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政府がどう努力しても、政策で経済状況は変えられない?!FRBは金利を操作できなくなった
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/397.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 14 日 02:16:50: 6WQSToHgoAVCQ
 

金融政策はトレードオフだから、経済状況を変えることはできても必ず反作用も生じる
例えば量的緩和やPKOは一部の投資家を豊かにするが、彼らの消費が雇用を増やす効果は小さく
じきにインフレによる実質所得減少のマイナス効果が上回って、引き締めに走らざる得なくなり、再び不況に引き戻される

結局、国民の実質生活水準を高めるには、生産性を高めて、国内外で必要とされる付加価値の高い財やサービスの供給を増やし、増えた付加価値を再分配して下層をサポートすることしかないが
そのような構造改革には時間がかかり、しかも多くの努力や智慧を必要とするので
怠惰で依存的な国民と愚かで目先のことしか考えない政治家には、なかなか採用できない
必然の結果として、豊かな国は衰退していくことになる

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110713/221461/?ST=print
政府がどう努力しても、政策で経済状況は変えられない?!

2011年7月14日 木曜日
Bloomberg Businessweek


Zachary Karabell(Bloomberg Businessweek寄稿執筆者)
米国時間2011年6月30日更新「Does Government Matter? 」

 米国が建国235周年を迎えるなか、ワシントンでは例年通り、激しい論争が繰り広げられている。今回、焦点となっているのは、米議会が米国の債務上限を引き上げ、米政府が債務不履行(デフォルト)に陥る事態を回避すべきかどうかだ。

 これは党派対立が先鋭化しやすい問題だ。米政府の債務残高はGDP(国内総生産)比95%近くに達している。共和党は増税によって政府財源を確保することに強く反対している。そもそも政府が招いた問題であり、政府の規模をさらに拡大するのは問題解決に逆行すると主張する。共和党のジョン・ベイナー下院議長は「この債務問題を招いた元凶は、政府による介入や、『借金が米経済に好ましい効果をもたらす』という政治家の間違った認識だ」と批判する。

 共和党は、債務上限引き上げに同意する条件として、政府支出の大幅な削減を求めている。一方、民主党は、緊縮財政は景気回復の妨げになると反論。政府の積極的な関与が今後も経済成長にとって重要だと主張する。バラク・オバマ米大統領は最近、「我々は緊縮財政で繁栄を享受することはできない」と語った。

 政府は問題を引き起こす元凶なのか、あるいは問題を解決する救世主なのか。今回の債務上限をめぐる対立は新たな動きだが、論争の中身自体は目新しいものではない。19世紀末の進歩主義の時代から1920年代の自由放任主義の時代の論争も同じだった。米ルーズベルト政権のニューディール政策や米ジョンソン政権の「偉大な社会」計画から、「政府こそが問題」と宣言したロナルド・レーガン米大統領(当時)の保守主義革命における論争も同様だった。

 保守派とリベラル派が対立する中で、唯一考えが一致していたのは、「政府には影響力がある」という点かもしれない。リベラル派は政府が適切な役割を果たせば、経済的繁栄につながると考えている。保守派は小さな政府の方が好ましいと考えているが、政府の行動に影響力がないとは考えていない。米国の政治・経済的な議論は、良くも悪くも政府が国家経済に影響を及ぼすという共通の前提に基づいていた。

 だが、この前提が間違っていて、政府が問題の元凶でも救世主でもないとしたらどうだろうか。米国が現在直面している問題について、政府は何ら影響を及ぼす能力がないとしたらどうだろうか。

FRBは金利を操作できなくなった

 1929年の金融危機の直後、ハーバート・フーバー米大統領(当時)は政府介入の実施を拒否した。フーバー大統領は19世紀的な世界観を墨守していた。政府が社会に介入する役割より、市場の自然な動きを尊重すべきという旧来の価値観だ。20世紀前半、世界大恐慌とニューディール政策の時代を経て、こうした価値観は辺境に追いやられた。それから何十年も、政府の行動が経済的な健全性を左右するという考え方が、米国や欧州連合(EU)、旧ソ連や現在の中国など、ほぼ世界中の政策責任者の共通認識になっていた。

 だが、状況は変わってきている。現在、国家が自国経済を統制・管理する能力は大きな制約を受けるようになっている。国家の経済運営における重要な領域の一つが金利だ。2005年、米連邦準備理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長(当時)は金融政策の効果が出ないことに困惑を表明した。FRBはグリーンスパン議長の時代に短期金利を引き上げた。この金融政策により、長期金利が上昇し、経済活動の低下やインフレ懸念の解消、高騰する米住宅価格の沈静化につながると期待していた。だが、長期金利はあまり変動せず、4%水準にとどまった。グリーンスパン議長はこの想定外の現象を「不可解だ」と評した。

