http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/338.html
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これが現状に対するメディアの基本認識のようだな
昔の日本を見ているようだ
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_265245
なぜ米景気の回復は遅れているのか
2011年 7月 5日 21:04 JST
米国が大恐慌以来最悪の景気後退から抜け出したと宣言されたのは2年前の2009年6月のことだ。その後の景気回復の足取りは鈍く、回復は大恐慌後の1930年代以降最悪の遅さとなっている。
雇用の増加率、失業率の水準、銀行貸し出し、国内総生産(GDP)、所得の伸び率、住宅価格、経済的な幸福への家計の期待感―多くの指標が示すとおり、2年前の宣言以降の景気回復は、政府が第2次世界大戦後、各種統計の追跡を開始して以来最も遅いか、それに近い状態だ。
今回の景気回復は1991 年と2001年にそれぞれ終了した景気後退期後の回復と共通点がある。この3回の回復期には、生産が緩やかに増加しており、過去の回復期によくみられた急 反発は起きなかったことだ。しかし、多くのエコノミストによると、今回の回復は今後何年も停滞する可能性があるという。理由は、大きな負債を抱える家計、 サブプライム危機の影響が残る金融システム、脆弱な消費者信頼感、経済成長を支えるためのまともな選択肢がほとんどない政府、だ。
明るい材料もある。新興国の好景気とドル安を背景に、工業製品と農産品を中心とした輸出が改善している。東日本大震災による一時的な影響が解消されるた め、輸出は今年後半の回復が期待されている。その兆しは、米サプライマネジメント協会が1日に発表した6月の製造業景況感指数の上昇に現れている。企業収 益、株価、設備投資がそれぞれ上昇していることも、景気回復に貢献している。
しかし、さらに大きな問題が景気の足を引っ張っている。
銀行は景気後退以前と比べて、資金を貸し出す能力も意欲も低下している。ニューヨーク連銀によると、景気回復が始まって以降、銀行はクレジットカードの 貸出限度額を3兆400億ドルから2兆6900億ドルに、 住宅を担保とする貸出限度額を1兆3300億ドルから 1兆1500億ドルに縮小した。
一方で、政策立案者は景気を刺激するためにさらなる手を打つことには消極的だ。連邦準備理事会(FRB)は既に政策金利をゼロ近くまで引き下げている。 2度の量的金融緩和(1兆4250億ドルの住宅ローン担保証券の購入や9000億ドルの国債買い入れなど)が実施された結果、経済は安定したものの、力強 い回復には至らなかった。
財政刺激策は、共和党が推す減税であれ、民主党が主張する財政出動であれ、期待できそうにない。米政府は巨額の財政赤字を抱えていることに加え、以前の景気刺激策はオバマ大統領が2009年に実施した8300億ドル規模のものを含め、目立った成果を上げていないからだ。
最大の問題は、家計が抱える負債かもしれない。2007年第3四半期に景気がピークを迎えたときには、米国の家計の借入総額は年収の127%となり、 1990年代の平均84%から急上昇した。借り入れた資金は住宅や車などにつぎ込まれた。この負債を返済するということは、消費に回る資金が減るというこ とだ。家計の所得に対する借入残高比率は今年の第1四半期までに112%まで低下したが、これは銀行が一部の債権を回収不能として償却したことも影響して いる。
サンディエゴでサーフボードなどを販売する小売業を営み、韓国・起亜自動車製の乗用車K5を所有するユルゲン・シュルツ氏は、カツカツの生活をする人が 増えているとみている。シュルツ氏は「毎月、給料日から遠ざかるほど売り上げが落ちていく」と言う。シュルツ氏は毎年夏の間、6人から8人従業員を増やし ていたが、今年は雇わないという。
負債の返済は長いプロセスになる可能性がある。家計の借入残高比率が1990年代の84%に戻るには、さらに3兆3000億ドルの負債を返済するか、所 得を3兆9000億ドル増やす必要がある。クレディ・スイスのエコノミスト、ダナ・サポータ氏によると、後者は通常のペースで所得が増加した場合のおよそ 9年分に相当するという。
負債の制約は、サブプラム危機以前に、資金が必要なときにクレジットカードや住宅担保ローンに頼って支出を続けてきた人間には特に厳しい。これらの貸出限度額は今、制限されるか削減されていることが多いからだ。
借金がしにくくなったため、多くの家族は支出を削減して帳尻を合わせるしかない。
3人の子供の父親である49歳のハビエル・トロ氏は「家族はみんな苦しんでいる」と言う。トロ氏は住宅のエネルギー効率を無料で改善するプログラムを行 なう非営利団体の顧客サービス担当者として働いており、時給は13ドルだ。このプログラムの資金の出所は2009年の景気刺激策で、政府の資金が尽きるた め数カ月後にはプログラムは終了する。トロ氏は3000ドルのクレジットカードの負債の支払いが滞らないようにするため、毎月およそ100ドルを支払って いるが、元本の返済はまったく進んでいない。毎月のやりくりとして、トロ氏は住んでいる借家で利用していたケーブルテレビ、インターネット接続サービス、 固定電話を解約した。
トロ氏は「これがいつ終わるのか、見当がつかない」と言う。
負債と雇用情勢の悪化で、消費者信頼感も落ち込んだ。これを受けて、消費意欲はさらに減退している。ミシガン大学の調査によると、 1年間のうちに経済状況が改善すると予想している世帯は24%で、第2次世界大戦後の景気回復期としては過去最低となった。
経済諮問委員会のグールズビー委員長は、2000年代よりも大幅に早いペースで雇用が増加してきたと述べたものの、まだ先は長いとの見方を示した。同委 員長はさらに、個人消費と住宅価格が後押ししたバブル的な経済成長から脱し、輸出と投資の増加に支えられた経済成長に移行するのは大変な仕事だと指摘、 「昔に戻ることはできない」と述べた。
記者: Jon Hilsenrath and Conor Dougherty
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