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日銀景気改善判断の大ウソ この円高は震災・原発より最悪の難事
(日刊ゲンダイ2011/7/14)
「持ち直している」どころかどん底へ向かっている
--1923年の関東大震災後から大不況に陥った時と全く同じ恐怖のパターン
--欧州財政不安で急騰する円、震災不況から2012年に日本経済は大崩壊すると専門筋
東日本大震災や原発事故で苦しむ被災者たちは、耳を疑ったのではないか。
日銀や政府の能天気な経済見通しである。日銀は12日、「日本経済は持ち直している」と景気判断を上方修正。政府の月例経済報告も、消費は「下げ止まっている」、設備投資は「下げ止まりつつある」とし、いずれも上方修正した。
そう言っているそばから、1ドル=78円台まで円高が進んでいるのに、イイ気なものだ。これだけ急激に円高が進めば、いくら自動車の生産ラインが復旧したところで、焼け石に水だ。輸出産業がヘタれば、日本経済はメルトダウンし、もちろん、東北の中小企業は座して死を待つ運命となる。
筑波大名誉教授の小林弥六氏は「こういう状況下で上方修正とは驚いてしまう。震災で自粛、買い控えムードが蔓延しているので、わざと明るい指標を振りまこうとしているのではないか。そんな疑念すら感じます」と語っていたが、本当にそうだ。
それくらい日銀・政府の楽観見通しには、不自然さがある。なにしろ、巷では「2012年、日本経済は大崩壊する!」(朝倉慶著)なんて本がバカ売れしているくらいなのである。
◆震災、大バカ政権、世界恐慌の類似点
目下の景気の現状を見ていると、関東大震災後の昭和恐慌を思い起こしてしまう。当時と状況が酷似しているのだ。第1次世界大戦のバブルがはじけた後、長いデフレに突入した日本経済に関東大震災が襲い、多くの企業が倒れ、デフレは加速、長期化。不良債権が激増し、金融危機を招いた。
未曽有の混乱の後、浜口雄幸内閣が誕生し、あろうことか、緊縮財政を表明。そのとたんに世界恐慌が始まり、生糸を中心とした日本の輸出産業は大打撃を食らう。それなのに、グローバルスタンダードを気取り、金解禁という大失政をやったことが日本経済を破滅に導き、軍部の台頭を招いたのである。
昨今の円高は言うまでもなく、欧米経済が行き詰まったことに端を発する。世界恐慌前夜とみていい。デフレ不況下に東日本大震災が起こり、それなのに緊縮財政と大増税をもくろむ大バカ政権がのさばる最中、世界経済が音を立てて崩れようとしている。
あまりの類似点の多さには背筋が寒くなってくるほどだ。
「与野党がばかな対立をしているところも似ています。片岡蔵相の『渡辺銀行破綻』発言は国会で与野党がやり合う中でポロッと出てきた。今も与野党が被災地ソッチノケでドンパチやっているので、二重ローン問題すら解決していない。この調子だと、どんどん、倒産が増えますよ。信用金庫、信用組合、地銀の中にも危機を迎えるところが出てくる。金融危機はある日、突然、やってくるのです。ひとつでも破綻したら、あっという間に東北全体がパニックになる」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)
被災地の信用組合の中には理事長が流されたり、帳簿がなくなっているところもある。金融庁は事実上の徳政令を認めているが、隠している。金融機関の財務は想像以上に傷んでいる。資金需要はあるが、「もう一度焦げ付く恐れがある」と金融機関は慎重だ。こうしたことが一切、明るみに出ていない。そんな中、狂った政権が増税を企み、世界大不況が近づいている。目を覆いたくなってくるのである。
◆今年中に1ドル=70円台前半まで進む可能性
実際、海外経済危機は極めて深刻だ。「2012年、日本経済は大崩壊する!」は〈世界経済は鎖のようにつながっているため、一度どこかで市場の波乱が起きれば、その影響は瞬く間に世界各国に広がる〉とし、〈我々は人類史上に残る経済大崩壊の体験者となるだろう〉と書いている。これは決して大げさではない。
キッカケはやっぱりギリシャだ。EUやIMFの緊急融資でなんとか生きながらえているギリシャだが、デフォルトは今や時間の問題とみられている。
「8月中とみられていたが、早まるかもしれない」(金融関係者)
その瞬間、欧州中央銀行を筆頭に、欧米の銀行はパニックに陥る。ギリシャの国債はさまざまなデリバティブを通じて、欧米の金融機関の時限爆弾になっているからだ。欧州が抱える火種はギリシャだけでなく、イタリア、ポルトガル、アイルランドも一触即発の危機にある。
ニューズウィーク日本版(7・13号)が「本当は危ない世界経済」という特集を組んでいたが、こんなふうに破綻連鎖になれば、フランスやドイツも一蓮托生で、ユーロ通貨圏は崩壊だ。もちろん、米経済にも飛び火し、世界大恐慌が現実になる。法改正をしないと、これ以上国債を出せない米国は「欧州以上に危険」とされる。ムーディーズは13日、現在最上級の米国債格付けを引き下げ方向で見直すと警告した。そんな事態になれば、大混乱だ。円高で日本の輸出企業の利益がぶっ飛ぶだけでなく、輸出品の買い手そのものがいなくなってしまうのだ。
「そのためリスクが高い欧米などの外債は避けられ、どんどん円高が進んでいるのです。震災後の3月17日につけた対ドルの戦後最高値の76円25銭を突破するのは間違いなく、今年中に70円台の前半まで行く可能性があります」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
何が「日本経済は持ち直している」ではないか。
◆企業は海外に出て行き、焼け野原に
ここまでの円高が進めば、なんとか持ちこたえてきた輸出企業も息絶える。それ以前に、日本からどんどん逃げ出していく。
震災以降、海外移転の方針を打ち出す企業が増えているが、円高がそれを加速化させる。日本じゃもうやっていけないのだ。
経営学者の長田貴仁氏はこう言う。
「すでにこっそり海外に出ていった企業は少なくありません。70円台前半という超円高水準になったら空洞化どころの話じゃありません。これまでは自動車や電機といった組み立てメーカーが海外に生産拠点を移してきた。それが素材産業にまで広がると思う。例えば、最近も注目されたボーイングの新型機787に使われている炭素繊維。東レなど国内3社が世界シェアの70%を占めていますが、韓国で生産が始まっています」
日本は焼け野原みたいにナーンにもない国になってしまう。そこまでいかなくても、今回の円高は対欧米通貨だけでなく、アジア通貨に対しても同様なのが痛い。
中国やベトナムなどアジア各国がインフレだからだ。つまり、今後は対アジアでも輸出の採算が悪くなる。それでなくても原発の風評被害でメタメタなのだ。アジアでも利益を上げられなくなれば、日本の輸出産業は総崩れ、日本経済は完全アウトだ。
ひょっとしたら、東日本大震災よりも円高は痛いかもしれない。日本はもう一度沈んでしまう。これからが地獄の本番と覚悟した方がいい。
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