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米国の失われた10年?日本のような運命  米国経済:行き詰まる政策
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/236.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 21 日 11:28:24: 6WQSToHgoAVCQ
 

署名記事が過剰な悲観・楽観どちらかに偏りがちなのは、世の人々の不安回避バイアスのせいか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/12308
Financial Times米国の失われた10年?日本のような運命をたどる恐れ
2011.06.21(Tue) (2011年6月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

雇用回復の足取りが極めて鈍い(写真は米コロラド州デンバーで開催された州主催のジョブフェアに来場した求職者ら)〔AFPBB News〕
米国の景気回復が失速したことを受け、重大かつ恐ろしい疑問が浮上している。この国では景気後退が終われば雇用が急速に回復するのが普通だが、今回はそうなっていない。
 雇用回復の歩みがあまりに遅いために、米国はいつ完全雇用を回復できるかではなく、回復する頃には「完全雇用」という言葉がどんな意味になっているか、が問題になっているのだ。
 ホワイトハウスは、景気回復のピッチはすぐに速まると考えている。先週にはバラク・オバマ大統領も「道路のこぶ」という表現を用い、あくまで一時的な現象だという認識を示した。
労働市場の柔軟性と高い生産性の伸びが弱点になった可能性
 だが一方には、この減速は長引くだろうし、さらに悪化する恐れもあるとの指摘がある。見過ごすわけにはいかない懸念である。これによれば、恐ろし いことに、米国が経済成長の牽引役として頼りにしてきた特性――労働市場の柔軟性と高い生産性伸び率――が毒性を帯びた可能性がある。
 運が悪ければ、米国特有の長所と見なされていた特性は短所に変質しており、米国の行く手には日本の1990年代のような「失われた10年」が待ち受けている可能性があるという。
 現在の主流派の見方はもっと楽観的で、かいつまんで言えば、次のようになる。
 2011年上半期の景気回復は弱々しかったが、これは特殊あるいは一時的な要因によるものだ。悪天候、軍事費を支出するタイミング、財政による景気刺激策の段階的廃止、日本の震災、原油価格の急騰、欧州諸国の債務に対する懸念などがその主なところだ。
 これらの要因が重なった結果、上半期の経済成長率は1.5ポイント押し下げられ、2%にとどまった可能性がある。このペースでは失業は減らない。
 だが、こうしたマイナス要因の一部は下半期になれば弱まる公算が大きく、経済成長率も3〜4%に回復するだろう。これまでの落ち込みが大きいだけに3〜4%では十分とは言えないが、失業は緩やかながらも減少するだろう。

住宅市場が安定するまでにはまだ時間がかかることは、楽観論者も認めるところ〔AFPBB News〕
 消費者が自分たちの債務を一息つけるレベルまで減らしたり、住宅市場が落ち着いたり、いわゆるグレートリセッション(大不況)の後に生じた諸問題が片づいたりするまでにはしばらく時間がかかることは、楽観論者も認める。
 だが最終的には米国の景気は回復し、現実の国内総生産(GDP)と潜在GDPとの差は縮小するという。
 こうした見方の根拠は、生産性の力強い伸びに求められる。従業員を迅速に解雇できるという、米国経済のよく知られた特徴を反映した特性だ。
 現実のGDPや雇用はまだたどたどしいものの、潜在GDPは成長している。確かに現在はこの現象が悪い方向に作用しているが、状況が改善すれば失業者たちは再び雇用される。米国の労働市場は摩擦が小さく、解雇されるのも早いが雇用されるのも早いのだ。
 米国企業は、状況が許せばすぐに稼働率を引き上げる。最終的には、他の国では見られない米国労働市場が新たな雇用を生み出し、以前と同じような高成長を実現するだろう――以上が楽観論者の主張である。
米国が経験したことのない長期失業
 しかし、本当にそうなるのだろうか? 今回は、異なる点が2つ出てくる恐れがある。第1に、今回の景気後退は異常に深刻でそこからの回復も異常に遅いため、米国経済は前代未聞の長期失業率に見舞われている。
 また、住宅市場の不振とそれに伴うネガティブエクイティ(住宅の評価額よりも住宅ローンの残額の方が多い状態)の発生が状況をさらに悪化させている。住宅を売ってもローンが残ってしまうため、新しい職を求めて転居することが難しくなっているのだ。
 失業が長期化すれば、スキルやエンプロイアビリティ(就業能力)は低下する。構造的な失業率が欧州のレベルにじわじわと近づいていることは間違いない。米国経済は未知の領域に入ったのだ。
 本紙(英フィナンシャル・タイムズ)のコラムニスト、マーチン・ウルフが先日指摘したように、今回のような景気後退の後には、より多くの人が雇用 されるのであれば生産性の低い伸びは歓迎すべきことだという見方もできる。解雇するよりも労働時間の短縮で痛みを広く分かち合う方がよいというわけだ。
 米ノースウェスタン大学のロバート・ゴードン教授も、新しい論文で基本的に同じことを主張している。ゴードン教授によれば、米国労働市場は過去四半世紀の間、「使い捨て可能な労働者」を中心に形成されるという著しく例外的な傾向を強めた。
 また経営管理(マネジメント)の考え方の普及と労働組合の弱体化によって労働市場の摩擦はさらに小さくなってきたが、欧州では逆に、雇用助成金と 規制のために労働市場の硬直化が進んだ。今回の大不況と長期失業率の急上昇により、米国経済特有の強みと見られた特性はその真価を厳しく問われているのだ という。
 第2の危険性は、同じく生産性の問題を通じて浮かび上がってくるものだが、その起源はこの景気循環局面で債務が果たしている役割に求められる。今 のような経済環境、すなわち家計が債務の削減に努め、かつ金利がゼロに引き下げられている状況では、経済は不思議な動きを示すことがある。
労苦のパラドックス
 プリンストン大学教授でニューヨーク・タイムズ紙のコラムでも活躍しているポール・クルーグマン氏と、ニューヨーク連銀のガウティ・エガートソン 氏は昨年発表した論文で、倹約のパラドックス(全員が貯蓄を増やそうとすればその経済は縮小し、総貯蓄はかえって縮小するという逆説)によく似た「労苦の パラドックス」が生じる可能性にスポットを当てた。
 この逆説の論理はシンプルだ。ある経済において労働の供給が増えるか、生産性が上昇すると仮定しよう。すると当初は、物価は下落傾向を示すだろう。
 もし名目金利がゼロ%に張り付いていれば、実質金利が上昇して債務負担も重くなる。すると、多額の債務を抱えた消費者は支出をさらに切り詰めるようになる。その結果、需要の反応が鈍いどころの話ではなくなり、経済そのものが縮小してしまうのである。
 生産性の上昇がGDPを押し下げるとは、何とも奇妙な世界だ。おまけにここでは、労働者が賃金の引き下げを受け入れようとすると失業がかえって増えてしまう(クルーグマン氏とエガートソン氏はこれを「柔軟性のパラドックス」と呼んでいる)。
 これに比べたら、雇用も解雇も容易なために長期失業が恒久的に増えるかもしれないとの見方は、さほど奇妙ではない。だが以前なら、米国はそのような心配をする必要もなかった。
強みが再び強みにならなければ・・・
 景気が少しずつ回復すれば、いずれ元の状態に戻るのだろう。米国の強みは、再度強みになるのだろう。
 しかし、消費者がまだ自らの債務に対処し切れていない現状では、景気の減速が長引けば悪化の勢いが自ずと増してしまう恐れがある。そうした自己強化的な動きは既に始まっており、それゆえに景気回復の動きが止まったのだと見る向きもあるだろう。
 楽観論者たちはこれに異を唱え、まだそこまでは進んでいないと述べている。彼らが正しいことが望まれる。
By Clive Crook
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The Economist どうなる米国経済:行き詰まる政策
2011.06.21(Tue)   2011年6月18日号)
米国が景気後退を脱してからの回復ペースはがっかりするほど鈍いが、政策当局は金融、財政の追加刺激策の効果に疑いを抱いている。
今月、米国は2つの経済的な節目を迎える。米連邦準備理事会(FRB)の「量的緩和」(QE、新たに発行した通貨で債券を購入する金融緩和政策)が終わりに近づく。そして、QEが拍車をかけるはずだった景気回復が2周年を迎える。
 だが、6月21日から予定されているFRBの会合で、これを祝う人はいないだろう。この会合ではほぼ確実に、6000億ドル規模の国債買い入れプログラムが6月いっぱいで終了するとの方針が再確認される。
 金融および財政政策によりあらゆる景気刺激策が実施されたにもかかわらず、景気回復は期待外れだった。新たに景気後退局面に陥る可能性は低いものの、残念ながら状況は昨年と同様で、上向くはずだった雇用や支出は勢いを失いつつある。
深刻な景気後退の後の割に鈍い回復政治家は不用意にも、世界的な景気回復の一時停滞を、もっとひどい事態へ発展させてしまう恐れがある。

