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震災と円高、ゴーンによる分散戦略の急進が大きく成功などのせいで、今はトヨタはかなり暗い状況だが、
いつまでも円高が続くわけではないから、今後は徐々に回復していくだろう。
現状はリスク分散が不足しているが、あまり海外移転を進め過ぎるのも危険ではある
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/15259
明暗が分かれるトヨタと日産の運命
2011.07.15(Fri) Financial Times
(2011年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
3月に津波が日本の東北沿岸部を襲ってから最初の数週間、大手自動車メーカーのトヨタ自動車と日産自動車の幹部は、水浸しになった工場を視察して損害を評価し、従業員を先導して「頑張ろう」「再建しよう」という掛け声をかけた。
幹部が発するメッセージはどちらも同じだったが、津波とその余波は、両社の異なる運命を浮き彫りにした。
勢いづく日産と暗いトヨタ
日産自動車、16年度末までに世界シェア8%目指す 中期経営計画
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は27日、6カ年の中期経営計画を発表し、2016年度末までに世界市場シェア8%を目指すと述べた〔AFPBB News〕
昨年販売台数でホンダを抜き国内第2位の自動車メーカーになった日産のカルロス・ゴーン社長は6月、新興市場に焦点を当てた6カ年計画で「攻勢に出る」と宣言した。
日産は、津波後の混乱にもかかわらず、今年度の世界販売台数が10%増加すると見込んでいる。
対照的に、トヨタの雰囲気は暗い。2008年にゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて世界最大の自動車メーカーになった後、今ではGM、フォルクスワーゲン(VW)に続く第3位に転落している。
最近、公の場に姿を現した財務担当の小澤哲副社長は、為替相場を円安に誘導し、採算の取れないトヨタの輸出事業の立て直しを助けるよう、為替市場に対する政府の介入を求めた。専門家は、このような支援が実現する可能性は低いと言う。
投資家は勢いの変化に気づいている。トヨタの株価は2008年後半の金融危機の安値から13%しか上昇していないが、日産の株価は3倍以上値上がりしている。
現在の会社見通しが有効だとすれば、トヨタグループ全体の営業利益は今年、日産の営業利益のわずか3分の2にとどまる。トヨタの生産台数が日産のほぼ2倍であるにもかかわらず、だ。
日本の問題は、東電、東北、トヨタという「3つのT」
「現時点で日本が抱える大きな問題は『3つのT』、すなわち、東京電力、東北、トヨタだ」。アドバンスト・リサーチ・ジャパンの自動車アナリスト、遠藤功治氏はこう言う。
津波で機能不全に陥った福島第一原子力発電所を運営する東電と、壊滅的な打撃を受けた東北沿岸部との比較は大げさかもしれないが、遠藤氏はポイントを突いている。
トヨタが日本で赤字を出すということ――昨年は約3620億円の営業赤字を計上――は、同社が本国で法人税を全く払わないことを意味するからだ。「政府が復興を賄う資金を必要としている時に、これは問題だ」と遠藤氏は言う。
世界金融危機の前、トヨタは日本で最も利益を上げている企業だった。一方の日産は1999年にフランスのルノーから救済を受けることを余儀なくされ、ゴーン氏の下でリストラは成功したものの、2000年代後半の業績は凡庸だった。
トヨタにはまだ日産にない強さがあるが・・・
トヨタ、欧州の5工場でも一時生産停止
品質や財務はまだ圧倒的に強い〔AFPBB News〕
確かに、トヨタは今も、日産にはない大きな強みを保持している。最近の債券格付けの引き下げにもかかわらず――6月にはムーディーズが「Aa3」に1段階引き下げた――、トヨタは日産より強いバランスシートを持っている。
昨年のリコール危機も、結局、他社より優れた車を造るという評判はほとんど無傷のままで乗り切ることができた。
米調査会社J・D・パワー・アンド・アソシエイツの最新の初期品質調査では、トヨタの「レクサス」が高級車部門でトップになっている。全体のランキングでは、トヨタはホンダ、マツダに次ぐ第3位だったが、12位の日産よりはだいぶ上だ。
だが、少なくとも今のところ、注目を浴びているのはトヨタの相対的な弱さ、特に国内への一極集中だ。
トヨタは、金融危機以前には自社の車の約半分を国内で生産しており、国内生産を約4分の1、台数にして100万台減らしたが、工場は1つも閉鎖していない。今でも国内で販売する車より多くの車を輸出している。記録的な円高を考えると、これは採算の取れない戦略だ。
それに比べて日産は、国内では4分の1しか生産していない。ゴーン氏が5つの国内工場を閉鎖し、海外生産能力を高めてきたからだ。
ローカライゼーションは、為替変動に対する日産の脆弱性を低下させるとともに、日産がトヨタより多くの車を販売している中国やロシア、ブラジルなど、新興市場での事業拡大を容易にしてきた。
より幅広く分布している日産の生産体制は、津波の後にも助けになった。
両社とも今は生産がほぼ通常の水準まで回復しているが、日産の方が回復が早かった。日産の世界生産台数は、5月までに昨年の水準を上回るまで回復していたが、トヨタは半分までしか戻っていなかった。
トヨタも海外生産を増やしている。だが、トヨタが日産と同じくらい積極的に動く意思がある、あるいは動けると考えている人はほとんどいない。文化的に、日産はずっと前に感情に流されない欧米流に「屈した」が、トヨタは今も日本の主流派の支柱だからだ。
苦しい輸出モデル
小澤副社長は、円高がトヨタを「日本で生産できる能力の限界」まで追い詰めていると不満を漏らすが、豊田章男社長は、トヨタの愛国的義務は日本から車を輸出するという経済的「不合理」に勝っていると主張する。
IHSグローバル・インサイトのアナリスト、西本真敏氏は、豊田社長は日本をハイブリッド車のほぼ独占的な生産拠点にし、技術的に進んだ車の生産を自社の研究開発施設の近くに置いておくことで、その流れをさらに一歩進めるものと見ている。
だが、それでも為替リスクは残るし、新たな競争相手が代替燃料市場に参入することで、既に小さい利益率がさらに圧迫される可能性が高い。「価格を上げるのは難しいため、その体制を機能させる唯一の方法はコストを削減することだ」と西本氏は言う。ハイブリッド車であれ、単なるガソリン車であれ、トヨタの輸出モデルは依然として苦境にあるのだ。
By Jonathan Soble
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