http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/527.html
Tweet |
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_279141
S&P、ムーディーズ、フィッチといった大手格付け会社が、米政府に支出を削減させるために「格下げ」という脅しの手段を使うことが可能なら、彼らには公共サービスが務まることになる。しかし、現実は違う。米政府は民間格付け会社に権限を与えすぎていた。そして今、格付け会社の影響力低減を狙って昨年成立したばかりの改革を、規制当局者が骨抜きにしようとしている。 規制当局者による格付け会社の「カルテル」解体の義務付けは、金融規制改革法(ドッド・フランク法)のひとつの重要な功績だったと言ってよいだろう。
〆 格付けカルテルは2008年の金融危機の引き金にもなった。しかし、議会関係者によると、銀行規制当局者は、この義務付けについて、厳しすぎると何カ月も不満を漏らしており、最近、緩和を目指して動いていた。
ガイトナー財務長官は、20日付の本紙への寄稿で、同法の改革を弱体化するような法案が議会を通過すれば、オバマ大統領に拒否権行使を促す意向を示した。それにもかかわらず、財務省の傘下にある通貨監督庁(OCC)は、改革に反する動きを主導している。
〆 住宅市場が好景気に沸いた当時、S&Pとムーディーズ、フィッチは、トリプルAのお墨付きを住宅ローン担保証券(MBS)に付与したが、それは単に愚かな意見を示しただけではない。金融機関にそのひどい助言に従うよう強制したのも同然だった。なぜなら、政府の規則は、3大格付け会社を信用リスクの公式な審査機関と認めていたからだ。
例えば、証券取引委員会(SEC)の監督下にあるマネー・マーケット・ファンド(MMF)や証券ブローカーは、「カルテル」から付与された高格付け資産を保有する必要があった。また米連邦準備理事会(FRB)は、銀行に対し、彼らの資産が三大格付け機関から高格付けを付与されないと、担保の差し入れに支障が出る可能性を示唆した。世界的なバーゼル銀行規制ルールは、トリプルAの住宅ローン証券の保有銀行を厚遇した。
金融規制改革法は、こうした状況をふまえ、規制の際に格付けを参照する当局のやり方を洗い出し、信用リスクを判断するためのより適切な基準に置き換えるべきだとした。
一方、銀行規制当局は、ルールの作り直しをしぶっているだけではなく、法律からこの責務を丸ごと削除しようと議員に働きかけていた。OCCと米連邦預金保険公社(FDIC)の当局者は、議会への陳情の大半を行っていた。 今さらどうなるものでもないと思われるが、問題は、彼らが、既に成立した法律で義務付けられていることをどこまで先送りできるか、という点だ。
〆 役人たちは、金融制度改革法が求めているのは信用リスクの完璧な計測だと解釈し、彼らはデフォルト(債務不履行)を予測する最適な指標として、クレジット・デフォルト・スワップ・スプレッドなど市場のシグナルはもちろん、レバレッジ・レシオやバランスシートの健全性尺度の有効性について議論した。しかし、本当に彼らがなすべきことは、責任の所在をあるべき所に戻す――すなわち、資産運用者の判断に委ねることである。
では、機関投資家が運用に失敗することはないのか。もちろんその可能性はある。・・主要機関投資家が、格付けカルテルが認めたMBSに投資して、同じ間違いを同時に犯すことを促進するような古い格付け制度よりも、システミックリスクがかなり縮小することになる。・・格付け機関の住宅リスクモデルやバーゼルの自己資本基準には致命的な欠陥があった。それらが金融市場全体を苦しめたのは、皆がそれに従わざるを得なかったからである。
もっとも、従来の格付け制度は、カルテルがなくても続くことになるだろう。S&Pなど大手格付け機関は、政府による投資家への格付け利用の強制がなくても、市場で競争する用意があると主張している。 格付け機関の判断を参照することが義務付けられなければ、三大格付け機関の代替手段がなくなってしまう、との当局者の心配も無用だ。
「クレジットサイツ」や「ラピッド・レーティングス」といった独立系企業について、投資家は、政府の義務付けがなくても、公開企業の審査料金を支払うことに納得している。コンサルティング会社のジュールズ・クロールが新たに手掛ける「クロール・ボンド・レーティングス」は、SECの承認を受け、投資家に対し、格付け機関以外の選択肢を新たに提供した。格付け制度がなくても、信用分析手段は存在するのである。その分析の採用を誰も義務付けられなかったとしても。 (抜粋)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。