夏を間近に控えているが、市場は冴えない・・・〔AFPBB News〕
世界の主要金融センターは夏を間近に控えているが、市場のムードは明るさからはほど遠い。暗い経済ニュースを受けて株価は何週間も下落し続けている。製造業の生産高は世界中で減速している。消費者は慎重な態度を強めている。
 米国では、住宅価格から雇用拡大に至るまで、ほぼすべての統計指標が悪化した。6月半ばには一息つける場面があったが、これも米国の小売売上高と中国の工業生産が懸念されていたほどひどくはなかった、という理由にすぎない。
 世界の経済成長は、2年近く前に景気が回復に転じて以来、最も鈍化している。この景気の停滞は単に一時的なものなのか、それとも世界の景気回復はメルトダウンし始めているのだろうか?
大いなる減速
 景気を停滞させている原因を一つひとつ見ていくと、この状態は一時的なものと考えられる。第1の原因は、日本の津波被害だ。これが日本の国内総生産(GDP)を大きく低下させ、またサプライチェーンを混乱させて、特に4月の世界の工業生産高を急激に落ち込ませた。
 しかし、そうした落ち込みが経済指標に表れる一方で、もっと先を見越した兆候は回復を示している。例えば、米国の自動車メーカー各社の今夏の生産計画は、年率換算のGDP成長率が最低1ポイントアップすることを示している。
 第2の原因は、年初からの原油価格の急激な上昇で需要が落ち込んだことだ。このため、カネに困った石油輸入国の消費者から、資産をため込む傾向が強い産油国への所得移転が進んだ。燃料価格の高騰は、特にガソリン消費の多い米国で消費マインドを冷え込ませている。また、アラブ世界がさらに不安定化し、原油価格が再び高騰する可能性も残っている。
 とはいえ、少なくとも今のところ、その圧力は弱まっている。米国のガソリン平均価格は、まだ年初比で21%も高いものの、基調としては下落し始めている。これは消費意欲を刺激し、支出を促すはずだ。


 景気後退が終了した2009年6月以来、国内総生産(GDP)の成長率は平均2.8%と、ほぼ長期トレンドに沿った数字になっている。
 あれほどの深い不況にはまりこんだ後は、通常なら回復ペースはトレンドよりもはるかに速くなるものだ。ところが2009年後半以降、実際のGDPと潜在GDPの差は5%前後のまま推移している(図1参照)。
 指標によっては、状況は一層悪い。支出ではなく所得の総計を指標とすると、経済規模は2006年から成長していない。生産年齢人口の中で仕事がある人の割合は、景気の底の時点よりも低い。
 2010年12月までバラク・オバマ大統領の主席経済顧問を務めたローレンス・サマーズ氏は6月12日、米国は現在、1990年代の日本のような「失われた10年」の渦中にいると警告を発した。
 1990年代当時、米国の政策立案者たちは、苦境から脱する方法をしきりに日本に講義していた。当時財務省の官僚だったティム・ガイトナー現財務長官は、さらなる財政刺激策を講じるよう、日本の財務官僚たちに強く求めていた。
第3の原因は、新興国の多くがインフレ高進を 受けて金融政策を引き締めたことだ。2011年5月の中国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比5.5%に拡大した。インドの卸売物価指数は 同9.1%と大幅に上昇している。景気の減速は、各国の中央銀行が対策を講じ、その施策が功を奏し始めているという望ましいサインでもある。
 その引き締め政策が行き過ぎているという証拠は見られない。引き締め政策の衝撃で経済が縮小しかねないという懸念が最も大きく指摘される中国においてさえ、そのような徴候はない。
 世界的な景気鈍化が懸念されるあまり、引き締め政策が早計に中断されるリスクの方が大きい。世界の金融環境が著しい緩和状態にある中で新興国が引き締めの方針を崩すと、インフレがさらに加速し、最終的に恐慌を招く可能性が一気に高まる。
先進国経済の危うさ
 成長の停滞は、新興国にとっては必要なものかもしれないが、先進国にとっては現在最も避けたい事態だ。バランスシート不況の後の景気回復が大抵そうであるように、先進国の景気回復は弱くて脆い。
 現在の景気の停滞が特に危険なのは、ちょうど時を同じくして、財政・金融両面での景気刺激策が打ち切られようとしており、また、米国、欧州双方で危険な政治の瀬戸際政策が勃発しているからだ。

