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日中などドル金融資産ばかりを蓄積してきたアジア諸国にとっては厳しい状況が続く
選択と集中で成功できない普通の投資家(国)にとってリスク分散は常に重要だ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=awxzMHS5aKWk
中国の当局者にはとても笑えない
ジョーク−W・ペセック
7月20日(ブルームバーグ):3兆ドル(約237兆円)もの外貨準備保有が突然、まずいやり方に見えてきた。投資家が明らかにドルよりも円を選好しており、中国にとっては極めて良くない状況だ。巨額の公的債務を抱え、高齢化が進み、政治的にふらついている上に大地震・大津波と原子力危機に見舞われている日本の借用証書が、米国債より安全に思える。
中国の途方もない規模の外貨準備高をまだ強さと見ている投資家も多い。金融ハルマゲドンへの備えとなっているというのがその理由だ。だが、落とし穴に陥った中国が存在しない出口を見つけ出そうともがいているのが現実だ。
2011年が進むにつれ、1997年のアジア金融危機以降につくられた「ブレトンウッズ2」ともいうべき枠組みが崩れ落ちようとしているだけではなく、数兆ドルという国の資産がリスクにさらされる事態となっている。現代のようなレバレッジ(借り入れ)が重なり合う複雑な世界的なシステムの下では、本来のブレトンウッズ体制に採用されていた金本位制への復帰というのは現実離れした構想だ。
アジアは自国通貨を事実上ドルに連動させ、巨額の外貨準備を蓄えている。最も大きな技能と積極さでこのゲームに参加してきたのは中国に他ならない。過小評価された人民元こそが、世界2位の経済大国となった中国の原動力だ。だが、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は第3弾となる量的緩和策(QE3)の可能性を持ち出し、ガイトナー財務長官が徹底的に米政府の借り入れを進めようとする中で、中国がこのゲームを続けるのは一段と難しくなっている。
格下げの可能性
何よりも状況を明確に照らし出したのは、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービスによる最近の警告だ。両社とも最上級の「トリプルA」を付与している米国を格下げする可能性があると発表したのだ。
今のこの世界で、最上級格付けに値する国があるという考えはまさにお笑い草だ。だが、中国の当局者はこのジョークが中国に対する警告でもあるとより強く認識しているはずだ。中国は1兆2000億ドル相当の米国債を保有している上に、ギリシャやポルトガルなどユーロ圏周辺国が発行する国債を熱心に買い入れている。
全てが外交につながる。中国は今や米国にドルを守るよう懇願している。クリントン米国務長官の今週の訪中では、米国債も人権同様、大きな議題となる。欧州は国際通貨基金(IMF)による救済が必要となる事態を回避するため、中国が経済難の国々を支援することを期待している。そして、保有するドルを投げ売りするようなことはしないと米政府の顔色をうかがっているのが日本だ。
2001年9月11日の米同時多発テロ後の世界で、顕著な勝ち組となったのは中国であり、それ故に08年の金融危機以降、群を抜いた存在となった。米国が筋の通らない高価な戦争に数年を費やし、世界の多くの国や地域と疎遠になっている間に、中国は仲間づくりとエネルギーや商品の契約を取り交わすことに多くの時間を割いた。中国は今、道路や橋、送電網の建設を通じ、世界の隙間を再び埋めつつある。
板挟み
中国による欧州の国債買い入れが好例だが、その動機は経済的というより政治的だ。だが経済は、政治家の政策と計算を凌駕(りょうが)する傾向がある。1990年代後半のアジアで起こった金融危機に伴うドミノ効果がその典型だ。当時、インドネシアでは長期政権を続けていたスハルト大統領が退陣に追い込まれ、韓国では金融の混乱がかつて反体制派の象徴だった金大中氏を大統領の座に押し上げた。
これは現代の逆説だ。世界経済の一端を担いたいと思う者は、市場を動かす数百万人の神経質な投資家の気まぐれに支配されることを受け入れなければならない。格付け会社がソブリン債格下げを進める中で、欧州はその教訓を学んでいる。公的債務の上限引き上げをめぐる政治家の対立が続く米国もまた、S&Pとムーディーズをなだめようとしているがその能力の限界に直面している。
中国などアジア各国はその板挟みとなっている。巨額のドルを蓄えるアジアの性癖は決して良いものではなかったが、世界最大のマルチ商法にすら見えなくなってきた。中国がドルを売り込もうとすれば、市場は壊滅するだろう。中国のドル買いが加速させた金融バブルは、世界がこれまで目にしたことにないような規模となっている。歴史上、最も恐れを知らない外国為替取引が今まさに行き詰まろうとしているのかもしれない。そうなればもう、笑い事では済まない。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
記事に関する記者への問い合わせ先:William Pesek in Tokyo at wpesek@bloomberg.net.
記事に関するエディターへの問い合わせ先:James Greiff at jgreiff@bloomberg.net.
更新日時: 2011/07/20 14:46 JST
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