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株式日記と経済展望
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テマセックが「まるで沈む船からねずみが逃げ出すように」慌てふた
めいて中国の銀行株を処分している理由はLGFVに対する懸念です。
2011年7月7日 木曜日
◆中国銀行界の「飛ばし」問題 LGFVはいずれ大問題に発展する 7月7日 広瀬隆雄
http://markethack.net/archives/51747698.html
先日、シンガポールのSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)、テマセックが中国の四大銀行のうち2行(中国銀行、中国建設銀行)の株式を処分したと発表しました。
金額にして36億ドル相当です。
このニュースは欧米の機関投資家にチョッと驚きを持って迎えられました。
なぜならテマセックは所謂、戦略的投資家として長期に渡って中国の大手銀行と付き合ってゆくだろうというのが世間の理解だったからです。
そのテマセックが「まるで沈む船からねずみが逃げ出すように」慌てふためいて中国の銀行株を処分している理由はLGFVに対する懸念です。
LGFVとはLocal Government Financing Vehicleの略で中国の不動産開発の際に組成される特別目的会社(SIV)を指します。
早い話がペーパー会社です。
そのペーパー会社が名目上の融資先になるので中国の銀行は「直接、地方政府に融資してはならない」というルールを迂回できるわけです。
先日、ムーディーズは「LGFVを使ってアレンジされた貸付は5000億ドルくらいあると思われる。しかもその内容は悪化している」というコメントをしました。
ムーディーズがどうやってこの試算に到達したかに関してはいろいろ批判もあります。
しかし既にLGFVの債務残高が中国のGDPそのものを超えていることは金融関係者の多くが認めるところです。
それらのLGFVは保険会社などを通じて「確定利回り商品」のような感覚で一般投資家に販売されています。
それらの「財テク商品(WMP:Wealth Management Products)」が利払い困難に陥った場合、オフバランスシートに「飛ばし」てあるそれらの債務は銀行のバランスシートに押し戻される可能性があります。
実際、去年、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)はLGFVへの融資をちゃんとバランスシートへ戻すように指令を出しています。
問題はLGFVによってファイナンスされた不動産物件の多くはちゃんとキャッシュフローを生んでいない点です。
マンションのような「箱モノ」は入居者が無ければ金食い虫と同じです。
箱モノが次々に完成することを「経済成長」だと勘違いする投資家が多いですが、売れ残り物件は極めて資本破壊(destruction of capital)的な作用をもたらします。
中国経済は過去10年間に固定資産投資への依存度を高めました。それは平たく言えばマンション建設などが経済のけん引役を果たしてきたということです。その反面、消費が経済に果たす役割は逆に小さくなっています。
下のグラフでは日中の比較をしています。左は中国で1987年の時点での固定資産投資への依存度(青)と2010年でのそれを示しています。一方、同じ時期日本は固定資産投資への依存度が下がっているわけです。
つまり今後の流れとしては中国も固定資産投資への依存度が下がると考えるのが自然なのです。
いま中国のGDPが世界に占める割合は約15%です。
しかし中国1国で世界のセメントの53%、鉄鉱石の48%、アルミの42%、銅の39%、ニッケルの36%を消費しています。これらはいずれも建設や固定資産投資により多く消費される素材です。だから固定資産投資が鈍化すればこれらの素材が受ける悪影響は大きいと考えられるわけです。
オーストラリアは上の表の中にある品目のいくつかを中国へ輸出することで好景気を享受してきました。
従ってLGFV問題が顕在化するとオージー・ダラーは軟調に推移すると予想されます。
(私のコメント)
日本のバブル崩壊は20年先30年先までの不動産の値上がりを見越して、需要以上の建物を建ててしまったことであり、借り手のいなくなったマンションや貸し店舗や事務所は、不良債権の固まりになる。不動産業者は慌てて転売しようと思ったが、借り手のいない商業物件は誰も買い手がいない。マンション転がしも回転が止まって逆回転を始めてしまった。