FRBは追加緩和を実施しない立場を表明している〔AFPBB News〕
 景気刺激策からのシフトはかなり進んでいる。2010年、やはり今のような景気低迷の中で、米連邦準備理事会(FRB)は、紙幣を発行して国債を購入する量的緩和第2弾(QE2)による景気刺激策を約束した。
 しかし、現在の量的緩和は今月終了する運びになっており、FRBは追加緩和はしないとの立場を明確にしている。
 一方、欧州中央銀行(ECB)は2011年7月に再び政策金利を引き上げる予定だ。欧州全土で予算圧縮の動きが激しさを増しており、米国でさえ、景気刺激策が緊縮政策に道を譲る可能性がある。
 これらの政策決定には、正しいものもある。米国のインフレ基調はもう厄介なほど低くはなく、低下もしていないため、FRBが差し当たり追加緩和を避けるのは理にかなっている。また、財政面でも米国はこれ以上の刺激策がなくても何とかやっていけるだろう。
 しかし間違った判断もある。ユーロ圏では賃金インフレの証拠は乏しく、周縁国の景気が著しく低迷している。そのような中でECBは利上げすべきではない。米国では、大きな危険は、中期的な財政赤字を巡る政党間の対立のせいで、現在米国にとって望ましくない、短期的な歳出削減が実施されてしまうことだ。
ポーカーゲームに興じる政治家
 米国の債務上限引き上げを巡る論争は、慎重な経済学的検討によるものではなく、イデオロギーや瀬戸際政策に基づいて進められている。民主党は真剣な歳出改革を考えようとしないし、共和党は増税に断固反対している。ティーパーティー系の多くの人は、歳出削減で妥協するくらいなら米国政府をデフォルト(債務不履行)させた方がましだと思っている。
 その結果は危険な手詰まりであり、米国が思い切った短期的歳出削減を強いられ、テクニカルなデフォルトにまで追い込まれる危険性が増大している。
 ユーロ圏でも同じような力学が働いている。こちらでは、ギリシャの債務危機の対応策を巡り、ギリシャ国債の償還期限の延長を求めるドイツと、いかなる債務再編も拒否しているECBとの対立が行き詰まり、大きな問題となっている。
 6月23〜24日に開催されるサミットで、欧州首脳がお互いのメンツを保つ妥協策を見いだすという望みは残されている。しかし、この対立が長期化するほど、事故に至るリスクが高まる。つまり、ギリシャがデフォルトしてユーロ圏から脱退し、大混乱に陥るという事態だ。
 この危険な瀬戸際政策は、不確実性を生み出すことで悪影響をもたらす恐れもある。現在、企業は経済成長の先行き不安から巨額の内部保留をため込ん でいる。世界経済が切実に成長を必要としている今、その成長をもたらす設備投資と雇用増を企業に手控えさせる理由を、政治が与えてしまっているのだ。
 政治家たちの頑なな態度が大惨事を招く危険性が現実味を帯びている。米国が厳しい緊縮財政に転じる、あるいはユーロ圏経済が破綻するといった破滅的な事態に至る可能性は、高くはないかもしれないが、無視できるほど小さくもない。
 経済論理から言えば、世界経済は一時的な難局に直面しているにすぎない。しかし、つまらない小競り合いを演じる政治家のせいで、事態があっさりとメルトダウンする可能性もあるのだ。
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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
 

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コメント
 
01. 2011年6月22日 04:15:29: P9lBJBtolI
アメリカは、何から何まで遅すぎた。
よその国に債務があるアメリカは失われた10年に耐えれるはずがない。
よその国に債務があるアメリカ紙幣発行権を取り戻しても大きな手は打てない。
唯一の手は先進国のみで新たな枠組みを作って国内の金持ちの財産を押収するくらいだ。先進国は軒並みの不況だ先進国全て行なえば金持ちは逃げ場がない。
しかし、資本主義は崩壊するだろう。
G8で新たな政府を作るのも手だがもう間に合わない。
どちらにしても国内に潤沢に資源のあるアメリカはこれから国民の飢餓をいかに少なくするか手腕の見せ所だ。

02. 健奘 2011年6月22日 11:12:14: xbDm84QDmOFmc : G0mHLBURW6
> よその国に債務があるアメリカ紙幣発行権を取り戻しても大きな手は打てない。

たぶん、合衆国なら、まだ間に合うと思います。そして、

> 国内に潤沢に資源のあるアメリカはこれから国民の飢餓をいかに少なくするか
> 手腕の見せ所だ。

は、可能と思います。それには、思想を変えないとね。利潤を追い求める競争以外の競争を是とする思想に。資源は足りているのだから、資源を増やす競争のみでない、新たな競争にも重きをおく考え方に。

その競争を支えるためには、政府が通貨を、制御しながら供給する姿になるのだと思います。


03. 2011年6月22日 11:23:06: 2gmOFcqges
成長率が、2.8%もあるのは、すごいことです。経済は好調です。

04. 2011年6月22日 11:43:41: h69tTYryng
beikou

05. 2011年6月22日 23:59:15: Pj82T22SRI
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米5月中古住宅販売件数、今年最低を記録=一過性の可能性も
2011/06/22 (水) 17:34

−住宅在庫水準、9.3カ月分に急伸−

【2011年6月22日(水)】 NAR(全米不動産業協会)が21日発表した5月の米中古住宅販売件数は、前月比3.8%減の年率換算481万戸と、6カ月ぶりの低水準となり、前月(4月)の同1.8%減に続いて2カ月連続の減少となった。今年に入ってからは2月の492万戸を下回り最低となっている。

 ただ、市場予想のコンセンサスである同5.1%減の479万戸を上回っており、また、エコノミストは4月の住宅販売契約数が天候不順やガソリン価格の高騰という一時的要因で減少した結果が5月の中古住宅販売統計に現れたもので、減少は一過性の可能性があるとしてそれほど悲観的には見ていない。

 しかし、中古販売の低迷が続いていることには変わりはない。今年に入って、中古住宅販売は1月に540万戸(前月比3.4%増)と、2007年8月以来3年5カ月ぶりの高水準を記録したが、2月には492万戸と、減少に転じ、3月に509万戸と一時的に持ち直したものの、4月以降は再び落ち込んでいる。また、今回の5月は前年比でも15.3%減と、前年割れが4カ月連続で続いている。

 長期トレンドで見ると、過去8カ月間のうち、対前月比で増加した月と減少した月(昨年10月と今年2、4、5月)はちょうど半々の4カ月となり、昨年夏以降、中古住宅販売市場は回復基調だったものの、2月以降は回復力が弱まってきている。

