。
馬鹿な人々は忘れてしまったのだろうが、彼らは子供の時期に、親の金で育ててもらった。だから彼らが成年に達したあとは、親を養う。それが昔から続いてきた原理だ。しかるに最近では、個人ではなくて社会が高齢者を養うようになってきた。だから、子が親を養うかわりに、「年金」という制度ができた。
つまり、「年金」とは、「若い世代から高齢者への世代へ、富を渡す」という意味もあるが、正確には、「子が老いた親を養う」というのを社会的に制度化したものだ。
仮に、「年金」をなくせば、子が自分の財布から直接、親に仕送り金を送ることになる。別に、子の出す金がなくなるわけではない。……そこのところを、理解できない人が多いようだ。
ま、彼らの本心は、こうだろう。
「自分は子供のころには、親に育ててもらった。だけど親が年老いたあとは、自分は親を養いたくない」
つまり、こうだ。
「自分は親から金をもらいたいが、自分は親に金を与えたくない。もらうだけもらって、もらったものを返したくない。おれのものはおれのもの。ひとのものもおれのもの」
要するに、ただのエゴイストだ。(倫理的な意味で)泥棒と同じだ。借金の踏み倒しと同じ。
そして、こういう発想が、企業にもひろがっている。
「企業は、技術者からはたっぷりと成果を得るが、その成果に対する報酬は、最小化したい。技術者からもらう分は最大で、技術者に報いる分は最小にしたい」
こういうエゴイストである企業が、技術者にしっぺ返し受けているわけだ。自業自得。
[ 付記2 ]
ま、私としては、こうアドバイスしたい。
「どうせ技術者になるなら、日本企業に勤めるよりも、最初から外国の企業に勤めればいい。たとえば、最初からアメリカの企業に勤めればいい。そうすれば、最初からずっと高給だ」
特に、IT系ならば、そうだ。ハードウェアでも、米国には高給で迎えてくれる企業がたくさんある。
そのための前提は? 英語力です。
金をたっぷりと稼ぎたければ、英語力を磨いて、米国に行こう……というのが、理系の人へのお勧め。
日本の企業に勤めても、理系は何もいいことがない。正当な金をもらうには、退職後に訴訟を起こさないと、駄目だ。下記を参照。(もらえることはもらえるが、かなり値切られる。要求額よりずっと少ししかもらえない。日本の裁判所は、企業と政府に甘い。その点は、米国とは大違い。)
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