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東日本大震災の被災地の地価が、一部で震災前より上昇している。
地価が上昇するエリアは大別して二つ。
一つは被災地域で被災を免れた高台など希少価値のある場所だ。新たな市街地建設や、低地から移住・移設が進むとの期待も価格を押し上げている。
すでに5月24日の衆議院で、岩手県大船渡市を事例に高台買い占めが懸念されていた。実際、震災前は坪10万円程度だった宅地が、「坪13万円で取引されたという話があった」(大船渡市関係者)。宮城県石巻市でも2割上昇した土地があると地元紙が報じた。
高台買い占めを指摘された大船渡市は情報収集を開始。「個人間の取引はあるが、現時点で投機的な大規模取引はない」(活力推進課)と胸をなで下ろすが、市のホームページで不当な土地取引の情報を市へ連絡するよう呼びかけるなど、地価動向に神経を尖らせている。
もう一つは建物が崩壊した跡地だ。以前から東北の沿岸部では放置された廃工場・倉庫が多数あった。更地価格より数百万円高い解体と廃棄物処理の費用が必要だったからだ。ところが、震災で建物は崩壊、がれき処理費用は国が負担する。ある不動産鑑定士は「解体費用がネックで長年売れなかった物件が、震災後に売却できた事例が出てきた」と驚く。
もちろん、こうした取引は一部の特殊な事例。だが、震災後の不動産価格を鑑定中の不動産鑑定士は、「公示地価は取引事例で鑑定するのが原則。鑑定では特殊事例は除くが、高い価格の取引が一般的になれば公示地価に反映せざるをえない」と悩んでいる。
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