 中古住宅の販売水準は600万戸が健全水準といわれるが、今回の5月はそれを20%も下回っており、昨年7月の直近の景気循環サイクルの谷間(386万戸)からまだ25%しか回復していない。

 5月の住宅販売不振の背景には、雇用市場の悪化が住宅購入意欲にブレーキをかけたこともある。労働省が3日発表した5月の雇用統計では、新規雇用者数は前月比わずか5万4000人の純増と、昨年9月の2万9000人増以来8カ月ぶりの低い伸びとなり、失業率も前月の9.0%から9.1%と、2カ月連続で上昇、米景気が2番底になる懸念が広がっている。

 また、NARが5月27日に発表した住宅販売の先行指標である中古住宅販売保留指数も4月は前月比11.6%低下の81.9と、3カ月ぶりに低下に転じ、5月の中古住宅販売の大幅減少が予想されていた。

■NARのヤン氏:5月の低迷は一過性か

 しかし、NARの主席エコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、今回の5月の結果については一時的要因によるもので、下期(7‐12月)の住宅販売は上期(1-6月)を上回り、前年同期でも上回ると楽観的に見ている。

 同氏によると、4月の中古住宅販売保留指数が悪化したのは、4月が天候不順に見舞われたことや、ガソリン価格の急騰がまだ続いていたため、住宅購入マインドが低下し、実際の住宅購入契約が減少したためで、その結果が中古住宅販売件数の減少につながった、と指摘する。

 これは、中古住宅販売統計は、契約後の住宅の引き渡しの完了時点での販売件数を示すのに対し、同指数は、購入契約書に捺印した時点での販売件数を示すからだ。このため、中古住宅販売保留指数の低下はその後1‐2カ月後に中古住宅販売統計に現れてくる。

 ヤン氏は、「現在の住宅販売の低迷は景気全体が緩やかな伸びにとどまっていることを示しているが、ガソリン価格は低下に向かっており、住宅販売への悪影響は弱まる可能性が高い」としている。

 EIA(米エネルギー情報局)によると、5月30日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1ガロン当たり3.794ドルで、5月9日時点の3.965ドルから4.3%低下している。しかし、1月31日時点の3.101ドルからは22%も上昇している。最新の6月20日時点のデータでは3.652ドルと、一段と低下傾向にある。

 ヤン氏は、29日に発表予定の5月中古住宅販売保留指数は前月比15%上昇に反発する可能性があり、その結果、6月の中古住宅販売件数が増加に転じる可能性があると見ている。また、ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのエコノミストも、6月の中古住宅販売件数は前月比8.1%増の520万戸になると予想している。

 ただ、ヤン氏はリスク要因として、金融機関の融資基準の厳格化で住宅ローンの利用が困難な状況が依然続いていることを挙げ、住宅販売抑制要因になっていると指摘している。

 また、NARのロン・フィップス会長も、住宅ローンの借り入れ条件として最低頭金20%というルールがネックとなって、信用状況に問題がない優良な住宅購入者を市場から締め出していることも住宅低迷の要因になっているとして強い懸念を示している。

■ディストレスト物件比率、31%に急低下=投機は依然一服

 4、5月の中古住宅販売が2カ月連続で減少に転じたのは、3月に見られた投機買いの一服で減少している可能性がある。実際、今回の統計では、全体の販売件数のうち、投機対象となるディストレスト物件(通常、物件価格のディスカウント率は約20%)が全体の販売件数に占める割合は4月に続いて2カ月連続で低下している。

 ディストレスト物件比率は、1月は37%だったが、2月は39%、3月は40%と、上昇したが、4月は37%と、3%ポイント低下し、今回の5月は31%と、一気に6%ポイントも下落している。ただ、1年前の2010年5月の31%と並んでおり、依然、水準的には高い。

 また、投機対象物件が減少したことで、全額現金で住宅を購入した比率も全体の30%と、前月の31%から低下している。これは3月とは反対に、投資グループによる住宅購入が収まったことを示す。実際、投資グループが占める比率は、5月は全体の19%と、前月の20%から低下した。ただ、1年前の2010年5月の14%を上回っている。

■新規住宅取得比率、低下に転じる

 一方、住宅市場の回復の原動力となる住宅ローンを使って初めて住宅を購入する層の割合が、前月の36%から35%へと、再び低下に転じた。

 政府の住宅支援策(住宅取得控除)で需要が盛り上がった前年同月の46%を依然、大幅に下回っており、エコノミストが健全な水準と見ている40%も下回っており、5月の販売件数を押し下げている。

 住宅ローンの頭金比率は2006年の住宅バブル時の4%から昨年には22%にまで上昇するなど貸し出し基準の厳格化で、本来、住宅市場の大半を占め、銀行借り入れを使った新規購入者のウエートは依然、低水準で、先行き見通しは楽観できない状況だ。

 また、今回の統計では、前月(4月)のデータは、前回発表時の前月比0.8%減の505万戸から今回の発表では同1.8%減の500万戸に下方改定されている。昨年12月(522万戸)は、持続安定的な回復に必要とされる520万戸台に昨年6月(526万戸)以来6カ月ぶりに戻ったあと、1月も540万戸と、増勢を維持していたが、ここにきてブレーキがかかった状態が続いている。

■中古住宅在庫、9.3カ月分=前月は9.0カ月分

 中古住宅市場の供給過剰感を示す5月の売れ残り住宅在庫は、前月比1%減の372万戸と、4カ月ぶりに減少に転じたものの、同月の販売ペースで換算した在庫水準は9.3カ月分と、前月の9.0カ月分(改定前9.2カ月分)を大幅に上回り、2010年11月以来6カ月ぶりの高水準となった。

 ただ、1999年以来11年ぶりの高水準となった昨年7月の12.5カ月分を3.2カ月下回っているものの、2009年11月の6.5カ月分を除けば、依然、過去25年間の平均値である7.1カ月分を上回っており、適正水準とされる6-7カ月分(2005年の住宅ブームのピーク時は4.5カ月分)も上回って、依然として高水準が続いている。

 また、販売の内訳は、主力の一戸建ては前月比3.2%減の年率換算424万戸と、前月の同1.4%減に続いて2カ月連続の減少となった。また、前年比も15.4%減と、4カ月連続の減少。

 一方、分譲住宅と集合住宅は合計で前月比8.1%減の57万戸と、前月の同4.6%減に続いて2カ月連続の減少となったほか、前年比も14.7%減と、これも4カ月連続の減少となっている。

