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http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_275672
金と米国債―この危機的状況における最強のヘッジとは
マーケットウォッチ
2011年 7月 19日 17:18 JST
【ニューヨーク】今、流行りのすべての議論のなかでも、デフレとインフレの議論ほど大きなテーマは数少ない。この議論に関して、私はここ数年、型破りとも言える主張を展開し続けてきた。
私は、高インフレは深刻な脅威ではない(ハイパーインフレも脅威ではまったくない)と固く信じている者だが、金の保有者でもある。しかし、私の金保有に匹敵するのが、これまた金の「宿敵」と長らく思われている米長期国債の保有なのだ
米連邦準備理事会(ワシントン)
これについては、完全な矛盾、との見方もあるかもしれない。しかし、大規模なデレバレッジ(私は、デレバレッジが2013年に入ってもしばらく続くことに自信がある)が進むかぎり、この金と米国債のヘッジが、今後数年、高パフォーマンスを示し続ける可能性があると私は信じている。これまでのところ、このヘッジのパフォーマンスはかなり良く、チャートが示す通り、金融危機以降の3年間、長期債と金はリターンを上げている。
私の主張はむしろシンプルなものだ。ここ数年、世界経済に起きたこととは、債務バブルの崩壊に伴う大規模なデレバレッジだ。リチャード・クー氏はこれを「バランスシート不況」と呼んだ。「バランスシート不況」は、資産バブルがはじけ、民間セクターがバブル時代の債務をバブル後の収入で返済していく際に発生する。浪費家が貯蓄家へと変わり、経済は、現在多くの先進国でみられるような停滞状態に陥る。
この状況において興味深いのは、政府の対応と投資業界の受け止め方だ。民間セクターのデレバレッジを受けて、先進国政府は、流動性のポンプを始動させる準備をした。主要メディアはこれを「紙幣の増刷」と呼ぶ。しかし、この政策対応は完全な見当違いだった。
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、問題を解決策し、融資を拡大させるとの想定の下に、銀行のバランスシートを資金で満たす措置を取った。しかし、問題自体、銀行ではなく、家計に端を発したものだった。つまり、「治療薬」が問題の根っこに届いておらず、患者がちっとも良くならないのも不思議ではないのだ。その結果、銀行融資は相変わらず縮小、中央銀行当局者は、資金供給がなぜインフレ率の上昇や経済活動の活発化、融資の拡大につながらないのかと首をかしげている。
チャート
金と米長期国債のリターン推移(3年間)
もちろん、彼らはすべての状況を見誤っている。大方の投資業界も然り。そして、FRBと投資業界によるこの誤解こそ、我々の投資機会が生まれる場所だ。当局によるこの種の政策は、実際、景気刺激にほとんど役に立たないため、「FRBのバランスシートの拡大がハイパーインフレにつながる」と主張するハイパーインフレ論者が現代の銀行経営についての誤解に時間を費やしている間、実体経済は弱いままで推移する可能性が高い。
しかし、間違っているからといって、「紙幣増刷」や「債務のマネタイゼーション(貨幣化)」の記事があらゆる新聞やウェブサイトの一面から消えるわけではない。そうした記事は一般大衆を貴金属へと向かわせ、実際には小幅なデフレが先進国の家計を破壊する一方で、貴金属人気がインフレ懸念に拍車をかける(それはFRBを立ちすくませる)。
債券市場には、「FRBには逆らうな」という唯一無二の金科玉条がある。FRBが様子見姿勢を取るかぎり、FRBの政策と金利の高い相関性が続くことになるだろう。それはつまり、国債に極めて強気になれるということだ。この皮肉は、欧州でさらに顕著だ。
欧州の経済通貨同盟(EMU)の失敗で責められるべきは、政府の信用に支えられる「法定不換紙幣」ではない。実際、単一通貨ユーロは、貿易赤字国に大惨事をもたらした金本位制時代の単一通貨に似ている。それと同じ大惨事が今日起きつつある。ユーロ周辺国は、多額の経常赤字の累積により過剰な借り入れを招き、現在の債務危機を引き起こした。多くの人は、これを「法定不換紙幣」の失敗とみる。しかし、欧州の危機は、そういった種類の問題ではない。単一通貨制度の失敗こそが問題なのだ。
こうした状況と誤解の存在を理解することによって、我々は利益を稼ぐことができる。市場は、金と「法定不換紙幣」に関する私の少数意見に関心を示さない。このため、市場での行動は、私の見解ではなく、他の市場参加者の見解に基づいたものでなければならない。また、現代の通貨制度を誤解し、恐怖をあおる者の術中に陥らず、ファンダメンタルズの基礎を理解することも重要だ。
先進国の家計債務危機とユーロ危機が、ドルの崩壊や「法定不換紙幣」の破たんに結びつく可能性は低い。また、先進国の指導者による政策対応の誤りが、恐れられているハイパーインフレや金利上昇に伴う一連の高インフレにつながるとも考えにくい。
とはいえ、金融危機が長引くように、高インフレ観測が長引く可能性は否定できない。不幸なことに、政策対応の失敗により、経済の停滞や、FRBの混乱、低金利は今後数年続く可能性がある。
