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欧州の高官は米国の大手格付け会社が欧州の債務危機克服努力を複雑にしていると批判し、欧州に本拠を置く格付け会社の設立を推進する動きにはずみがかかっている。
欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は30日、欧州議会で、欧州の格付け会社を設立するメリットを政策当局者は検討する必要があるとし、現在の格付けシステムでいいと考えるのは「無邪気」すぎると警告した。
同総裁は、格付け業界がスタンダード&プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスといった主要格付け会社によって「世界的な寡占状態」にあるとし、こうした格付け会社の行動が金融市場の変動を増幅していると述べた。
同総裁の発言は、米大手格付け会社の手でいわば踊らされていることに対する欧州の不満の高まりを反映している。
これら格付け会社は近年、米国の住宅ローン担保証券の評価や多くの欧州諸国の財政上の健全性をめぐり信用を失ったとの批判が少なくない。それにもかかわらず欧州連合(EU)が格付け会社の影響を軽減しようとしたが、ほとんど無力だった。これは、加盟国の信用度に対するこれら格付け会社の格付けが、当該国政府と投資家の間で結ばれた国債発行に関わる契約の細目に組み込まれているためだ。
欧州委員会のミシェル・バルニエ委員(域内市場・サービス担当)は6月、「格付け会社は危機の到来を予想していなかった。むしろ危機の原因の一つだった。彼らのリスク評価は不適切だった」と批判し、「一部のユーロ圏諸国の直面している危機の中で、彼ら格付け会社が果たしている役割が真剣に問われるだろう」と語った。
EUと欧州議会の議員グループは3大格付け会社と競争できる欧州格付け会社を設立するよう求めている。しかしそうした設置計画は、EUの政治的な干渉からどう保護されるか不透明だとして批判的な見方もある。
ニューヨーク大学のローレンス・ホワイト教授(経済学)は「競争が増すのはほとんど常に良いことだが、心配されるのは、それが政治的に推進された機関であることだ」と述べた。
トリシェ総裁の発言のこの発言は、欧州の指導者がギリシャ向けの新規救済策をまとめようと四苦八苦している時期に出た。この救済策は、救済に民間債権者も参加させようとする計画で、これら民間投資家にギリシャ国債をロールオーバー(再投資)させようとしている。欧州当局者は、こうした民間参加は「自主的」な性格だと強調している。
これに対し、格付け会社各社は、現在の環境下ではどんな参加も真に自主的とみなすのは困難だと警告している。フィッチは先週、満期の到来するギリシャ国債の新規国債への自主的なロールオーバーはデフォルト(債務不履行)と分類する公算が大きいと述べた。
S&Pは、自分たちのソブリン債(国債)格付けには強固な実績があると強調している。例えば同社はギリシャ国債を早くも2004年に格下げしたし、その後2010年4月には投機的格付け(投資不適切債)に格下げした。現在、ギリシャ国債は、S&Pのあらゆるソブリン債評価の最低ランクであるCCCに格付けされている。
格付け各社はこれまで、一層の競争を歓迎するとし、規制上の目的のために自分たちの格付け評価に過度に依存している現状を緩和する当局の努力を支持すると述べてきた。
実はこうした依存が、ギリシャがデフォルトに陥った場合、欧州銀行システム全体に波及する核心的な理由になっている。ECBは設立当初から、市中の金融機関に融資するにあたり、担保として差し出される資産の信用格付けを基に条件を設定してきた。ECBの規則は、「高い信用標準」のための査定基準に「受諾されたECAI(外部信用評価機関)から少なくとも一つの信用評価」を含むよう義務付けている。
ただECBも完全に手が縛られているわけではない。昨年、ECBはギリシャとアイルランド国債がジャンク(投資不適切)格に格下げされる恐れが出てきた際、これら国債に対する担保適格基準の運用を一時中止した。しかしデフォルトになった場合、「適切な」担保というECBの規定をクリアするのは不可能だろう。
ECBのユルゲン・シュタルク理事も27日、「デフォルトになれば、極めて難しい新事態になるだろう」と述べ、「われわれはギリシャ国債を担保として受諾できなくなる」と語った。
欧州の格付け機関創設を求める旗頭である欧州議会のウォルフ・クリンツ議員は「(EU側の)最初の弱さは格付けへの過度の依存であって、格付け会社自身の責任ではない」と述べた。
また、同議員は格付け会社は政府や公的資金によって設立されるべきでないと述べる。その上で、各国の小規模な一部業務に特化した格付け会社の緩やかな連携といったことが考えられると指摘した。
フランクフルトで新事業体の設立を進めているローランド・ベルゲル戦略コンサルタント(ミュンヘン)のカルカス・クラール氏は、格付け手数料を、債券の発行体ではなく投資家から集める仕組みを検討している。
もし欧州委員会が秋にこの計画を承認すれば、新しい格付け会社は2013年前半にも立ち上げ可能だ。関係者によるとソブリン債や銀行に対する格付けは半年以内に開始できる。また世界的な大企業についても1年半、複雑な金融商品についても2、3年で格付けを始められるとみている。
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