■中古住宅価格、前月比3.4%上昇=前年比では4.6%低下

 また、中古住宅の販売価格の中央値(季節調整前)は、通常、20%も割安なディストレスト物件の比率が31%に急低下した結果、前月比は3.4%上昇の16万6500ドルと、4月に続いて3カ月連続の上昇となった。ちなみに、販売価格は昨年7月の18万2100ドル以降2月まで8カ月連続で前月を下回っていた。

 しかし、前年比ではディストレスト物件比率は依然、高水準のため、4.6%低下と、依然マイナスが続いている。

 一戸建て販売価格の中央値は、前月比3.3%上昇(前年比4.5%低下)の16万6700ドル。分譲住宅も同3.4%上昇(同5.8%低下)の16万5400ドルと、いずれも前年水準を下回っている。

 エコノミストは、依然、低水準の中古住宅価格を深刻に受け止めている。これは、新築住宅は中古住宅、特に、ディストレスト物件との厳しい競争に直面しているため、中古住宅との対抗上、新築住宅の価格も引き下げざるを得なくなるからだ。

 売れ残って在庫となっている新築住宅はすでに完成している物件なので、住宅建築業者は値下げでコスト割れを起こし、売るたびに採算の悪化は避けられない。ちなみに、4月時点での中古住宅の価格は中央値で新築住宅より33%も安くなっている。通常は、中古住宅は約15%安くなっている。

 また、地域別の販売件数は、西部を除いたすべての地域で減少した。北東部は前月比2.5%減(前年比13.5%減)となったほか、南部も同5.1%減(14.4%減)、中西部も同6.4%減(22.7%減)となったが、西部は同横ばい(10.0%減)となっている。 (了)
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06. 2011年6月23日 03:13:34: Pj82T22SRI
FATCAの危険な賭け
Gambling on FATCA
2011.06.23(Thu)  谷口 智彦 

バラク・オバマ政権は外国金融機関に対し、「外国口座税務コンプライアンス法(略称FATCA)」と呼ばれる新ルールを適用しようとしている。
新ルールに従わない場合、30%の源泉課税
米公的債務、初めて13兆ドルを突破

米ワシントンD.C.にある米財務省〔AFPBB News〕

 従わない場合、30%と高率の源泉税が課される。この分だと、外国金融機関をいたずらに米国離れへ追い込みかねない。規制の詳細が明らかとなるに及んで、米国内では「外国資本を遠ざけるこんな規制など、経済的自殺に等しい」などとする反対意見が出始めている。

 邦銀関係者の間でも、膨大な実務を強いるものとしてFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)はつとにセミナーの主題となり、話題となっている。

 その割に、昨今の本邦経済ジャーナリズムが受信解読能力をとみに落としている表れか、少なくともこの1年、邦字紙にめぼしい報道を見ない。

 The Banker誌が本年5月1日号で報じたところによると、FATCAとは次のようなものである。簡便のため箇条書きにしてみよう。

(1) FATCA単体の立法化がなされたわけではない。本年3月、連邦議会上院が可決し大統領の署名を得て発効した雇用促進法(the Hiring Incentives to Restore Employment Act)が、内包した形。

(2) 目的は、米国人による徴税逃れをしらみつぶしにするためだ。どの口座が名義上あるいは実質上米国人の保有にかかるものなのか、外国金融機関は米財務省に対して報告しなくてはならない。

(3)具体的には、米国人の口座に関わる情報を、年に1度ずつ、外国金融機関は米内国歳入庁(IRS、日本でいう国税庁)へ報告しなくてはならない。これを守れない場合、当該金融機関がドル建て金融商品へ投資して得た所得に対し、一律30%の源泉税が課される(後で還付請求する道もあるにはあるが手続きがかなり面倒である)。

(4)いま言う外国金融機関の定義は広く、投資顧問会社や保険会社が含まれるのはもちろん、異業種企業がもつ金融子会社も対象となる。

(5)そればかりか、米国でドル建て商品に投資し収益を得ている外国系企業は、業種のいかんを問わず、10%以上の持ち株比率を持つ米国人株主がいるかいないか、具体的説明とともに明らかにしなくてはならない。報告し損ねた場合、やはり一律30%の源泉税が課されることになる。

 大要は以上だが、大量の名寄せ作業、開設済み口座に関していまから国籍を確かめ直すなどを伴う実務は、恐らく膨大である。あまりにも膨大で、米ドル建て金融商品への投資に対し相当のディスインセンティブとなるのは間違いない。
金持ちを狙い撃ちにした政策
米債務、法定上限額に達する 政府・野党の歩み寄りは見えず

ティモシー・ガイトナー米財務長官は何を考えているのか〔AFPBB News〕

 以上から知られる通り、このたびの規制とは、米国富裕層が外国金融機関に分散保有する資産を一網打尽にし、税源を少しでも拡大しようとした金持ち狙い撃ち政策である。

 その際の報告義務を誰かに課そうとすると、口座を管理する金融機関しかない。

 本来は顧客情報に関して守秘義務を負うはずの金融機関に対し税務署へ「密告」しろというようなものであるから、罰則を設けてインセンティブとせねばならず、それが当該金融機関自身のドル建て商品投資所得に対する30%の超高率源泉課税となる。

 ここにあるのは、たとえそこまでしたところで豊かで奥深いドル資金・資本市場から誰もおいそれと出ては行けまいとして、いわば高を括る認識だ。

 ドルのマーケットという世界の公共財がたまたま自国規制当局の管轄下にあるのを利用して、米国はこれまでドル建て取引市場をテロ支援組織のあぶり出しと兵糧攻めという国家安全保障上の目的に用いてきた。

 いわば公共財の「目的外利用」は、このたび(おそらくは)僅かな税源獲得という理由によって、さらに拡大されようとしている。

 だとするならば、実務上の負担ひとつにしても禁止的に膨大であることとあいまって、米ドル建て資金・資本市場への関与を嫌忌する向きへと非米系金融機関を導いていくだろう。

 「特定主権国通貨を事実上の公共財として用いる体制は、当該主権国の恣意と利己的行為によっていつなんどき濫用されないとも限らない」と、中国通貨当局なら声を挙げるのではあるまいか。

 実務的にも理論的にも、ドル依存体制への違和を強めていく方向へこのたびの規制強化はいざなっていくことと予想できる。
米国による「金融帝国主義」
米国の債務残高、史上初めて12兆ドルを突破

初代財務長官のアレクサンダー・ハミルトンは、この事態をどう見るのか〔AFPBB News〕

 だからワシントン・タイムズ紙本年5月24日付に論説を載せた保守派の論客リチャード・ラーンは、米国による「金融帝国主義」以外の何ものでもない(This provision is nothing less than financial imperialism by the U.S. government)として批判する。

