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問題を先送りするIMF (小笠原誠治)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/371.html
投稿者 稲垣勘尚 日時 2011 年 7 月 10 日 08:45:23: Je/tdYZdw47GA
 

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/07/09/013217

IMFは、国際収支に悪化を来たした国々を助けることによって、国際経済の回復と安定に寄与する大事な機関であるのですが、その一方で悪く言われることもある。
お金を貸してくれるのはいいが、その条件が大変に厳しい、と。
ただ、この場合の「条件」というのは、金利が高いということではありません。そうではなく、お金は貸すが、歳出を削減しろとか、増税をしろとか、国営企業を民営化しろとか、とか、資本の自由化を進めろとか、の条件を付けることなのです。
そんな条件を付けられたら‥却って景気は悪くなり、そうなれば税収も不足する、と。或いは、民営化や資本の自由化を進めれば、ハゲタカの餌食になる。

そもそもIMFに支援を仰ぐ国は、通常輸入が輸出を大きく上回り、経常収支が赤字になっているような国ですから、その経常赤字を縮小するためには、国民の消費を抑える必要があり、どうしても緊縮財政に踏み切らざるを得ないのです。
「でも、そんなことをすれば、景気が悪くなり税収も減るけど?」
しかし、そうすることによって政府部門や家計部門が消費を抑えられ、経常収支の赤字幅を小さくすることができるのです。相変わらず過剰消費を続ければ、決して経常収支の赤字を解消することはできないのです。

それを考えると、米国が永年経常収支の赤字削減を実現できないのかも、よく分かる気がするのです。米国もIMFのご指導で、本気になって経常収支の赤字を削減しようとすれば、できないことはない。ただ、それをやるとなれば、消費を抑えざるを得ず、つまり歳出を大きく削減したり、増税をしたりして、結局景気を悪くしかねず、だから米国としては決心がつかない訳なのです。

アメリカ以外の国にとっては、IMFは大変重要な存在です。何故ならば、もし万が一外貨不足に陥るようなことがあれば、国家として破綻してしまうからです。つまり、外貨不足のために必要はものを海外から購入することができなくなり、国民の生活や産業が維持できなくなる。
例えば、アイルランドやギリシャ、或いはポルトガル。これらの国は、財政が事実上破綻状態にあると言われていますが‥外貨不足に陥っていると言えるのでしょうか?
ギリシャ政府が勝手にユーロ紙幣を印刷することはできないのですが、皆で合意すれば、欧州中央銀行にどれだけでもユーロを発行してもらうことが可能であるのです。そして、欧州中央銀行がユーロをギリシャ政府にどれだけでも融資すれば‥それが良いことか悪いことかは別として‥ギリシャの財政破綻を回避することができ、ひいてはギリシャにお金を貸しているフランスやドイツの銀行などを救うこともできるのです。
そうなれば、ギリシャ支援のためには決してIMFの力を借りる必要はないのです。

しかし、現実にはヨーロッパ勢は、IMFを巻き込んでいる訳です。何故でしょう? ヨーロッパのことはヨーロッパで解決できるのにも拘らずです。
そこで、ヨーロッパのリーダーたちは考えた訳です。確かにユーロ紙幣を擦りさえすれば、そして、そのユーロ紙幣をPIIGSと呼ばれる国に融通しさせすれば、デフォルトを回避することはできる。しかし‥
そんなことをして、ユーロ紙幣を発行し続けると、結局インフレが起きてしまうのではないのか、と。そうなったら元も子もない。そもそもユーロへの統一は、インフレを回避することも目的の一つであるのです。
で、そうやってユーロの増発を回避しようとすると、結局誰かに頼らなければならなくなる訳です。そこにはもうIMFしかいないのです。で、無理やりIMFを巻き込んだ。

では、IMFの使命とは何か? それは、IMFは、ラストリゾート、最後の砦だということです。関係者が最大限の努力をした後で、最後に登場するのがIMF。また、そうでなく、IMFが気前よく他者に先駆けてどんどんお金を出していたら、IMFが直ぐパンクしてしまうことは必死です。
しかし、今回のIMFのギリシャに対する支援は、民間銀行の負担が決まらない前に行っているのです。そればかりかトリシェ総裁は、民間銀行がロールオーバーさえすることもよろしくないと言っている訳ですから、結局、民間銀行は負担を負わないということになるのです。(民間銀行がロールオーバーを認めると、ギリシャの国債が実質的にデフォルトを起こしたと認定されてしまい、そうなると欧州中央銀行はギリシャ国債を担保として受け入れることができなくなり、支援スキームが崩壊すると考えているようです)
ラストリゾートのIMFが他の債権者に先駆けてお金を融通するのは如何・・
譬えて言えば、どこかの民間企業が経営破綻しそうだから、支援して欲しいとその企業の関係者から声が上がったときに、その企業の株主が責任を取ることもなく、そして、その企業に対してお金を貸し付けている銀行が負担を負う訳でもないのに、いきなり政府が登場してきて、お金を融資してあげようと言っているようなものなのです。

