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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1107/04/news008.html
著者プロフィール:藤田正美
「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”」
税と社会保障の一体改革案がまとまった。菅首相は「まさに歴史的決定だ。ここからが本当の始まり」とし、与野党協議を呼びかけると語った。しかし「歴史的」というにはこの一体改革最終案は実に不十分だと思う。それに与野党協議というのならなぜ自民党の議員を一本釣りするようなことをやったのか(それも直前に)、理解に苦しむ。
この一体改革案に反映されていないのは、現状に対する危機感だ。消費税を上げる時期を明記するかどうか(2015年と書くのか、2010年代の半ばと書くのか)で与党側ともめたことなど、危機感がないことを如実に示すものだと思う。
今年3月末の国の借金は924兆円。日本のGDP(国内総生産)の約2倍にあたる。地方が抱える借金も合わせれば、その合計額は優に1000兆円を超える。よく言われるようにこれは先進国中最悪の財政である。
政府債務危機に陥っているギリシャ。パパンドレウ政権は何とか信認を勝ち取ったが、財政を再建する道筋は見えていない。もちろんやれることは2つしかない。1つは財政支出の削減、もう1つは増税である(もちろん経済の活性化による税収の増加があれば助けにはなるが、経済が右肩上がりで拡大することが期待できないのだから、「税の自然増収」を計算に入れることは難しい)。
財政支出をカットするとなると、ギリシャのような国(つまり国の支出がGDPの大きな部分を占めているような国)では当然、職を失う人が多く出る。そうなれば経済全体に与える影響も決して小さくない。だから多くの国民が反発し、暴動のような有様になった。このギリシャをどう救うのかがEU(欧州連合)の大問題となっている。他にもポルトガルやスペインなどのリスクが言われているが、もしスペインが債務危機に陥るようなことがあれば、EUそのものの存亡の危機になるばかりか、ひいては世界経済が再び大打撃を受けることになるだろう。
日本経済の根幹に関わる問題
日本は実はこれらの国を上回る借金を抱えている。ただそれがギリシャのようなことにならないのは、まだ経常収支が黒字であること、つまり国の借金は自分で賄えるような状態にあるからだ。その意味では震災の発生後、貿易収支が赤字になっているのが気になる。もちろんこれは一時的な現象であると誰もが思っているから、大きな問題にはなっていない。しかし現在の民主党政権が、財政再建についてきちんとしたロードマップを描かない限り、日本がやがてギリシャになる日が来る。
ある日、日本国債が売られて、相場が値下がり。国債を大量に抱える金融機関は、評価損が膨らむのを恐れて、慌てて処分に走る(もし国債の利回りが1%上昇すれば、地銀の評価損は3兆円に近いという)。市場は売り一色に染まり、大混乱。そして日本政府は予定していた新発債を発行することができず、行政機能はまひしてしまう。実際に市場が動き始めたら、それを止めることは不可能だ。米政府が「市場との対話」を重視し、市場が信頼を寄せる人を財務長官にしてきたのもそのためである。
日本が消費税を10%に引き上げたとしても、そのときの税収増は国税と地方税合わせて約12兆円ほど。現在でも国債利払いを除いたところでの基礎的収支の不足分は30兆円弱あるのだから、これを埋めるにはまったく足りない。法人税は国際競争力の観点から、税率を下げることが必要だ。課税ベースを広げて(つまり特別措置などを廃止して)何とか税収としては元の税収を確保するのが精一杯。所得税の累進カーブを引き上げるとか、課税最低限の引き下げ、相続税の引き上げなどを組み合わせても、基礎的収支をバランスさせることはできまい。
その理由として、社会保障費が高齢者の絶対数が増えるために毎年1兆円以上のペースで膨らんでいくからだ。もう1つは、日本の現在の状況は、景気循環の中における不況ではなく、「右肩下がり」の経済構造であるから。したがって景気がよくなって黙っていても税収が増える(企業は売り上げが伸びて利益があがり、個人は所得が増える)というような状態を望むことはできない。
その難しい状況(それこそ日本が直面したことのない危機、じわじわとくる「国難」だ)の中で、財政を再建し、何とか社会保障を持続可能なものにしなければならないのである。政府与党が決定した社会保障の見通しの中でも、いわゆる給付水準の引き下げにはまったく触れられていない(そんなことをすれば次期国政選挙で不利になるからだ)。税と社会保障の一体改革という日本経済の根幹に関わる問題を、消費税と社会保障を結びつけるという問題に矮小化(わいしょうか)してしまった。その意味では将来へのビジョンを欠いた改革案であり、それを具体化していく段階で、早晩つじつまが合わなくなってくるはずだ。
そしてつじつまが合わなくなったときには、大きな社会的混乱が起きる可能性もある。その時に慌てても、地震対策や津波対策と同様、間に合わないのである。原発のような分かりやすい話ではハッスルする首相だが、いつか来る“国債大津波”にはまったく無頓着に見える。日本から脱出できる富裕層はいいが、大多数の国民は日本にとどまらざるをえない。自分の延命ではなく、そうしたことに心を砕いてこそ政治家である。
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コメント
ギリシャ国債の金利が、もはや日本で問題になった闇金なみの金利に上昇しているようです。
そのような状況、ギリシャの公務員は、自分達の待遇削減よりも国家破綻したほうがいいという意見がでているようです。
このような状況、日本の公務員にもあてはまり、待遇削減よりも国家破綻を選択するという方向に向かうのかもしれません。
2011-06-30 テレビ朝日 モーニングバード 改革派官僚が退職迫られた真相 1
