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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/13368?page=3
・先進国に広がる「所得伸び悩み」の恐怖
界経済危機が始まってから3年近く経ったが、大半の先進国ではこのところ、新種の妖怪が出没するようになっている。市民の過半数は今後何年も所得の伸び悩みに直面するという、恐ろしい見通しが広まりつつあるのだ。
第2次世界大戦後の先進国には、生活水準は世代を経るごとに向上し、親よりも物質的に豊かになれるという考え方があった。しかし今、所得の増加を期待することは過去にほとんど例がないほど難しくなっている。
・日本でもドイツでも実質世帯所得が減少
また、米国男性の実質所得のメジアン(中央値)は1975年以降増えていないし、日本では2000年代半ばまでの10年間で実質世帯所得(税引き後)の平均値が減少した。ドイツの世帯所得もここ10年間で減少している。
中所得者層にのしかかるこうした圧力の一部は、少なくとも一時的には空前の信用バブルによって覆い隠されていた。借金をして収入以上の消費をすることが可能だったからだ。しかし、お金を低利で借りられる時代が終わりを迎えて、世界中の中所得者層が状況の厳しくなっている。
これは政治家たちにとっても望ましい状況ではない。財政を立て直すために増税と歳出削減を検討せざるを得なくなりつつあるからだ。
このように世帯所得や賃金のトレンドを観察していくと、先進国の人々の所得に一体何が起こっているのか、という疑問が浮かび上がってくる。
その答えが明らかになり始めたのは、最近のことだ。米国では、国内総生産が急増し続ける一方で、男性の実質所得の中央値が伸びていない。当初はそうした傾向が他国では見られなかったため、米国特有の病がこの国の文化と労働市場を苦しめているのではないかとの懸念が生じた。
・豊かになるのは金持ちばかり
1人当たり国民所得が伸びれば、増加分は必ず誰かの手に渡る。米国ではこの増加分がほぼすべて、最も裕福な人々のポケットに流れ込んでいた。
米国の個人所得ランキング(税引き前ベース)で上位1%に入る人々の所得の合計額は、1974年には個人所得の合計額の8%を占めていたが、2008年にはこの割合が18%へと急上昇していた。
また、この上位1%の中の上位1%にランクされた人々の所得の割合は、もっと大幅に上昇していたという。
しかし、近年の格差拡大は米国に限られた現象ではない。先進国22カ国について調べたところ、所得格差が拡大した国は17カ国を数えたという。
また、「これまで格差が小さかったデンマークやドイツ、スウェーデンといった国々も、格差拡大のトレンドを免れているとはもう言えない。
格差の拡大はほとんどの国で、労働市場のトレンドによってもたらされている。大半のOECD加盟国は、国からの在職給付金を増やしたり低所得者層の給与税を軽減したりして賃金格差の拡大を抑えようとしてきたが、それを上回る勢いで格差が広がってきたのが実情だ。
・素晴らしい職とろくでもない職しかない
所得格差の拡大に拍車をかけているのが、中程度のスキルを必要とする雇用の減少である。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済パフォーマンス研究センターのアラン・マニング教授は、先進国では労働市場が「素晴らしい職とろくでもない職」に二極化しつつあると指摘する。
所得格差や労働需要のトレンドの原因を巡っては、既に相反する様々な説が唱えれているが、その過程でいくつかのトレンドが浮き彫りになっている。
まず、所得分布の最上層に着目すると、仕事で優れた業績を上げている人々の多くは、通信革命のおかげで自分の住んでいる地域だけでなく世界各地から売り上げや収入を得ている。また、これは金融セクターで特に見られる傾向だが、他人のお金で相場を張って財をなした人もいる。
大卒者の多くは、その柔軟性のあるスキルをコンピューターやインターネットで補強し、仕事に就く機会を増やしている。出版社はコンテンツを全世界に販売できるようになり、会計士や建築家は遠く離れたところにいる顧客にサービスを提供できるようになった。
大学教授は、自分の大学の学生だけに講義するのではなく、ブログを使って世界中に自分のアイデアを披露できるようになっている。高度なスキルが必要な仕事への需要は数十年前から大卒者の数を上回る伸びを示しており、これが所得の増加につながっているわけだ。
・政治家にとっても悩みの種となる中間所得層の苦悩
片や所得分布の最下層では、情報技術(IT)はまださほど重要ではない。清掃やお年寄りの介護といった仕事では、ITはほとんど役に立たないのだ。しかし、スキルは必要だが一定の型にはまった仕事に対する需要は、ITのおかげで大幅に減っている。
工場労働者や銀行の事務職員、フォークリフトドライバーなど、かつて先進国の雇用の大黒柱を担っていた職種の需要は激減しているのである。
物流倉庫が完全に自動化された世界でフォークリフトドライバーになっても面白いことはない。平均的な仕事やその所得を巡って起きているのは、どうやらそういうことなのだ。中所得者層は選挙の結果を左右する存在だけに、この現象は政治家たちにとっても悩みの種になるだろう。(抜粋)
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