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http://www.gci-klug.jp/tomita/2011/07/03/013140.php
日本では公債特例法案が政府にとって喫緊の課題だが、米国も債務上限引き上げの期限とされる8月2日が迫ってきた。しかし、6月の税収が予想を上回った影響もあってか、引き上げ可決の期限を、8月末まで延長が可能との噂も流れた。財務省は全面否定し、延長できても、せいぜい1−2日程度と報道官はコメント。一方、先週末には、期限は延長どころか、逆に7月22日までに合意できないと、8月2日の期限までにデフォルト回避の法的手続きが間に合わないとの話が出る始末。上院は、4日の独立記念日は休会入りするのが通例だが、この問題が未解決のまま中断すべきではないとのオバマ大統領の要請に応じて審議を継続する。
資金繰りの詳細は財務省にしか分からないため、引き上げ可決を急ぐための脅しもあるのではと共和党側は見ており、本当に資金切れになる日について疑心暗鬼が続く。保有する金売却など非常手段を講ずる条件付きだが、10月まで延長可能との情報も議会筋では流れている。
そのため、期限が迫っているにもかかわらず、共和党は14.3兆ドルの債務上限引き上げの条件として、財政赤字削減の合意成立にこだわっている。共和党が増税なしの歳出削減を求めているのに対し、民主党は増税とセットも案を主張し、話し合いは平行線。議会は債務上限引き上げを前提とする予算を通しながら、引き上げに応じず首尾一貫していない。大統領側は、共和党の自己主張を曲げない姿勢に苛立ちを募らせる。議会指導部との話し合いの中で、総額2兆ドルの歳出削減策を提示し、焦点の医療費補助も今後10年で2000億ドル削減に踏み込んだという情報もあるが、詳細は明らかでない。
問題の深刻さを政権側が喧伝する割に解決が遅れている原因は、債券市場の冷静さにもありそうだ。デフォルト可能性の指摘にもかかわらず、ギリシャと異なり、米国債の金利は極めて安定している。5年債の利回りに至っては、インフレ率より低い状態。債務残高の対GDP比率は高いが、より深刻な状況の国はいくらでもある。米国の税率は比較的低く、徴税余力もある上に、豊富な金を保有するなど、投資家は米国債のデフォルトリスクを心配する状況にはない。しかし、突発的な債務不履行の可能性は意識され始めた。米国債を対象にしたCDS取引は活況を呈し、価格も1年物が特に高騰している。
今後、デフォルトの定義が焦点となりそうだ。民間の場合は、支払いが遅延しても2,3週間は猶予期間があるのが普通だが、国債の場合は支払いの不履行があれば即座にデフォルトと宣言されるだろう。事態は、すぐに解消されテクニカルなデフォルトとなるはずだが、影響は大きく、市場もそうした事態の可能性を無視できなくなった。行き詰まり状況の中で、数か月の猶予を与える引き上げ幅で妥協する案も浮上しているが、民主党は来年の大統領選挙後までもたない合意は、意味がないとしている。
そもそも上限値自体に確たる意味がないのが問題だ。史上初のデフォルトが起こっても、米国が資金調達できないからではなく、債務上限値の制約と言う作られた危機によるもの。他方、引き上げに合意しても、先送りされるだけで、財政赤字問題の本質が解決される訳ではない。現在の米国の債務は、国民一人あたりに直すと47000ドル。債務上限引き上げ議論を政治上の駆け引きに終わらせるのではなく、債務削減方法についての国民的議論につなげなくてはならない。(了)
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