 ラーンの説くところ、今後一切米国人のカネを預からないと公言する外国金融機関が一、二にとどまらず、ために在外勤務する米国外交官、米軍人などが、赴任先で預金口座ひとつ開くのに多大の面倒を強いられている。また、米ドル市場にはこの先投資しないと決めた外国金融機関も同様に増えているのだという。

 一定以上の規模を持つ金融機関は邦銀を含め、やむなく報告義務履行へ向けた態勢づくりに資金と手間暇をかけることとはなるだろう。しかし中小以下の金融機関はコストとの見合いで米国離れ(米国人から離れ、自らをドルから遠ざける)に動いたとして驚くべきではない。

 結果として、ドル市場への参加者は一種の寡頭制へ近づく。外国からの資金が自由に出入りすることで維持担保されてきたドル市場の豊かさと、ひいてはそれに依拠する中心通貨ドルの利便性も、ある日気づいてみたらずいぶんと損なわれていたということにならないとも限らない。

 事態のそんな展開は、必ずや安全保障上の意味合いを帯びていく。同盟国は本来なら出番であって、制度への懸念を伝えるなり、それでもつくると言うなら改善策を考えるなりすべきところ。

 金融街シティを抱える英国当局が何をしているかはいざ知らず、わが財務省・金融庁は果たしてこの件で何か米国に意見を伝えているだろうか。全銀協はワシントンに申し入れをしたというのだが。


07. 2011年6月23日 10:07:55: Pj82T22SRI
>>06 FOMC 回復は遅い QE3ないが引締も金利上昇もない

米FOMC:識者はこうみる
2011年 06月 23日 08:53 JST 

 6月22日、米FRBは同日発表したFOMC声明で、米景気回復は予想よりも一段と緩やかなペースで進んでいるものの、一時的な要因によるところが大きいとの認識を表明。写真はワシントンのFRB。2009年6月撮影(2011年 ロイター/Jim Young)

 [ニューヨーク/東京 23日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は22日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、米景気回復は予想よりも一段と緩やかなペースで進んでいるものの、一時的な要因によるところが大きいとの認識を示した。

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●景気認識を再び下方修正、緩和策解除急がない姿勢示唆

 <IFRエコノミクスのエコノミスト、ビモムビ・ンショム氏>

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は4月の声明と同様、景気認識を引き下げた。(3月の「景気回復の足取りは一段としっかり(firming footing)」、4月の「緩やかなペース(moderate pace)」から)今回は、景気回復は「委員会の予想よりも幾分緩やかなペースで継続している」としている。一方で景気減速は一時的との見方は維持した。

 雇用市場の低迷も米連邦準備理事会(FRB)の懸念要因となっており、住宅関連指標は「予想よりも弱い」内容になっていると指摘した。

 これらの表現から、FRBは緩和的な政策を継続する方針を示唆しており、予見できる将来において、(膨張したバランスシートを今夏に縮小しないなど)政策の反転を急がない姿勢が示された。

●利上げ時期予想を来年第1四半期に先送り

 <ドイツ銀行のシニアエコノミスト、カール・リカドンナ氏>

 われわれは米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期予想を来年第1・四半期に先送りさせた。今後の指標次第で時期は変更される可能性がある。6月もしくは7月も経済の軟調局面(ソフトパッチ)が続けば、問題は多少なりともさらに大きくなるだろう。

●予想通り、状況が相当深刻化しない限りQE3ない

 <4キャストの債券アナリスト、ジェナディー・ゴールドバーク氏>

 ほぼ予想通りの内容で、特に興味深い点も見当たらない。米連邦準備理事会(FRB)は、景気が幾分減速し、インフレが若干上昇しているという事実を確認したに過ぎない。それ以上に特筆するほどのことはなく、そのため市場の反応も限定的だ。

 量的緩和第3弾(QE3)に関する手がかりも何ら示されなかった。極めて深刻な状況とならない限り、FRBがQE3の決定に至ることはないと考える。

●QE3の可能性は極めて低い

 <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

 声明文の内容については、景気は表現・予想数値を下方修正する一方、物価についてはコアインフレの上昇率加速を念頭に上方修正するという姿になった。これは予想通りだ。

 量的緩和第3弾(QE3)に関しては、可能性は極めて低い。大統領選挙を控えた政治的なカレンダーから見ても、政治的な火種になる手段は実現困難な話だ。

 金融緩和の継続は強調してきている。「追加は止めるが、継続はする」ということだ。緩和路線を継続していく根拠が、昨年8月に国債買入れを再開した時のように「最大雇用」と「物価安定」ではなく、「最大雇用」のみになったことについて、先行きの市場金利動向を考える上では、注意しておく必要がある。

 デフレ懸念が消える中、雇用の状況をみながら市場が反応することになる。ソフトパッチ(一時的な鈍化)が解消したあとは、利上げ観測が再燃する素地があることにも注意する必要がある。

*内容を追加して再送します。

FRB議長、住宅市場対策としてローン条件の変更促進など主張
2011年 06月 23日 09:21 JST 
 6月22日、FRBのバーナンキ議長は、低迷する住宅市場対策として、より多くの住宅ローンの条件変更と差し押さえの迅速化を指摘した(2011年 ロイ 

米FRB議長、インフレ目標の早期導入を否定
ドルが対ユーロで上昇、追加刺激策への期待は後退
米FRB、8月にQE3示唆する公算=PIMCOグロース氏
米FOMCが追加緩和示唆せず、12年までの成長予想を下方修正

 [ワシントン 22日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、低迷する住宅市場対策として、より多くの住宅ローンの条件変更と差し押さえの迅速化を指摘した。

 米住宅市場は、失業率の高止まりでローンの借り手が慎重になっていることや、貸し出し基準の厳格化の影響を受けている。

 議長は連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「雇用や景気回復の不透明感が強いことは明らかで、これが人々の住宅購入意欲に影響している」と指摘した。 

 米経済は他の分野では回復兆候がみられるものの、住宅市場は低迷が続き、3月の住宅価格は2003年3月以来の低水準だった。住宅需要は弱く、22日発表の統計では先週の住宅ローン申請件数の減少が明らかになった。

 オバマ政権と連邦規制当局は、既存の住宅ローンの条件を恒久的に変更する措置を設けているが、基準を満たす住宅保有者のうち支払い額を減らしたケースはごく一部にとどまっているという。

 バーナンキ議長は「適切なケースについては、住宅ローンの条件変更に向けさらなる努力が必要だ。適切でないケースについては、市場をクリアにするため差し押さえと差し押さえ物件の処分のプロセスを急ぐ必要がある」と述べた。

© Thomson Reuters 2011 All rights reserved.