http://www.youtube.com/watch?v=ft5l4QlMfYM&feature=mfu_in_order&list=UL
2011-06-30 テレビ朝日 モーニングバード 改革派官僚が退職迫られた真相 2e
http://www.youtube.com/watch?v=zGkXJ0ZqM8U&feature=popt19jp04
経済産業省の改革派ともいわれる官僚が、次官から退職を促されたようですが、このような改革官僚が、経済産業省からでてきたということは、経済産業省内では、官僚組織の中では自由に動け、ある程度能力主義的な雰囲気があったはずであり、前次官から退職を勧められたときも、今の民主党政権、つまりは、菅政権では、このような改革官僚には仕事を与えないといわれていることから、この人事は、経済産業省の意思ではなく、官公労などの労働組合からの強要でしょう。
財務省にしても、もはや実質的行政実務は、ほとんど労働組合に牛耳られているというのが真の実態なのではないでしょうか。
経済産業省大臣が、彼の進退については、大臣でも荷が重いと言われるのは、つまり労働組合主導で官僚実務が動いているというのを明らかにしているのかもしれません。
つまり、キャリアも問題ですが、本当の問題は、ノンキャリアの問題を解決しないことには、公務員改革などできはしないということかもしれません。
ただ、あのような政府に挑戦的な本を本人がだしては、もはや今の民主党政権では、閉職においこまれるのはしかたがないのかもしれません。
弱い者が強い者に挑戦するには、直接対峙ではなく、間接対峙の方が効果があるのですが。
それだけ優秀といわれる官僚というのは、交際範囲が狭いというのが原因かもしれません。
日本国債も国内の金融機関だけでなく、海外も最近購入してきているらしく、いよいよ本格的な動きが始まる気配です。
日本の株式は、震災の影響もあるのかもしれませんが、PBR1倍割れの企業も多く、日経平均にしても1倍程度であり、世界の株価からみても割安のように感じられるのですが、どうも上値が重いようです。
菅民主党政権という政治を私物化している民主党政権にも原因があるようですが、そうではなく、海外投資家からは、現物買いの先物売りで安く日本企業の株を買い占めているようにもみえ、先物債権売りが膨らめば、日本企業そのものの価値をすいあげてしまうかもしれません。
東北の震災に対してなかなか動かないようにみえるのも、見えるのではなく、今の政府は動きたくないというのが、官公労労働組合の意思を組んだ財務省主導の政策のようにもみえ、なるべく海外からの売り圧力をかわそうと仕組んでいるのかもしれません。
しかし、待遇削減よりも破綻破を選択しようとする考えを持つ限り、おのずとその方向へと向かうというのが現実であり、増税をしてさらに景気悪化をさそうのも今の御用組合主体の菅民主党政権の性質をこれからもひきづるのかもしれません。
震災対応の遅すぎが、債権の売りの動きを遅らせているのも事実かもしれません。
となると、東北震災の復興というのは、今の政府、そして増税を叫んでいる野党自民党の政治家ももともとする気はないということかもしれません。
待遇削減よりも破綻の方がいいということから、このまま菅政権続投ということになるような気がします。
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?1/6
http://www.youtube.com/watch?v=HJI_2YTXF4A&feature=popt19jp12
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?2/6
http://www.youtube.com/watch?v=7shaG7Fp654&feature=mfu_in_order&list=UL
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?3/6
http://www.youtube.com/watch?v=9T_4s7Vk1H8&feature=mfu_in_order&list=UL
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?4/6
http://www.youtube.com/watch?v=rbOeF5Cuy-s&feature=mfu_in_order&list=UL
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?5/6
http://www.youtube.com/watch?v=jXWEAN6L3Ng&feature=mfu_in_order&list=UL
激論ニッポン経済の明日:消費税増税のホントの姿は?6/6
http://www.youtube.com/watch?v=ajhgd9E42Mo&feature=mfu_in_order&list=UL
政権が消費税増税、増税問いいつ告げる限り、庶民は、いつか消費税が上がると考え今のうちに必要なものは買っておこうということで、一時購買力があがるかもしれません。
以前、米国の金融関係者が、民主党、共和党という二大政党政治の中で経済政策を語るときに、富裕層をさらに豊かにしてその恩恵を貧困層まで広がせる政策を持つ政党と貧困層に恩恵を与え、下層から経済を盛り上げる選択をする方法と二通りの違いがあったといっていましたが、今の日本の政党に経済政策の大きな違いがあるのでしょうか。
日本株投資 金融機関の株保有 初の30%割れ 大前研一ライブ
http://www.youtube.com/watch?v=zP74N3umMKs&feature=popt19jp09
日本電算の名物社長が、現在の日本の状況の中で日本で製造業を営むことに危機感をいだいているような発言がありましたが、もはやその選択をした方が、企業としてはいいのかもしれません。
また、その動きは変えられものになりつつあるのかもしれません。待遇削減よりも破綻を好む輩が政治を主導していることから。
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