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賃貸住宅の賃借契約で「更新料」が有効か無効かを問われた上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は15日、「有効」との判断を示し、不動産オーナー側の勝訴を言い渡した。大阪高裁で出た3件の有効、無効と結果が異なる訴訟の上告審。不動産オーナー側にとっては有利な判断となったものの、今後の不動産投資は決して明るいものではないようだ。
〇「法の番人」のバランス感覚が働いた?
京都地裁⇒大阪高裁⇒最高裁と長らく続いた戦いは、不動産オーナー側の勝訴に終わり、一定期間の契約更新時に支払う「更新料」は有効との判断で落ち着いた。
09年8月の大阪高裁判決で「更新料の目的や性質が明確でなく、合理的な根拠を見いだすことは困難」として、高裁で初めて無効との判断が下った。無効2件、有効1件でこの日の最高裁判決では「高額すぎるなどの事情がない限りは消費者契約法には反しない」との判断が出た。
「(最高裁が)バランスを取るような雰囲気ですね」と予想していた前出の不動産オーナー。法の番人らしく絶妙のバランスを取ったということが言えそうだ。消費者金融での過払い訴訟のような事態になることも予想されたが、それは避けられたようだ。
〇「更新料はすでに時代遅れ」
「オーナーを続けるのがツラくなって廃業する人も出てくるようになると、結局は入居者が損をすることになりかねないのでは」
最高裁はそうしたバランス感覚も働かせたかもしれない。オーナーをやめたいがために、物件を売却に出しているが、売れずに困っている人も増えているのだという。
オーナーも正直、楽ではない。今年4月の「全国賃貸住宅新聞」に掲載された、都道府県別の空室率では、訴訟の舞台となった京都府は17.34%で、全国平均18.74%をやや下回る。しかし、東京13.83%、神奈川16.14%と比べると圧倒的に高い。つまり5部屋持てば1部屋は空室になることを覚悟しておく時代となっているのだ。
更新料を嫌がる入居者も増えてきている現状がある。そこで、更新料、さらには礼金、敷金を取らないことを、他の物件との差別化として、入居者を集める業者やオーナーも出てきている。
都内のある30代オーナーは「家賃に少し上乗せするのですが、一度にたくさんのお金を払わなくていい、と喜んでくれる入居者さんが多いです。古いオーナーさんは、貸してやっているんだ、という意識が強すぎると思います。今は不動産経営も営業努力が必要です」と話す。
とりあえずは、更新料は「有効」との判断が出たものの、不動産投資家もしのぎを削る時代であることには違いない。 (抜粋)
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