 実際の問題は、変化する世界を静的な経済モデルで捉えていたことだった。20世紀の大半の期間がそうだったように、米経済が単独で成り立つ経済構造だった頃は、FRBの判断に沿って資本コストや金利が変動していた。しかし現在は、国際市場の買い手と売り手の判断が金利を決定する。FRBが唯一直接コントロールできる短期金利は市場の一要素にすぎない。

 2008年の金融危機の後、この傾向はより鮮明になっている。FRBは短期金利をゼロ金利にまで引き下げたが、長期金利は4%の水準を保ち続けた。その後、金利は約3%まで低下した。金利低下の原因は、その水準が世界の市場参加者が選んだ資本調達価格だったからであり、一国の政府機関が定めたからではない。

失業率は依然として高止まりしている

 米政府が高い失業率を改善できずにいることも、政府の影響力に疑問を投げかける事実の一つだ。ワシントンでは、オバマ政権が2009年2月に打ち出した8000億ドル(約64兆円)の景気刺激策が過剰だとする向きと、財政出動が不十分だとする向きに意見が分かれている。いずれにせよ、失業率は9%以上に高止まりし、不完全雇用や非正規雇用の統計値はさらに劣悪な状態だ。

 積極財政派は「景気刺激策を実施していなければ、失業率はさらに悪化していたはずだ」と主張する。この主張は正しいのかもしれない。しかし実態として、政府が雇用対策に乗り出して2年半がたっても、雇用情勢は改善が見られない。

 実際のところ、雇用問題で政府が唯一成果を上げているのは、公務員の直接雇用だ。過去20年間、政府による雇用がなければ、米国の失業率は現実よりはるかに高い水準になっていただろう(政府雇用は1990〜2008年の新規雇用全体の約4分の1を占めている)。だが、政府の直接雇用は、政府が市場の雇用動向に影響力を持つことを示す事例とは言い難い。

EUも中国も米国と同様

 いったい何が問題なのだろうか。政府が政策をもって積極的に介入しても、米国の経済的な命運は良い方向にも悪い方向にもほとんど変化しない。これはなぜなのだろうか。ここ数十年、資本が自由に移動するようになり、世界の債券市場が大きくなり、政府が自国の為替相場を操縦する能力は失われた。その結果、政府が経済を思い通りに動かすことはできなくなっている。

 さらに、発展途上国への低コスト生産の移管やサプライチェーンの海外展開など、世界的な雇用動向の影響で、政策責任者が国民の雇用を創出するために果たせる役割は極めて小さくなっている。

 こうした難題に直面しているのは米国の政策責任者だけではない。EUは、加盟国が自国の経済的主権を放棄した世界最大規模の事例だ。その結果、ギリシャ政府は現在のソブリン債危機について、構造的問題に対処する手段を奪われている。ギリシャは自国通貨や国内の資本コストを統制することはできない。歳出を削減することはできるが、痛みを伴う措置であり、経済の生産性や機能を向上させるわけではない。

 中国は大規模な政府介入で急成長を成し遂げている。その中国でも、政府の影響力低下は避けられない。中国政府が今後、資本統制のさらなる緩和や民間の起業促進に取り組むのに伴い、国際市場が中国経済に及ぼす影響が大きくなる。

 こうした中で、国や政策責任者に何かできることはないのだろうか。数兆ドル規模の資金や製品、サービスが日々動いている世界の流動的な資本環境において、政府が発揮できる影響力は限られる。だからと言って、米国が債務の返済を怠っても構わないというわけではない。だが、米政界が超党派で合意できる債務と歳出規模の適正な組み合わせを見出せたとしても、失業や国際競争など、経済成長を阻む構造的課題は依然として残るということだ。

 政府は危機的な局面において不可欠であり、大規模なリソース投入や研究開発(R&D)の促進、社会的優先順位の設定、民間部門へのインセンティブ提供などを実行できる独特な立場にある。だが、政府はもはや流れを決定する基軸的な存在ではない。

 今年の7月4日の米独立記念日を期に、我々は考え方を改めるべきかもしれない。政府は我々が抱える問題を解決する力はないし、我々が直面する問題を引き起こしている原因でもないのだ。現在の米経済が抱える問題についてワシントンを責めるのは、ワシントンを救世主として期待するのと同じぐらい大きな誤りだ。