2011/06/23 (木) 09:56

*****忙しい人のためのサマリー******
バーナンキ会見、基本的は予想通り

QE3などへの期待を持っていた投資家からのドル買いがやや優勢

英MPC議事録、軟調でポンド売りの場面も
***********************************
【東京市場】もみ合い

早朝にギリシャ新政権信任投票が可決。
可決を受けて、ユーロが瞬間買われた物の、
火曜日の海外市場で,可決されそうとの見通しで十分買ったこともあり
実際の可決決定後の動きは限定的なものにとどまり
利益確定売りなどにどちらかというと軟調地合に。

ドル円は狭いレンジでもみ合い。

【ロンドン市場】英中銀MPC議事録でポンド売り

英中銀金融政策会合(MPC)議事録が発表された。
6月の投票は7対2で金利据え置きと、
5月の6対3からひとり現状維持が増えた形。
利上げ派の急先鋒であったセンタンス委員が
先月末で退任したことが響いている。
このこと事態は予想の範疇であったが、
声明の中で多数の委員が英経済低迷の長期化を懸念するなどの内容もあり
全般的なハト派ムードに
ポンド売りが強まった。

ユーロは、ギリシャ新政権信任をうけて買いが入る場面があったものの
ポンドの下げなどに抑えられて、けっきょく頭が重くなった。

【NY市場】バーナンキ・ギリシャを懸念
FROMC後のバーナンキFRB議長の会見で
ギリシャについて、デフォルトの影響などに言及
ユーロ売りを誘う場面も。

米金融政策に関しては
QE2の6月末での予定通りの終了、
満期が来た償還債の再投資継続
QE3への示唆は無しという結果に。
基本的にほぼ予想通り。
少数派ながらQE3を期待していた向きからの
買い戻しが入っていた。

【ここからの見方】

過度な米経済への悲観論が一服も
ドル円は戻りも鈍い。
もう少しもみ合いが続きそう。
ドル円は戻ったところを売りに回ってみたい。

FOMC:異例な緩和策を継続、議長は長期の景気減速要因に言及(3) 

  6月22日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)は21−22日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、6000億ドルの国債購入計画が予定通り今月で終了した後も、記録的な規模の金融緩和策を継続する方針を示した。

  FOMC声明は「委員会は期間が長い米国債を6000億ドル購入する計画を今月末までに完了し、保有証券の償還元本を再投資する既存方針を維持する」と言明。「景気回復は緩やかなペースで進行中だが、委員会が予想していたよりは幾分かペースが遅い」との判断を示した。

バーナンキFRB議長はこれまで、リセッション(景気後退)が終了して2年が経っているものの、景気回復のペースは「いらいらするほど緩慢」だとし、景気刺激には過去最低水準の金利がなお必要であるとの考えを明らかにしている。住宅価値の低下やインフレ加速、5月に9.1%まで上昇した高い失業率を背景に個人消費は抑制されている。

  議長はまた、商品価格が下落し、製造業が日本からの供給混乱を乗り切れば、景気は持ち直す可能性が高いとも指摘している。

  声明は「最近の労働市場の指標は予想より弱くなっている」と指摘。景気回復ペースの鈍化は東日本大震災に伴うサプライチェーンの障害など「一時的なものと考えられる要素が反映されている部分もある」との見解を示した。

              議長会見

  バーナンキ議長はFOMC会合後に記者会見し、「景気減速は一時的な現象である部分もあれば、長期化する可能性のある部分もある」と指摘した。

  さらに「われわれは成長加速を確信している」と言明しながらも、「この緩やかな成長率が続いている理由について具体的に究明しているわけではない」とも発言した。

  政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標についてはゼロから0.25%のレンジにとどめ、「長期にわたり」低水準で維持する方針も堅持した。決定は全会一致。バーナンキ議長は記者会見で、超低金利を「長期にわたり」維持するという文言は少なくとも2、3回のFOMC会合を意味すると述べた。

  FOMC声明は「インフレは最近上向いたものの、過去のエネルギーなどの商品価格高騰による影響が後退するにつれ、FRBの2つの責務に一致していると委員会が考える水準に、もしくはそれを下回る水準に落ち着くとみている」と指摘した。

  保有証券の規模を維持

  ニューヨーク連銀がこの日発表した声明によると、金融当局は公開市場操作用口座、システム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)に保有する国内証券の規模を2兆6540億ドル前後で維持する方針だ。

  ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サム・ブラード氏(ノースカロライナ州シャーロット在勤)は、「景気回復の地盤がさらに固まるまで、金融当局は景気刺激と需要押し上げを期待しながら、可能な限り緩和的な政策をできるだけ長く維持したい考えのようだ」と語った。「当局者は4月の会合以降、景気状況が悪化したことも認めた」と付け加えた。

  FOMCは今年の成長率を2.7−2.9%と、4月時点での予想3.1−3.3%から下方修正。2012年については3.3−3.7%と予想。4月時点では3.5−4.2%と見込んでいた。

  失業率は11年10−12月(第4四半期)に平均8.6−8.9%と予想。4月時点の8.4−8.7%から引き上げた。12年第4四半期の失業率は7.8−8.2%と予測。4月の段階では7.6−7.9%との見通しを示していた。

  食品とエネルギーを除くインフレ率については、今年は1.5−1.8%と、4月時点での予想(1.3−1.6%)から若干引き上げた。

記事についての記者への問い合わせ先:Craig Torres in Washington at Or  ctorres3@bloomberg.net;Jeannine Aversa at javersa@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Christopher Wellisz at cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2011/06/23 05:33 JST


FOMC声明:回復は想定よりも遅い−数四半期かけて持ち直しへ
  6月22日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)が22日に発表した声明は以下の通り。

  4月の前回会合以降に入手した情報から、景気回復は緩やかなペースで進行中だが、委員会が予想していたよりは幾分かペースが遅い。最近の労働市場の指標も、予想より弱くなっている。回復ペースの鈍化には、食料やエネルギーの価格高騰が消費者の購買力および支出に与える下向きの影響や、日本の悲劇的な震災に伴うサプライチェーンの障害など、一時的なものと考えられる要素が反映されている部分もある。家計支出と企業による機器やソフトウエアへの投資は増加が続いている。ただ非住居用建造物への投資はなおも弱く、住宅セクターは依然として低迷している。インフレはここ数カ月で上向きとなっており、一部の商品や輸入品の価格上昇が主な要因であると同時に、最近のサプライチェーン障害も反映されている。しかしながら、長期におけるインフレ期待はなお安定している。