この皮肉な状態は、私が金だけでなく、米長期国債を保有している理由である。この誤った情報と誤解、見当違いの政策対応はまだ数年続くと思われ、金と米国債の強気相場を後押しし続けるのではないか。
(執筆者のカレン・ローチ氏は、投資事業組合の「プラグマティック・キャピタリズム」の創設者・最高経営責任者。同氏の主な専門分野は、グローバル・マクロ・ポートフォリオの構築、量的リスクマネジメント、行動ファイナンス。事業を始める前は、メリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメントで5億ドルの資産運用業務に従事した経験を持つ。この記事の執筆の際のローチ氏のポジションは、金と米国債のロング)
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_275350/?nid=NLM20110719
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がエコノミストを対象に実施した調査では、米企業が一段の雇用に消極的な主な理由は政府の政策の不透明感というよりも不十分な需要であることが明らかになった。
キャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース氏は「需要がない」とし、「企業は十分な確信を抱けないでいる。これが長引けば長引くほど、確信を抱くことがますます難しくなる」と語った。
サンフランシスコで開催された就職フェアで列に並ぶ求職者
7月8〜13日に53人のエコノミストを対象に行った調査では、企業がもっと積極的に雇用しない主たる理由を聞いた。回答した51人のうち31人(65%)が需要減退と答え、14人(27%)が政府の政策の不透明感と答えた。その他のエコノミストは海外での雇用の方が魅力的だからだとしている。
一部の企業トップは同じく需要減退を理由に挙げている。航空機、医療機器業界など向けに金属部品を製造するロング・スタントン・マニュファクチャリング(オハイオ州)のダニエル・カニンガム最高経営責任者(CEO)は「若干の採用はしているが、本来の水準ではない」とし、「需要減退がその理由だ」と述べた。同社はリセッションから立ち直ったが、生産量はそれ以前の水準に戻っていないという。同社の従業員数は75人。
同CEOは、採用に消極的な理由の一つはある月に好調だったあと、今度は不調になるという具合に極めて変動が激しいことで、安定した需要を確信できずにいると話した。
不透明感が雇用の第一の障害になっているとみるエコノミストの一人、セントラル・フロリダ大学のショーン・スネース氏は「民間部門には依然として政策の不透明さという暗雲がかかっている」と述べた。共和党員と彼らにアドバイスするエコノミストは景気回復力への不透明感の悪影響を強調し、一方で民主党員と彼らにアドバイスするエコノミストは需要の弱さを指摘する傾向がある。
WSJの調査では全般的に、エコノミストは経済成長および、のろのろ歩調の回復を押し上げる二つの重要要因である住宅と雇用の見通しを引き下げている。
エコノミストらは今年下半期に対してより悲観的になっており、これまでの予想を下方修正している。それにもかかわらず、これらのエコノミストは引き続き、今後数カ月で景気は回復し、期待外れだった上半期よりも好調になるとみている。
今年第1四半期(1-3月)の国内総生産(GDP)の季節調整済み成長は年率換算でわずか1.9%だった。今回の調査ではエコノミストは第2四半期の伸びも1.9%にとどまると予想している。また、今年と来年の通年のGDP予想は、現在9.2%となっている失業率の改善には不十分なペースにまで下方修正された。
成長は日本の震災によるサプライチェーンの混乱と、中東・北アフリカの政情不安に伴う石油の値上がりで影響を受けた後、年率で3%近くに戻しつつあるとみられている。カリフォルニア州立大学のSung Won Sohn氏は、日本の震災で打撃を受けた自動車業界の回復は第3四半期にGDPを1.0〜1.5ポイント押し上げると予想している。
また、エコノミストらは、今年全体では住宅価格は2.4%下落するとし、住宅着工は来年まで小幅増加するが、依然歴史的低水準にとどまるとみている。
失業率に関しては、再びゆっくりと低下し始めるものの、来年12月時点での平均予想はまだ8%を上回っている。雇用は今後12カ月間、1カ月当たり約17万人増える見込みだ。今年これまでの月間の伸びは平均で12万6000人だが、期待外れの結果だった直近2カ月より前は、17万9000人に上っていた。人口増加のペースに追いつくだけでも毎月少なくとも10万人の新規雇用が必要だ。
全米独立企業連盟(NFIB)の最近の調査でも、成長と雇用にとっての大きな障害が引き続き需要であることが指摘された。現在直面している最も大きな問題一つを挙げてもらったところ、「乏しい売上高」とする回答が24%に達した。この比率は1990年代と2000年代初頭のリセッション時に見られた水準を上回っている。
記者: Phil Izzo
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