 この考え方が革命や聖戦のように世の中を揺り動かすことはないだろう。だが、政府の力には限界があることを認識し、その限界の中で建設的に取り組むことが好ましい。米政府がこれまで繰り返してきたように、消費拡大のために大規模な景気刺激策を実施して過大な期待をかけても、失望を招くだけだ。成功する見込みのない果敢な計画を打ち出しても、雇用情勢は変化しないし、ますます複雑化・流動化する世界経済の中で国家の競争力や魅力は向上しない。

 現代の政治指導者は、政府がいかに努力しても変えられないことがあるのを認める謙虚さを持ち、変化が可能な分野で意味のある変化の実現に取り組むべきだ。

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コメント
 
01. 島唄 2011年7月14日 06:28:00: ZW97PFZHjT5Lg : SeEE2PBaSI
QE3だ。

円高くるぞ。


02. 2011年7月14日 13:05:38: vMwjVPy9MA
FRBが緩和政策と称して通貨を増発すればインフレになる。 借金の棒引きを狙って通貨を増発しインフレを期待したとすれば、市場ではドル安になるのも当たり前で不思議でもなんでもない。 アメリカがその経済を支えることが出来るだけの国際競争力のある商品を虚旧出来るようにならない限り、金融操作だけでは国民の生活を維持できるわけは無い。 貿易収支も経常収支も赤字で、過大な政府支出が維持できることは無理と言うものだろう。 少なくとも過大な軍事費の50%以上を削減しなければならないが、それを言い出すことができないと言うわけか。 円ドルの為替相場が1ドル70円を切ってしまえば、基軸通貨としてのドルは一挙に崩壊する可能性が高い。 元々アメリカは移民の国なのだから、日本やドイツ企業を虐めて追い出すより、国際競争力のある商品をアメリカで生産させ、それを輸出することで貿易収支を改善できる可能性もある。 スーパー・リッチとなっている一握りの富裕資産家達に対する課税も必要じゃないのか。 特権階級の富豪の都合で政治が決まる今のやり方ではどうにもなるまい。 1929年以降の大恐慌よりももっと悲惨な状態になると思うがね。 N.T

03. 2011年7月14日 23:53:47: Pj82T22SRI
欧米のバブル祭りは終わって、その後始末中だから内需拡大による輸入増加は期待できないという指摘はその通り
しかし日本は、それ以上に悪い状況だから、復興需要以降の内需縮小は、かなり厳しそうだ

http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/07/12/013230.php
三橋貴明第110回 量的緩和第三弾

アメリカの失業率悪化が止まらない。と言うよりも、アメリカ政府が量的緩和第二弾により、何とか雇用を改善しようとしているにも関わらず、なかなか失業率上昇が止まらないと表現した方が正確だろうか。


『2011年7月9日 ブルームバーグ紙「6月米雇用者:1.8万人増−失業率は9.2%に悪化、「深い沼地」に」

 6月の米国の非農業部門雇用者の増加数は1万8000人と、9カ月で最も小幅にとどまった。また失業率は予想外に上昇。労働市場が依然厳しい状況にあることが示された。

 米労働省が8日に発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比1万8000人増加と、増加幅はブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値(10万5000人増)を大きく下回った。5月は2万5000人増と、速報値(5万4000人増)の半分以下に下方修正された。

 家計調査に基づく6月の失業率は9.2%(前月9.1%)に上昇し、今年に入り最も高い水準となった。市場では前月から横ばいと見込まれていた。(後略)』


 アメリカの6月の失業率は、改善するという大方の予想を裏切り、9.2%という0.1%の悪化に終わった。

 内訳を見てみると、製造業や小売業は小幅ではあるが、雇用者数が増えている。それに対し、政府関係の雇用と建設産業が、大きく雇用を減らしているのだ。

 一般的な失業者に加え、経済悪化によりパートタイム就労を余儀なくされている半失業状態の人、さらに職探しを諦めてしまった人を加えたU6(広義の失業率)は16.2%であった。5月と比較すると、0.4%の悪化である。U6失業率が20%に達すると、いよいよアメリカは、大恐慌以来の「大失業時代」に突入するということになる。

 本連載でも何度か触れたが、アメリカは大恐慌期に失業率25%(1933年)という悪夢を経験しているため、雇用環境の悪化に極めて敏感だ。失業率が9%を下回らない場合、いや、8%を下回らない状況であっても、オバマ大統領の再選は厳しくなる。

 日本のバブル崩壊後、雇用を下支えしていたのは、公共事業に関わる建設産業だった。あの時期(96年まで)、日本政府が公共事業を縮小し、建設雇用が延びなければ、日本の失業率は7〜8%に上昇していただろう。