  連邦準備法に定める責務に基づき、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を追求する。失業率は高い水準が続いている。ただ、委員会は回復ペースが今後数四半期かけて持ち直し、失業率はFRBの2つの責務に一致していると委員会が考える水準に向けて再び低下するようになるとみている。インフレは最近上向いたものの、過去のエネルギーなどの商品価格高騰による影響が後退するにつれ、FRBの2つの責務に一致していると委員会が考える水準に、もしくはそれを下回る水準に落ち着くとみている。しかしながら委員会はインフレとインフレ期待の展開を引き続き注意深く見守っていく。

  継続中の経済回復を促し、インフレを責務に合致した水準に維持する一助として、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0%から0.25%のレンジで据え置くことをこの日決定した。低レベルでの資源活用と中期的には落ち着いたインフレ見通しを含む経済状況が、長期にわたってFF金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き続き想定している。委員会は期間が長い米国債を6000億ドル購入する計画を今月末までに完了し、保有証券の償還元本を再投資する既存方針を維持する。委員会は資産購入プログラム全体の規模と構成を定期的に見直し、適切に調整する用意がある。

  委員会は今後も経済見通しと金融の動向を見守り、最大限の雇用と物価安定を最善に促すために必要に応じて行動する意向だ。

  このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ダドリー副議長、デューク理事、エバンス総裁、フィッシャー総裁、コチャラコタ総裁、プロッサー総裁、ラスキン理事、タルーロ理事、イエレンFRB副議長が賛成した。
更新日時: 2011/06/23 02:24 JST


08. 2011年6月23日 17:06:26: Pj82T22SRI
http://jp.wsj.com/var/plain_site/storage/images/media/images/110623_qe2_chart.jpg/5291521-1-jpn-JP/110623_qe2_chart.jpg.jpg

http://jp.wsj.com/Economy/node_253137/?nid=NLM20110623

特効薬ではなかったQE2
2011年 6月 23日 6:03 JST

記事

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 6000億ドルの米国債買い入れプログラムは悪化する米国経済のための特効薬ではない――昨年、議論を呼んだ量的緩和第2弾(QE2)を始めた米連邦準備理事会(FRB)は過去数カ月、そう警告してきた。この予想だけは的中したようだ。
Bloomberg

米連邦準備理事会(ワシントン)

 このQE2が予定通り、今月末で終了する。その効果に対する評価は分かれるものの、結果的には、米経済に必要な特効性もなかった一方で、批判的だった人々が描いていた弊害をもたらすこともなかった。

 FRBは22日、2日間の連邦公開市場委員会(FOMC)を終えた。FRBは昨年11月に同プログラムを開始した際、非常に低い水準のインフレが日本で起きたようなデフレ(全体的な消費者物価が景気後退をもたらすほどの水準まで下落する状況)に移行するのを防ぐことを期待した。

 FRBはまた、長期金利を低く抑え、株式や社債、その他の金融資産の価格を押し上げることで、経済を刺激しようとした。そして、それによって雇用の成長がもたらされると主張した。

 確かに、デフレ懸念を払拭することには成功した。しかし、経済成長は現在、国債買い入れプログラムの開始当時に比べて鈍化しており、雇用市場は一時的に好転したものの、その後は失速している。さらに、同プログラムが金融市場に与えた効果はプラスとマイナスが入り混じったものとなった。株価が上昇する一方で社債の利回りが低下したことで、成長が促進された。しかし、石油や穀物、その他の商品価格が急騰し、消費者の生活を圧迫した。

 同プログラムのもう一つの効果は、おそらくドル安の継続であろう。もっともFRBはそれを目標として明言したことはない。米国経済について考えた場合、ドル安にはプラス面とマイナス面がある。つまり、米国製品が世界市場で割安になるため、輸出が増加する一方、輸入品の価格が上昇し、インフレが進行する。ドル安は既にFRBの量的緩和策の開始前から見られていたが、開始後にさらに進行した。

 米国経済は今年前半、年率で2%成長したと推測される。この成長率は、現在の景気回復期における6カ月単位でみた数字としては最低である。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校で経済学を教えるジェームス・ハミルトン教授は「FRBが全ての問題を解決する力を持っているとは考えるべきではない」と指摘する。

 QE2プログラムは米国内外から反発を招いた。たとえば、FRBは金融システムへ過剰に資金を注入し、ドル安を進行させることで、商品価格を上昇させ、その結果、世界中で物価高を引き起こした、という批判の声が聞かれる。

 ただ、このような批判の一部は誇張されていると思われる。FRBのバーナンキ議長は昨年8月にワイオミング州ジャクソンホールで行われた講演で、QE2実施の意向を明らかにしたが、その後の1カ月間、原油価格はバレル当たり75ドル前後で推移した。バレル当たり100ドルを超えるまで高騰したのは、今年初めに中東で政変が勃発した直後である。

 FRBは商品価格の上昇について、世界的な需要――特に中国などの急成長経済からの需要がその主因となっているとみている。

 FRBがそのプログラム下で、昨年11月から今年6月までに購入した米国債は6000億ドルに達することになる。そして、その過程で金融システムに資金が注入されている。民間投資家が保有する長期債の供給を縮小することで、今回の国債買い入れは長期金利の低水準維持を支え、金融が緩和されたとFRBは主張する。


株(青)、原油(赤)、ドル(緑)の推移 左:QE2示唆から実施前まで、右:QE2終了示唆から現在まで

 FRBの試算によると、国債買い入れの効果は政策金利の0.75%ポイントの引き下げに相当するという。通常の場合だったら、非常に大胆な引き下げだ。しかし、現行の金利がほぼゼロであるため、FRBは引き下げようがない。

 バーナンキ議長がQE2を示唆した講演を行った頃、オプションの動きは投資家が翌年のデフレの可能性を40%近いと見ていたことを示していた。これが現在では約10%になった。シカゴ連銀のチャールズ・エバンズ総裁は今月行ったインタビューで「デフレのリスクは払拭された」と語っている。

 QE2後に株価が上昇したことについては、FRBよりも昨年収益を29%増やした企業の努力が効を奏したというべきであろう。

 インターバンク・ブローカーのライトソンICAPの債券市場アナリストのルイス・クランドール氏はFRBの量的緩和プログラムについて、「不安感が非常に強かった時期に、FRBはできるだけのことを実行したというのが最終的な評価だ」と述べた。

 同プログラムに対しては依然として懐疑的な見方もある。ボルトやスクリュー、ナットなどを販売するファステナル社(ミネソタ州)の最高財務責任者(CFO)、ダン・フロアネス氏は、量的緩和の恩恵を受けなかったという。

 「借り入れの必要があり、しかも融資先としての資格が十分あるならば、量的緩和があろうとなかろうと、融資は受けられるものだ」と同氏は語った。

記者: Jon Hilsenrath


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