http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/341.html
Tweet |
japanはpassingか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/14134?page=3
同じ泥舟に乗って沈んでいく米国と欧州
2011.07.06(Wed) Financial Times
ワシントンでは米国人が債務の上限を議論している。ブリュッセルではヨーロッパ人が膨大な債務の深淵をのぞきこんでいる。
しかし、基本的な問題は同じだ。米国も欧州連合(EU)も、財政は制御不能で、政治体制はその問題を解決できないほど機能不全に陥っている。米国と欧州は同じ泥舟に乗っているのだ。
米国と欧州の共通点
米国でもEUでも、債務に関する議論があまりに内向きで緊迫しているため、両者を結び付けて考える人は驚くほど少ない。しかし、これを欧米全体の1つの危機としている関係性は明確なはずだ。
ユーロが最高値1ユーロ=1.4006ドルを記録
米国でも欧州でも、危機の根っこには持続不能な信用ブームがあった〔AFPBB News〕
まず、大西洋のどちら側でも、危機前の経済成長の大部分が、持続不能で危険な信用ブームに後押しされたものだったことは今や明白だ。米国では、危機の中心に住宅の購入者がいた。欧州では、ギリシャやイタリアといった国全体が低金利を利用し、持続不能な借り入れに走った。
そして、2008年の金融危機とその後遺症によって公的債務が急増し、財政が大打撃を受けた。欧州でも米国でも、その一時的な衝撃を人口動態の圧力が増幅させている。ベビーブーム世代が退職年齢に入り始めたことにより、予算の圧力が増大しているのだ。
最後の共通点として、大西洋の両側で、経済危機が政治の2極化を招き、債務問題の合理的な解決を見つけるのをさらに難しくしているということがある。米国のティーパーティー運動にせよ、欧州のオランダ自由党、「真のフィンランド人」党にせよ、ポピュリスト的な運動が勢いを増している。
違いばかりが強調されてきた歴史
欧州と米国は同じ危機の異なる側面が現れているだけだという発想がなかなか浸透しないのは、それぞれのエリートたちが長年にわたり、両者のモデルの違いを強調してきたためだ。
筆者は欧州で何度も会議に出席しているが、2つの陣営の議論となる会議はもう数え切れなくなった。つまり、米国式の「柔軟な労働市場」を切望する陣営と、米国とは対照的な欧州の社会モデルを熱心に擁護する陣営の論争だ。
欧州内での政治論争も同様だ。一方に、ブリュッセルはワシントンを見習い、真の連邦の首都になるべきだと主張する人々がおり、もう一方に欧州合衆国など不可能だと主張する人々がいる。
しかし両者とも同じことを確信していた。それは、米国の学者ロバート・ケーガン氏が「火星と金星」と呼んだように、米国と欧州は経済的、政治的、戦略的に異なる惑星に属しているということだ。
米国の政治論争では、いまだに「欧州」の異質さが1つの参照点として利用される。バラク・オバマ大統領に対する、「欧州流の社会主義」を輸入しようとしているという非難には、大統領を非米国的に見せようとする意図がある。実際一部の左派は、物事のやり方が異なり、一部では米国よりうまくやる(国民皆保険制度など)地域として欧州に関心を向けている。
それでも現在、両者が直面するジレンマの類似性は、その違いよりも顕著だ。増え続ける債務、弱い経済、負担が増加するばかりで改革不能な社会保障制度、将来への不安、政治の行き詰まりといった共通項がある。
米国は社会保障やメディケアのコストを抑えようと苦闘している。その様子は、年金や医療に関する支出を削減しようと努力している欧州の指導者たちにはお馴染みのものだ。
ブリュッセル以上の機能不全に陥ったワシントン
欧州ではかつて多くの人が、米国は本物の連邦制度の下で運営されているため、米国の政治家の方が圧倒的に有利だと考えていた。一部の人はいまだに、ユーロを長期的に安定させる唯一の方法は米国を手本にした「財政連邦主義」に移行することだと主張している。
しかし現在、ワシントンの政治はむしろブリュッセルよりも機能不全に陥っている。債務や支出について真剣に議論することさえ(実際に問題を解決することは言うまでもなく)不可能に思える現状では、米国の政治体制が欧州の手本になるという考えは馬鹿げて見える。
むろん、大西洋の両側で起きている議論には大きな違いもある。ドルには信認されている長い歴史があるが、ユーロは誕生から十数年しか経っていない。欧州のシステムが麻痺している最大の原因である政治的な相違は、国家間の相違だ。ギリシャとドイツの激しい対立に相当するような問題は、米国の議論では生じない。
欧州では、急増する債務の解決策に増税を組み込むという発想は、論争の種にはならない。米国では共和党が増税そのものに反対しており、これが政治論争の中心となっている。
米国人とヨーロッパ人は自身の問題と違いばかりに気をとられ、双子の危機の関係になかなか気づかないでいる。しかし、世界のほかの地域のアナリストたちは、両者に共通する傾向をはるかに容易に特定できるだろう。
グローバル化が後退すれば、中国も危機に
中国の政府指導者や有識者の間では、欧米の政治経済問題の深刻さを考えれば、欧米はことごとく「中国に訓戒を垂れ」ようとする姿勢を改めるべきだという意見が常識になっている。
欧米を批判する中国の人々の目には、その距離のおかげで、欧米が直面するジレンマが非情なほどくっきり見えているのだ。
しかし、こうした中国人の自負と自信は、中国やインドなどの台頭がどれほど豊かで自信に満ちた欧米に依存してきたかについて、彼ら自身の目を曇らせる危険性がある。
欧米の病が深刻になれば、もっと急進的な新しい治療法を試したくなるかもしれない。そこには保護主義や資本規制が含まれる可能性もある。もしグローバル化が後退すれば、中国自身が経済と政治の危機を経験することになりかねないのだ。
By Gideon Rachman
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。