 アメリカは、今回のバブル崩壊において、日本の90年代の経験を実によく学んでいる。早期の金融機関への資金注入や、09年の大々的な財政出動は、日本の過去を参考にしたものだ。(金融機関への資金注入については、日本が「遅れた結果、バブル崩壊の影響を広げてしまった」という経験を反面教師にしているのである)

 本来、アメリカが雇用環境を一気に改善したいのであれば、90年代前半の日本と同じ事をやるべきなのである。すなわち、建設雇用の拡大だ。

 とはいえ、現実のアメリカの建設関連の雇用は、6月に9000人減少してしまった。今や、アメリカ政府の財政危機までもが新聞紙上を賑わすようになってしまい、さらに「小さな政府主義」のティーパーティの影響もあり、オバマ政権は大規模な財政出動という手を封じられてしまっている。

 バブル崩壊期において、政府は「金融政策」と「財政政策」をパッケージで実施しなければならない。これはそもそも、03年にバーナンキ現FRB議長(当時は副議長)が、日本にデフレ脱却策として提案したものだ。(それ以前に、金融政策と財政政策をパッケージで実施することは、デフレ脱却のための「普通の政策」だが)

 アメリカは6月末まで、FRBが長期米国債を買い取る量的緩和を続けてきた。だが、現実には「金融政策のみ」あるいは「財政政策のみ」では、なかなか雇用を改善できないのである。

 バブル崩壊後のデフレ期に問題になるのは、雇用だ。デフレが問題になるのは、国内の雇用環境が悪化するためなのである。そして、量的緩和のみで雇用を改善することは甚だしく困難であることが、今回のアメリカの失業統計発表で明らかになったわけである。

 日本のバブル崩壊後に話を戻すと、当時の日本政府は「財政政策のみ」で対応しようとした。そのため、雇用環境は「維持」が精一杯だった。もちろん、やらないよりはやったほうが間違いなくマシだったわけだが、常に片輪(財政政策か、金融政策)のデフレ対策しか実施しないため、日本のデフレはここまで長引いているのである。

 07年に不動産バブルが崩壊を始めたアメリカの場合、ティーパーティや共和党の影響力が強まり、オバマ政権は金融政策(量的緩和第二弾)のみで対応せざるを得ない。ところが、リーマンショック時から、FRBの資産を三倍近くにまで増やしたにも関わらず、失業率は改善しない。

 理由は実に簡単で、FRBが準備預金(日銀で言えば、日銀当座預金)の金額を増やし、国内金融機関に流動性を供給しているにも関わらず、それを民間が借りようとしないためだ。特に、アメリカの経済の中心たる「家計」が負債を減らし続けているのは、なかなかに重い問題だ。

(2/3に続く)


(1/3の続き)

 経済のバブル化とは、要するに「民間」が健全な範囲を超えて負債を増やし、資産を買い漁る現象だ。負債を増やして資産を購入しても、実質金利が投資利益を下回るため、民間の企業や家計が一斉に市場に参入してくる。プレーヤーが増えることで資産価格が上昇すると、ますます投資利益が実質金利を上回ることになり、さらなる民間投資を呼び込む。その循環が行き着くところまで行き着き、資産価格が頭打ちになった途端、お金の流れが一気に反転するわけだ。

 すなわち、バブル崩壊である。バブル崩壊後は、負債を増やして資産を購入しても、投資利益が実質金利を下回ってしまう。そうなると、民間は負債の増加や資産の購入ではなく、むしろ資産の売却や負債の返済を志向するようになる。プレーヤーが一斉に負債返済、資産売却という行動を採ると、資産価格の下落が加速し、国内の支出(GDP)が一気に縮小することになるわけである。

 というわけで、07年までのアメリカ不動産バブルの主役を務めた、家計の負債状況を見てみよう。


【図110−1 アメリカの家計の金融負債の推移(単位:十億ドル)】
20110713_02.png
出典:FRB


 図110−1の通り、アメリカの家計は08年以降、負債を増やして消費や投資を拡大するどころか、むしろ「借金返済」に走っているのである。特に、住宅ローンの残高は、08年以降、一度も前期を上回ったことがない。

 住宅価格の下落ももちろんだが、それ以上に住宅ローン残高が減り続けていることの方が問題だ。アメリカの家計が住宅ローンを返済すると、その金額分、アメリカのGDPは増えない。借金返済は貯蓄に該当し、消費でも投資でもないのである。

 図110−1の03年から07年を見ると、アメリカの家計は年にほぼ1兆ドル(80兆円)ずつ、負債残高を増やし続けている。この時期のアメリカの家計が負債を増やし、投資や消費に使ったお金が呼び水となり、当時の世界的な好景気が維持されたわけである。

