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http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=axT0aoH5_R04
UBS証券によると、政府が東日本大震災を受けて今夏以降に編成する2011年度第3次補正予算で国債を5兆円増発しても、長期金利は0.1%強にとどまるため、恐れるに足りない。日本経済の長期低迷やデフレをもたらした企業のカネ余りを解消するには、積極財政と追加金融緩和が必要だと主張している。
会田卓司シニアエコノミストは1日の記者説明会で、企業が設備投資やM&A(合併・買収)、配当、賃金・雇用の拡大に慎重なため、国内総生産(GDP)に対する「企業貯蓄率」が足元で約8.4%と「過去最高レベルにある」と指摘。企業が借り入れに消極的だと「金融機関を通じて経済に出回る資金量が減るうえ、過剰貯蓄が経常黒字となるので円高によるデフレ圧力も強まる」と述べた。
企業貯蓄率は1990年代初めにはマイナス9%前後だったが、2000年代前半に一時プラス10%を突破。07年にかけてゼロ%を割り込んだが、金融危機を背景に再び上昇したという。会田氏は消費者物価の下落による企業貯蓄率の上昇は3年程度で終息するが、企業貯蓄率が急上昇すると約15年もデフレ圧力が残ると分析した。
菅直人内閣の政府・与党は6月30日、社会保障・税の一体改革案を決定。消費税率を「2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる」が「経済状況の好転を条件」とした。閣議決定は見送った。会田氏は景気への配慮が強まり「良かった」と評価。「まだまだ企業貯蓄率を低下させ、景気を良くする必要がある」と話した。
・財政リスクプレミアム
政府は5月に成立した4兆円強の第1次補正予算では国債の追加発行を回避。今夏の成立を目指す2兆円規模の第2次補正予算でも増発しない方針だ。ただ、民主党の安住淳国会対策委員長は2日、第3次補正予算は10兆円を超えるとの見通しを示した。
日本の公的債務残高はGDPの約1.9倍と主要国で最悪。財務省によると、国債・借入金・政府短期証券を合わせた国の債務残高は3月末に過去最大の924兆3596億円に達した。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月に日本国債を約8年9カ月ぶりに格下げし、4月にも格付け見通しを下げた。ムーディーズ・インベスターズ・サービスも2月、フィッチ・レーティングスは5月に格付け見通しを引き下げた。
しかし、会田氏は、国内長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りには今のところ、財政リスクプレミアム(金利上乗せ)は含まれないと分析。適正水準は「2.17−企業貯蓄率X0.12+政策金利X0.71」で「94%のトレンド」を説明でき、足元では約1.2%だと語った。前週末の終値は1.14%だ。ブルームバーグの調査では、市場関係者は10年債利回りが年末に1.25%、来年3月末には1.40%と予測している。
・企業貯蓄率の低下が優先
第3次補正予算で国債を5兆円増発しても10年債利回りは「12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)しか上がらない」と推計。「国債相場の暴落は考えにくい。内需回復とデフレ緩和を図り、税収を増やすのが正しい処方箋だ」と主張した。「これほどの国難」なので今年度当初予算が前提とする10年債利回り2%を覚悟してもおかしくないと指摘。「長期金利が上がらないような政策はデフレ脱却には効果が薄い」とも述べた。
会田氏は、企業貯蓄率と財政赤字には「1980年代から、ほぼ完ぺきな逆相関性がある」と指摘した。企業が支出を減らすと景気が悪化し、税収減を通じて財政赤字が膨らむと説明。「企業貯蓄率が財政赤字を生んでいる。偶然ではない」と主張した。
会田氏によると、企業貯蓄率に3四半期ほど先行する「設備投資と減価償却の差」は金融危機を背景に「過去最低レベル」に縮小したが「昨年後半にピークアウト」した。設備投資の抑制が国際競争力を損ないかねない段階に至り「経営者も危機感を持ち始めた」という。
日本銀行が1日公表した企業短期経済観測調査(短観)では、景況感の大幅悪化にもかかわらず、金融機関の貸出態度判断DIは全規模・全産業で1ポイント改善した。会田氏は、企業が貯蓄率を下げるには金融機関からの借り入れ安心感が高まる必要があると指摘。今回の短観で「震災後の復興への必要条件は確保された」と語った。
ただ、今回は横ばいにとどまった中小企業・全産業の貸出態度判断DIも「もう一段の政策対応」で改善させるべきだと指摘。「7−9月期に大規模な補正予算と日銀の追加緩和が必要だ」と強調した。
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