中国のバブルも欧米のバブルも基本的には日本のバブルと同じだろう。アメリカなどでは日本のバブル崩壊を研究しているから、金融緩和してインフレ気味にすることでバブル崩壊のダメージを軽くしようとしている。金融緩和が一番分かるのは株価ですが、アメリカの株価はバブル真っ盛りの水準を保っている。
それに対して日本の株価は三分の一に下がり、商業用不動産は十分の一にまで下がった。政府日銀は金利は下げても円高になったことから分かるように、量的な金融の引き締めを行なって円は1ドル=80円を超えて値上がりをした。普通バブル崩壊すればEUやアメリカのように通貨が売られて安くなるのですが、日本は円高になった。
いかに日本の金融政策が異常なものであるかがこれで分かりますが、中国もバブル崩壊が以前から予想されていたから、金融の量的な緩和と54兆円の公共投資などでバブル崩壊を先送りにしてきた。バブル崩壊がある程度は金融政策によって先送りに出来ますが、インフレで借金が軽くなり不良債権も処理しやすくなる。アメリカの株が高いのもインフレを見越しているからだろう。
日本のように無理やり不動産を下落させたほうが、いいのか、アメリカや中国のようにインフレにして借金を軽くするのがいいのか、答えは明らかだ。しかし日本は20年近くもデフレが続き、土地の値下がりも続いている。日銀が資金供給を絞ってデフレにしているからだ。なぜそうするのか理由が分かりませんが、政府日銀はデフレが大好きだからだろう。
しかし不動産投資が行き過ぎれば、供給過剰になりいつかはバブルは崩壊する。中国もビルを建てすぎて借り手がいない状況になり、事業者が潰れて金を貸した銀行が不良債権を抱え込むことになる。中国政府はその度に銀行の不良債権を買って「飛ばし」を行なってきた。しかしこんなことを繰り返していれば建設ラッシュはいつまでも止まずに大量の在庫を抱えることになる。
中国では所かまわず超高層マンションが建てられていますが、香港のようなところなら分かりますが、所かまわず建てられている。中国には13億人の人口があるから13億戸のマンション需要があるように思えますが、借りる事が出来るのは所得の高い人だけだ。超高層マンションともなれば維持費や管理費が大変かかるのであり、5階建て程度の公団住宅とは異なる。
中国も都市化が進めば都市郊外には膨大な住宅需要が見込まれますが、平均年収が4000ドル程度では超高層マンションの家賃は払えない。東京でも超高層マンションの家賃は20万円以上もする。たとえゼロ円で超高層マンションを手に入れても、エレベーターや給排水設備や空調設備や電気設備の維持管理だけで所得水準を超えてしまう。
上海あたりだと東京よりも分譲マンションは高くなり、誰が買っているのかと思いますが、ほとんどが投資目的で実際に住んでいる人は少ない。マンションが財テク手段になると相場だけが上がっていくことになる。不動産の賃貸物件は実需があって相場が成り立ちますが、仮需要で相場だけが上がっている。問題は借金してマンションを買った人たちがローン返済をいつまで払えるかどうかだ。
しかし中国は独裁国家だから、どんなことでも出来るのであり、経済が好調なうちは市場主義経済でいますが、一旦バブルが崩壊すれば社会主義的統制経済になり、家賃は統制されて売買価格も統制されて社会主義経済が復活するだろう。インフレも物価統制令が敷かれてスーパーマーケットからは商品が消えるだろう。そうなると外資も一斉に逃げ出すから経済の悪循環が始まる。
日本に土地神話があったように、中国にも13億人の住宅神話があるのであり、住宅需要はいくらでもあり、金のあるうちにジャンジャンマンションを建てさせて、業者が倒産してもマンションは残ると考えているのでしょうが、超高層マンションは設備が壊れたら住む事もできなくなる。設備が壊れなくても停電になれば住めなくなりますが、中国は停電のメッカだ。
広瀬氏が書いているように中国経済は建物の建設ラッシュが経済を支えている。鉄やセメントやアルミなど大量に消費されてオーストラリアなども潤ってきた。しかし中国政府はインフレを抑えるために預金準備率を引き上げていますが、ドル買いの為に人民元をばら撒いているのだからインフレが止まるわけがない。インフレを止めるには人民元を引き上げれば止まるのでしょうが、輸出が止まってしまう。
中国経済を支えているのは不動産建設と輸出であり、どちらがいかれても影響は大きい。そんな事が起きれば第二次文化大革命が起きて、輸出業者や不動産業者は三角帽子をかぶせられて街路を引き回されるだろう。それくらいのマグマが溜まっているのであり、自由市場経済は突然終わるだろう。
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