 ところが、現在のアメリカの家計は、まさに90年代の日本の企業同様に、負債返済に邁進している。何しろ、アメリカの家計の消費は1000兆円を越え、「世界最大の需要項目」である。その「主役」たちが借金返済という貯蓄に走り、消費や投資を減らしている以上、日本は外需志向の成長戦略を、いい加減に修正しなければならない。07年まで続いた、アメリカの家計の負債増に基づく「祭り」は、もう終わったのである。

(3/3に続く)
(2/3の続き)

 多くの日本人が理解していない気がするが、経済とは「お金が動く」こと(フロー)が重要であって、「お金があること」(ストック)には、さしたる意味がない。より具体的に書けば、「誰かがお金を借り、使うこと」で、初めてGDPが成長するのである。家計や企業がどれだけお金を貯めても、あるいは借金を返済しても、GDPは1円も増えない。

 アメリカの苦境が根深いと思われるのは、FRBが史上最大規模の量的緩和を実施し、銀行に流動性がジャブジャブに溢れているにも関わらず、それを同国の家計が借りようとしないという点である。

 無論、銀行側が不良債権化を恐れて「貸さない」という問題もあるだろう。だが、いずれにせよ、バブル崩壊後の民間にお金を借りさせ、GDPとして支出させるというのは、大変に困難なのである。どれだけFRBが銀行に流動性(準備預金)を提供しても、それが借りられて使われなければ、GDPには影響を与えない。すなわち、雇用の改善には結びつかないというわけだ。


 さて、アメリカの家計の住宅ローンは四半期ごとに減少しているとして、肝心の住宅価格の方はどうだろうか。スタンダード・アンド・プアーズのケースシラー指数を見る限り、回復しているとは断言できない状況だ。


【図110−2 S&Pケース・シラー指数(2000年1月=100)】
20110714_03.png
出典:S&P
※季節調整済み


 09年5月に、一旦は底を売ったアメリカの住宅価格であるが、10年7月には早くも息切れしてしまい、その後はジリジリと下がり続けている。さすがに07年から翌年にかけたような激しい下落局面は発生していないが、アメリカ政府が住宅支援を行い(すでに終了したが)、FRBが大規模な量的緩和を実施していた最中にさえ、住宅価格は下落か、もしくは精々が横ばいの状況だったのである。

 バブル崩壊後の日本の例を見る限り、今のアメリカが経済のデフレ化を食い止めるには、政府が財政出動をしつつ、金融緩和を拡大するしかない。特に、アメリカの場合は、政府が家計に住宅購入支援を行うと、不動産市場や住宅価格に大きく影響を与える。ケースシラー指数が09年5月以降に持ち直したのは、初めて住宅を購入するアメリカの家計に、8000ドルの税額を控除するという、大規模な支援を行ったためだ。

 とはいえ、ティーパーティの影響が強い共和党に議会を握られている以上、オバマ政権は大々的な財政出動は実施できない。そうなると、またもやFRBがこれまで以上に長期米国債を買い取る、金融緩和を実施するしかない。すなわち、量的緩和第三弾だ。

 だが、量的緩和第二弾の例でも明らかなように、金融緩和のみでは家計の負債拡大や雇用改善が望めない。ならば、どうするのか。

 以前のアメリカであれば、戦争という「需要拡大」により、苦境を脱することができただろう。しかし、現在のアメリカは、どちらかと言うと「引きこもり」状態にあり、国内の雇用改善以外には興味がないように思える。アフガニスタンからの米軍撤退も、今月から始まる。

 まさに、出口が見つからない状況というわけだ。

 結局、オバマ政権としては、出口が見つからない中において、せめてもの策ということで、量的緩和第三弾を実施する以外に道がないように思えるわけである。



04. 2011年7月15日 18:57:49: sUpHQ8Q75g
QE3は言葉を変えれば麻薬の追加に過ぎない
企業業績などの上辺の数字だけを見ればQE2で経済崩壊を食い止めたように見えたのだろうが
静かに沈降を続けていたというのが実感であった
FRBが供給したカネは市中には回らずに金融市場のマネーゲームに注ぎ込まれ
ガソリンなど生活物資の価格をじわじわと押し上げた
地方経済はもう限界に達しているだろう

麻薬を打ち続けているうちに効き目が薄くなり
更に打ちたくなるのは麻薬患者の常であるが
それはいつまでも続けられるものではない
ある時突然心臓が止まり臨終を迎えるのである


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