IMFには、日本国民の税金が沢山つぎ込まれています。それプラス、1000億円の融資も行っているのです。そのお金が、ギリシャ支援という名目で、ギリシャ国債を保有している主にフランスやドイツの銀行を助けるために使われている訳です。
私は、何も日本がIMFから手を引けなどとは言いません。しかし、当然のことながら、フランスやドイツなどヨーロッパの銀行も負担を負うのが当然だと思うのです。
しかし、ヨーロッパのリーダーたちはそれを認めようとしないのです。そうなれば、ヨーロッパの銀行が破綻しかねないからだ、と。
しかし、そもそもギリシャ国債は実質的に不良債権化しているので償却をしなければいけないのです。この光景、どこかで見た光景です。
1990年代の日本と同じです。土地の値上がりに期待して、不良債権の処理を先延ばしして‥で、多くの金融機関が破綻して‥昔の名前の大銀行は殆ど残っていないのです。

誰かヨーロッパに言って上げるべきなのです。(抜粋)

 

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コメント
 
01. 健奘 2011年7月10日 16:31:59: xbDm84QDmOFmc : G0mHLBURW6
この議論を支える感性は、古くなりつつあるね。最後の貸し手としての後ろ盾。そして、幻想を持つ必要性があったのは、事実だ。

物が足りない時代には。

物が足りる時代、足りるがゆえに失業が問題になる時代、借りなくても、失業者を動員することができる。だから、借りる必要はなくなった。


02. 2011年7月10日 22:10:12: REBNnZkUuY
IMF 其の物がブラックボックスだろうね。 マフィアか?

03. 2011年7月11日 13:05:46: Pj82T22SRI
>IMFには、日本国民の税金が沢山つぎ込まれています。それプラス、1000億円の融資
>フランスやドイツなどヨーロッパの銀行も負担を負うのが当然だと思うのです。
しかし、ヨーロッパのリーダーたちはそれを認めようとしない

借金して買ったものが値下がりしたり、収入が減って返済ができなくなったら、誰かが、損失を被らなくてはならないが
できれば身内の銀行や直接文句を言ってくる自国民ではなく日本のような外国に押し付けたいということだ

日本のバブル崩壊は放置し、アジア危機に対しては厳しいことは言えても、自分が損になる時は拒否するのは、欧米人らしい当然の反応だ

>借りなくても、失業者を動員することができる。だから、借りる必要はなくなった

いくら物が余っていたとしても
ギリシャのような地域政府には失業者を動員する力(財政)はないよ


04. 2011年7月11日 14:03:17: edMiIl9i4c
投稿者はIMF副専務理事、中国から初の起用の意味を全く理解していない。

05. 2011年7月11日 16:17:42: Pj82T22SRI
問題先送りは日本国内でも同じだな

国債増発のメリットとしては、急激な需要ショックが発生したときに
需給ギャップの急増による失業の増大を防ぎ、必要なサービスの供給を
維持することがあげられるから全く無意味とは言えない
しかしダラダラと続ければ最適な労働・資源配分を阻害し、百害あって一利なしだ

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/07/11/013221.php
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国債増発プロパガンダ(マンパチ集団)
2011/07/11 (月) 12:44

 センミツ、千に三つ正しいことを言うこと。マンパチ、万に八つ正しいことをいうこと。

 私は、かつて通産省の官僚から、通産省はよくセンミツ集団と言われるが、マンパチ集団かもしれないと教えられたことがある。

 今年は、ご存知のとおり大震災があり、各省庁の予算案の編成も例年とは様変わりであろう。そう、震災と津波と原発関連の予算が最優先されることになるだろう。

 例年であれば、経産省が来年度の目玉のプロジェクトをドカーンと打ち上げ、それが時々新聞ででかく取り上げられたりする。まあ、そうやって新聞に大きく取り上げられるような案件であれ
ば、財政当局も無視する訳にはいかず、取り敢えず話を聞いてもらえるであろう、と。

