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存在感増すブラジル経済 1内需主導の成長の強み
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/493.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 22 日 19:43:10: 6WQSToHgoAVCQ
 

存在感増すブラジル経済【1】内需主導の成長の強み
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20110720/106931/?P=2

 このコーナーの執筆者として、ブラジルという国はいつかまとめて取り上げねばならないと思っていた。BRICs(最近は南アフリカを入れてBRICSだが)がタイトルに入っている以上避けて通れないという消極的な意味合いではなく、ワールドカップ(2014年)、それにオリンピック(2016年)の開催も決まる中で今後ますます重要な国になるだろうからだ。既に日本より人口は多く(1億9000万人)、人口構造はピラミッドに近く、そのトップの発言が世界的な注目を集めることも多くなった。

 今までまとまったブラジル特集をしてこなかったのは、筆者が実際に行ったことがないためだ。やはり行ってみるのとそうでない場合は違うと思う。思い入れも違う。しかしブラジルに関しては、私の親しい友人がこの巨大な国に関わるビジネスを始めて話を聞く機会も多くなったし、ネットなどを通じて得られる情報も多くなった。何よりも、ブラジルに関して筆者としても頭をまとめておきたい。無論、来年なりに機会を作って行く予定である。今年は9月の前半に11日ほどシベリア鉄道でロシアの広大な大地を東から西に移動する。そのレポートもお楽しみに。
政策金利が12.25%に

 ブラジルに関して筆者が最近で一番驚いたニュースは、同国の中央銀行が先頃、政策金利を引き上げ、上げ幅は0.25%と小幅だったのだが、結果として金利が12.25%になっていたことだ(6月8日)。今のデフレが話題の先進国経済ではとんと聞かないレベルだし、中国、インドでもない。かつてのブラジルなど南米のハイパーインフレ(1990年代初頭の年間2400%を超えるインフレ)を知っている私のような人間には、「もしかして、ブラジルは逆戻りか」と一瞬考えたのだが、調べてみるとそうでもないようだ。その辺も探ってみたい。初回は、「ブラジルという国」の特徴を、ほかの様々な国と比較することにより浮かび上がらせたい。

 ブラジルを調べて「ほかのBRICS、特に今世界で一番注目を集めている中国とは違うな」と思うことは、今では実質7.5%前後に達している年間経済成長率のかなりの部分は内需、つまり国内の消費者の購買活動などによって達成されていることだ。言ってみればブラジル経済は「内需主導」なのだ。具体的に言うと、ブラジルのGDPの約6割は消費が占める。この割合は日本の57%と同等、ないしやや上回る水準だ。GDPの55〜70%を消費が占めるというのは、概ね先進国経済の特徴なのだが、ブラジルは開発途上国にして既にその特徴を持っているということになる。

 常に代表的な途上国とされる中国の姿は全く違う。中国はGDPに占める国内消費の割合が4割に過ぎない。つまり、国民全体の間に所得に裏打ちされた消費があって成長しているわけではない。言ってみれば、それは「輸出主導」であり、その環境を整えるための投資主導(工場、ビルなど建物、インフラなどへの)の成長であるという点だ。だから通貨政策も違う。人民元高は中国にとって「輸出抑制要因」として働くから、できる限り通貨高には抵抗しようとする。国内のインフレ率が高まっても、中国は自国経済が「輸出依存」であることを知っているからだ。
 対してブラジルは、「高い成長見込み」や「高い国内金利」を背景に同国に資金が流入して通貨レアルが高騰しても、国際会議の場で米国などにクレームを付けるだけで、最初からある程度容認している。米国へのクレームというのは、「米国など先進国の超金融緩和で市場に出てきたお金が、成長見込みの高いブラジルなどに入ってきて通貨高が生まれ、この資金流入がブラジルの物価高や通貨高を生んでいる」というものだ。しかし、通貨高は国内のインフレ抑制に役立つ面がある。かつて想像を絶するような高いインフレ率に悩んだブラジルは、それをよく知っている。

 経済成長の主軸を国内に置いているということは、

(1)海外で経済ショックが生じたときにも、ブラジル経済の受ける打撃が少ない
(2)仮にショックを受けても、その後の立ち直りは素早い

−−ことを意味する。それがそのまま実現したのが2008年のリーマン・ショックによる世界的な経済危機後のブラジル経済の急回復である。その回復の素早さ、順調さ故に今のブラジル経済に対する高い注目度があると言えよう。これも次回以降で詳しく見たい。
広大な国土だが、領土紛争はなし

 次回から様々な角度でブラジルを分析するが、連載の最初にあま多くの人が気づいていないことを指摘しておきたい。それはブラジルがとてつもなく大きな国だということは誰でも知っているとして、にもかかわらずブラジルは周囲の国と、領土などを巡る紛争を全く抱えていないということだ。つまり、大国維持のコストが少ないことだ。米国が世界各地で戦争を抱え、テロとの戦いに費やしているコストは、同国経済や財政に重くのしかかっている。ブラジルにはそれがない。

 改めて確認すると、ブラジルはBRICSの中ではロシア(約1700万km2)、中国(960万km2)に次ぐ850万km2を誇る。その次はインドの320万km2だから、我々が比較的良く知るようになったインドの二倍以上の大きさということだ。ちなみにBRICSの枠を外して世界でブラジルがどのくらい大きな国土面積を持つかと見ると、世界5番目である。

 ロシアの一番は変わらないが、次いでカナダの998万km2、次いで米国と中国がほぼ拮抗していて960万km2。中国の場合は、チベットなどの地域を入れての話だが。そしてその次がブラジルである。その広大な国土の周辺に紛争を抱えていない。その国土に2億人弱が住む。ちなみに日本は38万km2。

 それだけ考えても、ブラジルは可能性のある国だ。その国を何回かに分けて取り上げたい。 

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