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http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/07/09/013217
IMFは、国際収支に悪化を来たした国々を助けることによって、国際経済の回復と安定に寄与する大事な機関であるのですが、その一方で悪く言われることもある。
お金を貸してくれるのはいいが、その条件が大変に厳しい、と。
ただ、この場合の「条件」というのは、金利が高いということではありません。そうではなく、お金は貸すが、歳出を削減しろとか、増税をしろとか、国営企業を民営化しろとか、とか、資本の自由化を進めろとか、の条件を付けることなのです。
そんな条件を付けられたら‥却って景気は悪くなり、そうなれば税収も不足する、と。或いは、民営化や資本の自由化を進めれば、ハゲタカの餌食になる。
そもそもIMFに支援を仰ぐ国は、通常輸入が輸出を大きく上回り、経常収支が赤字になっているような国ですから、その経常赤字を縮小するためには、国民の消費を抑える必要があり、どうしても緊縮財政に踏み切らざるを得ないのです。
「でも、そんなことをすれば、景気が悪くなり税収も減るけど?」
しかし、そうすることによって政府部門や家計部門が消費を抑えられ、経常収支の赤字幅を小さくすることができるのです。相変わらず過剰消費を続ければ、決して経常収支の赤字を解消することはできないのです。
それを考えると、米国が永年経常収支の赤字削減を実現できないのかも、よく分かる気がするのです。米国もIMFのご指導で、本気になって経常収支の赤字を削減しようとすれば、できないことはない。ただ、それをやるとなれば、消費を抑えざるを得ず、つまり歳出を大きく削減したり、増税をしたりして、結局景気を悪くしかねず、だから米国としては決心がつかない訳なのです。
アメリカ以外の国にとっては、IMFは大変重要な存在です。何故ならば、もし万が一外貨不足に陥るようなことがあれば、国家として破綻してしまうからです。つまり、外貨不足のために必要はものを海外から購入することができなくなり、国民の生活や産業が維持できなくなる。
例えば、アイルランドやギリシャ、或いはポルトガル。これらの国は、財政が事実上破綻状態にあると言われていますが‥外貨不足に陥っていると言えるのでしょうか?
ギリシャ政府が勝手にユーロ紙幣を印刷することはできないのですが、皆で合意すれば、欧州中央銀行にどれだけでもユーロを発行してもらうことが可能であるのです。そして、欧州中央銀行がユーロをギリシャ政府にどれだけでも融資すれば‥それが良いことか悪いことかは別として‥ギリシャの財政破綻を回避することができ、ひいてはギリシャにお金を貸しているフランスやドイツの銀行などを救うこともできるのです。
そうなれば、ギリシャ支援のためには決してIMFの力を借りる必要はないのです。
しかし、現実にはヨーロッパ勢は、IMFを巻き込んでいる訳です。何故でしょう? ヨーロッパのことはヨーロッパで解決できるのにも拘らずです。
そこで、ヨーロッパのリーダーたちは考えた訳です。確かにユーロ紙幣を擦りさえすれば、そして、そのユーロ紙幣をPIIGSと呼ばれる国に融通しさせすれば、デフォルトを回避することはできる。しかし‥
そんなことをして、ユーロ紙幣を発行し続けると、結局インフレが起きてしまうのではないのか、と。そうなったら元も子もない。そもそもユーロへの統一は、インフレを回避することも目的の一つであるのです。
で、そうやってユーロの増発を回避しようとすると、結局誰かに頼らなければならなくなる訳です。そこにはもうIMFしかいないのです。で、無理やりIMFを巻き込んだ。
では、IMFの使命とは何か? それは、IMFは、ラストリゾート、最後の砦だということです。関係者が最大限の努力をした後で、最後に登場するのがIMF。また、そうでなく、IMFが気前よく他者に先駆けてどんどんお金を出していたら、IMFが直ぐパンクしてしまうことは必死です。
しかし、今回のIMFのギリシャに対する支援は、民間銀行の負担が決まらない前に行っているのです。そればかりかトリシェ総裁は、民間銀行がロールオーバーさえすることもよろしくないと言っている訳ですから、結局、民間銀行は負担を負わないということになるのです。(民間銀行がロールオーバーを認めると、ギリシャの国債が実質的にデフォルトを起こしたと認定されてしまい、そうなると欧州中央銀行はギリシャ国債を担保として受け入れることができなくなり、支援スキームが崩壊すると考えているようです)
ラストリゾートのIMFが他の債権者に先駆けてお金を融通するのは如何・・
譬えて言えば、どこかの民間企業が経営破綻しそうだから、支援して欲しいとその企業の関係者から声が上がったときに、その企業の株主が責任を取ることもなく、そして、その企業に対してお金を貸し付けている銀行が負担を負う訳でもないのに、いきなり政府が登場してきて、お金を融資してあげようと言っているようなものなのです。
IMFには、日本国民の税金が沢山つぎ込まれています。それプラス、1000億円の融資も行っているのです。そのお金が、ギリシャ支援という名目で、ギリシャ国債を保有している主にフランスやドイツの銀行を助けるために使われている訳です。
私は、何も日本がIMFから手を引けなどとは言いません。しかし、当然のことながら、フランスやドイツなどヨーロッパの銀行も負担を負うのが当然だと思うのです。
しかし、ヨーロッパのリーダーたちはそれを認めようとしないのです。そうなれば、ヨーロッパの銀行が破綻しかねないからだ、と。
しかし、そもそもギリシャ国債は実質的に不良債権化しているので償却をしなければいけないのです。この光景、どこかで見た光景です。
1990年代の日本と同じです。土地の値上がりに期待して、不良債権の処理を先延ばしして‥で、多くの金融機関が破綻して‥昔の名前の大銀行は殆ど残っていないのです。
誰かヨーロッパに言って上げるべきなのです。(抜粋)
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