 では、そうやって新聞ででかく取り上げられるプロジェクトの全てが報道に値するものかと言え
ば‥千に三つ、否、万に八つ程度だと言うのです。

 
 新聞記者は特ダネが欲しい。そして、予算獲得をしたい経産省は、新聞を巧く利用する。良くできたものなのです。でも、何も知らない読者は、「ほう、そんなプロジェクトが‥」なんて思ったりする訳です。

 まあ、何かについて、経産省は財政当局を目の敵にする訳です。あいつらは怪しからんとか、あいつらは経済を知らないとか‥あいつらはバランスシートが読めないとか‥

 でも、本気でそう思っている訳ではないのです。何故ならば、自分たちの知り合いが財務省にも大勢いるからです。従って、本気で喧嘩するつもりではなく、自分たちの省益を守るために敢えて財政当局のことを悪く言うだけなのです。

 本日も、現役ではありませんが、過去通産省の官僚だった政治家が言っています。財務省は増税プロパガンダをやっている。財務省はバランスシートが読めない、と財務省出身のT教授が言っていた、と。

 では、何故バランスシートが読めないのかといえば、国の予算は、「宿帳形式」だから、だと。

 まあ、何も事情を知らぬ一般の方がそんな話を聞かされると、なるほど‥なんて思ったりしてしまう訳なのです。

 貴方は信じます? そんな話。

 答えは、そんなバナナ!

 彼らは、いつも一般の人が跳びつきそうな話をして、視聴者の関心をつかむのです。例えば、埋蔵金があるぞ、とか。そういう意味ではやはり頭はいいのでしょう。でも、誇張しすぎであると思うのです。

 一体全体、バランスシートが読めなくて、どうやって仕事ができるのか、と。例えば、銀行の経営状況を判断するにしても‥或いは、国営企業の経営状況を判断するにしても‥或いは、補助金を支給する企業の経営状況を判断するにしても‥、それにもう何年も前から、国のバランスシートを定期的に発表しているではありませんか?

 ですから、バランスシートが読めないなんて人は、恐らく殆どいないでしょう。にも拘らず、そういったデマがまかりとおる。

 で、こんなことも仰ります。「たしかに国債発行は国の借金(負債)でしょう。でも、同時にそれを買った国民には資産になるんでしょう。差し引き国全体としてはゼロではないですか」

 私は、思うのですが、そんなことを言って何か状況が変わるのか、と。確かに誰かの債権は誰かの負債であり、国全体としてみたら、ちゃら。

 それはそのとおり。それは絶対に正しい! しかし、それが正しいからといって、政府はデフォルトを回避できるのか? そんなことはない。破綻するときには破綻する。

 この議論のおかしさを証明しましょう。

 先ず、国民が必死になって働いて50兆円の付加価値を生む出したとします。コメ、野菜、魚、衣
類、電気製品、車、家、サービス‥いろんな形で富を生み出す訳です。その合計が50兆円。

 で、政府が様々な支払いに充てるために増税をしようとするが、それに支持が得られず、止むなく50兆円を国債の発行で調達したと致しましょう。そうすると、政府が50兆円と引き換えに様々な富を消費した格好になる訳です。

 国家のバランスシートの資産の部には、確かに国民の政府に対する債権が計上されるでしょう
し、負債の部には政府の国民に対する支払い債務が計上されるでしょう。

 問題はここからです。では、政府はその債務をどうやって支払うのでしょうか?

 もし、政府が最初借りた50兆円を金庫にしまったままにしていたのであれば、それで返すこともできる訳ですが、もうとっくに使っているのです。つまり、返済の財源がない。そうなると政府は増税をして国民に返すか、お札を印刷して返すかしか方法がない訳です。

 国民が政府にお金を返してもらうために、政府から増税される? 国民は、トホホ‥と言いたくなるでしょう。だったら、直ぐに返してもらわなくてもいいから増税は止めて欲しい、なんて。そうなれば、後はお札を印刷して返すしかありません。しかし、そうなれば、結局国民が保有しているお札の価値を薄めて政府が借金を返すことを意味するので、この場合にも国民が返済財源を負担させられることになる訳です。

 つまり、バランスシートは、左と右でバランスが取れているように見えても、この場合の左側の資産は、単に絵に描いた餅でしかないのです。

 ですから、バランスシートの右と左がどうのこうのと言う人こそ、本当の意味を知らないのだと思います。

以上


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